【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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厭離穢土城の降臨。
キャスター・リンボの妖術により土気の町に生きる人々を公平な確率を持って化け物へと変わる地獄となった。企みを止めるため、立香たちは城に向かい最後の戦いを始めていた。

嵐は止まることを知らず、残されたのは下総でもこの地だけ……。






 

「かつて求めた究極の一刀。

 其は、肉を断ち骨を断ち命を絶つ鋼の刃にあらず。

 我が業みが求めるは怨恨の清算。

 縁を切り、定めを切り、業を切る。

 ──―即ち。宿業からの解放なり」

 

 刀を叩く槌音が響く。妖術師の宝具【島原地獄絵巻】かつての島原藩の圧政、乱での熾烈な籠城戦など、天草四郎が経験した島原の惨状が再現された固有結界。延々と燃え盛る野山から排出される炎熱を消化することはできない。このまま炎に焼かれ焼殺するかに思われた。

 

「……其処に至るは数多の研鑽。

 千の刀、万の刀を象かたちどり、築きに築いた刀塚。

 此処に辿るはあらゆる収斂。

 此処に示すはあらゆる宿願。

 此処に積もるはあらゆる非業──―

 我が人生の全ては、この一振りに至るために」

 

 たったの一振り。研鑽の研鑽を重ね、鍛えに鍛え続けた先に見えた究極の一振り。生前も、影法師になりながらも求め続けた果ての一刀。

 

「剣の鼓動、此処にあり──―!」

 

 この厭離穢土の城が、島原の地獄の再現が、怨恨によって積み上がった業の山なのだとしたら。究極の一刀は、その全てを断ち切る。

 

「受けやがれ、こいつがオレの、都牟刈、村正だぁ──―!!!!」

 

 厭離穢土を、地獄を、妖術師を、村正の一振りはその全てを斬り伏せた。ただこの一瞬ために、そのためだけに人理によって呼び出された村正の役目は終わった。

 

フハハハ!! まだ、まだ終わらんぞ!! 私の怨みはこんなものではない!! 

 

「負け惜しみを。貴様とニジカガチを結んでいたその腕輪も破壊された、これ以上貴様に何が出来る」

 

 小太郎の言う通り。ニジカガチを呼び覚まし、契約を交わした7色の腕輪は村正の一刀によって破壊された。それでも尚、自らの消滅が始まっていながらも妖術師は諦めていない。

 

虹蛇神は止まらない! この私の! 腕輪に吸収した七騎鏖殺を取り込みこの地球を漂白させる! ハハハ、ハーッハッハッハッハッ!! 

 

 妖術師は、勝ち誇ったように消滅した。奴の言う通り、破壊された腕輪から漏れ出た英霊剣豪七騎分の鏖殺が城を抜け、ニジカガチに溶け込んだ。

 

「儂も先に行くぞ。神ならぬ身で都牟刈を使ったんだ、お役御免だ」

 

 どうすればいいのか。それを考えようとした立香たちを前に村正が最後を告げる。宝具の代償として自身を形成するエーテルが崩壊する中で彼は告げる。

 

「それに、儂は今から寝坊助を叩き起こさなきゃいけんからな」

 

「寝坊助……?」

 

「あの神さんの心配はすんな。お前さんらやるべき事をやり遂げろ」

 

 立香にとって、ニジカガチはあのベリアルすら倒してみせた強敵で、そんな相手が鏖殺を取り込むことで更に強化されたというのに村正は心配するなと断言する。

 

「主役ってのは遅れてやってくる。()()()()()ってのはそういうもんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ”ここは……”

 

 僕────朝倉リクは気がつくと黒い雲に覆われた場所に立っていた。……そうか、僕はニジカガチに負けたんだ。

 ロイヤルメガマスターの力でも届かなかったなんて……。

 

『キングの力を使っても届かねぇ。惨めだな』

 

 ”父……さん、ベリアル! やっぱり、お前が僕をあの時代に飛ばしたのか! ”

 

 目の前にの突然現れたのは消滅したはずのベリアル。彼が僕のことを見下ろすように立っていた。僕を下総に、この時代に飛ばしたのはベリアルなのかって詰め寄っても、まるで反応はない。

 

『ウルトラマンなら、相手が神だろうが倒せるとでも思ったか?』

 

 ”違う! 僕はウルトラマンだから……グッ! ”

 

 戦わなくちゃいけない。そう反論しようとした僕の首を掴んで身体を持ち上げられた。抵抗しようにも力が強すぎて引き剥がせない。

 

『キングにケンに、光の国の奴らに認められていい気になってんじゃねえ』

 

 ”僕は、そんなこと……! ”

 

『光の国の奴らじゃねえ。出自の違う奴らに出会って、力を貸す立場に回って自分は他の奴らと変わらない、同じだ。そう思っただろ?』

 

 ”!! ”

 

 初めて光の国へ足を踏み入れた時、父さんの故郷であると同時に不安もあった。どんなに自分で受け入れたとしても、僕がベリアル(大罪人)の息子であることは変わらない。けれど彼らは僕を認めてくれた。ベリアルを倒した、キングに認められたウルトラマンだって。

 オーブさんやタイタスのような光の国出身じゃないウルトラマンにも出会って、特にタイタスは僕と同じような境遇を持っている戦士だったから彼に力を貸した時思ったんだ「僕も一人前のウルトラマンになった」って。けど、ベリアルはそれを否定してきた。

 

『忘れるな。お前は成り損ない、生まれながらでも選ばれたからでもねえ。どんなにこのオレの力を受け継いでいようが、お前はどこまでいっても()()()()()()()でしかない』

 

 "僕が……人でしかない? "

 

 驚いた。僕のことを自分の模造品と呼んでいたベリアルが、僕のことを"人間"として見ていることに。彼は僕の半分(ジード)しか見ていなくてもう半分、地球人の部分を見てくれるとは思いもしなかったから。

 

『道を踏み外さなかったのは何故だ? このオレを超えることが出来たのはジードだったからか? そんなことも忘れちまったんならあの嵐に全部流されちまえ!』

 

 "がっ!! まっ、父さん!! "

 

 まだ話したいことがあった。だけど、蹴り飛ばされて父さんの方を向くとそこに父さんの姿はもうなかった。…………僕が今、どうしてウルトラマンとして戦えているのか。

 

 

「ん、父親とはこうもわかりにくいか」

 

「親ってのは、何処も変わんねえみてえだな」

 

 ”ニキチッチさん、村正、さん……”

 

「立てるか? リク」

 

 ”ニキチッチ、さん……”

 

 ニキチッチさんと村正さんが、立っていた。衆合地獄との戦いがどうなったのか僕はわからないけど、その顔を見るに勝ったってことだよね。2人は僕のことを立ち上がらせて言葉をくれる。

 

「勝つ準備はできたぞ」

 

 ”勝つ準備”

 

「何も知らない相手、しかも神さまが相手だぞ? オレですら何も知らない状態でズメイには勝てない。知って勝つ、これが大事だ」

 

 知って、勝つ……。でも負けちゃいけない戦いだった。アイツをあのまま放置していたら人も動物も、植物だって消滅してしまう。

 

「刀を造るってのは失敗の連続だ。叩いて打って、自分の納得いかねえもんが出来たらまた鉄を打つ。ついぞ満足のいくもんは打てなかったがな」

 

 ”失敗していいなんて……人の命がかかってるんだ! そんなこと”

 

「阿呆。”していい”なんて儂は言ってねえぞ。失敗したってまた立ち上がりゃあいい。お前さんがソコに至ったのは、そうやってきたからじゃねえのか?」

 

 ”…………”

 

「儂らがあれこれいう必要もなかったな。行けリク」

 

 2人が指を指を指した先、その先には光が溢れていてそこに行けば目が覚める。…………迷いはない。光へと向かって進もうとすると2人が僕の背中に手を添えてくれる。

 

「言葉というのは軽い。言うだけでいい無責任な言の葉かもしれないがオレは言おう。お前は勝てるぞ!!」

 

 ”うん! ありがとうニキチッチさん! ”

 

「お前は彼奴等の兄貴なんだ。任せたぜ、リク」

 

 ”守って見せるよ、僕は2人のお兄ちゃんだから”

 

 2人に背中を押してもらいながら、光の中へと走っていく。そうだよ、僕はこの言葉や出会いがあったから…………。

 

 

 

 

「行ったか。たく、手間がかかんのはガキ2人で十分だったんだがな」

 

「そういう割には満足気な顔をしてるぞ?」

 

「知るか。役目を終えたってのにこんな所までこさせやがって……。儂は先に行くぞ」

 

「…………リク、朝倉リクか。────お前も、彼のように出会いに恵まれていると嬉しいのだがな”小さきヤースカヤ”」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にいちゃま……」

 

「だあ、だあ……」

 

 虹の腕輪が砕け、漏れ出た妖術師の怨念と七騎の英霊剣豪の鏖殺を取り込んだニジカガチは、白かった鎧が灰から黒へ……雲の先にある日輪の光すら取り込んでしまうほど淀みのない黒へと変化させ、狭まっていく台風の勢いも強大になっていく。

 

 生き残った人々、厭離穢土が降臨し化生へ変貌するかどうかすら完全に不規則な状況化、生き残った人達が集まっている中でおぬいと田助は駆け出し、光りに包まれていった兄の行く末を見守っていた。

 

「おおお!! 仏様だ! 仏様が降臨なさったぞ!」

 

「私たちの祈りが! 祈りが届いたんだ!!」

 

 世界の終わりが近づく中で、極限の光の中から現れた巨人を見上げ、人々は喜びの声を上げた。荒神として君臨したニジカガチではなく、自分たちを救ってくれる神への祈りが通じたのだと。

 

「俺は……何を……?」

 

「私は……何をしてたの?」

 

 巨人が放つ、極大の光。その神々しい光は善の心を最大まで引き上げられた浄化の力を持ち、厭離穢土の儀式によって変貌した人々が元の姿を取り戻すほど。

 まさに神の御業。荒神を止めるために神が降臨したのだと、誰もが思った。

 

「違う! ちがうちがうちがうよ!!」

 

「ああおぬいさん危ないですよ表に出てきちゃ! リクくんは大丈夫ですか?」

 

「仏さまじゃない! ジード! ウルトラマンジード!!」

 

「うる、とら、まん……?」

 

 声が、響いた。嵐が吹き荒れる中でも通る真っ直ぐな声が。リク本人から現れた巨人の名前を聞いていたおぬいが祈りを捧げる人たちに懇願する。

 

「お祈りじゃない! ()()()()って応援するの!! それが、ぬいたちにできるジードだから!! がんばれ──ー!! がんばれ────!! ウルトラマンジードォォォ!!」

 

 おぬいの声は確かに届いた。全身に広がる金のラインが声に呼応するように光を増し、同時に出現した巨大な棍棒を右手で持ち上げ腰に添えるように構えを取った。

 

ゴオオオオオオッッ!!! 

 

『いくぞ、これが最後の戦いだ』

 

 台風の目。赤い月が鏖殺の荒神と化したニジカガチを照らすこの世界で唯一残された地の最後の決戦が始まる。虹の荒神、ニジカガチと相対する戦士の名はジード。

 

 

 

 

 

 

 この世界が消滅するまでのタイムリミットは、四半刻足らず

 

 

 

 




 神を越えるには究極になるしかないってリュウケンドーが言ってた!!
 ギガでファイナルな棍棒を持っている究極の戦士なんて一体なにメイトファイナルなんだろう?



 人と旅をしたベリアルさんなら何を伝えるか? ジードとしては認めたが、彼らとの歩みで朝倉リクを見ることができるようになったのでは? そして何より本編が終わり、劇場版が終わり別宇宙で沢山の出会いを果たしたリクだからこそ持ちえた思いはあるんじゃないのか? という結果の会話?
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