【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
とまあ黒い方の人の真似はここらへんで。
今回は、ライムがいるならやってみたかったこと、博樹さんが掴んだベリアルの手。
そして、変身時の内部!! と、結構詰め込んだ感じ……。
感想、評価頂けていつもありがとうございます。
誤字脱字の報告いつも助かっています。
「私が……
「…………おどろいたわ。 だってだって、そんな選択をするひといないもの! 未来を選べる道があるのに、あなたは
ありすちゃんが驚きながら口にしているように、僕が選んだ道は光、闇、中間のどれでもない。 僕がこの場所に辿り着くまでに歩き続けた道、戻り道だ。
ありすちゃんは3つの中から選んでくれと言ったのに、その中から答えを出さなかったのは反則なのかも知れないけど……これが僕の進みたいと思った道。歩いて行きたいと思った
「未来? どうして未来なの、その先は過去へつながっている道よ? 」
「…………過去は変えられない。 もしも変えることが出来たとしても今までの自分がなかったことには絶対にならない。 だからきっと、こっち側の道も未来へ続いてると僕は思うよ 」
折り返す、引き返す選択は過去へ戻る選択肢だとありすちゃんは言ったけど、僕は違うと思う。 だから疑問を投げかけてきたありすちゃんの前までいって、しゃがみ込みながら、可愛らしい帽子と一緒にその銀に輝く小さな頭を優しく、馴れた手つきで撫でる。
「ずっと、ずっと前を進んでいるものだと、そう思い込んでた。 あの人は闇の道の終着点にいるんだって、一瞬信じてしまいそうになった。 けど、違うんだ 」
未来行きの3つの道、そのどれにもベリアルさんはいない。何でか分からない、もしかしたらずっと彼の記憶を見続けたから分かったのかも知れないけど確かな証明はないけど、そうだってその筈だって僕の心が訴えていた。 だからこの道を、過去行きの道を選ぶんだ。
「あの人がいるのは前じゃない、後ろにいたんだ。 この場所に初めてきた時の僕は闇は絶対悪だ、悪いモノなんだって信じていたから、振り返れば見える位置にいたベリアルさんのことを見つけてあげられなかった。ずっとず〜っと、あの闇の道よりも真っ暗で、どこにも道しるべのない場所で、迷子になってるんだ 」
「じゃああなたが、あの悪いおじさまの道しるべになってあげるの? 彼をここまで導いてくれるの? 」
ありすちゃんの事を抱き上げながら、話をしながら過去へ続く道の前まで歩いていく。 今思えば、すごく遠い回り道だった。 だって、ベリアルさんは目と鼻の先にいたんだ、それなのに僕はそれに気づかないで、気づけばこんなにも遠い場所まで一人で歩いてきてしまった。 けど、それを後悔だと決して思わない。 歩いてきたからこそ、僕はベリアルさんの事が知れた、ジードの事が知れた。 闇の全部が悪いモノじゃないってことを知ることが出来た! だからこの回り道は、無駄なことなんかじゃない。
ありすちゃんの言葉に、彼女を抱きかかえている手とは逆の手をぎゅっと、血が出ても構わない位に強く握りしめる。
「そうしたい。 そう出来たら良いなって思ってる。 後ろから背中を押すんじゃない、手を引いて前を歩いていくんじゃない。 ベリアルさんの隣に並んで、一緒に、悩んでもいいから少しくらい迷ってしまってもいいから、それでも一緒に、歩いていきたいんだ 」
それが僕の決めた覚悟。 僕が進みたいと思った唯一の道。 そんな僕の覚悟を隣で聞いたありすちゃんは、憧れるような羨ましいような顔を僕に一瞬だけ見せると、抱きかかえていた腕の中から飛び降りて、過去行きの道の前に立った。
「すごいわ。 もう一つの新しい道を見つけるなんて……でも、きっとおじさまなら
「……これは、扉? 」
ありすちゃんが過去行きの道へ手をかざすと、ゴゴゴゴと音を立てながら、今にも崩れ落ちそうな大きな扉を出現させた。
その扉を出現させると、ありすちゃんは身体をこちらに向き直し、ドレスの両端をヒラっと持ち上げて、ペコっと可愛らしくお辞儀をする。
「この扉をくぐれば、悪いおじさまの所に直ぐに行けるわ。 だけど気をつけて、その先で彼はかれじゃないかも知れない。 おじさまもおじさまじゃなくなってるかもしれない。──それでも、いいならこの扉を開けて? 」
ベリアルさんがベリアルさんじゃない、僕もぼくじゃなくなってしまう? ……意味は良く分かっていないけど、きっとそれは大切な事であるとありすちゃんの目を見て分かる。 それが分かった上で、僕は扉を開くために両手を添える。
「……ありすちゃん? 」
「ごめんなさいおじさま。 やっぱりあたしは悪い子だわ。 こんなに必死で、頑張っているおじさまにわがままを聞いてほしくて、足を止めさせてしまうのだもの 」
扉に手をかけた僕の服の端を、ありすちゃんが掴んでいた。 泣くのを必死に我慢しながら、自分のわがままは言っちゃダメな事なんだと思ったのか申し訳なさそうな顔をしている。
大人っぽいと思っていたありすちゃんが見せてくれた素の、子どもらしい感情。
「ありすちゃん。 わがままを言うのは子どもの特権で、それを叶えるのが大人の役目なんだ。 僕にできることなら教えてくれないかな? 」
「────。 お願い、お願いおじさまっ! あたしの一番大切な親友を! バットエンドへ向かってる
「任せろ!! 」
────────────────
「ベリ……アル……? 」
「そうだ、貴方はベリアル。 ウルトラマンベリアルだ 」
バケツ一杯に入った水を頭から被った時のように、消失しかけていた自我が、封印された知識が勢い良く身体全身に染み渡る。
ウルトラマンベリアルという名前を思い出したことによって、ナーサーリー・ライムが作り出した固有結界が崩壊を始める。今のベリアルは全てを取り戻したことで本来の姿を取り戻していた。
「────このオレが消えた方が、お前にとっては都合が良かった筈だ。 そのオレを、オレの名を何故呼んだ
「…………ああっ!!そうだ、僕の名前は博樹!宮原博樹だっ!! は〜っ、思い出せて良かった〜〜 」
“名無しの森”の効果を受けていたのはベリアルだけではなかった。 この固有結界に入った時点で、ベリアルと繋がっている博樹本人も知識の封印、自我の消失が行われていた。
そうだというのにベリアルの目の前で笑顔を浮かべている男は、自分の全てが消える中でベリアルの名前ただ一つだけの保ち続けて彼の名前を呼んだのだ。
「初めまして……ではないか。 あの燃え上がる炎の中で会ってますもんね僕たち 」
「何故オレの名を呼んだ!! 何故助けたのかとオレは聞いている!! オレは悪役だ! 地球を恐怖に陥れた敵だ!! 貴様が最も忌み嫌う存在だぞ? そんなオレを何故助けた!! 」
博樹と同じように、ベリアルも博樹の記憶と繋がっていた。だからこそ理解している、宮原博樹は悪を最も嫌う、ウルトラマンのような正義の味方を愛する彼がウルトラマンの敵であるベリアルを救うことはあり得ないと確信していた。 だがそれは、ベリアルの記憶に触れる前の宮原博樹だ。
「ははは。 確かに、地球を脅かす悪役、みんなを傷つける敵役。 それが嫌いな私にとって貴方は天敵といってもおかしくない。 ──けど、それは役として貴方を見た場合だ! テレビを通してしか知ることが出来ない、ヒーローにやられる為に悪事を働く役だから好きになれない……だけど貴方は違う!! 」
博樹は感情を隠さず、思い切りぶつけながらベリアルの咆哮に、怒りに臆することなく目の前まで歩いていく。 そうして握り拳を作った腕を、ベリアルの胸に押し当てながら彼の瞳を見つめる。
「現実の世界に、ウルトラマンのような完全無欠のヒーローなんて存在しない。みんな悩んで、迷ってる。喧嘩や争いごとだって終わらない。 けどそれが人間らしいって事で、そんな人間同士だから……仲良くすることが出来るんだ。────だからベリアルさん、貴方とだって 」
胸に当てた手を、ベリアルの鋭い手を掴もうと伸ばす。 その手を払いのけ、拒絶しようとするベリアルだったが、自分が傷つく事なんて御構い無しに博樹はその手を強引に握り、握手の形を取る。 握られたベリアルは、握り返せば容易く潰せると思いながらも、本来の身体で
「貴方とだって、僕は仲良くなれると思う。 そう思えたからここまで来た、貴方と一緒に歩きたいと思ったから貴方の名前を呼んだんだ!! 」
「歩く? お前もアイツと一緒で、このオレの闇を受け止めるとでもいうのか? 」
「う〜ん。 それはリクくんにしかジードにしか出来ませんよ。 ん〜そうだな、ベリアルさんの隣に立って、一緒に歩いて行きたいっていうのが僕の望みかな? 」
「このオレの隣……。 お前のような小さな存在がか? 」
「立てるさ、 だって貴方は私と同じ人間で、“父親”だ 」
────その男は、永遠に近い時間、気が遠くなるような時のなかでずっと、ず~っと復讐という名のいばらに閉じ込められていました。 出ようにも出ようにも、いばら消えてはくれません。
だけど、ある時そのいばらは一つ残らず消えました。 男にとって最愛の息子が、彼を閉じ込めていたいばらを取り払ってくれたのです。 男はようやく外の世界へ歩き出せる……その筈でした。 その筈だったのです。
いばらを抜けた先にあったのは真っ暗闇な森。 地図も、道しるべもない森の中をどんなに歩いても、男は決して出口へは辿り着けません。 入り口に戻ってきてしまいます。
そんな男の前に、小人が現れてこう言いました。
『僕が隣で一緒に歩けばもう迷わないね』
男は小人に聞きました。 この森を抜けるにはどうすればいいの? と
『簡単だよ、空を見ればいいんだ 』
そう言われて、男が空を見上げると真っ暗な空にポツポツと、小さな星が、眼を凝らさないと光っているのか定かではない星が両の手より少ない数、輝いていました。 もしかしてあれが? と男は疑問に思いました。
『今は少ないけど、歩いていけばあの星は増えていくんだ。 ほら、森を迷う中で君は他の誰かと出会っただろう? 』
そう言えば、と男は思い出します。 出口を探して歩いている内に男はこの小人とは別の小人に出会っていたのです。
何も持っていないけど笑顔が特徴的な小人。
力は無いのに、心に大きな盾を持った小人。
消えてしまいそうな小人のことを奮い立たせたこともありました。
他の小人より大きいのに、いつもおどおどしている子。
思い出しながら歩いていると、いつの間にか隣の小人の側に小さな人形が増えていました。何でも一緒にハッピーエンドを見るためについてくるのだとか。
そして隣の小人に出会う前に、男は出会っていたのです。 いばらを消してくれた男の息子によく似た小人を。
『なら、最初はその子に会いにいかなきゃ!! 何処にいたのか教えてよ、僕も一緒に探すから!! 』
そう言って隣の小人は繋いだ手を勢いよく振りながら男と同じ速度で歩いて行きます。誰かが自分の隣を、一緒の速度で歩いてくれる。 誰でも経験があるようなそんな当たり前の行為が、何故だが嬉しくなって男は笑顔を浮かべて隣の小人と一緒に歩いて行きました。
男はもう、迷いません。 空に輝く星を見つけることが出来たんですから。
そして、息子に良く似た小人を見て男は決めました。 森を抜けることを、隣で歩いてくれるこの小人と一緒に─────
『ここからが、スタートラインだ!! 』そう言って球体に包まれた博樹は、粒子が舞う不思議な空間に足を踏み入れていた。
そうして、何処からとも無く1本のカプセルを取り出し、前に突き出して起動させる。
「“レイブラッド星人!! ” 」
『レイブラッド星人』べリアルにとって何よりも因縁のある相手。 何処へ行こうとどんなに離れようとしても決して逃げることが出来ないと思われていた相手。 その力が込められらカプセルを、アリスが渡してくれたナックルに装填する。
「ウルトラマンべリアル!! 」
二本目のカプセルは、べリアルではその姿を見ることが不可能だった過去の姿。他のウルトラマンたちの姿が似ていたが、孤独に力を求め続けたそんな姿が込められたカプセルを起動させた。
そうして二本目のカプセルをナックルへ装填し、レイブラッド星人とべリアルのカプセルをライザーに読み込ませる。
”デモニックフュージョン!!”
「超えるぜ、覇道!! 」
博樹は強く叫ぶ。 ベリアルが今まで歩んできた、生きとし生きるモノ全てを蹂躙してきた覇道を超えたその先に行くんだと。 強い意志を言葉に乗せる。
“レイブラッド星人!!“
ライザーからその音声が流れるとともに、まるで怨霊のようにレイブラッド星人が博樹を背中から抱きしめてくる。
『ふはははははっ!!! 良くやった!! これで私は蘇る!! 手始めにこの地球を支配してやろうか!!! 』
「────!! ────────!! 」
レイブラッドの怨念が博樹の中へと侵入し、身体の支配を、精神を復讐という感情で蝕んでいく。その痛みは言葉に出来ないほどの苦痛が博樹の全身に駆け巡る。
(痛い! 痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!!!!!! 憎い!! ニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイニクイ!!!! )
怒りが、憎しみが博樹の精神を蝕んでいく。 ただそれだけを考える殺戮兵器に変えるために、自分の手駒にするために……。
それでも、その思いが駄目なものだと知っているからこそ、博樹は拒み続ける。
(駄目だ!! 駄目だニクイ! 駄目だ駄目だニクイ駄目だ!! コワス! 駄目だ! コワス! ニクイ! 駄目だニクイニクイニクイニクイコワスコワスコワスコワス!!!!)
否定しようにも、思考が悪性へと呑み込まれていく……。 全てを壊す、目に映るもの全てが憎い。 全身を駆け巡る痛みはソイツらを消滅させれば和らぐんだと……。
『『『『『警察のおじさん、おはよー!! 』』』』
『『『『博樹さん!! 』』』』
『お父さんっ!! 今度のショー楽しみだね!! 』
『もう、しっかりしてよお父さん!! 』
『大丈夫よ、ヒロくんは私のヒーローだもの』
「────! ぐうっ! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
『何っ!? この私の闇を超えたとでもいうのかっ!!ただの人間如きが? 馬鹿なっ!! 』
フラフラになりながら、身体から出て行ったレイブラッドの怨念に身体を向ける博樹。駆け出しながらその拳をレイブラッドへ向ける。
「はあ、はあ! あの人と歩くために、お前は邪魔なんだああああああああ!!!!!! 』
“ウルトラマンベリアル アーリースタイル!!”
「一緒に行こう、ベリアルゥゥゥゥゥッッッ!!!!! 」
完全にレイブラッドを消し去った博樹がライザーの起動ボタンを押しながら叫ぶ。
そうする事で只のエネルギーとなったレイブラッド星人の力と光のベリアルの力が博樹の身体を包み込んだ。
『レイオニクスにそしてこのオレの息子に退けられながら、何も学んでいなかったようだな。……良くやった宮原博樹 』
「さあ、行きましょうベリアルさん!! まずは目の前のアイツを、超えるんだ!! 」
そうして、全宇宙から恐れられた闇の巨人は、その姿を取り戻した。
【さあどうする!! コイツを倒すのにどれだけの時間を費やす!! 】
『そんなの決まってるじゃないですかベリアルさん。 …………3分間だっ!!! 』
“超えるぜ覇道”
ベリアルさんが今まで歩んできた道が覇道。その覇道を超えて、隣でベリアルさんと歩くと決めた博樹さんの覚悟の言葉。 超えるぜの部分は決まっていたけど、覇道の部分は色々悩んだ末にこれが一番かな~と。
“デモニックフュージョン”
アトロシアスの場合はここにアンリーシュが追加される。 フュージョンライズはジード及びベリアル融合獣の音声、ネオフュージョンライズはゼロビヨンド。 ならベリアルさんは? と考えた時これしかないと思ったため使用。 この小説を書くときに一番最初に決まったのはここら辺だと思う。
“宮原博樹vsレイブラッド星人の怨念”
ジードが完全に分離したため目の前に現れたの怨念の残渣のようなものかも知れないが、誰かを知ってる宮原博樹だから勝利することが出来た。 王道展開が大好き!