【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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そういえば、ウルトラアーツでベリアルが出ることが決定しましたね。
プレバン限定特典でいい……頭部、手差し替えパーツとベリアルマントも付けて下さい。


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「〜〜〜〜♪ 」

 

女神の歌声が波風とともに船を包む。誤解が解け、同行することになった女神の神格を持ったサーヴァント エウリュアレの歌声を聴きながら一行は航海を続けていた。

行く宛がないと言うよりは、今はただ進むしかないと言ったところだろうか。

 

「べ り あ る 」

 

「────なんのようだ 」

 

「あ す て り お す。 ぼ く の な ま え、 あ す て り お す 」

エウリュアレの歌に心を落ち着かせ、戦いの傷の治療として全身に包帯を巻いているアステリオス。

そのアステリオスは、先の見えない遠くの海の先の先を見つめていたベリアルに話しかけた。 話しかけられたベリアルは、アステリオスが既に知っている名前を教えて来たのは、あの迷宮内で『名を名乗れ』と言った答えを今になって返しに来たと思ったのか、小さく笑った。

 

「オレはキサマのその傷を作った張本人だぞ。 そのオレが恐ろしくないのか 」

 

「う ん、ぼ く は、ベ リ ア ル の こ と、こ わ く、な い。 な ん、で か わ か ら な い、け ど、こ わ く、な い 」

 

「────そうか 」

 

アステリオスの言う言葉には嘘も蔑みも、貶すような言葉も何も含まれていない。

ベリアルはアステリオスの言葉を簡単に返すと、また遠くの海へと視線を移した。普段であれば誰も近づかせたりせず1人でいることの多いベリアルは、隣に腰掛けたアステリオスのことを拒まず、しばらく海を眺めるとその瞳を閉じた。

 

 

────◇◆◇────

 

また、この記憶か……。

宮原博樹の記憶の断片……、何が条件でこれを見せられる……。

 

 

『はっ、はっ、はっ! 』

 

男が──宮原博樹が息を切らして走っている。

病院内の一室の前に着いた宮原博樹は、心を落ち着かせようと深呼吸をしているが、心臓の鼓動が落ち着くことは知らず、何の意味もなしていない。

壁にかけられている名前には『宮原千愛』────そうか、コイツの妻の名か……

表面上ではあるが落ち着かせた宮原博樹が扉を開けた先には、横になっている女。そしてその傍には小さな赤子が抱えられていた。

 

『女の子ですよ 』

 

女と赤子を見て放心した宮原博樹に向かって看護師とかいう職の女が声をかける。

言葉をかけられ、ようやく実感というものが湧いたのか、宮原博樹は言葉を発するに至る。

 

『……()の、子供か…… 』

 

『ふふふ、ヒロくん僕って言ってるわよ 』

 

妻にからかわれながら、赤子を抱くように促される。 訳もわからず動揺しながらも抱き上げた赤子は、脆かった。

少しでも力を入れれば簡単に潰せる命。 守られることが当たり前だと安心しきったその寝顔を見て、オレは湧き上がるその感情が何なのか理解出来なかった。

気づくと、宮原博樹はそんな赤子を見て涙を流し始めている。 この赤子に他を傷つける力があると言うのか? 力を使った痕跡なぞ無かった筈だが……

 

『なんて、言えばいいんだろうな……。 は、はじめまして? パパ? お父さんだぞ? 』

 

『ヒロくん、名前考えてくれた? 』

 

『…………ああ。 千愛の愛って字をとって“(まな)”。 誰からも愛されて、その分だけみんなに愛を振りまける。そんな子に育って……ってなんだよその顔は 』

 

『だって……ヒロくんが余りにまともな名前を言うものだから。 てっきりウルトラマンに出てくる女の人の名前からとってくるものだとばかり思ってたから 』

 

女が笑うと、それに釣られるようにして宮原博樹も笑い始めた。 抱かれている赤子も眠りながらもそれが伝わったのか笑みを浮かべ始めた。

名前……名前か、確かアイツにも大層な意味が込められて名が与えられていたな……

 

運命を引っ繰り返す……ジード……このオレの息子────

 

────◇◆◇────

 

「ほんぎゃああああ!!! 」

 

「だ、大丈夫だったマシュ!? 」

 

「はっ、はい。 未だ鳥肌は止まりませんが、ベリアルさんが助けてくれました 」

 

私たちがエウリュアレの綺麗な歌声で癒されてた所にその男は突如として現れた。

黒ひげ、エドワード・ティーチ。相手の狙いはエウリュアレみたいで、守らなくちゃいけないんだろうけど……

喋り方とか表情とか、もう全部が気持ち悪すぎてドレイクさん達すら放心してる中で動けたのがベリアルさんとアステリオス。

 

「ちょっとちょっと!! 何するでござるかそこのおっさん!! イケおじ属性とか先生と拙者だけで充分間に合ってます〜〜 」

 

「ねえ、コイツやっぱり落としちゃっていい? 」

 

「駄目よメアリー。 こんな気色悪い男でもこの船の船長なんですから 」

 

ベリアルさんが放った光弾。 それをギリギリで避けた黒ひげがこっちの船に侵入してこうとしてくる。

エウリュアレだけじゃない、相手はドレイクさんの持つ聖杯も頂こうとしてるんだ!!

そんな中で、まるで弾丸のようにこちらの船に降り立った一体のサーヴァントが襲いかかってきた。

 

「…………コロス、ウオオオオオ!!!! 」

 

「────し ね!! 」

 

敵サーヴァントの真名は“エイリーク・ブラッドアクス” ヴァイキングの王と呼ばれるそのサーヴァントがエウリュアレを狙って斧を振り下ろしてくる。

けど、エウリュアレのことを絶対に守ろうとしてくる仲間がこっちにはいるんだ!!

エウリュアレの盾のように振るわれたおのを止めたアステリオスだったけど、ベリアルさんとの戦闘で負った怪我が痛むのか辛そうに顔をしかめてる。

 

そんなアステリオスとエイリークとの間に割って入っていったのはベリアルさんだった。

ベリアルさんはエイリークの顔を鷲掴みにすると、船に傷がつかないように気をつけてくれたのか、宙に放り投げて黒き鋼を使って相手の船に殴り返しちゃった。

 

「お前はそこの駄女神を守ることだけ集中していろ 」

 

「ベ リ ア ル……。 う、ん!! わ かっ た!! 」

 

「ちょっと!! 前も言ったけどこの私が駄女神っていうのはどう言うことよ!! 」

 

エウリュアレがベリアルさんの呼び方に抗議してるけど、聞く耳持たない様子でベリアルさんは私の方を向いてる。

 

「へっ? ベリアルさん私の顔に何かついてます? 」

 

ますたあ(安珍様)への不貞は、この私が許しませんよ 」

 

「マシュ・キリエライト。 そこの槍使いの相手はお前たちがしろ 」

 

「──っ!! いつの間に!! マスターは下がっていてください!! 」

 

「っ! 手取り早くマスターを始末しようと思ったんだけどねえ。 まさか気づかれちまうとは思わなかったぜ 」

 

いつから私の背後に立ってたのか分かんないけど、清姫が接近していた敵のランサーを迎撃してくれた。

ベリアルさんも最初から気づいていたのか、マシュに指示を出すと黒ひげたちのいる船に飛び移っていった。

 

 

 

 

「ウ……ウウウウウウ…… 」

 

「ちょっと何やってるでござるか〜 」

 

「霊基が殆ど消えかけていますわ。 これだけの威力をあの一瞬で……? 」

 

「──っ!! 来るよ!! アンっ! 船長!! 」

 

ベリアルに殴り飛ばされ船に戻ってきたエイリーク。 そのエイリークの事を下敷きにする形でベリアルは黒ひげたちの船に降り立った。

今のでエイリークの霊基は耐えきれなくなったらしく、エイリークが消滅すると、船員たちが侵入者であるベリアルに向けて銃口を向ける。

 

「撃ってみろ。 それでこのオレを殺せる自身があるならな 」

 

「随分と……自信がおありですことっ!! 」

 

1番に撃ち出したのは、サーヴァントの一人 アン・ボニー。 マスケット銃から発砲音が鳴り響いたのを皮切りに、他の船員たちも発砲を開始した。

それを見てベリアルは焦るでもなく……笑って見せた……。

 

「──っ!! 野郎ども!! 伏せやがれっ!! 」

 

「っ!! 銃弾を弾き返したっ!? 」

 

黒ひげが怒号を上げるが、もう遅かった。ベリアルが黒き鋼を横一閃に振るうと、弾き返された弾丸がそのまま船員たちを襲った。

かろうじて反応出来たアンですら銃弾が顔を掠め血を流している。

 

それでも曲がりなりにもサーヴァント。 身体を転倒させながら魔力で銃弾を補充させると、直ぐに次の弾を撃ち出した。

1発では防がれたからこそ、次は散弾で。 何発も、何発も

 

「こちらに気を引かせ、死角からの攻撃かっ!! 甘いっ!! 」

 

「ぐあっ!! 」

 

「メアリーっ!! 」

 

死角からベリアルの首を斬り落とそうと接近していたアン・ボニーと同じく召喚されたメアリー・リード。

2人の連携もベリアルの前では無意味に等しく、メアリーの持つシミターを指2本で止めるとその小柄な身体を容赦なくアン目掛けて蹴り飛ばす。

 

あらかた片付くと、ベリアルは黒き鋼をしまい込み。 いつ拾ったのかも分からない銃を構えて振り向いた。

 

「このオレの頭に銃を突き付けるとは……幾分やるようだなあ 」

 

「うぷぷ〜、無双系主人公とか今時流行りませんので〜。 ──まあ人さまの船でこれだけやられてはいそうですかって納得できるほど、俺さまは甘くねえよ 」

 

パアンッ!! と自分に銃が向けられていると言うのに、黒ひげは躊躇なく銃の引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーおー、こいつぁ派手にやられたもんだな 」

 

黒ひげとは別に、ドレイクたちの船に単身突っ込んてきた無精髭のランサー“ヘクトール”は宝具によって造られ、少しずつ消えかかっている船の惨状を見て軽口を叩いていた。

 

「まあ、心臓を止められて消えかかってるアンタらに言っても意味ねえか 」

 

ヘクトールは苦笑いをしながらそういうと、黒ひげの手からこぼれ落ちたように転がる聖杯をその手に掴んだ。

 

「どんなに強くても、この船長が聖杯の持ち主だったってことには気づけなかったみたいだな。 あばよ船長、あんがいアンタとの船旅は悪くなかったぜ 」

 

そう言って、小さな船で何処かへと消えていった。

 

 

 




妻、娘の名前、そして普段は出さないようにしているが本来の一人称は僕な宮原博樹。

アステリオスがベリアルさんのことをこわくないと言ったのはベリアルさんの中にあるレイオニクスと、アステリオスの中にある獣の部分が反応した為。

正直、黒ひげの処遇はどうすればいいのかが一番の悩みどころだった。
普通に倒してもいいけどアイツ聖杯持ってるから倒して聖杯回収しちゃったらオケアノス速攻終わっちゃうしで……

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