【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
デッカー、予想以上に王道で面白いので大好きですね。「でっかく」て「カッコいい」デッカーとか、HANE2でハネジローとか最高すぎる。そして合体ロボはロマン!!あの合体シークエンスすっごく良いのでもっと活躍して?
そんな明るい気持ちの話じゃないんですけどね、今回の話
感想、評価お待ちしてます。
『カルデアを裏切って私の
“
「ねえヴリトラ。もう少しこの運び方なんとかならないかなぁ?」
「動けなくなってしまったのはお前のせいであろう?自業自得だ。む?」
「チッ……。まさかBBのセンチネルに捕まってるとはね」
「エミヤオルタ」
「ほう貴様か……。ふぅむ、BBも上手いこと使うのぉ」
見つかってしまっては隠れている意味はないと感じヴリトラと向き合うエミヤオルタ。
だが、彼だけが何故裏側に残されたのかヴリトラにはお見通しなのか、面白い玩具を見つけたとばかりに口角を上げる。
「ほれっ」
「うわっ!」
「ーーーー、何の真似だ?」
「そこで捨ておけん時点で貴様の根は視えている。ついてくるがよい、お前が目指す場所もわえと一緒だ」
博樹のことを投げ飛ばしたヴリトラはそう言って2人に背中を向けて歩き出す。
博樹のことを受け止めたエミヤオルタは敵であるヴリトラを背後から撃とうと銃を構えるが、少し考えると銃を下ろして博樹に肩をかす。
「ははっ、ありがとうまた迷惑かけるね」
「本当に。少しは歳を考えて落ち着きってものを考えたらどうなんだ?」
「はははごめんね。けど、君にこうしてもらうと何だか安心するね。何だろう、いつか息子もこんな風になったりするのかもって思うからかな?」
じいさん!
「ーーーーーーーーッ」
遥か昔に堕とした記憶。ボロボロの身体で歩こうとする
顔も、声も、はっきりとした姿すら見えない朧げな風景に、痛みを感じないはずの頭を抑えるように手を当てていた。
「大丈夫かい?」
「…………馬鹿話に付き合いきれないだけだ。さっさといくぞ」
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「気が気じゃないのは理解するけれど、今はあの娘を救うことに専念しなさいマスター!」
「う、うん!」
メルトの叱咤に答えるように両頬を叩いて気合を入れ直す。
博樹さんのことで気が動転したけどそんな集中力を欠いた状態で勝てる相手じゃ、ましてや救える相手じゃない。
「キャットは右!ロビンは左からパッションリップに攻撃を!気を逸らすだけでいいから! ガウェイン!!」
「ええ!刻まれし不夜よ、我が同胞に加護を!!」
「おおっ!これは何ともワンダフル♪ならばキャットもキャットの怪力を開放しよう!にゃー!」
「味方じゃないオレにまでサポートするなんてねえ。まっ貰ったもんは代えさせてもらいますか!」
深い海の中に一時的に沈まぬ太陽の陽射しがみんなを照らす。
博樹さんが一時的にガウェインと
メルトには私の側でいつでも動けるように待機して貰って、二人がパッションリップの気を引いてくれてる内に準備する。
「いくよガウェイン!
【この剣は太陽の移し身。あらゆる不浄を清める焔の陽炎】
魔力を開放させた聖剣を天に放り投げると、その剣から疑似的な太陽が生み出される。目を瞑りたくなるような熱がコチラにも届いてくるけど、この後のことも考えるとそんなことしてられない。
そう思って薄目でその陽を見ていると、日輪の中に一つだけ黒い斑点のようなものがあるのが見えた。
【落ちることなき太陽は、この黒点はーーーー消せることなき罪の証!】
一本の剣となった日輪を強く握りしめながらガウェインは叫ぶ。
今回はリップだけに当たればいいから横薙ぎの一閃ではなく、太陽をそのまま落とすように縦に振り下ろす。
「ゔゔゔゔゔっ!」
キャットとロビンの牽制のおかげで避けることも、イデアを使うことも出来ず巨大な両手でガードするしか出来ないパッションリップ。
よっし、ここだ!!
「行くよメルト!パッションリップのところに!!」
「あら、流体の私に太陽に突っ込めっていうのかしら?」
「メルトなら、私を連れてあの太陽の波に乗っていくのなんて簡単でしょ?」
煽るようにメルトにそう言うと一瞬ポカンとした表情になるけど、すぐに嬉しそうに笑って私のことを抱き上げて走り出す。
地面を滑るように走るメルトは、スケート選手のように回転を加えたジャンプで熱線の上に跳び乗って、そのままパッションリップの元へと進んでいく。
「ーーーー待たせたわねリップ。さあ立香!このまま一緒に踊りましょうか!!」
「経験ないからリードよろしくメルト!!」
パッションリップの元へとたどり着いたのと同時にガウェインの宝具が消え、耐えきった安堵から相手が両腕を降ろして隙を見せる。
これを狙っていたから、宝具が消える瞬間翔んだメルトと一緒に鍵を突き出してパッションリップの胸へと飛び込んだ。
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「霊脈を利用したのか。それも若年層の良質な魔力を持つ人間ばかりを選んで」
ーーーー衝撃的な事実が博樹とエミヤオルタに突きつけられた。と、いってもエミヤオルタの方はこんな状況に慣れてしまっているのか冷静に対応している。
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| 男性(16) | 女性(15) | 女性(18) |
| 魔力回路/質:A 質:E 構成:異常あり レイシフト適正:適正あり | 魔力回路/質:B 質:C 構成:正常 レイシフト適正:若干の兆しあり | 魔力回路/質:C 質:B 構成:正常 レイシフト適正:兆しあり |
ヴリトラに連れられてやってきた施設内部で生存していた3名の研究者。彼らはセラフィックスの真実、最終目標である【超大型礼装の開発】に着手していた人物だった。
彼らの口から天体室こそがその超大型礼装であり、それを早急に完成させるために、批判を受けるような手段を使う隠れ蓑として作られたのが油田基地であると。
「研究を進めるためには地球と人の霊脈で互いに心を理解し合い、友好関係を築く所から始める必要があった」
「その為に……これだけ多くの人間を……?」
「良かったじゃないか、アンタはその歳のお陰で対象にはならなかったんだ」
苛立ちを見せながら、エミヤオルタは実験として使われた人物のことが記された資料を震えながら読んでいる博樹にそう告げた。
「ここに書いてある
「ええ、アニムスフィアとしてはいずれ来るマスター選定の準備で苦渋の選択でしたが、
人を、自分の娘や立香たちと歳の近い子供のことを人として見ていない。実験を成功させる為の道具の一つでしかない、何体補填、何体破棄と記されているその資料は子供たちの命を
そうして何十、何百の子供たちの命を無下にした結果、超大型礼装の準備は整ったのだと狂ったように研究者たちは両手を上げて喜びを見せる。
「これが……真実。人理のための……研究」
「数多の人間を贄とした超大型礼装を【大聖杯】として利用し、何度も繰り返し続ける聖杯戦争を引き起こしたということじゃ」
「じゃあ、ヴリトラを召喚したマスターは……」
「部品として使われた人間の誰か、じゃな」
「…………(まだヴリトラは彼らのことを人として見てくれている。けどあいつらは最初から……)」
エミヤオルタが研究者たちから生存者たちがセラピストの取り合いの末に天体室が聖杯戦争として起動されたことを聞いている横で、博樹はこの聖杯戦争で呼ばれたサーヴァントであるヴリトラの言葉を聞きながら拳を強く握りしめる。そんな博樹の一挙一動を逃すまいと、ヴリトラは目を光らせる。
「
「殺意はずっと感じ取れていましたし、この環境では逃げ切れない事も理解しています」
彼らもその事を重々理解しているため、無駄に動揺することなく自分がこれから死ぬということを受け入れている。
「我々研究員は人を誰よりも愛している。だからこそあの研究を受け入れ尽力した。その役目を果たした今、思い残すことは何もない」
「、そうかい」
ガシッ!
「…………なんの真似だ?」
何の躊躇いもなく研究員たちを撃ち殺そうとしたエミヤオルタの手は、余計な介入によって止められてしまう。
博樹だ。彼らに向けられた銃口を博樹が下に下げ当たらないようにしていた。そんな博樹の行動に呆れと苛立ちを乗せてこんなことをしたのかと問う。
「……この人たちは、私や立香ちゃんと同じ、今を生きている人間だ」
「だから生かせっていうのか?ハッ、とんだ茶番だな」
この施設で行われてきた実験の真実。それを知って尚彼らのことを生かそうとする。誰でも罪を償うことが出来るなんていう戯言を信じている正義の味方に、エミヤオルタは心底嫌気が刺していた。
「違う」
「くひっ!」
「今を生きている人間が犯した罪は、今を生きている人間に……背負わせてほしい」
「ーーーー」
絶句した。言葉が出なかった。汚れ仕事だろうがなんだろうが顔色一つ変えずに行えるエミヤオルタが、博樹の放ったその一言にひどく動揺し、憤慨した。
背負わせろ、それはエミヤオルタが今しがた行おうとした事を博樹がやると、そう言っているのだ。
「何を言ってるのか
「理解ってるよ。理解っていて、言ってるんだ」
声は震えている。だが、その覚悟に迷いはない。
警察官として罪を犯した者を取り締まったことはあっても、腰に下げた拳銃の
「アンタのそれはただの自己満足、自己犠牲でしかない。勝手に背負い、その重荷に耐え切れなくなって心が砕けて自滅する。
「キミのようにかい?」
「はっ、ヤツから見たらオレはよほど醜く見えているだろうな。ただ効率良く、何処までも効率良く引き金を引く。その意味も知らずに、そのことに何の痛痒も感じない。数分前のことすら朧げな残骸ですらない存在……それがオレだ」
そこに理想はなく思い描く思想もない、
心を痛めるなんて無駄はない、感情によって今後に支障をきたすこともない機械な自分だからこの役目なんだと、何処までも心に従う博樹は邪魔だと伝える。
「それでも、それでもだ。逃げたくない、背中を向けてなかったことにはしたくない」
一歩も引かない。自分自身の気持ちもそうだが、逃げだしたりしたら自分のことを
その真っ直ぐな瞳が、今から人を殺すというのに眩し過ぎるその瞳のせいで、ただの機械が異常をきたしてしまう。
「〜〜〜〜ッ!!アンタみたいなのは何を言っても無駄だ」
「それは悪手じゃのうぉ」
ジャキッと、既に装填してある弾丸を入れ替えエミヤオルタが博樹に向かって拳銃を向けたその時だった。
普段ならば敵であるヴリトラへの警戒を怠らない。頭に血が上っていたせいで反応が遅れてしまった。
気がついた時にはエミヤオルタは博樹たちの目の前から姿が見えなくなった。
「ヴリトラ!」
「表側に返しただけじゃ、気にするな。いつ迄もグダグダとやっておるから我慢できなくなってのぉ」
センチネルとしての権限。ヴリトラはそれを使用してエミヤオルタのことを返してしまったのだと言う。
博樹は最後までエミヤオルタに認めてもらえなかったことに若干のしこりを覚えながら、小さく深呼吸をするとギガバトルナイザーを強く握りしめて、研究員たちの歩みを進める。
(最後まで彼は、私の事を
「ようやく終わったか」
「…………ああ、そして今終わらせる」
エミヤオルタに言っていたように、この研究員たちは死ぬことを受け入れている。子どもたちを犠牲にしたことを一つも後悔していないその顔に怒りを感じながら一歩、一歩を踏みしめながら歩く。
「……先も言ったが、私たちは自らの行いを誇りに思っている。人を愛していると胸を張って言えよう」
「それだって理解してるさ。貴方たちを殺したところで、犠牲になった子どもたちが喜んでくれるわけじゃない。私の気持ちの問題なんだ」
背負うなんて言葉は口実でしかない。許せないから、彼らの行いを認めることが出来ないから、この怒りが、心の燻りが抑えきれないから……。
エミヤオルタのような、使命を持って行動するなんて格好のいいものじゃない。ただ心のままに、博樹は彼らの目の前でギガバトルナイザーを大きく振り上げる。
「ーーーーーーーーごめん」
博樹さんとガウェインを組ませたかったのと同じくらいに、博樹さんが「子を持つ親」だからこそデミヤとは何かしら絡ませたいとなった結果がこれです。
カルデア内でも最年長で、大人で、警察官という職務をしていたからこそ逃げては行けない。受け止めなければいけなくて、しかし傷つくのは自分だけでいいという結論しか持ってない執行者はそれを否定する。
立香ちゃんが背負えないものは博樹さん……。