【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
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序章
ガヤガヤと、カルデア全体が騒がしい。特異点が発生した時の慌ただしさと似ている。カルデア職員も、契約しているサーヴァントたちも忙しくしている隙間をぬって、医務室への扉が開く。
「立香ちゃんの容体は!?」
『立香が突然意識不明となった』微少特異点の攻略を終えて戻ってきた宮原博樹は、身体を休めることなく立香が運ばれた医務室へと飛び込んできた。
「芳しくないね。何せ原因がわからないときた。肉体的にも健康そのもの、彼女特有の"夢の中にいる"という気配をキャスターの皆々が感じ取ってはいるが……。観測は出来ないし原因が何かもわかってない、我々に出来るのは生命維持ってところかな?」
"夢の中"。以前監獄塔に囚われた時のように、立香はこのように夢の中と何処かの世界が繋がり迷い込むことがある。今回もそれと同じようなことが起きているのだと当たりをつけた。
その話を聞いて博樹は立香の側で彼女を心配そうに見守るマシュに心当たりはないか聞く。ずっと旅をしてきた彼女なら何か知っているのではないかと
「以前先輩が話していた女性の宮本武蔵さん。彼女の話をしていたんです」
そう語る彼女が両手で抱えているタブレットと記されていたのは【五輪の書】。宮本武蔵が著した兵法書が記されたデータだった。以前立香が今回と同じように夢の中で【女性の宮本武蔵】と出会ったことを聞いたマシュは、そのことを調べるためにこれを立香と一緒に調べている最中の出来事だったという。
「で、そこにちょうど居合わせたのが……」
「"小次郎敗れたり"……その言葉を聞いたからこそその女性のことを"宮本武蔵"と呼んだのではないか? と問うただけ。立香殿は聞いていないと言いながら倒れ込んでしまい、某にも何がなんだか」
"佐々木小次郎"。厳密には小次郎本人ではなく、"佐々木小次郎という伝承の寄せ集めの亡霊"という何とも掴みどころのないサーヴァント。彼の言っていることに嘘偽りがないことがわかった博樹は立香が眠るベットの横に腰掛け、彼女の手を強く握る。
(
ベリアルがいないから不可能。そのことが分かっていながらも博樹は願う。何か一欠片でも彼女の力になればと、自分の中に残るベリアルの力が"何かを引き寄せてくれる"、そんな一縷の望みに賭けて。
(ベリアルさん……どうか彼女のことを……立香ちゃんのことを……守ってあげてくれ……!!)
パッ! と、誰も気が付かない小さな灯り。博樹の左手に刻まれている令呪の紋章が元から無かったかのように消えていることに……誰も気づきはしない。
まるで"誰かに譲渡された"かのように消えた令呪の存在に……
「…………」
赤い夜を超えて、障子から漏れる太陽の光を浴びて目を覚ます。右手に刻まれる令呪に目を向けると、残っているのは"あと二画"。昨日の戦闘で一画消費してしまったからだ……。
(本当に使ってよかったの? "英霊剣豪"……あいつらの正体も目的も何もわからない。何をしようとしているのかだって……)
夢……夢と言っていいのかわからないこの世界に飛ばされて一夜が明けた。以前出会った武蔵ちゃんとの再会。江戸の世に飛ばされたみたいだけど徳川の時代にはすでになくなっている"土気城"が残り、本来ならば"上総国"にあるはずが"下総国"にあるという歴史がズレている世界。
そして何よりは"英霊剣豪"を名乗る相手。自分たちのことを一切鏖殺の宿業を負った悪鬼と名乗り、私たちに襲いかかってきた。道中仲間になってくれた逸れのサーヴァントだった"宝蔵院胤舜"も敵の手に堕ち、"ランサー・プルトガリオ"を名乗り武蔵ちゃんと一騎打ちになった。
「おう、起きたか寝坊助」
「ありがとう
斬っても斬っても蘇ってしまう死なずの怪物と成り果てた相手。霊核のない相手を斬れたのは間違いなく彼の打った刀のおかげだ。おじいさんって呼んでるけど見た目は若々しい男性で「立香だ男だったらあんな感じじゃない?」とか武蔵ちゃんは巫山戯ていってきたけど、彼の真名は"千子村正"。彼と同じような体・精神・末路を持った誰かの器を借りて召喚された擬似サーヴァント。刀鍛冶である彼の打った刀がなかったら……あいつは斬れなかった。
「何を知るにも情報が必要だ。土気の城へ行ってみな、恐らくはあいつがこの世界の異変の中心だ。それにあそこには
「「あいつ?」」
「応。
その話を聞いて武蔵ちゃんと顔を見合わせる。空から降ってきたってことは私と同じ状況で、それに私の着ている服に似ているってことはもしかして……!!
「その人の名前って!」
「
────だ、だれ? あさくら……りく……????
「
「はっっっくしょん!! うう……誰か僕の噂してるのかな……? あ、はーい今行きまーす!!」
英霊剣豪七番勝負のほうがみなさん馴染み深いだろうけど今までが今までなのでちゃんと下総国のほうを。実際調べないと覚えてなかとです