【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
『人の心乱して、恐怖を増幅させる。そんなちまちましたこと、今のあのこが我慢できるわけないやないの』
『厭離穢土の降臨。まあその為に召喚されたんやし?そっちの方は手伝ってやってもええわ、けどな。虹の神さんの手伝いは、うちしたくないんよね』
『うちは楽しいことがしたいんよ。ぜ〜んぶ流れてもうたら、楽しませてくれる相手おらんくなってつまらんやろ?』
『影法師ごときじゃ太刀打ち出来へんよ。あれはほんまもんの神様、土地神とかやなくて自然の化身……そんでもって今は、人をぎょ〜さん殺すための装置みたいなもんやね』
『どうやって止める?ふふふ、面白いこというんやねえ。うちがこうやって話に来とるんは、あの神さん倒せるのがそこの
「……どう思う、ニキチッチさん」
「わからんな。だが、奴の言っていた通りのことが目の前で起きていることは間違いない」
突然襲いかかってきた衆合地獄だったけど、アイツは僕たちの邪魔をしにきたとかパライソの援軍にきたとかじゃなかった。"虹の神"英霊剣豪の目的とは別の意思で動いている強大なナニカ。その存在のことを僕に、僕がウルトラマンであることを見抜いて話に来た。
話すだけ話してパライソが暴れ始めたって教えてくれたと思ったら集合地獄は姿を消していた。どうして僕がウルトラマンだって気づけたのか、虹の神がどういう存在なのか、厭離穢土ってなんなんだとか色々聞きたかったんだけど……。
「あの大蛇、僕が!!」
「だめだぞ。リク、アイツの言うことが本当なら虹の神とやらに太刀打ち出来るのはお前だけだ。その力は温存しておきなさい」
闇夜に隠れて襲い出す、姫を狙い城を守る人たちの心に恐怖を植え付ける。そんな計画を建てて動き出すはずだったパライソだったけど様子が違った。大蛇が暴れ出したと思ったら、すぐに屍山血河の舞台を作り出した。
インフェルノの炎の骸とは違い、パライソが作り出したのは骸の蛇。腐肉のついた人の頭が密集して蛇の形をしたそれと、彼女自身が召喚した八ツ首の蛇。あの蛇がなんなのか、流石の僕でもわかる、あれは"八岐大蛇"だ。
土気城と同じサイズの大蛇に骸の蛇。流石に僕もジードに変身して迎えうとうとしたけど、それはニキチッチさんに止められてしまった。
「かわりに、オレを信じろ。その令呪を存分に使え」
「勝てるんですか……あれに」
「できるぞ。三ツ首も八ツ首もたいして変わらん、このニキチッチを信じなさい!!」
「ーーーーわかった。信じるよ!」
そうして右手に刻まれた令呪に想いを込める。八岐大蛇を召喚したのはパライソだ、なら召喚した彼女を止めることが出来れば自ずと消えるはず。立香たちもパライソを倒す為に動いている……なら。
「"令呪をもって命ずる!みんなの道を!明日を!切り開け!!」
「ふっ、心得た!ゆくぞ三頭竜!!」
アサシン・パライソ、真名は高名なくの一"望月千代女"。小太郎と協力して清姫が犠牲になることを防いで退けた。そうして追い詰めたパライソのことを武蔵ちゃんが斬って終わると思ったのに。
『《font:》違う、チガウチガウチガウ!!わたしじゃない!わたしじゃない!!《/font》』
暴走。インフェルノが炎になった時のように自我を完全に無くしたパライソは屍山血河の舞台を作り、宝具で八岐大蛇その分霊を召喚した……だけどあれ宝具で限定的に召喚したヤツとはわけが違う。英霊剣豪の影響なのか、他の何かが影響してなのか圧倒的な巨体で私たちをこの城ごと蹂躙しようとしてきた。
「真なる約定、真なる誓い。目覚めよ、三頭竜。【
そんな時だった。城を背にするように現れたニキチッチさんが高らかに叫ぶと、三ツ首の竜が姿を現して八岐大蛇に向かって攻撃を始めた。
「立香ッ!!お前たちがパライソを叩け!!こいつはオレに任せなさい!!」
「ーーーー!!行くよ、小太郎!!」
「はい!主人殿!!」
ニキチッチさんは言ってた、「オレは出来ないことはできないというぞ」。だからできるって断言したならそれができるってことなんだ。なら私たちは信じて突き進むだけだ!パライソの呪にかかり妖蛇を操りこちらを攻撃してくるお姫様を掻い潜り、私たちは大蛇を回り込むように走り抜ける。
「はああああ!!!いくら再生しようが叩き潰すだけだ!!」
「グガアアアアアッッ!!」
まるで怪獣大決戦だ。ニキチッチさんが呼び出した竜が八岐大蛇に絡みつき首を噛みちぎり、他の首をニキチッチさんが
召喚したミツ首竜ってあれニキチッチさんが討伐したっていう竜だよね、そりゃああんな竜倒したんだから頭が何個もある相手には慣れてるよね。倒しても倒しても再生する頭をその都度潰して攻撃がこないようにしてる。
「ーーーー見つけた!」
「小太郎は武蔵ちゃんの道をつくって!私は一人でも助ける!」
「御意に!」
姿が見えないけどリクくんもきっと同じことをしてる。一人でも多く、せめて1人だけでも助けられるように城を駆け出した。大丈夫、武蔵ちゃんなら決めてくれる!!
「な……!?」
「構えるのが遅かったわね、今度こそ完全に捉えたわよ英霊剣豪。私の、勝ちよ」
アサシン・パライソが脇差しを構えるよりも疾く振り抜いた武蔵の一刀は、斬られた本人が理解出来ていないほどの一太刀だった。
小太郎の導きにより八岐大蛇のとぐろの中に潜んでいたパライソ。小太郎の放った苦無によって目を潰されながらも忍としての気配察知で武蔵が上段から刀を振り下ろそうとしているのはわかっていた。わかっていながら防げなかった。
(ああ、私は本当に幸せものだ)
斬り伏せたことに確信を持ちながら、武蔵はここまで導いてくれた立香たち、そんな彼女たちとの出合いに感謝していた。
(胤舜殿の時のようなまぐれでも、インフェルノの時の驕りもない。今回は完全に捉え、斬ることができた)
【”空”の頂】ーーーー"無二"を名乗り、至高の一手に辿り着いた父"新免無二斎"を超えた一手先へと至る剣。今こそがその剣に到れる最大最後の好機だと、武蔵は確信している。
常軌を逸した魔人たちとの戦い、一手も間違えられない極限の死合だからこそこれまでいくつも世界を迷い渡り歩いてきても辿り着けなかった極地へと手が届く。
(旅路をのせる……か。立香も、そしてリクくんも歩き続けているんだものね心強いったらないわ)
そして是迄の一人旅とは違う、隣に仲間がいる状況。一人ではないことがこうまで自分を変えるのかと、武蔵本人も驚いていた。だからこそもあって今だと。
「き、清姫さまああああああああ!」
「へ!?うそっ!!」
落ち着く暇もなく。パライソが消滅したことにより体内の呪が完全に解けた清姫は気を失った。肝心なのはその気を失った場所だ。妖蛇に乗りながら暴れ回っていたばかり、その妖蛇が消えてしまった清姫は高所から地面へ真っ逆さまに落下していってしまう。
「たあっ!!」
「リクくん!!」
「ほっ。えらいぞリク。ちょうどオレのところに飛んでくるとはな」
「やるじゃないのリクくん!!」
そんな彼女を救ったのはリクだった。人間離れした膂力を使い高く飛び落ち行く清姫のことをキャッチし、そんなリクのことをニキチッチがキャッチすることで怪我も無く無事に終わった。
(朝倉リク。彼だけが謎なのよね)
清姫救出の一部始終を見ながら、武蔵はずっと疑問に思っていたことに頭を回す。立香と武蔵は以前、新年が明けて初夢を見るかのように迷い込んだ立香が武蔵と出会う縁がこの下総まで続き今こうして一緒に戦っている。
(立香も彼のことを知らない。私も彼には会ったことがない……けど
なんの縁もなく現れた朝倉リク。自分たちよりも早くこの世界に迷い込んだ彼の素性を知っているものは誰もいない。それでもこれまでに間に信頼できる相手であることは理解している。している上でどうしても武蔵は自分の感じる不思議な感覚を疑い続けてしまう。
(
衆合地獄の動向
本来ならばパライソの呪をその血肉に流れる伊吹の神の力を注ぎ込むことで暴走させるような行動を取るが、パライソは虹の神の影響で既に暴走に近い状態だったやる必要がなかった。
自分がやりたかった面白いこと奪われた鬼が取る行動っていったらねえ……。
虹の神様の情報は少しずつ……少しずつ……。
ドラゴンライダーでドラゴンスレイヤーなニキチッチさん。しかもズメイが多頭竜だったため頭が多い敵との戦い方に慣れているというパライソ戦では相性最高だった。逸話が殆どこれ!っていう感じなのに強すぎないですかねえニキチッチさん?