【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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ルーブの映画が楽しみ過ぎる……。 グルーブのフルCGもさることながら後輩の背中を押す側になってより大きくなった朝倉リクを見ると本当に胸がドキドキする。

今回もよろしくお願いします。
感想、評価お待ちしてます
誤字脱字、ご指摘くださりありがとうございます。


9

「オレと契約してくれ、藤丸立香 」

 

「…………私で、いいの? 」

 

 呆気にとられたっていうか、私から契約を持ち掛けることはあっても彼女からその言葉が出てくるとは思っていなかった私はつい気のない言葉を返してしまう。

 

「バーカ、お前だから良いんだよ。 ……父上が守ろうとした民草に最も近いお前だからこそ、オレみたいな中途半端なバカが仕えるには丁度いい」

 

 私の言葉に怒るではなく、軽い調子でそう言った彼女は、防戦一方で攻めあぐねいている戦場を、アーサー王へと視線を向ける。

 

「オレはあの槍に貫かれて死んだ。 何度生を受けても同じ末路を辿る、それがオレだ。 だけどな、今ならその宿命を引っくり返すことができるかもしれねえ、一人で突っ走ってた昔とは違う今ならな 」

 

 さっきまでの彼女とは明らかに違う。 自分は死んででもアーサー王を倒そうとしていた彼女じゃない、自分の運命を受け入れた上で、それを越えていく覚悟を決めた強い眼を彼女から感じる。

 

「ジーっとしてても、ドーにもならねえからな。 これは王への叛逆じゃねえ、オレに定められた運命への叛逆だ。 それを成すために、力を貸してくれ立香 」

 

 右肩に剣を担いだまま、拳を握った左手を私に向けてくるモードレッド。 私は、この旅が始まって刻まれた令呪をじっと見つめ、大きく深呼吸してから自分の右手をモードレッドの左手に合わせる。

 

「モードレッド。 じゃあさ、私の叛逆にも力を貸してよ 」

 

「はあ? お前の叛逆? 」

 

「うん。 私の足ってさ、いつも震えて止まりそうになっちゃうんだ。 そんな自分を誤魔化しながら、叛逆しながらここまで歩いてこれた。 だけど、この足がもしも止まっちゃった時、そんな時はモードレッドが私のことを引っ張っていってよ 」

 

 多分、マシュやみんなにも言ったことのない私の弱音。それを正面から言えたのは、彼女の覚悟を決めた言葉がどことなく弱音にも聞こえたから……。

 

 冷静になってくると恥ずかしくなってきた私は誤魔化すようにして微笑みながら言葉を紡ぐ。

 

「じゃあ、力を貸すじゃ可笑しいよね。 私とモードレッド、それにみんなと力を合わせて叛逆を成そう!! 」

 

「…………あ~、あの野郎がな~んでお前らと一緒にいるのかやっと分かったぜ 」

 

 頭を掻きむしりながら何かをぼそっと呟いてたモードレッドは、拳を合わせるんじゃなくて、私の手を強引に開いてぎゅっと握りしめてきた。

 

「人が悩みまくって出した結論を、軽い感じで越えてくんじゃねーっつの。 ────いいぜ、契約成立だ! 一緒に叛逆を、ジードを見せてやろうじゃねーか()()()()!! 」

 

 

 

 最近慣れてきたお陰かサーヴァント契約をさくっと終わらせると、モードレッドは私のことを掴んだまま雷の階段を一直線に駆け抜けていく。

 

 引っ張られる恐怖を押し隠しながら正面に顔を向けると、マシュがアーサー王の槍を盾で防御していた。

 

「マシュ!! 一度弾いてその盾右に向けろ!! 」

 

「────! ハイッ!! 」

 

 駆け抜けながらモードレッドが指示をかける。 彼女からの指示に一瞬だけ驚いたマシュだったけど、私と目があった時に送った『大丈夫』が伝わってくれたのか、指示通りアーサー王の槍を弾いて盾を誰もいない右へと向けた。

 

「へへっ!! オラよっと!! 」

 

「────っ!! 」

 

「マシュ、だい、じょうぶ? 」

 

「はい、アステリオスさんが受け止めて下さったの「アステリオ──スっ!! 私も受け止めて──ー!! 」先輩っ!! 」

 

 盾を横にしたマシュの隣へと辿りついたモードレッドは迷うことなくマシュごと盾を蹴り飛ばした。 飛ばされた先にアステリオスがいること前提で蹴ったんだろうけど、マシュのこと蹴ったのと同時に私のことも放り投げるのはどうかと思うよ!?

 

「よーしっ!! 準備完了!! 目の前で見せてやるよ父上! ここからオレは、オレ自身を越えてやる。 コイツらと一緒になっ!! 」

 

 アーサー王と鍔迫り合いながらそう宣言するモードレッド。 その表情は、綺麗な歯が見えるほどに満開の笑顔を作っていた。

 

 

 

 ────────────

 

 

 

『オレはウルトラマンべリアルアトロシアス。 かつてこの宇宙を崩壊させたのは、オレだ 』

 

 べリアルの後釜を狙おうとする宇宙人、そして因縁の相手である伏井出ケイと戦い、その度に成長し勝利を納めてきたリクくんたちの前に、ロイヤルメガマスターに敗れたはずのべリアルさんが悪意と共にその姿を現した。

 

 ストルム星人だけが持つ位相変換を行うストルム器官。ジードとの度重なる戦闘で最大まで強化されたソレを伏井出ケイから奪い取ったべリアルさんは、絶大な力を有する2本の怪獣カプセルを使うことでその姿を変えた。

 

 地球人に、自分は悪の象徴なんだと、捨てたはずの『ウルトラマン』の名前を紡ぎながら恐怖を刻ませる。ゼロも、ジードも自分と同じ存在なんだと知らしめるかのように…………。

 

 彼は言った、自分はもうじき究極になると。一度はクライシス・インパクトによって崩壊しかけたこの宇宙は、ウルトラマンキングがその全てを使って繋ぎ止めている継ぎ接ぎの宇宙だ。 べリアルさんはストルム器官を使ってその糸をほどき全てを吸収しようと目論んでいた。

 

 そんなべリアルさんを止めるために、ゼロや星雲荘のみんな、AIB、そしてリクくんが動き出した。 吸収したカレラン分子を分解する酵素を撃ち込み、超時空破壊神ゼガンの光線とジードの光線がぶつかることによって生まれる時空の裂け目。その先にべリアルさんを追放するという作戦。

 

『光の国も、この星も、てめぇには指一本触れさせねえ! オレとジードがな! 』

 

『ジード……、息子の力を吸収出来ていればより完璧だったが。 フッ、どうやら反抗期のようだ 』

 

 最初に始まったのはべリアルさんとゼロの長きに渡る戦い。ゼロは即座にビヨンドへと強化変身し果敢に挑んでいくが、当のべリアルさんじゃ酷くつまらない表情で迎え撃つ。

 

 どんなにゼロの攻撃が届いても、進化したべリアルさんには一切ダメージが通らない。伏井出ケイが人質をとろうがとるまいが関係ない、それほどまでに今のゼロとべリアルさんとでは戦力の差が大きかった。

 

『家族を弱点と言ったな。それは違う! 守るべきものがあるから、オレたちは戦える!! 』

 

 地球に来て弱くなったと公言するべリアルさんに対してのゼロの返し。その言葉が癇に障ったのか、人質のせいでまともに動けないゼロ相手に容赦のない連続攻撃を浴びせ、 作戦の要である宇宙船の追撃すら許さず、撃墜し見ている人々全員に絶望を植え付ける。

 

『オレの血を受け継ぎながら、敵対する愚か者め』

 

『べリアル、僕が相手だ!! 』

 

 そんな絶望のなかで唯一人、ジーっとせずに、この状況をドーにかするために、ジードがべリアルさんの前にたった。

 親と子の対決……。ジードを前にしたべリアルさんの瞳は、どこか笑っているように見えた……

 

 

 

 ────────────

 

 

 

 

「いいぜ! いいぞマシュ!! 怯むな、脅えんな立ち向かえ!! お前の盾は、アイツを既に越えてんだ!! 」

 

「……はああああっ! お願いしますっモードレッドさん!! 」

 

 モードレッドはマシュに力を貸してくれた英霊について何か知っているのか、自信満々でマシュのことを励ます。その励ましに力を貰ったのか、アーサー王の繰り出す槍の猛攻を凌ぎきったマシュは、最後にはその槍を大きく上に向けて弾いてみせた。 それだけでは止まらない、マシュは直ぐ後ろで控えていたモードレッドに向けて手を伸ばす。

 

「よおっしっ! 引っ張れマシュ!! 」

 

「はいっ!! 」

 

 伸ばされた手を強く握られた事を確認すると、マシュはハンマー投げの要領でモードレッドのことを投げ飛ばした。 投げられた勢いを生かし、モードレッドは空中で1回転という器用な事をして剣を降り下ろす。

 ギリギリの体勢で立て直し槍で防御されたため直撃とはいかなかったが、衝撃だけでもかなりのダメージが入ったはず。

 

 まるで昔からの知古のように息のあった攻守を立ち替わり入れ替わりしながらの戦闘によって徐々にではあるがコチラ側が有利になってきている。

 

「────父上、アーサー王よ。 貴方は強い……貴方の行いはブリテンに住むもの皆の憧れであり常に正しき道を指し示していた。 だが、その完璧すぎるまでの正しさを、オレは否定する!! 」

 

「────!! 」

 

「貴方と違いオレは不完全だ。 例えこの身体が貴方を写した模造品だとしても、オレは一生貴方のようにはなれない。 ましてやオレは普通の人間でもなければ、誇れるような騎士でもない 」

 

 戦闘を行いながら、彼女は自身の思いの丈をぶつけていく。 その言葉が届かなくても、何も応えてくれないとしても、自分で決めた道を迷わず進むために。

 

「そんなオレが貴方を越えるにはどうすればいいのか。 悩んだ、スゲー悩んだ…………、だけど判ってみると簡単なことだったんだ。 オレには、コイツらがいる!! 」

 

 モードレッドの攻撃で生まれた一瞬の隙、マシュもそれを見逃すことなく二人同時に与えた攻撃がアーサー王を捉えた。 腹部へと直撃した二人の攻撃を受けて、彼女は吹き飛ばされていく。

 

「怪物と恐れられ、勇者に討たれることを宿命づけられた牛頭人身の大馬鹿野郎!! 」

 

「…………ぼく? 」

 

 剣を肩に担ぎ直しながら、モードレッドが叫ぶ。 アステリオスのことを悪く言っているけど、その言葉に悪意は込められていない、むしろそのことを誉めてるっていうか……

 

「復讐のためだけに生み出された、聖女の代わりにすらなれねえ田舎娘!! 」

 

「…………いいわ、この馬のこと倒したら次はアンタよ! そっちの女に負けたら承知しないわよ!! 」

 

 次はジャンヌオルタだ。 言われた本人もいつも通り噛みついてるけど、モードレッドの言葉に含まれてる意味を理解しているのか本気では怒っていない。

 そうやってモードレッドが宣言をしていると、風の流れが変わり始めていることに気づいた。このロンドン全域を包み込んでいた霧が風に乗り、まるで台風のように渦を巻いて収束しいく。 その下で、アーサー王が槍を天へと掲げ宝具を放つ準備をしている。

 

「マシュ!! コッチも宝具を!! 」

 

「────っ!! 」

 

「……心配すんなよマシュ。 お前ならあの嵐を止めんのなんて立香の足を止めるよりも簡単だ。 ホムンクルスでデミサーヴァント、人間でも英霊でもない半端者。 んなこと気にすんな!! お前の持ってるモン、守りたいと思うその気持ちを貫き通せ!! 」

 

「モードレッド……さん。 ────はいっ! マシュ・キリエライト、宝具展開します!! 」

 

 励ますことは出来ても、共感することは出来ない部分。モードレッドだから贈ることの出来るその言葉に勇気を貰ったマシュは、槍から放たれる濃密な魔力の嵐を受けとめるための『人理の礎』を展開する。

 私もマシュに貸すために令呪を一画消費して、その分のカルデアからの魔力を気持ちと一緒にマシュに送った。

 

「ありがとうございますマスター立香っ! ────所長、私に皆さんを守る力を! はああああ!! 」

 

 このロンドン全てを覆っていた魔力を収束した槍から、歯向かうもの消滅させんとする嵐が高速で向かってくる。 吹き飛ばされるのを何とか堪えながら、マシュがその嵐を塞き止めているのをその目に焼き付ける。

 声を荒げ叫びながら、精一杯自分に出せる全部の力を振り絞りながら嵐の行く手を阻み続ける。

 

「──────!! 」

 

「通しません、この先にはジキルさんたちが、ジャンヌさんやアステリオスさん、モードレッドさん。 ……そしてマスターがいます!! だからこそ、絶体に守り抜きます!! 」

 

「はははっ!! そうだ、魔術のまの字も知らねえ半端なマスターだから守る価値が、一緒に歩く意味がある!! 」

 

 盾を構え嵐を抑え続けるマシュの後ろで、豪快に笑いながらモードレッドは肩に担いでいた剣を両手に持ち替え、胸の前で構えてる。

 

「そんな中途半端の不完全なヤツらがいて、ようやくオレは一端の騎士になれるんだ。────だから力を貸せ、クラレント 」

 

 強く、さらに強く剣を握りしめると、クラレントの一部が口を開き彼女を中心に魔力が舞い上がり始める。

 

「お前が選定の剣だというのならば、アレを王と認めないというのなら! オレに、()()()()に力を貸せクラレント!! 剣の中の王とさえいわれたお前の、真の輝きをこの私に見せてみろ!! 」

 

 モードレッドの言葉に応えるように剣から眩いまでの魔力が放出される。一辺の曇りもない白銀の輝き、今が戦いの最中であることを忘れてしまいそうなほど綺麗なそれは、ロンゴミニアドの荒々しく禍々しい魔力とは正反対もので、モードレッドが求めていたもの何だろうけど、何が気に食わないのか舌打ちしている。

 

「────お前もつくづく面倒くさい剣だな!! わーったよマスターみてーなこと言うな!! 合わせりゃあいいんだろお前とも!! 」

 

 クラレントも意志があるのか、白銀の魔力が弱くなったり強くなったり点滅したりしながらモードレッドと会話してるっぽい?

 合わせる……、力を貸すんじゃなくて合わせるんなら良いってことなのか、モードレッドが力を込めると白銀の輝きを包み込むように赤黒い魔力が放出を始める。 白銀だけだった時は静かだったそれは赤雷を周囲に纏い始めると、赤子が産声を上げた時のような大きな音を鳴らす。

 

「“────これは王への叛逆に非ず、我が血に宿命づけられた運命への叛逆である!! ” 」

 

 胸の前で構えていたクラレントを、両手で握ったまま切っ先が地面についてしまうのではというところまで腰と一緒に下ろしながら、言葉を紡ぐ。

 

「“────これこそは、民草を守護せし王剣!! ” 」

 

 剣に最大限まで高まった二種類の魔力によって、地面を抉り持ち手であるモードレッドの束ねてあった髪もほどけていく。

 そうして、モードレッドの宝具が放たれることを理解したマシュは気合いを入れて嵐を少しだけ前に押し出しモードレッドが入れる隙間を作る。

 

「【我が忌まわしき(クラレント・ブラッド)宿命への叛逆(ジード)!!!!!!!】」

 

 マシュが作ってくれた隙間へ入り、大きく横薙ぎに振るった剣から極大まで溜まった魔力が放出されていく、

 今までモードレッドが使ってきた【我が麗しき父への叛逆】とは違う真名解放。 運命を引っくり返す、その意味が込められた言葉と一緒に放たれた魔力は赤雷を纏った一本の図太い線になってアーサー王へと向かっていく。

 

『────!! 』

 

「がああああああああっ!! 」

 

 マシュの宝具の盾が消滅すると、赤雷を纏う白銀が漆黒の嵐の行く手を阻み始める。これで、勝敗が決まる……。伝承通りにアーサー王の槍に貫かれて負けてしまうのか、ジードの名の下に、宿命への叛逆を成すのか。 ぶつかり合う魔力の衝撃に目を覆いそうになってしまうけど、私はその決着をちゃんと見届けなくちゃいけないんだ!! これからもモードレッドと歩いていくために!! 

 

 

 

 

 




アーサー王を討ち取り、自身の運命をひっくり返したモードレッド。
全てが終わったかに思えたカルデアの面々の前に、最大の悪が姿を現わす。
圧倒的な力の前に立ちすくむ中で、ただ1人立ち向かう者がいた……。
貴方は……

次回Fate/Grand Order〜Bの因子〜
「スタートラインはここからだ!! 」

その時始めて……巨人が姿を取り戻す……



【モードレッドが霊位解放権『宿命に叛逆せし者』を入手しました。】

【我が忌まわしき運命への叛逆】
自分の運命に叛逆することを決めたモードレッドの新しい宝具。 クラレントの持つ本来の白銀の魔力とモードレッドが使う赤黒い憎悪の魔力を混じり合わせて放つ。
簡単に言えばモードレッド版レッキングバースト
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