【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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劇場版ルーブの公式サイトの朝倉リクの説明文に「異なる宇宙で活躍している」
ゼロはM87ワールドかアナザースペースに戻ってる筈だからリク君のことを送り迎えすることは出来ない……もしかしてノアクティブサクシードが出る!! 劇場版オーブでエメリウムスラッガー出たみたいに!! と期待に胸を膨らませる作者です。

感想、評価お待ちしてます。
ご指摘、誤字脱字の報告助かっています。


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 『魔霧計画』聖杯によって産み出されたこの霧その物がサーヴァントを召喚する術式みたいで、それによって召喚されたのがモードレッドやアンデルセンといったはぐれのサーヴァントたちだった。 どうやらランダムで召喚されてくるサーヴァントの中に特異点を破壊する力を持つ者がいるため、敵である魔術師たちもそれを待っているらしい。

 

 このロンドンの異変を調べていく中で魔霧計画の首魁の一人「P」を打ち倒した私たちは、フランケンシュタイン──フランの案内を頼りに魔術師「B」と対面していた。

 

「ヴィクターの娘…………! 逃げ……ろ……! 」

 

 魔術師「B」彼の真名はチャールズ・バベッジ。 自らの身体を機械へと変え蒸気王を名乗る彼だけど、彼も私たちと同じで人理焼却を嘆いていた。 だから対話が出来る、彼を止めようと叫ぶフランの声は確かに届いた。そのはずだったのに…………

 

 バベッジさんは聖杯が組み込まれたこの霧の影響で暴走を始めてしまう。 モードレッドは「思いが届かず、刃で決着を付けざるを得ない」っていうけど……私はそんな簡単に割りきれないよ……。

 

「オオ、ォ……!! 」

 

「────っ! アステリオス!! 」

 

「まか……せて…………っ!! 」

 

 どうにかしたい。けどそんな力なんてない歯痒い気持ちになりながら、相手の巨体を受け止められるアステリオスに指示を出す。 それを皮切りに他の皆も戦闘を開始する。

 

『立香くん? 立香くんっ!! 』

 

「っ、なんですかドクター 」

 

『彼はもう会話不可能な状態。 暴走が聖杯は依るものだとしたら、もう彼を倒す以外はない!! 』

 

 ドクターたちの解析から、バベッジさんの暴走は令呪による強制的なものに似ていると教えてもらう。……それって誰かがバベッジさんを暴走させたってことだよね?

仲間を道具のように扱うなんて……ひどすぎる!!

 

「バベッジさん……助けて上げられなくてごめんなさい。 フラン……倒すね 」

 

「…………ゥ 」

 

 「お願い、止めて 」フランのその言葉を叶えるために私はサーヴァントのみんなに指示を出す。

 

「いこうマシュ、みんな!! 」

 

────◇◆◇────

 

 

 ウルトラマンとして戦ってきたことで、今ではもう欠片とは言えないほどに大きな球体になった光の輝きが鈍っていく。

 

 リクくんという存在が怪獣を呼び寄せ、街や多くの人たちが犠牲になったのはジードに変身したからだと、台本通りのストーリーを歩いていたんだと真実を突き付けられる。

 憧れて、自分の意思でヒーローになった筈なのに、その気持ちすらも嘘だと言われたリクくんは力を上手く扱えなくなり、強力な力を有したペダニウムゼットンに敗北し、7つのあったカプセルのうち6つのカプセルを奪われてしまう。

 

『これをやったのは……僕……』

 

 敗北しカプセルを奪われたこと以上にリクくんの心に突き刺さったのは、ペダニウムゼットンとの戦いで破壊されボロボロに崩れた街の惨状だった。今まで戦闘中に物が壊れてしまうことはよくあったけど、少しでもそうならないように気を付けていたけど、今回は違う。 道路、ビル、車、辺り一面の物全てがボロボロに壊れてしまっている……もしかしたらその中に人も巻き込まれたかもしれない。

 伏井出ケイの言った通り、自分がこの光景を作り出したんだって、そう思ったリクくんの心の中を大きな雨雲が覆い始めてしまう。

 

 残ったカプセルは1つ。 それ1つではウルトラマンに変身出来ない、変身した所で僕は伏井出ケイに造られた操り人形……その思いに埋め尽くされたリクくんは失意のドン底に落ちていく。

 

『19年前……、君は赤ん坊だった。 “朝倉陸”その名前を付けたのは……私なんだよね 』

 

 失意のリクくんに届いた1通の手紙。 その手紙を出したのは、赤子だったリクくんを拾い、名付け親である朝倉錘さんだった。

 

 ああそうか、貴方もリトルスターに感染していたんですね。 そして宿ったその力でずっとリクくんのことを見守り続けていた。 その為だけにしか力を使わなかった。

 

『逃げなさい陸くん 』

 

『でも……!』

 

 奪った6つのカプセルを体内に取り込み暴走するペダニウムゼットンは、錘さんの持つリトルスターを狙って暴走を始める。 止めなければならない……けどウルトラマンに変身できないリクくんは錘さんを連れて逃げることしか出来ない。

 

 追い詰められ、ピンチに陥ってしまう2人。そんな中で錘さんは相手の狙いは自分だから、病気で後数ヵ月の命だからリクくんだけでも逃げろという。

 

 だけど、リクくんは動けない。錘さんのことを置いていけないって気持ちは確かにあるけど、それ以上にべリアルの息子として生まれて、街を壊す元凶である自分はいないほうがいいんじゃないか、このまま死んでしまったほうがいいんじゃないかって……その気持ちがリクくんの足を止めてしまう。

 

『しっかりしろ陸っ!! …………陸。私と家内とで考えた名前なんだ。 男の子が産まれたらつけようってね……この大地にしっかりと足をつけて立つ、そしてどんな困難な状態にあっても、絶対に再びまた立ち上がる。 そういう想いを込めて 』

 

 だから生きてくれって、命を捨てないでくれっていう錘さんの気持ちを貰って、リクくんの心を覆っていた雨雲が消え去った。

 だから、だからこそリクくんは、錘さんのことを見捨てるんじゃない、一緒に助かる未来を諦めなかった。

 

『ウルトラマンになんかならなくても、こんな所で錘さんを死なせたりしない!! 』

 

『陸、頼む。 生きてくれ! 』

 

 リクくんに生きてほしい。 ウルトラマンへの祈りじゃない『朝倉陸』という一個人への祈りが形となってその姿を現した。 その大きな想いを受け取ったリクくんは、ウルトラマンじゃない、べリアルの息子じゃない、『朝倉陸』という人間として、自分に生きる希望を、立ち上がる力をくれた人や仲間を守るために、リクくんはそのカプセルを手に取った。

 

” ユーゴー!“

ゼヤアッ

 

” アイゴー! “

ドアアッ

 

” ヒアウィーゴー!! “

フュージョンライズ

 

” 守るぜ! 希望!! “

 

 

────◇◆◇──── 

 

 

 バベッジさんを倒した時、この霧を産み出している場所を教えてもらった私たちはその場所に向かって進んでいた。

 ロンドンの地下鉄よりも更に下、何層にも続く迷宮とも言えるほどに要り組んだその先には、冬木の大聖杯が置かれていた場所に良く似ている場所だった。

 

「あれがアングルボダ…… 」

 

 ついて直ぐに目に付いた、心臓のように動悸を繰り返しながら血液の変わりに蒸気を吹き出し続けるそれこそがロンドンを霧に包み込んでいる発生源。 巨大蒸気機関「アングルボダ」

 

「とっととぶっ壊しちまいてーとこだが、テメーが最後の親玉か 」

 

 そんなアングルボダを守るように最後の魔術師「M」が姿を現した。 私たちの今までの歩いてきた道のりはここで終わりだと、自分の悪逆によって駆逐されるのだと……

 

「そんな御託なんてどうでもいい!! 貴方が、お前が「M」なんでしょ? 」

 

「私はマキリ・ゾォルケン。 お前の言う「M」にして魔霧計画に於ける最初の主導者である 」

 

 M……マキリ・ゾォルケンはそう言いながら自分が企てた計画の全貌を明らかにする。 ロンドン全域を覆った魔霧、それを使って英国全土を破壊する、それを為すことが出来るサーヴァントがもうじき召喚されるんだと。

 

「それこそが我らが王の望みであり、我らが諦念の果てに掴むしかなかった行動である 」

 

「だからっ!! 我らが王とかそんなのどうでもいい!! 私は聞きたいことは他にあるんだ!! 」

 

『えっ? ちょっ立香ちゃん!? 』

 

「ドクターは黙っててください! …………バベッジさんを暴走させたのはあなたでしょ? なんでそんなことをしたの、仲間じゃなかったの!! 」

 

 Mに会ったら絶対に言おうとしていたことをぶちまける。 どうして仲間のはずのバベッジさんのことを切り捨て暴走させたのかそのことを聞いたけど、相手は顔色一つ変えずに答える

 

「貴様は何を言っている。 英霊は『人類史の影法師』言わば使い捨てのきく道具。 役目が終われば捨てる、そこに何の問題がある 」

 

「────っ! イタッ 」

 

「落ち着きなさいよ馬鹿マスター。 貴女が飛び込んだところで死ぬだけじゃないの。 それにアイツの言ってることは正論よ 」

 

 怒りで今にも飛びかかりそうな私の頭を小突いて止めてくれたジャンヌオルタはマキリの言葉を肯定した。 けどその顔は心底嫌そうな顔をしてるから理解はしてるけど納得はいってないんだってのが読み取れる。

 

「ただの道具ですって? そんなのまっぴらごめんよ!! それにこの馬鹿マスターが許さないでしょうしねえ 」

 

「────うん! サーヴァントのみんなは道具なんかじゃない、私たちの大切な仲間だもん !! 」

 

 

 

 

 

「それだ。それこそが我が王が至った結論の姿。 最後の英霊を目にすることなく、我が王の力を以てお前たちを消去しよう 」

 

 破滅の空より来たれ。我らが魔神──。 これまで私たちが倒してきた魔神柱と同じ詠唱……嘆くようにマキリはその姿を魔神柱へと変貌させた。

 

「いいじゃない、機械や本ばかりを相手しててつまんなかったところよ!さあマスター指示をよこしなさい、あんなヤツ私の炎で燃やしてあげるわっ!! 」

 

「ますたあ、ぼくも、がんばる!! 」

 

「マシュ・キリエライト戦闘を開始します! やりましょう先輩!! 」

 

 いつもよりやる気を出してくれてるジャンヌオルタややる気満々なアステリオスたちと一緒にマシュが魔神柱へと立ち向かっていく。

 マキリ、お前に見せてやる私たちの力を!!

 

 

 

 

 

「サーヴァントは仲間……か、甘いもんだな立香のヤツ…… 」

 

 




色々書ききれないけど「僕の名前」はジード好きとして、朝倉リクのことを書くにあたって妥協しちゃいけない部分だと思ってます。 本当神回すぎるから見てない人見て……前半最後として最高の話だから!!

発祥はタロウだけど、ニュージェネから技名叫ぶようになってくれたのは好きな部分。その時の感情が強く出たりするからね。 特にレッキングバーストは気持ちが込められててめっちゃ好き。 ザナディウム(大喜利部分も合わせて)とかも結構好きな部類……。



あと今のジャンヌオルタの絆レベルは6.5くらい

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