【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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「ううう……」

 

「やっぱりあの影を召喚するのって相当な負担なのね。リクくんの方は1日眠ったら元気になっていたのに」

 

 不甲斐ない。令呪1画使うガンドの方は相当鍛えられたから大丈夫なんだけど影英霊(シャドウサーヴァント)の召喚は慣れてないのもあるけど召喚にかかるコストは勿論現界維持や戦闘指示と魔力の消費が激し過ぎる。

 宝具の使用まで考えたら全快状態で一騎扱うだけでも精一杯だ。おぬいちゃんの助けもあって歩き回れるだけの体力は回復したけど……。

 

『敵は清姫様の暗殺を企てています』

 

 そんな中での報告。万全の状態まで回復し相手を探っていた小太郎が持ってきた次なる敵の情報。最初に出会った四騎の英霊剣豪の中にはいなかった相手は、無数の大蛇を使役する忍びだったという。

 そんな相手は今朝方見回りに出て帰ってこない但馬守の配下の一人を帰参させた。()()()()()()()()()()()その骸は「姫を殺す」と殺害予告をしてきたという。

 

「相手は僕と同じく忍びの者でしょう。予告をしてくるくらいです、余程腕に覚えがあるのか。もしくはそれ以上の策があるか」

 

「どちらにせよ警戒は必要ね。土気城へ行きましょうか」

 

「ほお。おぬいと田助を遊女なんぞに預けて何処に行くってんだ?」

 

「「へ?」」

 

 ギギギギと、武蔵ちゃんと一緒に声のした方に顔を向けると、そこには腕を組んで頭に青筋を立ててたいそうご立腹な様子の村正さんが……。あ、後ろにリクくんもいる。

 

「お前さんら、説明してもらっても……かまわんだろう?」

 

「「…………はい」」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

「ん。こ、こうか? どこか壊してしまったりしないだろうか」

 

「大丈夫ですよニキチッチさん。田助くんもいい子だし、ねえ〜?」

 

 田助くんのことをびくびくした様子であやすニキチッチさんを見ながら、村正さんと話した時も思ったけどサーヴァントっていっても普通の人たちと変わらないんだなってことに安心感を覚える。

 おぬいちゃんは倒れた立香の看病をしているから今は僕たちが田助くんの面倒を見ている。魔力の消費で体調を崩すか、ニキチッチさんを召喚したのと間髪入れずに令呪を使ったから僕のほうも相当消費があったっぽいんだけど、ちょっとふらっとしただけだったんだよな。やっぱりウルトラマンだから?

 

「んで、そこの女の「オレは男だぞ?」あ? あ〜んんっ。まあいい、そこのサーヴァントをお前さんが召喚して英霊剣豪とやり合ってたと」

 

「は、はい。あの手紙とか出せなくてすみません。この時代どうやってそういうの出せばいいのかわからなくて、そもそも手紙って書いたことないし」

 

 昨日の疲れを取るように宿屋で休んでいると、里へいるはずの村正さんが戸を叩いた。2人がおぬいちゃんたちを連れて土気へきてから何の音沙汰もないから心配できたって。そりゃそうだ、2人はまだ小さいし両親を亡くしているんだ、心配にもなるよね。

 

「ああいい。あれから月が二回も赤くなったんだ、奴らが現れたのはわかっちゃいた……。()()()()()()の連中を逃すのに手間かかったのも言い訳だ」

 

「……立香から聞きました。里のみんなのこと」

 

「悪いな、せっかく守ったってのによぉ」

 

 首を横に振る。村正さんが、勿論立香や武蔵さんが悪いわけじゃないそうするしかなかったんだ。一番悪いのは()()()()()()()()()()()()()。どんなに強大な力を手に入れても

 時間は有限で助けを呼ぶ声全部に応えられるわけじゃない。

 

「くそ、こんな辛気臭せぇ話してぇわけじゃねえんだ。リクお前もそんな顔すんな、あの馬鹿二人んとこに案内してもらってもいいか? おぬいの顔も見なきゃいけねえしな、ほら田助は儂が抱いていく」

 

「ん……。おお、そう抱けば歩きやすいのか勉強になるな」

 

「んで? 何処にいんだあいつらは」

 

「え゛!? あの、え〜とその……」

 

 そういうお店にいます……しかもそこのツケ村正さんに押し付けてますって……僕が言わなくちゃいけないのか……。いやでも()()()()バレてないしいっか! ごめん立香!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いけ好かん男」

 

 下総から離れた森の奥に建てられた社の中。妖術師が連れてきたという用心棒の剣士を見て、衆合地獄は言う。この社を調査しようとした謎の英霊を()()()()()でありながら斬れると確信を持った殺気を放っていたというのに、妖術師に止めろと言われ即座にその殺気を隠したその気骨のなさが心底つまらないようだった。

 

 用心棒は彼女から妖術師が人の妬み、怨み、悲しみが贄となることで極楽世界へ往生する"厭離穢土"を降ろすという全く逆のことを行おうとしていること、そしてインフェルノが暴れたことによって下総周辺の人心が乱れ、贄としての質が上がったと。

 

「そも、何故下総なのだ? 国の中心ともなれば江戸を狙った方が確実なのでは?」

 

「そんなもん、あそこ以外ぜ〜んぶ()()()()()()からやないの」

 

 流される。その言葉が用心棒にはどうもピンとこなかった。インフェルノが常陸の国を焼き払ったのなら聞き及んでいるため、英霊剣豪たちによって日の本が蹂躙されていると聞かされるのならわかる。だか衆合地獄のいう全部とは、世界全てをさしている言葉にしか聞こえなかった。

 

「あんたはんは知らんやろうけど、この島国より外。()()()()()()()()()()()のよ」

 

「???」

 

「本当嫌やわ〜あの神さん。面白そうなもんもうまそうなもんもな〜んも関係なしなんやもんね〜。あんたはんはどうおもう?」

 

 理解できない。そもそも理解できる話していない衆合地獄は視線を移す。その先にいるのは忍びでありながら表立って行動することを許された英霊剣豪が一人。アサシン・パライソ

 

「あんたはんも気づいておるんやろ? あの神さんのこと……そら気づかないわけないわな〜。"明神様の呪"を受けはったあんたは、うちよりも気づいとるはずやろ?」

 

「…………はぁ、はぁ」

 

 今にも潰れてしまいそうな顔。その顔を心底可笑しそうに見る衆合地獄と視線を合わせると、抑えていたものが全て爆発してしまう。自身と同様の、否、圧倒的なまでに()()の神存在に呪が今にも怒り狂い、暴れ出しそうなのを抑えるのに必死だというのに……タガが外れてしまいそうになる。

 

「パライソ、私はこれより厭離穢土降臨の儀に入る。己が役目はわかっているな?」

 

「………………はい、お館様。より、多くの贄を」

 

「ああ、いってしもうた。あとちょっとだったんやけどな〜」

 

 

 

 

「ああ神よ!! 虹の神よ!! 全てを洗い流す憎悪の化身よ!! 厭離穢土を降臨させ、全てを、この私のためにスベテを洗い流してくれ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に大丈夫なのかな……これ」

 

「ん。辺りも暗くなってきた、町のみなも怪異に恐れて家の中だ。仮に見られたとしても鳥とでも思うだろう」

 

「鳥にしては大きいけど」

 

 僕は今、ニキチッチさんとその愛馬ブルークの背に乗って土気城の周りを迂回しながら飛んでいる。ここのお姫様と顔見知りなのは立香たちだけだったのとこっちは空を飛べるから中よりも外を守っていたほうがいいという理由で別れた。

 

「しかし”ジード”か、いい言葉だな」

 

「へへへ、そうですか! ありがとうございます。ずっと、この言葉に勇気をもらってきたから」

 

 土気城に向かうことになった時、おぬいちゃんが僕らのことを心配そうに見つめてきた。そりゃあそうだよね、いつも何かあって帰ってくるとボロボロになってるんだ心配にもなるよ。それにおぬいちゃんは大切な人たちを目の前で亡くしているから余計にだ。

 

『こういう時こそジードだ』

 

『じーど……?』

 

『ジーッとしてても、ドーにもならない。がんばるぞ! やってやるぞ〜! って、そんな時に使う言葉なんだ。僕たちは次の英霊剣豪を迎え討なくちゃいけない、インフェルノのせいで今みんな張り詰めてる、お姫様に何かあったら余計混乱が起きちゃう。それは、わかってくれるね? だから僕らは戦わなくちゃいけない、それにおぬいちゃんだって戦えるさ』

 

『でもぬい。お兄ちゃんたちみたいに強くないよ……?』

 

『強い弱いなんて関係なよ。自分にできることを精いっぱい頑張る、それだってジードさ。僕らが帰ってくるこの場所を綺麗に掃除してくれるとか、僕らの無事を思う気持ちや頑張ってって応援してくれるのだって立派な戦いだ』

 

『じゃあ、ぬいも戦える? お姉ちゃんたちみたいに、じーどできる?』

 

『ああ、できるよ』

 

 小さいころ、泣いてる僕を励ましてくれたモアのことを思い出しながら伝えた。あの時の泣き虫な僕なんかよりおぬいちゃんの方が何万倍も強いと思うけど……。

 そうして、おぬいちゃんは僕らの帰りを待つために村正さんの庵に帰らず、おたまさんの所でお手伝いするって言って行動し始めた。

 

「あ、そういえばニキチッチさん。村正さんに何か頼んでませんでした? 何か渡してたようにも見えたけど」

 

「あああれか。あれは"勝つ準備をしていた"んだ、今のオレではどうしようとも英霊剣豪にトドメをさすことはできないからな」

 

「勝つための、準備」

 

「そうだ。村正は最初乗り気ではなかったがなオレの持っている鋼を見せたらすぐだったぞ」

 

「あの頭が固い村正さんが?」

 

「うん、なんて言ってもこれはダマ、来たな。リク、しっかり掴まっていなさい」

 

「へっ? うわああっ!!」

 

 敵の接近に気がついたんだ! ニキチッチさんの言う通り落ちないように掴まりながら城を見渡すと、話に聞いていた通り大蛇が突如として現れて城の見回りをしていた人たちを襲い始めている。

 すぐに気がついたニキチッチさんと一緒に奴らを追い払うために一直線に向か

 

「そんな簡単にいったらつまらんやん?」

 

「ぐっ!? リクっ!!」

 

 横殴りの衝撃。僕じゃなくてニキチッチさんの愛馬が攻撃を受けたみたいで突然襲ってきた衝撃に掴んでいた手を離して地面へ落ちていく。ニキチッチさんが僕を助けようとしてくれるけどこれくらいの高さなら……。

 

「僕は大丈夫!! ニキチッチさんは相手を!!」

 

「ん! わかった!!」

 

 落下しながらお願いをして、僕は頭を抱えて瓦屋根を壊しながら地面に着地する。全身痛いけど今はそんな場合じゃない! すぐに立ち上がってニキチッチさんの方へと向かう。小柄な身体に着崩した着物、頭に鬼の角を生やした英霊剣豪。

 

「衆合地獄、酒呑童子……!!」

 

「そんな怖い顔しんといてや。せっかくあんたはんらが倒さないかん相手のこと教えにきたいうのに……」

 

「え?」

 

 何を、言ってるんだ……コイツ?   

 




立香の影鯖召喚
 漫画版下総でやっていた手法。あちらはたった一人のマスターだったこともあり影鯖召喚、使役に関しての練度が高いため2騎併用しながら宝具運用まで持っていけるすごい技術力を持っているのに反して、こちらの立香は本人も言っていたように影鯖よりも1画ガンドの練度集中、ベリアルがいたため影鯖召喚する必要がなかったなど様々な理由から1騎を全力でサポートしないと運用が難しい。



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