【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

30 / 147

感想、評価いつでもお待ちしてます。

ご指摘、誤字脱字の報告助かってます。


ベリアルレポート4+α

 第三特異点の修復が無事に終わった。 カルデアから立香ちゃんたちを助けるためのサーヴァントが何故か清姫一人しか向かわせることが出来ないという問題があったけどね。

 けど、未だ分からず仕舞いなのはベリアルがどのような方法を用いてヘラクレスを攻略したのかという部分と、アステリオスと清姫2人のサーヴァントの霊基が変化……いや『進化』とでも呼んだ方がしっくりとくるものになったことだ。

 

 ヘラクレス──人類最強の英霊、その強さだけでも充分だというのに、その宝具の能力によって合計12の命を削らなければ倒せないという無理難題にも程がある強力無比のサーヴァントだった。 そのヘラクレス、そしてアステリオスのことを連れて嵐の中へ消えていったベリアル。 映像はそこで途絶えてしまった……。

 

 けどそこで起きたこととアステリオスの『進化』は繋がっている。 ベリアルは何らかの方法でアステリオスの霊基を書き換え、もう一つの真名であるミノタウロスに近しい霊基にしたんだ。 だけどそれだけじゃ収まらない。 アステリオスはミノタウロスになりながらも理性や知性を失っていなかったんだ。 本来のミノタウロスとしての召喚ならば、完全に理性や知性を有していない本当の怪物としてのはずだ。 それなのにアステリオスは心を失っていなかった、『ミノタウロス』の身体を『アステリオス』として扱っているって所かな?

 

 もう一人の進化対象である清姫。 彼女に関してはベリアルとの関係性が見出せなかったが、上記の事を踏まえるとベリアルがいつの間にか接触していたと考えていいだろう。

蛇としての転身、それは元から清姫が持っていた宝具だ。 その宝具は清姫の伝説を体現した一撃、安珍のことを燃やし尽くし最後には自分も死んだ……それが彼女の宝具『転身火生三昧』だ。蛇となったのが一瞬だったからなのか、その宝具は長時間維持することは無理だと彼女本人が言っていた。

だと言うのに、彼女自身がその常識を覆して見せた。 何だアレ? 魔神柱と戦う姿なんて怪獣大戦争そのものだぞ? アステリオスも最後には加わって更に拍車がかかったし!!

 

ああ〜〜もう!! 警戒すれば警戒するほど次から次へと問題が舞い込んでくる!! 何だって言うんだ彼は!!!

 

 

「あの……ドクター。 今、お時間よろしいでしょうか? 」

 

「!? ままま、マシュか。 こんな時間にどうしたんだい? 特異点での疲れも残っているだろうし休んでいた方が…… 」

 

「はい、そうした方が良いとは分かってはいるのですが。 どうしてもドクターから彼の話が聞きたくて 」

 

「彼? ああベリアルのことかい? 僕から話せる事なんてほとんど何もないよ、むしろ一緒にいる時間の長い立香ちゃんやマシュの方が 」

 

「いいえ、違うんです。 聞きたいのはベリアルさんの事ではなくて……その宮原博樹さんの事で 」

 

 博樹さんのこと……そう言えば、彼との初対面も立香ちゃんと同じ感じだったっけ?

まあ、そう言っても見ただけで年上ってわかる人だったからね、そんなに強い言葉は出してないんだけど

 

『ああそうだったんですか。 今日からここに赴任したので隣の人にご挨拶をと思ったんですが 』

 

 引っ越しの挨拶なんて、日本の昔からの習慣をやって来る人なんて彼くらいだよ。

ああその後かい? 貰った菓子折りを一緒に食べて僕のことを紹介して……ちゃんと仕事に戻ったんだ!

 そうそう彼が『こんなに凄い施設の中で全員の命を預かってる立場にいるなんて尊敬します 』なんて言われたのが嬉しくてついついやる気でちゃんだよね。

 まあ、その後彼のウルトラマングッズを運ぶのに駆り出されて大変だったんだけど。

 

 ベリアルと比べて……かい? そうだね、彼はベリアルとは正反対と言ってもいい人物だろうね。 ベリアルは誰かと仲良くはなろうとしないだろう? けど博樹さんは違ったよ。 魔術のまの字も知らないからって怯える事なんて無くて、むしろ積極的にマスター候補のみんなと仲良くなろうと交流を深めてたくらいだからね。

 

 君も見なかったかい? Aチームの何人かと話してる彼のこと、成績は優秀だけど変わり者が多いあの子たちとだぞ? 立香ちゃんが来るまでの数週間って短い間で距離を詰められる人なんて初めて見たよ。

 

 ああけど、彼の仲良くなると立香ちゃんの仲良くなるは違うものだとと僕は思うよ? 僕も友人が多かった訳じゃないからその違いまでは上手く表現できないけどね。

 

もしも彼が目覚めたら……そうだね。 これは希望的観測でしかないけど……

 

 

「彼なら、ベリアルとでも仲良くなってくれるんじゃないかって……そう思っているよ 」

 

 

 

────◇◆◇────

 

 

 私は幾度も幾度も暗闇が続いていく中を、当てもなく歩き続けていた。

 

 何年、何十年……もしかしたら何百何万と月日が流れてるかも知れない。 そんな感覚がおかしくなってでもまだ、私は探し続けていた。

レイブラッドの怨念に呑まれてしまっていても、必ず光があると信じて……

 

『オレは完全なる復活を遂げた……光の国のヤツらへの復讐の時だ!! 』

 

 この声は…………ベリアルさん? でもどこに……?

 

『私にはかつての友としての情がある……。 誰が許さなくても私だけはお前を……だから…… 』

 

『オレにも野望がある!! 誰もオレを止められねえのさ!! 』

 

『それでも止める!! 平和のために!! 』

 

『やってみろおおおお!!! ケエエエエエエエンッッ!!!!! 』

 

『私はもうケンではない。 宇宙警備隊大隊長……ウルトラの父だ!! 』

 

『『はああああああああああ!!!!! 』』

 

お互いが譲れない、正義と野望(正義)の激しいぶつかり合い、なんだなんなんよこれは!?

何だ、この記憶は…………この感情は……怒り?

 

『これだけの事を仕出かして……まだテメーは満足しねえのかよっべリアル!! 』

 

『満足? するわけがねえだろ!! この憎しみがそんな簡単に取り払われるわけがねえだろっ!! 』

 

『そうかよ……なんだったらその悪も、闇も!! このオレが取っ払ってやらああ!! ベリアルっ!! 覚悟しやがれええええ!!! 』

 

『今のオレを、お前ごときが倒せると思うなっ!! ゼロオオオオオオ!!!! 』

 

止められない、止まらない。 太陽のように輝くその光じゃ、暗黒を止められない。

 

『ふははははは、来ると思ってたぜ……キング 』

 

『ベリアル……自分がしている事が何なのか理解しているのか 』

 

『誰よりもよく理解しているさ。 この爆弾はオマエですら止めることが出来ない。 だが、オレのやる事なす事全てを否定してきたアンタだ、身体張ってでもこの宇宙を守ってみせるんだろう? これでオレの復讐は終わりにしてやるよ!! だから……テメーと一緒に死んでやる 』

 

 そうして起きたのが、この暗黒の世界すらも破壊してしまうほどの爆発。その中心に出来たブラックホールのようなものに逆らうことも出来ず、私は闇のなかに引きずり込まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(ん……、ここは……どこだ? )

 

 目が覚めると、辺り一面に広がる光景に衝撃を受けてしまった。 だってそこは何もないただ真っ白な空間に立たされていた。

 

 どうすればいいのか分からず、足跡すら残らないその場所を歩いていると、遠くの方で何が落ちてくるのを見つけた。

 

『────!! 』

 

 落ちてくる何かを確かめるために足を進めていくと、何か声のようなものが聞こえてくる。

知らない筈なのに、どこか懐かしくて胸の奥が熱くなってくる……そんな声

 

『これは……黒い……雲? いいや、違うっ!! 』

 

 落ちてきたその物体は、黒雷を纏った雲のような形をしていた。 その雲はまるで大きくなるのを待つように漂い、来るものを拒むように雷を鳴らす。

けど、私の目には確かにそれが映って見えた。 その雲の中にある、小さなちいさな光の欠片が……ずっと、ずっと探し求めていたものが……

 

『オギャア! オギャア!! 』

 

 白い空間に歪みが生まれ、そこから外の景色が伺えた。天文台と……親に捨てられてしまったのか、泣き声を上げることしか出来ない小さなちいさな赤ん坊。

 

そうか、君が私のことを……この場所に呼んでくれたかい?

 

 




焦がれ、追いかけ、求め、叛逆した
だが、その叛逆はついぞ果たされることはなかった。
叛逆の騎士を名乗りながら、終わる景色にはいつもあの人が立っていた……。
王を超える為に生まれながら、成し遂げられなかったその宿命……。

へっ!! だったらここで越えてやる!! 起こしてやるよ! オレの『ジード』ってヤツをなあ!!


次回 、Fate/Grand Order〜Bの因子〜第4章 『GEEDの証』

「あれを王と認めねえんだったら、オレにテメーの真の耀きを見せやがれ!! クラレントオオオオッッ!!!! 」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。