【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
ウルフェス2018で復活した時には全てが終わった後のロイヤルメガマスターですら手も足も出せないほど……
挿入歌もあったりして格好いい
感想、評価お待ちしてます
誤字脱字、ご指摘ございましたらよろしくお願いいたします
嵐が、吹き荒れる……。 船の舵はきかず、それだけで暴力と言っていいほどに勢いを増した波によって行き場もなく海の上を進んでいる船の上で、英雄と化物が戦っていた。
「◾️◾️◾️◾️◾️◾️!!! 」
「おおおおおおっ!!! 」
その船の上で行われる激しい戦い。雨に打たれることなど気にも留めず、視界を阻む雨粒を払いのけ、両者とも目の前に立ちはだかる相手だけを捉えている。
人類史上最強と名高い英霊----ヘラクレス。
神々や数多の怪物を倒し、誰もが彼を認める、認めざる得ないほどの偉業を成した半人半神の大英霊。 バーサーカーとして召喚されたためにその知能や理性は失われているが、それすらも余りある一撃と卓越した反射神経を有しているヘラクレスを止められるものは殆どいはいわしないだろう。
そして、彼の宝具はその最強の力に更に拍車をかけている。
『
「うがああああああ!!!! 」
その命も、べリアルの最初の攻撃によって4つ削られていた。
脱出不可能の迷宮に住まう主、人々に恐れられ英雄に打ち倒されることを宿命づけられた怪物ーーミノタウロス
だが、彼はミノタウロスであってミノタウロスではない。自分は人間なんだと、父親が気まぐれで付けた人としての名ーーアステリオスなんだと叫ぶ。
人が見れば英雄が怪物を倒す、そんなありふれた英雄譚に見えるかもしれない。
「ぼくはっ!! おまえを……こえて、みせ る!! 」
これはごくありあふれた英雄譚では決してない。
伝える者はいない、記憶にも残らず、記録にすら記されない。 それでもアステリオス猛々しく戦っていた。
「ああそうだ!! 貴様には
ただ一人、べリアルだけがこの戦いを見守っていた。
無限に近い財宝があるわけでもない、黄金の剣の記憶をそのまま使えるわけでもない、アステリオスにあるのは二丁の斧と生まれ持ったその身体だけ……
それでもアステリオスは止まらない。
「貫き通せアステリオス。 怪物としてしか刻まれなかった生まれもって怪物であったその宿命を──変えてみせろ!! 」
逃げも隠れもしない。 アステリオスの真っ直ぐな攻撃がついにヘラクレスの心臓を穿った。
それに追い打ちをかけるようにアステリオスは心臓が再生し、再生していく胸に覆われるよりも早く、そのむき出しになった心臓を掴み握りつぶした。
「◾️◾️◾️◾️◾️◾️!!! 」
「っ!!う、ううう!!! 」
2度殺されただけでは、大英雄は止まらない。 生き返ったヘラクレスはアステリオスの首を絞め殺そうと動き、その首を掴み取った。
「やってみろ大英雄。 黄金の獅子を絞め殺した時のように、ソイツの父親を捕えてみせた時のように、ソイツを止めてみろ!! 」
苦しみ、もがきその身体を殴られてもヘラクレスは組んだ腕を外さない。
しかし三日間ネメアの獅子を絞め殺して見せたその胆力を見せるヘラクレスの眼前に映る光景に驚きを隠せなかった。アステリオスからすれば背後にべリアルが立っていたのだ。
べリアルはその腕に持つ黒き鋼でヘラクレスのことを攻撃するのではなく、その先端をアステリオスの背中に当てる。
「お前が誰なのか、その
「ぼ……く、は…………!! ぼく、は…………っ!! 」
全身に電撃が走り、力が抜けたアステリオスは意識を手放した……。
────◇◆◆────
復讐者たちも倒し、襲ってくる敵を倒しながら前に進み続けたべリアルは、誰よりも早く、この戦争を始めた張本人の元に辿り着いた。
『辿り……ついたぜ……エンペラ星人ッッ!!! 』
『光の国の中にも、ここまでの実力者がいるのですねえ 』
『ほう……光の国にも、うぬのような存在がいるとはな 』
暗黒宇宙大皇帝 エンペラ星人。 絶対的な闇の支配者にして光の国を滅亡させようと企む真の悪者。
メビウスたちによって破れるけれど、今は過去……この戦争でウルトラの父と一騎討ちの結果脇腹に致命傷を負うはず……。
それよりも前に、べリアルはエンペラ星人と戦ってたっていうのか?
でも、限界を既に越えていて満身創痍って言っても過言じゃないべリアルの攻撃がエンペラ星人に当たることはなく、まるで虫を払うかのようにエンペラ星人は手を振るう。
ただそれだけでも、エンペラ星人という相手は強大なんだと思い知らされる。
『ぐ……ガアアアアアッッ!!!! 』
『闇の素質はあるが……貴様も光の国から生まれた光の住人……死んでもらう 』
建物を1つ、2つ、3つを貫通させようやく止まった4つ目の建物崩れ落ちてべリアルはその下敷きされてしまう。
太陽を失い、光を失った星でただ一人生き続け、闇の力を手にいれたからこそ、光を持つもの全てに嫉妬し、深い憎しみを抱えたエンペラ星人の攻撃によって、戦い続けたべリアルはとうとう倒れて……ないっ!?
『この我の技を受けて、死んでいないだと……? 』
『………………はあぁぁぁぁぁ 』
意識が……ない。 エンペラ星人の攻撃を受けて耐え抜いたべリアルは意識を飛ばしてもなお、本能だけで立ち上がってエンペラ星人に向かって歩いていく。
『目障りだな貴様……フンッ!! 』
『ガアアアアアッッ!!! 』
エンペラ星人の超能力、メビウスの協力者たちの殆どを打ち倒したと言っても過言じゃないとても強力な技。
意識のないべリアルは獣のような咆哮を上げると、腕が傷つくことなんてお構い無しで向けられた超能力を振り払い、エンペラ星人との距離を詰める。
『クッ! 』
『悪は……滅ばな……きゃいけねえ…… 滅べ……亡べ……ほろべえええええ!!! 』
本能だけでエンペラ星人の攻撃を避け、徐々に攻撃を加えていくべリアル。
そこで今まで余裕だったエンペラ星人に余裕が消えた。
群れで集まる光の国の住人が、個人で自分に並ぼうとする者が現れると思っても見なかったからだ。
次第に鎧にヒビが入り、リフレクターマントすらも破かれたことで焦り、漸く本気を出した。
『一介の雑魚……いいや認めなければいけないな貴様のことは……。 だが、我が貴様ら光の戦士に負けることはない!! これで終わりだっ!!! 』
『ぐがああああああああ!!! 』
エンペラブレードでカラータイマーを突き刺そうとしたが直撃は避けたのか、剣が肩に突き刺さった。
そのまま持ち上げられたべリアルは、無防備になった身体に極大の闇の力を浴びせられ吹き飛ばされてしまう。
それでもまだべリアルは生きていたが、吹き飛ばされた先は、エンペラ星人の闇の力と同等かそれ以上の力を秘めているプラズマスパークが鎮座されていた。
べリアルが吹き飛ばされたのはプラズマスパークタワーだったんだ。
『オレにもっと力があれば……。 アイツのような……絶対の力……この力さえ……あれば…… 』
意識を戻したべリアルは、瀕死と言っていいその身体で、エンペラ星人の力に憧れを抱きながら、その手はプラズマスパークに伸ばした状態で遂に完全に倒れた。
これがあったから……べリアル、貴方は絶対的な力を求め続んだな
────◇◆◇────
ここは……らびりんすだ。 ちちうえが、ぼくに、ここにいろって、ここにくる、にんげんが、おまえのえさだって、そういって、ぼくを、おいていっ、たばしょだ。
でも、ちがう……、ちちうえの、せいじゃない、ぜんぶ、じぶんのせいだ、ぼくのこころが、
アア、ウマイナア、ウマイ、ウマイ、ウマイ、ハライッパイダア!!
そうだ、あれが、ぼくだ…………。 らびりんすに、おくられてくる、じゅう、よんの、こどもを、ころした、たべた……。
けど、けど!! みんなが、よんで、くれた、みんなが、わすれた、ぼくのなまえ、を、
『アステリオスの旦那!! 』
だから、もどらなくっ、ちゃ。 ゆるされなくても、みにくくても……。
ナンデソッチニ、イクンダヨ。 コッチノホウガ、タノシイ! ナニモカンガエナクテイイ、ハライッパイ、ダアッ!!
置いて行くの? しあわせになるの?
そこにいる人たちだって喰べるんでしょ?
『ははっ!! 随分と力持ちじゃないかいアステリオス!! 』
くさりは、おいていかない……。 これを、はずすと、ぼくは、わすれちゃうから、わすれてまで、しあわせに、なりたくない、から
けど、たべたり、しない!! みんな、ぼくの、おともだち、だからっ!
どれいくも、ましゅも、りつかも、えうりゅあれも!! みんな、ぼくのともだちだ!!
『アステリオスさんっ!! 』
でも、ぼくは、おまえを、きょぜつする……!!
キョゼツスル? オマエガ、ノゾンダ、コトノクセニ? オマエガ、クイタクテ、クッタクセニ?
ムリダ、ムリダ、ムリダ!! ドンナニ、キョゼツシテモ、オマエハミノタウロス、コロシテ、クッテ、ミンナガ、ソウヨンデ、オソレタ!!
『やったねアステリオス!いえーいっ!! 』
アノニクハ、イツモクッテル、ヤツニ、ニテテウマソウダ! アノイチバン、キラキラシタヤツ、タベタラ、ゼッタイニウマイゾ!!
ぼくの、からだは、どこまでいっ、ても。 みのたうろすだ。 だけど、みんなが、よんで、くれた、だから、もどるん、だ!!
この、こころは! なまえは、ぼくのものだ!!
『あなた、アステリオスね? 』
クエ!! クエ!! クエ!! クエ!! クエ!!
ぼくは、つよく、なる!! みんなが、なまえを、よんで、くれた、からっ!! はじめて、できた、
おまえは、ひとりぼっち、だ。 けど、ぼくには、なかまが、いる、よんでくれる、なまえがある……。
ぼくは、らいこう。 ちちうえがつけてくれた、ぼくの、なまえっ!!
ぼくは……! ぼくは……っ!!
ぼくはっっ!!!!
「ぼくは、あすてりおすだああああああああ!!!!!」
それが、だいすきな、みんなが、おもいださせて、くれた、なまえ、だっ!!!
・レゾビューム光線とかいう対ウルトラマン最強技を持っていて、ザムシャーやヒカリを超能力だけで圧倒したり、太陽を闇に葬ったりと普通に考えて覚醒したばかりのケンが一騎討ちの末相討ちになったとかありえない。
・ゾフィーの父親がウルトラ戦争で戦死したという情報があり、キングとかマリーなら生き返らせること出きるじゃん。それでも出来ないってことはレゾビューム光線の餌食になったとしか考えられない。
目の前で友達を光にされたらそりゃケンさん覚醒しますわ
・べリアル自身も意識を飛ばした状態での戦闘だったためエンペラ星人との戦闘の記憶はない。
最後に見たプラズマスパークの光とエンペラ星人の闇の力両方に魅いられたからからこそ…………という解釈
・fateの英霊たちの中で数少ない『黒き鋼』に適合することの出来るのがアステリオス。 自分が戦ったほうが強い、他の怪獣はただの駒としか見ていなかったころのべリアルとは違うため、『黒き鋼』に秘められている『進化』の力が扱えるようになった。
ただしその力を使うには、『べリアルが認めた者』、『人であること』といった条件があるため使用するのは難しい。
FGO風に言えば霊基再臨、ウルトラマン風だと『レイオニックバースト』や『EX進化』
・作者にとってミノタウロスは、『モアもペガも、誰一人として友達、仲間が出来なかった朝倉リク』。朝倉リクは、友達や仲間、大切な人がいたからベリアルの闇に打ち勝ち、キングに認められる『ウルトラマン』になれた。 だけどそれは逆に考えれば、モアと出会わずジードを知らず、ペガやライハ、誰とも関わりを持たなかった場合、リクはベリアルの闇に負けてミノタウロスと同じ『心無い怪物』に成り果てていた可能性が大きい。 ミノタウロスはアステリオスという『なまえ』を呼んでくれる人がいたからこそ人間に戻れたし、『ともだち』がいるお陰で『心無い怪物』には決してならない。
だからか、今回の最後はジード12話や17話のリクのセリフをイメージしたり、幕間や2部1章なんかを参考にしながら書いた作者の思うアステリオス。