【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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魔神柱戦もだけどテスラ先生との戦闘はショートカット。本題はテスラ先生じゃなくてその後だから……

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誤字脱字、ご指摘ありがとうございます


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『まただ、またニコラ・テスラの動きが止まったみたいだ 』

 

 アステリオスが守ってくれたお陰で瓦礫の下敷きにならずにすんだ私は、人理を破壊するよう暴走させられたニコラ・テスラを止めるために、みんなと一緒に地上に向かって走っていた。……て言ってもアステリオスに背負ってもらってるんだけどね。

 

 そんな折にドクターからでニコラ・テスラの動きが止まったていう情報が届けられる。 またって言った通り彼が止まるのはこれで二度目、一度目はモードレッドだろうけど、彼女の魔力反応はまだこの地下にあるみたいだから、モードレッドじゃない誰かがニコラ・テスラを止めてるんだろか?

 

「先輩、モードレッドさんです!! 」

 

「────やっと追い付いてきたか………… 」

 

「あら、こんな所でちまちま歩いてるなんて余裕じゃないの 」

 

 モードレッドに追い付くことが出来たけど……私たちのほうを見る彼女の表情はどこか固い。 でも何かが吹っ切れた……吹っ切れたっていうのかな? 邪魔な何かを切り捨てたようなそんな表情……。

 

「アイツの足はまだ空に届いていないんだろ? なら無駄話してないで速く向かうぞ 」

 

 口調も固い。さっきまでの彼女だったらジャンヌオルタの嫌みに何かしら返すのにそれをせずに地上へ向けて歩いていく……どうしちゃったんだろう?

 

「────待っていろ。 このブリテンを終わらせていいのは、オレだけだ 」

 

 

 

 

「来たようだな。 ────彼がいっていた通り、君たちが私を止め新たな神話を築かんとする勇者となるか!! 」

 

 雷の階段。 バッキンガム宮殿の上空へと向かって伸びるその階段の途中で、私たちはやっとニコラ・テスラに追い付いた。 狂化を施されたはずの彼だけど、その意識は落ち着いてるようで私たちのことを勇者と称してくる。

 

「モードレッドさんの口述あった魔力を吸収する活性化した魔霧の存在は確認できません。 今なら彼を叩けます!! 」

 

 マシュの言っているように、ニコラ・テスラを守る魔霧は無くなっていた。 あれをどう攻略するかが鍵だと思ってたんだけど、ドクターが言ってたニコラ・テスラの動きが止まったときに反応があったっていうサーヴァントが消してくれたのかな?

 

「ふむ。 どうやら、先の迷いには蓋をしたようだね。 クラレントを持つ騎士よ 」

 

「うるさい、その口を開くなニコラ・テスラ。 このブリテンを亡ぼしていいのはこのオレ、叛逆の騎士モードレッドだけだ! 」

 

 

 

────◇◆◇────

 

 

『息子よ、迎えに来た。 父べリアルのもとへ来い 』

 

 べリアルさん……。 彼は、黒く怪しい雷雲と共にその姿を地球に現した。 クライシスインパクトで傷ついた身体を完全に復活を果たすため、ギガバトルナイザーをその手にリクくんのことを誘惑する。

 

 その姿を見て、リクくんは理解した。 理解してしまった。 べリアルさんが自分の父親なんだって、今まで生きてきた中で一度も感じることななくても、誰よりも憧れた感情が胸を締め付けていくことが……

 

『僕のことを息子って呼ぶなっ! 』

 

 でも、べリアルさんはクライシスインパクトを引き起こし、一度はこの地球……宇宙を破壊した張本人で、ゼロやレムの口から語られる極悪非道の大悪人。

 だから自分の感情を理解したくなかった。 暴れまわるべリアルさんのことを自分の父親だってことを……。 リクくんは、べリアルさんと戦うゼロとの連携も考えずに飛び込んでしまい2人一緒に倒れてしまう。

 

 そんなリクくんへまるで追い討ちをかけるように、べリアルさんは2本の怪獣カプセル──ファイブキングとゾグ第二形態──を使用してその姿を変えた。

 

 アークベリアルの時とは違う。上半身はべリアルさんの姿を残した下半身は獣のおぞましさを出した『キメラべロス』と名乗る化物は、ジードのことを体内に取り込み月へとその姿を隠した。

 

 

 

 黒い雷雲と降りしきる雨の中で並び立つリクくんとべリアルさん。お前は敵なんだ、僕はお前の息子じゃない、父親って言うなって、そんな強い拒絶を込めて攻撃するけれどべリアルさんにその攻撃は届かない。

 ジードの攻撃を全て弾き飛ばし、無防備になった彼へべリアルさんの爪が襲い掛かる────ことはなかった。

 

『オレはお前の……父親だ』

 

 止めを刺すんじゃなくて、リクくんのことを抱き締めるべリアルさん。まさかそんな行動をべリアルさんがしてくるとは露とも思っていなかったリクくんは驚きの表情を見せる。伝わってくる心臓の音を聞いて落ち着いている自分がいることを、否定できないほどに自分とべリアルさんは繋がっているんだって……その実感がリクくんの心を占めていく。

 

『地球人はお前を完全には受け入れていない臆病なヤツらだ 』

 

 だから錘さんは他の人にリクくんを預けた。愛崎家に預けられたその日「めいわくをかけないようにします」って言ったのも他の人とは違う自分は受け入れて貰えないって怯えたから、高校を卒業してすぐに愛崎家を出たのもリクくんが疎外感を感じたから……。ウルトラマンになって皆を助けても、地球の人たちはもしその手が自分たちに向けられたらって怯えている、受け入れてくれない……。

 

『心の奥底では求めていたはずだ。 本当の家族を……』

 

 べリアルさんの甘い誘惑が、今までヒーローとして歩んできたリクくんの足を止めてしまう。 そうして自分の身体の支配権をリクくんに預け、ゼロと闘わせる。

 そうだ、リクくんはずっと孤独を感じて生きてきた。それはずっと君を見てきたから分かるよ……けど違う、そうだろリクくん!!

 

『忘れないで、仲間のことを! 地球のことを! あなたのの夢を! あなたはみんなのヒーローなんだから!! 』

 

 鳥羽ライハ……ウルトラマンキングに呼ばれたリトルスターの発症者である彼女は、キングの力を借りてリクくんとべリアルさんの精神世界へと浸入し、リクくんには呼び掛ける。

 リクくんは、ウルトラマンジードはみんなのヒーローなんだって……その声が届いたのかベリアルさんと同じ赤い目になっていたジードの動きが止まった。

 

『泣いているのかい? 』

 

 ────っ!!!!! これは、これはリクくんの思い出だ。 みんなの笑顔を守るヒーローになりたいと思うようになった原点の場所。

近くのデパートへ来ていたリクくんは、自分と同じくらいの子どもの周りには必ずお母さんかお父さん、おじいちゃんやおばあちゃんといった家族がいた。 だけど自分にはそんな一緒に笑ってくれる家族がいなくて、どうしようもなく悲しくなっちゃったリクくんは、彼が出てきてもずっと俯いて泣いていたんだ。

 

『君の笑顔を取り戻す。 ヒアーウィーゴー 』

 

 泣いてる子がいたら手を差し伸べる。そんな当たり前だけどカッコいい『ヒーローの証』を見せてくれた目の前のヒーローが、ドンシャインがリクくんの中で太陽のように輝く存在になった瞬間。 そんな自分の原点を思い出したリクくんは、自分が為すべきことを為すために立ち上がる。

 

 

『ジーッとしてても、ドーにもならねえっ!!! 』

 

 ────────がんばれ、ウルトラマンジード

 

 

 

 

────◇◆◇────

 

 

 

 何とかニコラ・テスラを退けた立香たちではあったが、魔霧は意思を持っているかのように、マキリ・ゾォルケンの望みを叶えんためにまた新たな英霊を召喚された。

 

 バッキンガム宮殿の上空に魔霧が集束していき、まるで台風のような渦巻きを作り出す。その中心からサーヴァントが姿を現した。

 

「────」

 

「アーサー、王? 」

 

「…………はい、間違いありません。 彼女から感じる強大な魔力、威圧感は冬木で受けたものに類似しています 」

 

 生気の感じられない黒馬に跨がり、禍々しき槍をその手に携えた騎士王アーサー・ペンドラゴン。

 冬木の特異点で彼女と相対したマシュと立香には彼女がアーサー王だと直ぐに気づけた。

 

「はは……ははは、はーっはっはっはっ! そうか、そうだよな!! 」

 

「モー 」

 

 立香の声が届くよりも速く。地を蹴り一瞬でアーサー王の元へと赴いたモードレッドは間髪いれずに剣を降り下ろす。 だがアーサー王も只やられる訳はなく、その手に持った槍で応戦する。

 

「そんなにオレが憎いか! 貴方の国を壊したこのオレが、そんなにロンディニウムを救うのが気に入らないか!! 」

 

「──── 」

 

 確かに、アーサー王はモードレッドを否定するために召喚されたのかもしれない。だからこそ彼女を穿ち、殺した槍を携えている。

 

 だが、それは結果論にしか過ぎずアーサー王自身には関係ない。現にアーサー王はモードレッドの問いに何も答えることはなく、その目にはただの障害にしか見えていない。

 

「何か言え……応えろ、答えろ……アーサーっ!! 」

 

『そうか! あの槍は聖槍ロンゴミニアドか! アーサー王伝説でモードレッドのことを殺害した、世界の表裏を繋ぎ止めるモノとさえ言われる伝説の槍だ! みんな逃げろ、魔力の量から考えても勝ち目なんてない!! 』

 

「────お前らは逃げていいぜ、アーサー王の相手はオレがいればそれでいい 」

 

 魔力の衝突によって立香たちの側へ飛ばされたモードレッドが口にしたのはお前たちは邪魔だという意が込められた言葉だった。

 

「オレは叛逆の騎士モードレッドだ。 何度でも、何回だろうが()()()()()に叛逆してやるよ!! 」

 

 アーサー王しか見ていない彼女の目は濁りが見える。そんな暴走ともとれるその行動を、遠くから眺めている者たちがいた。

 

 

 

 

 

「アラアラ、彼女あのままじゃダメよ。 だって一人ぼっちなんだもの 勇者さまが魔王をたおすにはひとりじゃできないものね怖いおじさま♪ 」

 

「────分かっている頭の中で喚くな。 これが最後だ……アイツと同じ存在が、同じく運命を変えられるのか見極めてやる 」

 

 

 




ライハはヒロインというよりはおかんとか保護者の立場。リクくんが生身で戦えないぶんの殺陣をする役割何だろうけど作者は正直あまり好きなキャラとは言えない。 あとキング宅急便の臨時社員だしね。

キメラべロスは最初見たとき「ええぇ、ファイブキング要素どこよ」とかでちょっと苦手ぎみだったけど、見慣れるとアークベリアルとはまた違った良さ、味があるから好きです。

ドンシャインについては言うことなし。 好き!! 神対応!!


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