【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
そんなこんなで今回もよろしくお願いします。
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引き込まれる……吸い込まれるっていうのかな? 小さい頃に掃除機で手とかお腹とかを吸って遊んでたあの感覚。
それを全身で感じるのも一瞬で、目を開くと周りに木や建造物のない平野に辿り着いてた。
「レイシフト、無事成功しました。 調子が悪くなったりはしていませんか先輩? 」
「うん、大丈夫だよマシュ。 ベリアルさんは…………あれ? 」
私とマシュは無事にレイシフトに成功した……んだと思うんだけど。 周りをどんなに見渡してもベリアルさんの姿が見えない。
もしかして……ベリアルさんだけレイシフトに失敗しちゃったとか?
『繋がった。 無事レイシフトは完了したみたいだねマシュ、立香ちゃん 』
「ど、ドクター!! た、大変です!! ベリアルさんが……ベリアルさんがいません!! 」
『え!? ええええええええええええええ!!!!!! 』
通信越しに絶叫が響いてくる……。
私たちがレイシフトできたことに安心したドクターの顔が一気に青ざめていく。
「む? 奇妙な声が聞こえると思ったら、こんな場所に女子2人で何をしている? 」
「!!! え、え〜と……あなたは……? 」
「うむ……? このローマの地で余の名を知らぬとは……。 だがいいだろう!! この余の名を、その胸に刻み込むがよい!!! 」
豪華な赤いドレスのようなものに身を包んだ私やマシュよりも小さな女性。
だけど、威厳というかカリスマっていうかそういうのがビシバシ感じるその人が両手を広げると、錯覚なのか薔薇が舞い広がったような光景が見えた。
「余こそがローマ帝国第5代皇帝、ネロ・クラウディウス・ カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスであ〜〜る!! 」
太陽を背にしながら女性──ネロは堂々とした名乗り、満面な笑みで私たちのことを見てきた。
────◇◆◇────
ドクン、ドクンと心臓の鼓動が聞こえてくる……。
宛もなく、闇の中を歩き続けていた私のことを導くようにその音の響く所へと歩いていく……。
『こ……こ……は……? 』
宇宙を漂う巨大な岩石の上に、瀕死でありながらもべリアルは息をしていた……。
プラズマスパークの聖なる一撃を受けながらも、べリアルは死んではいなかったんだ。
べリアルを乗せたその岩石が、要所要所にエメラルドグリーンの輝くを放っている星に不時着した。
『ウルトラマンべリアル……。 あの憎っくきレイブラッド星人の力を受け継ぐもの……。 いいでしょう、このヤプールの支配下に置いてやろう!! 』
流れ着いた星にいたのは、異次元超人のヤプールだった。 お前何回復活してるんだって言いたくなるヤプールは、また宇宙を侵略しようと企んでいた。
ヤプールが言うには、この宇宙はM87星雲の存在しない宇宙『アナザースペース』っていうことがわかった。
ヤプールはベリアルを支配下に置くために、蛾超獣のドラゴリーを差し向けてきた。
ドラゴリーは自慢の火炎とミサイルを放ちながらベリアルに迫ってくる。
『テメーごときに……やられる、かよっ!! 』
傷ついた身体でありながら、ベリアルは迫ってくる火炎とミサイルを両手で切り裂き、ドラゴリーと組み合った。
ドラゴリーは巨大魚怪獣ムルチをバラバラに引き裂いてしまうほどの怪力の持ち主だというのに、ベリアルは一歩も引かずに逆にドラゴリーのことを殴り飛ばした。
『いやはや恐ろしい……。その身体でよく動ける……ならば、ダークゴーネ!! 』
『はっ!! 』
ドラゴリーを倒したベリアルの前に現れたのは……私も知らない宇宙人だった。
ダークゴーネは、手を自在に変化させることができるらしく、その手を鋭い剣に変えベリアルに斬りかかってくる。
『ちっ! はあっ!! 』
『甘いですね 』
『なにっ!? グアアアッ!!! 』
手を変化させる能力だけじゃない!! ダークゴーネはベリアルの影の中へとその身体を隠し、その隙をついてベリアルのことを拘束した。
手を触手のように伸ばしてベリアルを拘束したダークゴーネは更にエネルギーまでも吸収してくる。
『ほお……やるじゃあ……ねえか。 テメーほどの力がありながら、なんであんな小物に従ってんだよ 』
『なに? 私は強い者の下につく。 ヤプールが私よりも強者だっただけのこと…… 』
『はっ、だせええなっ!!! 』
『ぐあっ!!! 』
『っ!! まずい!! 超獣たち、そしてザウラー貴様も行けっ!! 』
ボロボロになってもまだ、まだ立ち上がってその力を振るうベリアル。
ダークゴーネの拘束から逃れたベリアルにトドメを刺さんと、ヤプールは大量の超獣を差し向けてきた。
攻撃を受けて倒れたダークゴーネを倒さずに一瞥する。
『はあ……はあ……そこで見てろ。 本当に
光線技も超能力も使えない、頼れるのは己の肉体だけだと言うのに、ベリアルは諦めることなく、挫けることなく向かって行った……
────◇◆◇────
ドクターたちが大急ぎで調べたところべリアルさんのレイシフトは一応成功はしてるらしい。
だけど、機械の調子が悪かったのかどうかはわからないけどべリアルさんだけが別の場所に転送されてしまったらしい。
らしいっていうのは、オルレアンと同じでべリアルさんの正確な居場所がわからないからこのローマの地にいるってことしかわからないかららしい。
「うむ! 先の戦い見事だったっ! 褒美をとらせることができないのが残念なほどになっ!! 」
ネロに付き従う軍勢を見て、確かにこの人はこの時代のローマを治めている皇帝その人なんだって理解できた。
首都ローマに向かってることを伝えると「一緒に着いてくるがよい!! 」って言ってくれたから便乗させてもらうことにした。
道すがら、ローマ兵に似た……ていうかまるっきり同じ鎧を着た軍勢が襲いかかってきて、私とマシュも一緒に応戦した。
どうして同じ軍同士が戦わなくちゃいけないのかネロに聞いてみると、ネロたちは今『連合ローマ帝国』って名乗る相手と戦っているみたい。
その連合は“皇帝”と自ら名乗る人たちが指揮しているらしく、その誰もが人間離れした力を持っている。
それだけでその皇帝たちが聖杯によって呼び出されたサーヴァントだってことが確定したし、この特異点の原因だってことがわかった。
『敵の皇帝の側に仕えているという魔術師……レフ教授。 いや、レフ・ライノールである可能性が高いだろう 』
「レフ・ライノール。 彼は所長の命も、たくさんの犠牲者を出した元凶です。 許すことはできません 」
「……ネロ。 私たちも一緒に戦わせてもらうことってできるかな? 」
特異点の修正、そしてレフ・ライノールを倒すこと。 そのためにも立ちはだかる皇帝たちを倒さなければいけない。
だから、私たちはネロと協力して連合ローマ軍と戦うことに決めたんだ。
レフ・ライノール……あなただけは、絶対に許さない!!!
聖杯を使って連合ローマ帝国を作り出したのは、レフかも知れないって情報が掴めた。
聖杯を求める私たちとネロの利害は一致しているから、ネロの帝国軍の客将として戦うことにした。
レフ……所長やみんなの仇……絶対とってやる!!
「「英霊! カプセルナビ!! 」」
「よっし!! ようやく石が溜まったから回してくよ〜それ!! 」
「ネロ・クラウディウスさん。 第5代ローマ帝国皇帝にして生涯を謀略と毒とに彩られた悪名高き暴君だと伝えられていますが……まさか女性だったなんて 」
「現実では男性として伝わってるけど、本当は女性だったってことだもんね。 特異点Fで戦ったアーサー王もそれだったし、結構そういう人って多いいのかな? 」
「どうなんでしょう? それを楽しみにするのもいいかも知れませんね! 」
「それじゃあ今回はこのへんで!! ばいば〜い!! 」
「次回もよろしくお願いします!! 」