【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
理由は察してくれると助かりますが、まあ遅れました。
感想、評価お待ちしてます。
誤字脱字、ご指摘ございましたらお願いします。
「ほへ~~ 」
「ちょっと何やってんのよ!! そんな所に落ちるとかあり得ませんからね? 」
地面を大きく抉って出来たクレーターを覗き込みながら変な声を出してたらジャンヌオルタに注意された。
ガリアの山の消滅。 その異常事態を調査するために、私たちはこうしてガリアの地を訪れていた。
召喚サークルを確立させて、カルデアから喚んだ2人のサーヴァント──ジャンヌオルタとマリーさん。 マリーさんの馬車を使えば、移動時間を大幅に削れるから私たちだけでガリアに赴くことになった。
ガリアを取り戻すために近くで設置されていた野営地で指揮をとっていたでブーティカさん、呂布の2人のサーヴァントに案内してもらいながら見て回ってる最中なんだけど……
「先輩、次は消滅した山の方へ行きましょう 」
「うん、わかっ……たあああああああ!!! 」
落ちた!! 落ちてく!! やばい、身を守らなきゃ!!
クレーターのギリギリで見てたから足場が崩れたんだ!!
「イッタタタ…… 」
「先輩っ!! 大丈夫ですか!! 」
「大丈夫!! んっ、なにこれ? 」
魔術礼装のお蔭でそこまでのダメージはなかったぽい。
マシュの言葉に答えながら立ち上がろうとすると、土の感触とは違うものを手で感じ取った。
「カプセルかなにかかな? 何も書いてないからわかんないやってわあっ!! 」
拾ったカプセルみたいなのが勝手に手を離れて飛んでっちゃった!!
飛んでいくカプセルを目で追っていくと、そのカプセルは一人の男の人の手に収まった。
「べリアルさんっ!? 」
「まさか、アイツからも作られているとはな…… 」
カプセルを手に取ったのは、レイシフトの失敗で何処かに行っていたべリアルさんだった。
けど、それ以上に驚いたのはその風貌。
魔術礼装のいたるところに剣かなにかでつけられた傷が出来てて、血が流れたのか赤黒く染まっている。
そんな中でも一際目が行ったのはカプセルを握りしめた右手。
何が起きたらそうなるのかわかんないけど、べリアルさんの右手は痛々しく、炭のように真っ黒になっていた。
あれ? 何でだろう……。 胸の動悸が、ドクン、ドクンて大きく鳴って止まらない……。
「──ぱいっ、先輩!! 」
「っ!! マシュ、どうしたの? 」
「呼び掛けても応答がなかったので……大丈夫ですか? 」
「ああううんっ!! なんでもない、なんでもないよっ!! 」
────◇◆◇────
エメラル鉱石──この宇宙、アナザースペースで使われるエネルギー物質。
ヤプールはそのエメラル鉱石を動力源として、エースロボット増産計画を企んでいた。
その計画を乗っ取ったべリアルは、機械に自分の記憶を読み込ませ、数々のウルトラ戦士のデータを学習した、ゼロに姿を似せた『ダークロプスゼロ』を造り出すことで、数々の惑星を侵略していった。
そうしてダークロプスを大量生産したべリアルの軍は、星の全てがエメラル鉱石で構成された『惑星エスメラルダ』の侵略を開始した。
ベリアルの闇──ギガバトルナイザーを失った代わりにベリアルが手に入れた力。 レイオニクスの操る力を自身の爪から対象に流し込むことで配下にすることの出来る凶悪な技。
べリアルはその力を使い、エスメラルダを最後まで守ろうとした鏡の戦士『ミラーナイト』にウイルスを注入した。 しかし、ミラーナイトは操られる自分自身のことを恥じ鏡の国に自分を封印させた。
ミラーナイトを失ったエスメラルダはベリアル軍に完全に侵略され、元々鉱石採掘用だったロボットを“レギオノイド”という戦闘用ロボに改造し各惑星の侵略を早めていった。
そうして集めたエメラル鉱石を使い、星をまるごと掴むような手の形をした要塞を構えることで“ベリアル銀河帝国”は完成した。
自分の名も『カイザーベリアル』に変えて……。
でも……一つだけ不可解な点がある。
どうしてべリアルは、エスメラルダの国民たちを放っておくんだ?
ミラーナイトが最後の力を振り絞り、鏡のバリアで全国民を守ったとしても、それは一時的なものだ。 べリアルの力なら簡単に崩せる。 それなのにどうして?
『陛下、あの者たちはいかがなさいますでしょうか? 』
『捨て置け。 アイツらにもう反抗する力は残されていない 』
────◇◆◇────
「はあっ、はあっ、はあっ!! 」
どこ? どこ? どこにいるの、べリアルさんっ!!
『うむ、気に入った!! そなたも余の将の一人として励むがよい!! 』
『笑わせるな。 オレは他者の下に就く気はない。 特にお前のような王の下にはな 』
ネロと対面したべリアルさんは、そう言ってローマの街へ消えていってしまった。
「べリアルさんっ、べリアルさんっ、べリアルさんっ!! 」
ガシッ! と、ローマの街を走り続ける私の手が強く握られた。
「べリアルさんっ!? 」
「はあ~? この私のことを間違えるなんて、いい度胸ねマスター 」
「ジャンヌ……オルタ 」
(冷たい。 顔からは馬鹿みたいに汗を垂らしてるってのに……。あの時私の手を握ったものとはまるで別物ね )
私の手を握って離してくれないジャンヌオルタは、何を考えてるのか私のことをじっと見つめてる。
「丁度いいや!! ジャンヌオルタもべリアルさんのこと探すの手伝って!! 」
「はあ~~? なんで私が逃げ出したあの男のことを探さなくちゃいけないんですか? そもそも、あの男が戦わないと言ったんです、探してどうこうできる問題でもないでしょうに……。 それよりも…… 」
ジャンヌオルタの目付きがグッと強くなって、私ののことを……私の目を見てる?
「汚れた瞳ね。 助けを求め、恐怖を抱いてる卑しく穢い瞳。 何? アンタはアイツがいないと負けるとでも思ってるのかしら? 」
そう言われて、胸がドキッと音をたてる。それが図星だって……わかってるから。
逃げたいと思っても、ジャンヌオルタの握った手は振りほどけない。
「…………だって、だって仕方ないじゃん!! ジャンヌオルタだって見たでしょう!? ガリアのあの惨状を!! 」
振りほどけないから、胸の中だけに留めていた弱音が爆発する。
「この先、あれだけの力をもった敵が出てくるかも知れない、べリアルさんにあれだけの傷を作った相手が。 そんな相手、私たちだけで勝てるわけないじゃん!! 」
言った、言ってしまった。マシュやドクターたちの前では絶対に言わないように
「…………はあ~ 」
俯いていると、ジャンヌオルタが大きなため息を吐いたのが聞こえた。
顔を上げてみると、至極呆れた顔で私のことを見ていた。
「ば~っかじゃないの? 」
「んぐっ!! ひゃんぬおうた? 」
「いいですかマスター。 私の願いはあの男を、べリアルを越えることです。その為にも、相手が誰だろうと負ける気はありません 」
私の頬を摘まみながら、燃えるような瞳でそう言う。
「あの男が傷を作るほどの強敵? はっ、願ってもないことね!! だったら私は無傷で倒してやろうじゃないの!! 仕方がないから、この私がアンタに勝利をもたらしてあげようじゃない!! 」
「…………にひひっ 」
何だろう、自然と笑顔が込み上げてくる。 今まで張り詰めていたものが解けて、いつも通り
「ありがとうジャンヌオルタ。 私のこと、励ましてくれて 」
「は、はあ〜? とうとう頭までイカれたんですか。 だ、だれがアンタなんかを励ますもんですか!! 」
「ん〜、じゃあそういうことにしとくね!! 」
「そういうことってどういう事ですかマスター!! 待ちなさいマスター!! 」
「…………なんのようだ。 マリー・アントワネット 」
「ふふふ、ベリアル。 少し、時間を頂いてもよろしいかしら? 」
今回の話は、ベリアルさんがいる事で逸般人に慣れていない、一般人に毛が数本しか生えた程度の立香ちゃんの勘違いから始まった心情。
ベリアルさんの手が黒焦げだったのは、本来ならまだ身体が馴染んでいないため使えない力を使ったため、その弊害として手が焼け焦げてしまった。
その怪我のこともあって、山を消滅させたのも、クレーターを作り出したのも敵サーヴァントだという勘違いを起こす。
ベリアルの強さに信じきっていた所もあり、心の弱い部分が露見してしまった。
【何故呼び出したサーヴァントが2基だけなのか】
これは、セプテム終了後のベリアルレポートでも伝えますが、カルデアの魔力供給をフルで活用出来るサーヴァントの数が3基が限界という独自設定。
&立香ちゃんが指示を出せるのも3基が限界(セプテムではマシュにしかまともに指示できていない)
もし召喚されたサーヴァントがやられてしまった時すぐに駆けつけることが出来るよう、カルデアにいるサーヴァントたちが控えている。(ここの設定が使われることはまずない)
ゲームで前線に出れるのは3基までなのでそこを考えた結果。
最初に出てきたカプセルは、起動前の無地だ考えてもらえれば……