【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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ウルトラ大戦争──エンペラ星人が光の国に怪獣軍団と共に攻めてきたウルトラの歴史において語られる大きな戦争の1つ。

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あの気色悪い海賊、黒ひげの事をベリアルさんが倒してくれたらしく、海域から離れた私たちは、辿り着いた島で食料調達をしている。

ドレイクさんが言うには船が勝手に動き出したっていうけど気のせいだよね。

 

ますたぁ(安珍さま)、こちらなどどうでしょうか? 」

 

「清姫、それ毒キノコ。 毒が無くてもなんか嫌な予感するから捨ててね? 」

 

今私は清姫と2人っきりで島の中を探索しながら食料になるものを集めているんだけど……さっきから清姫が見つけてくるのは変なものばかりで困ってる。

 

清姫──私のことをとても慕ってくれるいい娘だけど……その目は私のことを見てくれてない。

何故だかわからないけど、生前一目惚れした安珍さまっていう人の生まれ変わりが私なんだって信じて止まなくって、だから私のことを呼ぶ時も安珍さまって呼んでくる。

 

「? いかかがなさいましたか安珍さま? 」

 

カルデアのデータベースで事前に調べたし、マシュから話も聞いたから清姫が生前どんな娘だったのかは大体は知ってる。

知ってるから……私のことを安珍さまだって慕ってくれる勘違いも、人理修復が終わるまでの短い時間ぐらいは……て思わなくもない。

 

「ねえ清姫 」

 

けど、それじゃダメなんだ。 マシュが私のことを先輩として慕ってくれるように、人類最後の希望とかそんなの関係なく私は私だって、藤丸立香って呼んでくれるベリアルさんがいるから、私は清姫に、立香ってちゃんと名前で呼んでほしい、見てほしい。

 

「そう言えばさ、ちゃんと私の方から自己紹介ってしてなかったよね 」

 

「ええ、ですがご安心下さい。 私はあなた様(安珍さま)の事なら既にご存知ですので 」

 

「────私の名前は立香、藤丸立香。 ごめんね清姫、私は安珍さまじゃないんだ 」

 

言った、言ってやった。 ドクターからサーヴァントがマスターを殺したっていう事例もあるって聞いていたから、良好な関係を築くようにって言われてたのに、私は自分からその良好な関係を壊しにいった。

 

「ふふふわかっていますわ。 あなた様は安珍さまの生まれ変わり、ですから私にとって 「違う!! 」 」

 

「生まれ変わりだとか、安珍さまだとか関係ない!! 私は私として、藤丸立香っていう一人の人間として清姫に名前を呼んでもらいたい、見てもらいたいの 」

 

そうは言ったけど、そこから先の言葉が思い浮かばなかった私は、逃げるように来た道を走って戻った。 正直言って後悔してるし、言わなきゃ良かったって思うけど……こうしなきゃ前に進めない、ただゲームみたいにストーリーを終わらせてクリアするんじゃないんだから……。

 

 

 

────◇◆◇────

 

あれから数百年の時が流れた。地球人の私からすればそれは味わうことすらない長い時間だったが、うん万年も生きるウルトラ一族からすればたった一瞬の出来事だったのかもしれない。

 

今まで平和な時を過ごしてきた光の国が、炎によって包み込まれた。

 

建物は崩れ落ち、戦えない人々は怯えながら一刻も速くと逃げ、無力な子供たちは泣くことしか出来ない……。

 

その中心で恐怖の感情を美酒にして笑っているのは、闇そのものを具現化したような絶対の存在”エンペラ星人”

 

これは、この光景はウルトラ一族が宇宙警備隊を結成することになった戦争“ウルトラ大戦争”が始まったんだ。

 

 

 

『はあ……はあ……はあ……人の国を、勝手に荒らしてんじゃねええ!! 』

 

 

みんなが恐怖に呑まれる中で、べリアルは一人で戦い続けていた。

 

倒して、倒して、倒し続けた。

仲間であるウルトラ一族が倒れてしまってもその腕を、足を止めることなく、迫ってくる怪獣たちを倒し続けた。

 

攻めてきた怪獣や星人、立ち向かいながらも倒れていってしまったウルトラ一族で一つの山ができ始めたころ、ようやく迫ってきた敵を全て倒したらしいべリアルは、疲労からその場に倒れ付してしまう。

 

(まだ……終わってねえのに……身体が思うように動かねえ……。 守らなきゃいけねえってのに……オレの国を…… )

 

立ち上がろうと力を入れようにも、一人で数百の敵を倒したべリアルの身体は既に限界を迎えていた……。

 

そんなべリアルを囲うように、新たに現れた怪獣、星人たち。

 

『ようやく見つけたぞ……父の仇である貴様を!! 』

 

『よくも俺の親友を殺しやがったな!! 』

 

(コイツら……は…… )

 

べリアルは覚えていない。けど、一緒に数百年の時を見てきた私はすぐに分かった。 今ここにいるのは、べリアルに家族や大切な存在を殺されてしまった者たちだ……。

 

そんな者たちがべリアルに復讐するために、この戦争に参加し機会を伺っていたんだ。

 

『ああ……そうか……そういう……ことか……。 は、ははは……ハハハハハハハ!!!』

 

『へっ、死ぬ間際で頭が可笑しくなっちまったか! やるぞ!! 』

 

『ジェア゛ッッ!!! 』

 

突如笑い声を上げ、フラフラになりながらも立ち上がったべリアルは、復讐者たちの思い思いの必殺技を前に、手を思いきり振るうだけで弾き飛ばして見せた。

 

『ヒィィッ!! ば、ばかなっ!! 貴様はもう動けがぼおっ!! 』

 

 

復讐者たちのリーダー格だった星人は、べリアルの接近に反応することすら出来ず、胸の貫かれて絶命した。

 

死体となったその身体を投げ捨てながら、べリアルは何かを悟ったような、そんな顔をしている。

 

『やっぱりそうじゃねえかケン。 餓鬼だろうが何だろうが、悪は種ごと潰さねえと……平和は訪れねえ!!! 』

 

限界は越えている。だというのに、べリアルは暴れることを止めない。

 

私には、平和だった光の国を燃やすこの炎が、今のべリアルの心を表しているようにしか……見えなかった。

 

 

 

────◇◆◇────

 

 

「あの……先輩…… 」

 

「どうしたのマシュ? 」

 

「清姫さんと……その、何かあったのでしょうか? 」

 

あの話の後、これから向かい打つであろう敵との交戦を考えた私たちは、竜の鱗を素材にしてこっちの船を補強した。

その間、清姫が近寄ってこなかったことに申し訳なさと、清姫なら関係なく近寄ってくると思ってたから逆に不気味っていうかなんていうか……

 

その事はマシュにもわかってしまうほどだけど、別れることなく着いてきてくれるから、清姫から寄ってきてくれることを待つことにした。

 

「大丈夫……うん、大丈夫だよ 」

 

「知らない旗だね~。 アンタらアイツらのこと知ってるかい? 」

 

「うんにゃ知らねえなあ。 ギリシャっぽい船の身なりしてるけどな 」

 

「う~ん、誰かから聞いたことある気がするけど忘れちゃった  」

 

改修した船に乗って進んでいくと、対面からドレイクさんも、さっきの島で仲間に加わってくれた女神さまと熊のぬいぐるみ……オリオンとアルテミスも知らない船が姿を現した。

 

「なっ!! 岩を投げた……!? 」

 

「ぬ、あ あ あ あ あ っっ!!! 」

 

その船から、突如として大岩が投げつけてきた。 その大岩はアステリオスが受け止めてくれたから此方に被害は出なかったけど、相手からの戦線布告ってことだよね。

そうして、何が起きてもいいように臨戦態勢へと移ると、近づいてきた相手の船から馬鹿にするような高笑いが聞こえてきた。

 

「あっはっはっは!!軽々と受け止めて見せたか! あそこにいる蛮人は……何だ、アレ。 獣人か? 」

 

金髪碧眼の男と、淡い紫髪をポニーテールにして纏めた女の子。男は女の子にアステリオスのことを教えてもらうと、軽蔑の目を向けて罵り始めた。

 

「人間の出来損ないか! 英雄に倒される宿()()を背負った滑稽な生き物!! 」

 

ーーーーっ! 許さない。 アイツはアステリオスがどんなに優しい心を持った子なのかも知らずに、ミノタウロスだって理由で罵った。 見ればマシュもエウリュアレも、この船でアステリオスと関わったみんなが怒ってる。

 

「あ~~ありゃあやべ~な。 オレ以上にやべー人格してる馬鹿じゃねえか 」

 

『勢いづいているところ申し訳ない。 撤退を推奨するよ……確かに数の利ではこちらが勝っているかもしれないが……。 相手は人類最古、最強の海賊団”アルゴノーツ”だ 』

 

リーダーであるイアソンとその妻だというメディア。アッチは完全にコッチが悪者で、自分たちは正義の味方だって思ってるらしくて勝ちを確信しているように話す。

その自信は、ドクターが慌てずに、逆に落ち着いていて教えてくれた理由と同じだった。

 

イアソンとメディアの後に控えている巨漢の大男。ギリシャ神話最大の英雄だって言われてる”ヘラクレス”その人らしくって、さっきの大岩も彼が投げてきたものだった。

 

「はははは!! 勝てるものか!! 醜い獣を従えなければいけないほどに人材不足な君たちに! お前たちは退治される側なのさ!このヘラクレス(大英雄)になっ! 」

 

イアソンの目的は女神であるエウリュアレらしくて、エウリュアレを引き渡せばヘラクレスのことをけしかけないと私たちに交渉……もとい脅してきた。

ま、答えなんて最初から決まってるけどね!

 

「絶対イヤ!! アステリオスのことを醜い獣だなんて言うアンタみたいな人に、うちの女神さまを渡すもんですかっ!! 」

 

「貴女のものになったなんて一言も言ってないのだけど……よく言ったわ立香 」

 

素晴らしい、カッコいい、正義の味方のようだとイアソンは私の返答に賞賛してくる。 してくるけど、全然嬉しくない。

むしろその人を小馬鹿にしたような言い方にムカムカしてくる。

 

「塵屑風情が生意気な。 サーヴァント諸共、全員消えてくれるか? 」

 

「塵屑は貴様だろう。 己が運命も変えることの出来ない男が 」

 

「「「「────っ!!! 」」」」

 

私も、ドレイクさんたちも、敵であるイアソンたちも一様に驚いた。 大英雄だってイアソンが豪語していたヘラクレスだって気づけてないんだもん当たり前……だよね。

いつの間にか、アルゴー船の甲板の上にベリアルさんが立って、イアソンの眼前に黒き鋼を向けていた。

 

「へっ、ヘラクレスっっ!!!! 」

 

「────────!!!! 」

 

「こ、この船はメディアの魔術壁で守られているんだぞっ! それをどうやって突破した!! メディアお前も何故気づかない!! 」

 

「す、すみません!! 一切反応なく現れたもので 」

 

「ビービー喚くな。 雑魚どもが 」

 

自分の命の危険を感じたイアソンは、即座にヘラクレスに命令してベリアルさんを退けよう動いた。 人類史上最強の英雄を前にしても、ベリアルさんは焦ることなく棒立ちのままヘラクレスと向かい合う。

 

ヘラクレスの持つ巨大な斧剣がベリアルさんに向かって真っ直ぐと振り下ろされる。

 

「──!? ──────!! 」

 

「なにっ! 何をした貴様っ!! 」

 

眼前、あと数センチ動けば届くという距離で斧剣が止められていた。 しかもベリアルさんは手も足も使わずに、ただ強く睨むだけで止めてる。

ベリアルさんの力を知っているから私たちすれば超能力で止めたことは明白だけど、相手からすれば驚愕ものでしかないよね。

 

そうしてベリアルさんは、自分の掌からエネルギーの塊を出してそれをヘラクレスの胸元に押し込んだ。

 

「──────!!! 」

 

「はっはっはっはっ、残念だったな!! どれだけ強かろうがそれだけだろ!!だからどうした!ヘラクレスは神から与えられた十二の試練をしたことで、それだけの生命を有してるんだよ!!」

 

そ、そんなの反則だっ!! どんなにべリアルさんが強くても、さっきの攻撃で削れたのは1つ分の命……まだ11回生き返るってことでしょ?

 

「ふっ、大英雄とまで呼ばれているのだろう? それぐらい化物染みてなければ面白くない。 ふんっ!! 」

 

「────────!!!? 」

 

12の命があると聞いても焦ることなんてなくて、むしろ笑みを浮かべながらヘラクレスのことを超能力で縛り上げた。

 

縛り上げられたヘラクレスは船の外へと放り投げると、放り投げた先にはいつの間にか一隻の船が置かれてる。

 

べリアルさんもそんなヘラクレスのことを追ってアルゴー船から身を乗り出すと、顔を此方に……違うあの目が見てるのは……。

 

「ああそうだ!! その目だ()()()()()()!! 来い!! 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




迷いを捨て去り、限界を超えたベリアルの前に遂にあの男が姿を現した!
暗黒大皇帝エンペラ星人。 圧倒的な闇の力を前に、どうなるベリアル!!

次回ウルトマンベリアル列伝『絶対的な闇』
Fate/GrandOrder ~Bの因子~もよろしくっ!!

↑見切り発車の次回予告、続くかどうかは知らない

メインストーリーとは別に、幕間としてイベント編やったりしたほうがいいんでしょうか?
メインに関わりがあるイベント(監獄島とか)とかあるしで……悩み中です

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