【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
実際頭のなかではこう書こうというイメージやプロットは出来上がっているのですが如何せんむずかしい……。
感想、評価のほどお待ちしてます
ご指摘、誤字脱字ありましたらご報告ください。
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『はじめまして、昨日就けでカルデアに赴任した宮原博樹です。 よろしくお願いします 』
自然な笑顔と言うのを初めて見た。それが私が宮原博樹さんに初めて出会った時の印象でした。
局員の方たちと、同じマスター候補として選ばれた人たち全員に挨拶をして回っているらしく、戦闘訓練が出来ず談話室で休憩していた所に邂逅し挨拶をしてくれました。
ドクターを含めて局員の方たち、そしてマスター候補として選ばれた46人は、笑顔を見せてくれても、それは気を使っている相手の様子を伺っていると言ったようなものでした。
だから、何の企みもない……悪く言ってしまえば何も考えていないその笑顔はとても眩しく感じました。 ただ、お歳が離れていると言うこともあって何を話せばいいのか話題を持ち合わせていなかった私は、挨拶を返してその場を後にしました。
その事もあったからなのでしょうか? 先輩と初めて出会った時に見せてくれたその自然な笑顔にとても安心感を覚え、信頼をよせることが出来たのは……
「マシュー入るよ~ 」
「先輩…………おはようございます 」
「おはようマシュ。 よく眠れた? 」
「はい。 …………もし目覚めたら、今度は私の方から声をかけてきちんとお話ししたいと。そう思える夢を見ました 」
────◇◆◇────
天文台で捨てられてしまったのか、誰の子どもかも分からない彼は、町長だった人が預り戸籍を編制した。
子どもの名前は『朝倉
大きくて、とても大切な想いが込められた名前を貰った彼は、朝倉家に事情があって物心つくころまでは孤児院で育った彼は、弟が欲しいとぐずる娘さんのいた愛崎家に引き取られことになった。
リクくんはすくすくと大きくなっていくけれど、やっぱり親がいないってことはリクくんの心を傷つけてしまう。
お父さんもお母さんもいない、拾われた子。 リクくん自体、環境があったのかも知れないけどあんまり自己主張が強い子ではなかったから、どうしても同年代の子からイジメの対象になってしまった。
けど、暴力を振るうなんて出来ない優しい子だったリクくんは、心に悲しみを溜め込むことしか出来なかった。
真っ白な空間の空から振る雨はどこか暖かくて、この手がリクくんに触れられないのがどうしようもなく……不甲斐ない。
黒雷の雲が大きくなってる? この雨を受けて大きくなってるのか!! だめだ、だめだリクくん!!
『ジーっとしてても、ドーにもならないよっ!! 』
他の人とぼくは違う。 その気持ちが強くなってしまうリクくんは、他人とどう関わればいいのか分からない、友達って何なのかわからなくて踞ってしまっていた。 でも、そんなリクくんの支えになってくれたのが一緒に暮らしていた姉同然の幼馴染み──愛崎モアちゃんだった。彼女が教えてくれたその言葉が、降り注いでいた雨を止めた。
ジーっとしてても、ドーにもならない。立ち止まってるだけじゃ何も始まらないぞっていう意味が込められたその言葉を合言葉にして、リクくんは自分から声をかけるようになった。
それでも、空は雲に覆われた状態のままだ……。モアちゃんの言葉のお陰で少しだけ前に進むことが出来たリクくんだけど、その顔の表情に笑顔が浮かべることは少ない……。 子どもっていうのはみんな笑顔を浮かべてるものだ。
『お前となんて友達になんてなんねーよ!! 』
『お前パパとママいないんだろ? だっせー 』
"みんなと違う"それはリクくんにとって何よりも辛いことだった。どうしてぼくはみんなとちがうの? なんでおとうさんとおかあさんはいないの? その気持ちをぶつけられる誰かがいないから、リクくんは一人我慢して泣いていることしか出来なかった……。
『君の笑顔を取り戻す。 Heae we go!! 』
晴れた!! だけじゃない……何もない空白の世界に太陽が射し込み、大地には花々が咲いた。 憧れ、こんな風になりたいって気持ちがリクくんの本当の笑顔が取り戻したんだ。
私にとっての憧れがウルトラマンだったように、『ドンシャイン』がリクくんの未来に光を差してくれた。
そんなリクくんの心の変化に呼応するように雲は消え、少しだけ大きくなった光の欠片とそこに纏う黒雷だけになった。
────◇◆◇────
「おらあっ!! 」
十九世紀のロンドン。 人類史のターニングポイントとして産業革命が起きたその時代が4つ目の特異点となる場所だった。
レイシフトの方も何の問題もなく成功したんだけど……ロンドンに来て早々に戦闘が始まってしまう。 最初は敵対する意思は感じなかったんだけど、その人はべリアルさんの顔を見るなり携えてた剣を向けて襲いかかってきた。顔を見る感じだと私やマシュとそう年も離れてないように見える、重そうな鎧を着た騎士。
突然のことだったけど、それに反応できないべリアルさんじゃない。黒き鋼を出すまでもなく寸の所で剣を避けた、ていうか今も避け続けてる。
「なんの真似だ貴様 」
「ああ!? 知らねえなぁ!! オレの直感がテメーのことをぶった切れっつってんだ、大人しく斬られてろ!! 」
理不尽!! そう思わざる得ない行為だけど、相手の剣技はとても洗礼されていて、どこかで見たことがあるそんな既視感を覚えるものだ。 どこで見たんだっけ?
そう思いながら、増援しようにもタイミングが分からないマシュと一緒に戦いの行方を見守ってるけど、べリアルさんが一向に攻撃をする素振りを見せない。
いつもならひょいひょいっと相手の攻撃の隙をついたりして思いきり攻撃を喰らわせるのに、何だか変な感じだ。
この霧のせいで調子が悪かったりするのかなべリアルさん?
一方で、ずっと振り続けてるのに疲労も、剣技が鈍ることもない相手だけど、その表情はどんどん怒りに染まっていく……。
そりゃあそうだよね。 どんなに振っても自分の剣が当たんないんだもん
"────────"
「? マシュ、今なんか言った? 」
「いいえ。 何も言っていませんが、どうかしたんですか? 」
気のせい……かなあ?今、誰かに呼ばれてるような声が聞こえたと思ったんだけど……
「ちっ!! 余所見してんじゃねええ!! 」
ごめんなさいっ!! って私に言ったんじゃない? 見てみると、騎士の持つ剣に魔力が込められたのか赤い雷を纏ったその強力な一撃がべリアルさんに向けて振るわれてる瞬間だった。
「
「くそがっ!! 」
流石はべリアルさんだ。赤い雷を纏ってるはずの剣を片手だけで受け止めてみせた。…………アイツ? アイツって誰のことを言ってるんだろう。
だけど、相手も剣を失ったくらいで止まるわけもなく、べリアルさんの腹目掛けて魔力で強化した拳を向ける。
「叛逆の騎士……嗤わせるなっ。 "
「ガッ、ハッッ!! 」
その拳も、べリアルさんには届かない。 本当規格外って言ってもいい強さを誇るべリアルさんは、相手の騎士の逆に鎧越しに腹部を殴ぐって吹き飛ばした。
1つ、2つ、3つと建物を壊しながら吹き飛ばされていったけど……大丈夫かな?
『や、やっと通信が回復した!! べリアル、今すぐ戦いを止めるんだ!! あの騎士はこの特異点の事情を知ってる、情報を聞いて対策を……』
「向かう場所が出来た。 あの出来損ないの対処は任せたぞ 」
「え? へっ!? べリアルさんっ!! 」
ドクターの話も聞かずに(いつものことだけど)べリアルさんは霧の濃い街の中に姿を消していってしまった。
「おい!! 待ちやが……れ………… 」
ベリアルさんが投げ捨てた剣を呼び寄せて、それを支えに立ち上がったけどその口から垂れ流れる血を見るとそれだけべリアルさんの一撃が強力だったのが見て取れる。それでもベリアルさんの攻撃を耐えきったその騎士は、霧の中に消えていったべリアルさんに向けて吼えながら意識を失い倒れてしまう。
「先輩……どうしましょうか? 」
「放っては……置けないよね 」
そう言えば……べリアルさんがあの騎士に言った一言……ジードってどういう意味だろう?
爆裂戦記ドンシャイン
『ウルトラマンジード』の物語世界における特撮ヒーロー番組。 全52話放送(サブタイトルもあり)
実際はリクが生まれる少し前の時代に作られた番組だが、幾度かのブーム再燃の時期がありリクはそれの握手会に参加した。
52話あるなかでドンシャインの正体は最後まで謎のまま、一応正体についての推測が出されるがドンシャインはイエスともノーとも明確に答えていない。
握手会のシーンは何度見ても泣けるし、ドンシャイン神対応すぎるしでもう……好き!!