【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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今回でオルレアン終了!!

次回セプテム編ですが、色々とリアルが忙しいので2週間ほど更新できません。
代わりとはいかないにしても活動報告の方で色々あげたいと思います

感想、評価など頂けると舞い上がります。
誤字脱字、ご指摘ありましたら報告ください


6

 一人の女が、処刑場に向かって歩かされている。

 鉄で出来た手枷に腕の自由は奪われ、繋がっている鎖を引いている兵士の後を着いていくことを強制されている。

 

 そうか、これは処刑されるジャンヌ・ダルクを見ていた民衆の目…………

 

『裁きを受けろ!! 』

 

『この魔女めっ!! 』

 

 あちらこちらからジャンヌ・ダルクを魔女だと罵倒する声が聞こえてくる。

 けどアイツは国民も兵士も、誰一人として憎みもしなければ怨みも抱かなかった。

 

『すいません、どなたか十字架ををいただけませんか……? 』

 

 怒りすらも抱かずに、アイツは神へ祈りを捧げるために十字架を求めた。

 そうして、奇跡を遮る炎に包まれているなかでもアンタは神への祈り続けた……

 

『主よ、この身を委ねます…… 』

 

 誰一人として見捨てない。 ただ何も出来ない主への祈り

 主の嘆きを、悲しみを癒すために…………

 

 

 

 

 は、ははは、はははははははっ!!!

 あーっはっはっはっはっはっはっはっ!!

 

 ばっかじゃないの?

 ああそう、今のでよーくわかったわ。

 私はあの女にはなれない、別物。 アイツが言っていたようにジルによって造られたジャンヌ・ダルクの模造品、それが私……

 

 何も知らないくせに、罵倒してくるヤツらが憎い

 

『な゛に゛も゛し゛ら゛な゛い゛く゛せ゛に゛……は゛と゛う゛し゛て゛ん゛し゛ゃ……な゛い゛わ゛よ゛っ!! 』

 

『そうだ、ソレが本物だ。 憎み、妬み、嫉まれる。見下され哀れまれた、それがお前だ 』

 

 可哀想だと、哀れみを向ける国民たちが憎い

 

『か゛つ゛て゛に゛……あ゛わ゛れ゛ん゛て゛ん゛し゛ゃ……あ゛い゛わ゛よ゛…… 』

 

『その憎悪を一心に受け、民衆によって焚きつけられた炎によって死ぬ。────それがお前の運命だ 』

 

 自分たちこそが正しいのだと、自分勝手な正義を振り回す者たちが憎い

 

『ゆ゛る゛さ゛な゛い゛………ゆ゛る゛さ゛な゛い゛ゆ゛る゛さ゛な゛い゛ッッッ!!!!』

 

『変えられるものか、模造品であるお前に……その運命を 』

 

 私の憎悪に反応して現れた炎が、辺り一面が炎の包み、私のことさえも燃やし尽くそうと襲ってくる。

 

(これが私を殺した炎……。 ああ──消えていく……私の存在も。私の生命も。 私の精神も。私の概念も──── )

 

 鎧も、旗も、その服も、私を形成するすべてが燃やされていく……

 そんな私の目の前に出来た1本の道、その先には金に輝く杯が見えた。

 

「そうよ、こんな所で……死んでやるものですか!! 」

 

 炎が杯への道を阻むが、私は足を止めない。 炎にその足を踏み入れながらも進み続ける。

 炎にその身を委ね、裁定者としてのクラスが焼き捨てられても、私は聖杯をその手に掴んだ。

 

「お前が願いを叶える願望機だというなら私の願いを叶えなさい!! 」

 

 願うのは、力

 

「私を産み落とした存在を! 私が産まれることとなった原因を!! 私にこの痛みを本当の憎悪を教えたアイツを!! 全てに復讐するための力を!! 」

 

 寄越しなさい、復讐の果す力を!!

 

「確かに造られたものよ。 けど、この身体は! 復讐を願うこの心は私のものよ!! 」

 

 私の産み出した復讐の炎。 私を燃やす憎悪の炎

 それら全てを私は聖杯へと焚べる。

 

「何れ何処かで朽ち果てる……けど!! それは今じゃない!! 私の命はっ! 運命は!! 」

 

 

 聖杯が全ての炎を取り込むと、杯は光輝き私のことを包み込む……

 

 

 

 

 

 

「私が決める!!!!!!!!!! 」

 

 私は今生まれ変わった、裁定者(ルーラー)としての私自身を焼き払った私のクラスは既に変化している。

 そうね、俗世にまみれた人間なら今日が私の誕生日とでも言ったところかしら?

 

 私は、いけ好かない笑みを向ける男に旗の切っ先も向けながら咆哮を上げる

 

「私は復讐の魔女、ジャンヌ・ダルク……"ジャンヌ・ダルク・オルタ"!! それが私、私の歩む運命よっ!! 」

 

 

 

 

 ────◇◆◇────

 

 

 

 

「え? あの〜今なんて? 」

 

「はあ〜? まったく、要領の得ない子ですね貴女は。 いいですか? この私が貴女のサーヴァントになってあげると言っているんです 」

 

 黒いジャンヌ・ダルク、自分のことをジャンヌ・ダルク・オルタと名乗った彼女の言葉が信じられなくて聞き返すと、嫌そ〜な顔をしながらもう一度教えてくれた。

 私と契約してカルデア側のサーヴァントになる。彼女は確かにそう言った。

 

『まままま待ってくれ!! 君はこの特異点を作り出した原因だ! そのキミが仲間になるだって!? そんなこと信じられるわけがないじゃないか!! 』

 

「うじうじうじうじと女々しい男ですね。 何を言おうと、貴方たちは私と契約する他ないのよ 」

 

『!! も、もしかして………… 』

 

 ジャンヌ・オルタの言葉を聞いてカルデア側が急いで何かを調べ始めた。

 私のほうは何もすることがないし、理解が追いついてないからもう一度ジャンヌ・オルタのことを見てみることに……

 黒かった鎧は紫がかっているものに変わって、その上には首元が暖かさそうなファーが付いたマントを羽織ってる。

 ジャンヌさんの今着ている鎧を豪勢にしたって感じかな? 結構可愛い感じになってる。

 

『聖杯と霊基の完全な同調……いや、霊基が新しいものに変化している()()()()とでも呼べばいいのかな……。 こんなことが起こり得るっていうのか……!? 』

 

「え? え? つまりはどういう事? 」

 

『その姿になる以前、彼女のクラスは裁定者 ルーラーだった。 それが今の彼女からはそれは全く違う反応……クラスすらも別のものになってるんだ 』

 

「じゃあ、ジャンヌオルタのクラスって? 」

 

「アヴェンジャー、復讐者のクラス……ルーラーと同じくエクストラクラスってヤツよ 」

 

 ジャンヌオルタの霊基は、聖杯と完全に同化しているから取り出すには倒すしかない……。 けどジャンヌオルタ本人に戦う気はなくって何故か私たちについてくる気満々。

 私と彼女が契約する事で、聖杯の所有権はカルデア側に移るからこの特異点は修復されるんだけど……。

 

「ねえ、ジャンヌオルタ 」

 

「何ですか? ようやく私と契約する気になりましたか? 」

 

「うん、契約するよ。 多分それが一番血が流れない道だから…… 」

 

『ちょ、ちょっと立香ちゃん? 分かってるのかい? その子はこの特異点の原因となった竜の魔女なんだぞ? 』

 

 ドクターの言ってること最も。 ジャンヌオルタはこのフランスの地を絶望に追いやった存在。 いく先々でジャンヌさんに憎しみの目を向ける人たちを見て、どれだけのことをやったのか分かってる。 けど仲間になってくれると言ってくれたその手を拒みたくはない……

 

 私はジャンヌオルタの手を掴んでの綺麗な瞳を見つめる

 

「私が間違ってるって思ったこと。 それをジャンヌオルタがするって言うなら……私はそれを全力で止めるから!! 」

 

「ふふっ、小さき手弱いアンタに何が出来るって言うのよ。 いいわ! 私の復讐が終わるまでアンタのことはこの私が守ってあげようじゃない!マスターちゃん♪ 」

 

 ドクターやダヴィンチちゃんに教えてもらった、サーヴァントと契約を交わすための詠唱。

 令呪に魔力を込めながら、私はその詠唱を唱える

 

「──告げる 」

 

 [いいかい立香ちゃん、カルデアのシステムのお陰で魔力のない君でも契約したサーヴァント……君の場合マシュのことだね。 彼女に魔力供給をすることが可能だ ]

 

「──汝の身は我が下に──我が命運は汝の剣に 」

 

 [もしマスターのいない……魔力供給の受けてないサーヴァントがいたら契約をもたらすことできる ]

 

「──聖杯の寄るべに従い──この意この理に従うならば 」

 

『止めるんだ立香ちゃん!! 僕が言ったのは理論上の話、2騎以上の同時契約でキミにどんな負担がかかるかわからいんだ!! しかも彼女は聖杯と一体になっている特殊例だっ!! 何が起こるかわからない!! 』

 

 ドクターが必死に止めるように声をかけるけど、私は止めない。

 

「──我に従え!! ならばこの命運──汝が“(憎悪)”に預けよう!! 」

 

 私とジャンヌオルタとの間にパスが繋がる。 私……っていうかカルデアから来る魔力がジャンヌオルタに流れるのと同時に、私の中にジャンヌオルタの魔力が流れ込んできて…………

 あれ? 違う…………これ、ジャンヌオルタの魔力だけじゃない……

 

「先輩!! ────ぱいっ!! 」

 

 マシュの声が…………遠のいて、い……く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マシュ!! ジャンヌオルタ!! 立香ちゃんのことを離さずに掴んでいてくれ!! 彼女と契約したことで歴史の修復が始まったんだ!! 』

 

「先輩! 先輩!! 」

 

「まったく、私のマスターになるならもっとしっかりしなさいよね!! 」

 

 立香がジャンヌオルタと契約した直後、彼女は突然倒れ込んでしまった。

 既にその理由は分かっていた。 彼女はジャンヌオルタと契約すると同時に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()して見せたのだ。

 ジャンヌ・ダルク、マリー・アントワネット、アマデウス、エリザベート、清姫、ゲオルギウス、ジークフリート、立香と仲間になってくれたサーヴァントたちと一挙に契約する形になったことで、負担が一挙に押し寄せてきたために倒れてしまった。

 

『まさか、こうなることも君のシナリオ通りだって言うのかいベリアル? 』

 

「………… 」

 

 時代修復が始まり、立香にマシュ、サーヴァント全員が元の時代へと戻されている中で、ベリアルはダヴィンチの声も無視しながら歩いていた。

 ベリアルはジャンヌオルタが転輪を果たした場所、霊基を燃やしたことで生まれた塵の山に手を突っ込んだ。

 

「やはり、オレは()()()からは逃れられないか………… 」

 

『(なんだアレは……? ()()()()のような形をしているが、何で作られているだいアレ!? この天才である私に分からないものが存在するだと!? )』

 

 ベリアルが手に持った、カプセルのような形をした黒色のソレ。

 見たこともないその物体の構造に芸術家であるダヴィンチは興味を示すが、ベリアルはその物体に描かれた存在を見て、悲しいような辛いような分からない表情をしていた。




「「英霊! カプセルナビ!! 」」

「今回はガチャを回さず、来てくださったゲストさんを紹介したいと思います! 」

「ゲストの方は〜こちら!! 」

「サーヴァント、ジャンヌ・ダルク・オルタ。 クラスはアヴェンジャーよ 」

「ジャンヌオルタさんはオルレアンを恐怖に陥れた原因でしたが、今回私たちの仲間に加わって貰えました! 」

「仲間? 違うわ。 私は私の復讐のために貴女たちを利用しているに過ぎない、馴れ合いはしないわ 」

「とか何とか言っちゃって、ジャンヌオルタゲストに呼ばれてウキウキしてなかった? 」

「んなっ!! …………どうやら、燃やされたいようねマスターちゃん? 」

「やばっ!! 今回はこの辺りで終わらせようマシュ!! 」

「あ、はい! 次回もよろしくお願いします!! 」


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