【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
いつもよりも短いですがよろしくお願いします。
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「これで……終わり!! 」
世界最古の海賊船──アルゴー船は今、炎に包まれ燃え続けていた。 蛇へと転身した清姫の勢いを止められるものはおらず、数えるのも億劫なほどいたシャドウサーヴァントも燃やし、メディアに回復の隙も再召喚の隙すらも与えない勢いで焔が上がっている。
そして、最後に残った魔人柱に止めを刺したのは、船を揺るがすほどの大声と共に上空から落ちてきたアステリオスだった。 アステリオスが進化したことに伴い、大きく巨大になり両刃斧へと戻った『ラビュリス』で文字通り真っ二つに斬り倒して見せた。
『あ゛あ゛あ゛あ゛…………何故、なぜなんだ。 このおレは王になるべくして生まれてきた存在だ。 そのおレが……なんで!! 』
メディアを守り続けていたヘクトールもマシュたちが倒し、残ったのは若かりし時のメディアと……魔人柱の贄とされ、もう人のかたちをしただけの肉片と化したイアソンだけだった。
(この炎の中を歩いてきた……。 さも平然と、まるで平野を歩くのと同じように )
『き……キサマばっ! 』
「べリアルさんっ!! 」
アステリオスがここに来たのだ、彼もいて当然である。 しかし、そんなべリアルの異常さを知らないイアソンとメディアは、その顔を驚きに染めていた。
まるで生きているかのように動く炎の中を、汗のひとつもかかずにべリアルは歩いてイアソンたちへと近づいていく。
「運命を変える力も持たない貴様ごときが、王に、王として認められるわけがないだろうが、身の程を弁えろ 」
『このおレに、王の資格がないだと!! キサマのような素性も位も無に等しいヤツに何がわかる!! わかってたまるものか!! 』
王の子として生まれながらも叔父にその座を奪われた。
ケンタウロスの馬蔵に押し込まれながらも才気を養った。
アルゴー船を組み上げ、英雄たちをまとめあげ偉大な功績を残して見せた。
それだけの事を成した自分は、王になるのが当然なんだとぶちまける。
確かに充分だろう、イアソンは自分で誇るように偉業を成し遂げた。
だからこそ、べリアルはそんなイアソンのことを否定する。
「求めすぎた力の先にあるのは崩壊だけだ。 運命を変える力を傍らに携えながら、それを裏切り捨てたキサマには何もない、何も残りはしない 」
べリアルは一瞬ではあるが、メディアのことを一瞥すると肉片となったイアソンに黒き鋼を向ける。
「力こそが全てだ。 他者を圧倒し、その力で平伏させる。 …………だがな、捨ててはいけないものまで捨てた、その裏切りの果てには…………何も残らない 」
(イアソンに言ってるはずなのに……何だがまるで…… )
清姫の上からいく末を見守っていた立香が感じた違和感。 べリアルの物言いは確かにイアソンに向けられたものであるが……それはまるで自分に語っているような儚いものだった。
エネルギーの塊でイアソンのことを完全に消し去り、その手に持った聖杯を立香に投げ渡したべリアル、そこ残っているメディアには一切手を下さず、空へと消えていった。
自然に消えることを待つだけとなったメディアは、空へと消えていったべリアルのことを見つめながら、立香に向けて言葉を呟いた。
「アナタたちでは、彼には絶対に敵わないものと思っていました……。 けれど…………彼の者ならば…………。
カルデアのマスター、星を集めなさい。 幾つもの輝く星を……。 彼の者の宙には、小さな星が輝きはじめています。 だから────消えぬ闇の大地を照らす輝く星を──── 」
「あっ、まってメディア!! 」
それは、自由を奪われた彼女の遺した唯一の抵抗だったのかも知れない。 手を伸ばす立香に笑顔を浮かべた彼女は、アルゴー船と共に炎に包まれて消えていった。
「今の言葉……どういう意味だったんだろう…………? 星を、集める? 」
────◇◆◇────
闇を見た…………
深い深い憎しみの果てに生まれた、何処までも深く、終わりのない暗黒を……
光を見た…………
どんな光にだって負けない、強く輝く大きな光の始まりを……
善を見た…………
誰にも理解されない、誰も共感してくれない。それでも、自分の中の正しさを為すために進み続ける真っ直ぐすぎる正義を
悪を見た…………
他者の気持ちを顧みず、自分勝手な正しさを振り回す悪を……。
悪によって善が捻じ曲げられてしまうのを……
闇の中には悪しかない、善は光ある所にしか生まれない……そう思っていた、思い込んでいた……。
けど違う、空を覆う雲の先に青空が広がっているように、月のでない真っ暗な夜の中でも、星が輝いているように……そこに光はあるんだ……。
なんで忘れてたんだろうな……『例え人の心から闇が消えることはなくても、人間は自分自身で光になれるんだ 』そうですよね、ダイゴさん……。
べリアル……いいや、
この場所が貴方の心の中だっていうんなら、ありますよね?
心から闇が消えることがないなら、光だって同じだ。
手に取れないほど小さくても、簡単に消えてしまいそうなほど弱々しくても……
光が…………絶対ある。
必ず見つけてみせる、その光を、その輝きを……
次回はべリアルレポート&過去編の次の行先を少し
・イアソンの生前の行いを見ると運命に抗い続けはしたがその方法を間違えた結果、自分を過信し続けたせいで陥る最後。 どこかべリアルに通じるものがありながら、やっぱりイアソンの性格がクズ過ぎるせいで認められることはない。