【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
福袋は狂2回してアルジュナでしたね、これで宝具2
感想、評価お待ちしてます
「…………はあ〜〜」
「随分とまあ気に病むのぉ」
「そう簡単には、気持ちの整理はつかないさ」
研究室での一件を終えた博樹だったが、そこでの行いが尾に引いているらしくセンチネルの権限で表側にいつでも戻れるのに瓦礫に腰掛けて蹲っている。
「なあヴリトラ」
「ん?」
「君は犠牲になった、いいや今も酷使されてしまっている子どもたちの誰かに召喚された英霊……でいいんだよね?」
「ああ、『生きたい』『勝ちたい』という声に呼ばれて召喚されたはいいものの。ここはこの有り様じゃ」
「今も、その声は聞こえているのかい?」
「他のサーヴァントは知らんが、わえの頭にはもう響かん。勝ち続けてきたからのお、いつの間にか聞こえんくなっていたわ」
「そうか……」
気持ちを落ち着かせるために、この聖杯戦争に呼ばれずっと勝ち続けているというヴリトラに話を聞いていると、ヴリトラが「そうじゃな〜」と腕をくんで博樹のまえをふらふらと歩いてる。
「ま、褒美としてはちともの足りんが……いいじゃろう。博樹」
「ん?」
「この聖杯戦争を行い続けるための動力として使われ続けている人間たち。奴らは全員『生きたい』という生存本能、『勝ちたい』という闘争本能以外、全て棄てられている」
「え────?」
一瞬理解出来なかったが、博樹はすぐにそうだとヴリトラの言葉の意味を悟る。確かに彼らは動力源としての役割を担っているかも知れないが、それでも人間だ。生存本能と闘争本能だけで生きているわけがない、その人それぞれに夢や願いがあるはず。
「(あの時一瞬だけ見た夢は、彼らの……!)夢や願いを棄てることなんてなかったはずだ、なのにどうして!」
『
「!! がっ…………」
────気づいた時には遅かった。ヴリトラではない第三者の声に驚き、反応しようとした博樹の腹を鋭利な槍のようなものが貫いていた。
「(これは、魔神柱の……?)ぐっ」
『
槍のようなものを引き抜かれた反動で地面に倒れ伏してしまった博樹は、痛みを堪えながら声のした方へと顔を向ける。
「────何をやったのか、わかっているのだろうな」
『
「……やっぱり……お前だったのか……」
あら、気づいていらしたのですか? あの中にいた誰も気づかなかった私に
ヴリトラから怒りを向けられながらも余裕そうに返す黒幕の顔を、博樹は知っていた。正確に言えば相手の本来の顔は知らないが、擬態して博樹たちに近づいてきたその顔を知っていた。
「やはりな、ヒロキの血は貴様には合わんじゃろう」
黒幕は博樹を貫き付いた血を手で掬い取り、舐めたその時だった。
博樹の血に混ざっているベリアルの因子が拒絶反応を引き起こしたのか、黒幕の身体から血が吹き出し、擬態すら保てなり被っていた人間の皮がドロドロと溶け落ちる。
『
「はいは〜い♪ 急な呼び出しにも即座に対応するって、何だか大変なことになっちゃってますね〜」
『
黒幕は気づいていた。博樹の身体から流れ出た血がまるで意思を持っているかのように自身に伸びていることを、自分を殺そうと動いていることを。
だから早急に片付けたかった、BBを呼んですぐに行動するように命令したのはそのためだ。
「う〜ん、まっ、こんな何しでかす分からない人、退場してもらったほうが話がスムーズに進みそうですもんね〜。ぽぽいのぽ〜いっとっ」
「…………」
BBが指を鳴らすと博樹を中心に地面に渦が生まれ、血を流しすぎて既に意識を失った博樹はその渦の中へと吸い込まれていく。
「ふ〜、彼の可笑しな性能と行動には度々驚かされちゃいましたけど、これで一安心って感じ♪ 残すは立香さんだけですね♪」
「────フッ。ここで終わるのならそこまでだ。だが、違うであろう博樹?」
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『え〜残念なお知らせで〜す♡』
【博樹さんが脱落した】。パッションリップを助け出し、管制塔に潜んでいた知性のない魔神柱を倒し生存者にしてセラフィックスの暴動を起こした張本人である”アーノルド・ベックマン”を保護。
その時に管制塔での
そんな彼を連れて協会へと戻ってきた矢先、BBちゃんから報じられたのが博樹さんがこの聖杯戦争から脱落したという信じられない報告だった。
「嘘だ! 嘘だうそだうそだうそだ!! 博樹さんがし、脱落するはずない!!」
『そんなこと言われても〜これが現実ですよ〜〜?』
再生数1回♥
登録者数 ひ・み・つ♥
映っていたのは、貫通したお腹から止めどなく血が流れ倒れている博樹さんが黒い渦のようなものに呑み込まれていくという内容のものだった。
「BB!! 博樹さんをどこにやった!!」
『あ〜あ〜そんな顔したって無駄ですよ〜っだ。まあ? 廃棄場にいけば死体くらいは回収できるかもしれませんね〜』
BBの適当なその態度にもっと頭に血が昇って来たのを、ガウェインが私を落ち着かせようと肩に手を置いてくれて、落ち着くように深呼吸する。
『そ・れ・よ・り♡早くしないと時間がありませんよ〜〜?』
「メルト、廃棄場っていうのは?」
「
「じゃあ、急いでそこに向かわなくちゃ!」
「はぁあああ? 何を言ってるんだ君は!! そんなことよりも早いことBBを倒して一刻も早くこのセラフィックスを元に戻すことが先決に決まっているだろ!!」
博樹さんを助けに向かう方法をメルトから聞いている私にベックマンが横やりを入れてきた。
そんなこと、人の生死がかかっているのに自分の保身をいの一番に考えて話すその姿に、
捲し立てるように大声を上げるベックマンのことは無視して、私はメルトの考えを待つ。
「その男と同じ意見になるのは不満だけれど、あそこに向かうにしても必ず立ち塞がってくるヤツがいるわ」
「…………鈴鹿御前?」
「そう。ヴリトラがどう出るかはこの際気にしないほうがいいけれど、リジェクション・カーフへ向かう道の途中には鈴鹿が管轄してるエリアがある。アイツとの衝突は避けられないわ」
博樹さんの事で血が上ってしまったけど、みんなのお陰で落ち着きここからどうすればいいのかの指針が出来てきた。
本当は今すぐにでも向かいたいけど、私自身の身体の限界も近いから3時間ほど休憩してから鈴鹿御前打倒と博樹さん救出へ向かう手筈とはなった。
「あれ? そう言えばマーブルさんは?」
「彼女ならタマモキャットがパッションリップを担いできたのを見るや教会を飛び出して行ってしまいましたよ?」
「ーーーー引き止めなかったっていうことは、そう言うこと……なんだね?」
一般人のマーブルさんが一人でにいなくなったのに慌てる様子もないトリスタンを見て、疑惑は確信に変わった。
やっぱり、そう言うことだったんだねマーブルさん。
(あの映像……改竄された様子はない……。なら、
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……羨ましい。素直に、その感情が浮かんできた。
私を知らないアナタ、私の知らないアナタが見せたその表情が、どうしようもなく羨ましかった。
楽しすぎて泣いていた。辛くて笑っていた。そんなアナタが大切な人を目の前で亡くしそうになった時、相手が誰だろうと本気で怒っていた。
……その顔を、アナタは私へ向けてくれるかしら?
……まだその時じゃないのに、その先を考えてしまったからか、手足からの痛みに苦悶の声を上げそうになった。
思えば前の
『アナタだけでも逃げてください。その為になら、私は戦えます』
『嘘だ! 嘘だうそだうそだうそだ!! 博樹さんがし、脱落するはずない!!』
……ああ、そんな悲しい顔をしないで。アナタが悲しむと、アナタが怒ると私の爪先が鈍ってしまうから。
笑って、どうか最後まで笑っていて……その為なら私は何処までも踊り続けられる。
『アルターエゴは作り物から生まれた作り物。中には何もない、空っぽなのよ』
『フッ、空っぽなんかじゃない? それはアナタが私に新しい存在意義を入力してくれたから。それが偶然か打算によるものだとしても、ね』
……アルブレヒト、アルブレヒト。私の知ってる素敵なアナタ、私の知らない素敵なアナタ。
この悦びを、私の中から消さないで……。
この最悪の中で輝き続ける最高の灯りを……。
『たとえ、この
────そうね。もう、両手はおろか両足も壊れてしまったけれど、まだ砕け散ってはいないもの。
どうか最後まで、アナタのプリマでいさせてちょうだい?
「メルト!!」
「立、香!? アナタ、飛び込んできたの!?」
鈴鹿御前を攻略し、私たちに協力してくれることになったのもつかの間。
突如として襲いかかってきた魔神柱の攻撃から、私のこと庇ってしまって崖の下へとメルトが落ちていってしまった。
けど迷いはなかった。動き出したのは一瞬だった。博樹さんが渦の中へ呑み込まれていくあの光景がフラッシュバックしたんだと思う。
迷わずに崖に向けて飛び込んで気絶したメルトへと追いついた。
「気づいたら身体動いちゃったてたや。えへへ」
「えへへ、じゃないわよ! 私一人なら
「どうなってもいいなんて言わないで」
「────」
「あんな顔してたメルトを、一人にはさせないよ」
私のことを庇ってくれたあの時、メルトの表情は満足したような諦めの顔をしてた。「さようなら」「ごめんなさい」って言っているような、そんな顔をしてほしくない。
「リードしてくれるメルトがいなくなっちゃったら私、この
「────ッ、アナタはまったく……。離れないようにしっかり掴まりなさい立香、着地くらいは任せな」
「そこらへんはあーしに任せるしっ!!」
メルトの目に生気が戻り、どうにか着地しようと私のことを抱き寄せたその時、上からもの凄い爆音と一緒に鈴鹿が降りてきた。
あれって、リップの腕だよね。鈴鹿がリップの腕に乗って私たちのことを助けに来てくれたんだ。
「ほっ、ほっ、ほいっと! 完璧ぃ♪」
「ありがとう、鈴鹿」
「いやホント、マスターのアンタがなりふり構わず飛び込むからびっくりしたじゃん! 戦い疲れてるってのにソッコー動いてめっちゃ疲れたし」
「ごめんごめん。他のみんなは?」
「黒いアーチャーはわかんないけど、キャットとリップは一緒に落ちてきてるんじゃん? もう片っぽの爪壁に引っ掛けて」
鈴鹿から私が落ちてからの行動を聞いてみんな大丈夫っぽいことを確認した私は、リップの爪の上にメルトのことを寝かせて直ぐに博樹さんのことを探し始めた。
「博樹さーん! 聞こえてるなら返事して────!」
「ああ~~そういやもう一人のマスター、ココに落とされちゃったんだっけ? う~ん、立香以外に生きてる人間の気配感じないけど……ホントにここに落とされた感じ? 血の匂いもしないし間違ってるんじゃん?」
────────ッ。
鈴鹿は嘘を言ってない。嘘を吐く必要がないもの……。じゃあ博樹さんがここにいないっていうことは本当なんだ。
じゃあ、博樹さんは何処に……?
ベリアル因子
デビルスプリンター、怪獣すら容易に暴れさせ、一欠片でも宇宙に混乱をもたらすレベルのやっべーヤツ。
いくら人類悪になったとしてももとは人間からの昇華である時点での適合しなければ因子が殺しにくる。
ようやく黒幕も動き出し、ラストに近づいている……多分。
実は立香ちゃんにも隠せてなかったマーブルさん……。