【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
幕間……というよりはやっぱりメインストーリーに絡んでいるイベントである監獄島イベはやろう。 ここラストで大切になる!!
キーワードとしては、マスターが2人であるからこその悩み
感想、評価お待ちしてます。
ご指摘、誤字脱字の報告いつも助かってます。
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【心を覗け。 目を逸らすな。】
なん……だろう? 声が、聞こえてくる……
【 それは誰しもが抱くがゆえに、誰ひとり逃れられない。 】
心に羽根がついたみたいに軽く、野鳥のように自由に飛んでいってしまうような、そんな感覚……。
【他者を羨み、妬み、無念の涙を導くもの。 】
羨む、妬む……そんな気持ちが、私にもあるのかな? 考えた事もなかった……
【──嫉妬の罪 】
「……先輩? 」
「どうかしたのかい、立香ちゃん? 」
ロンドンの特異点を修復してからかれこれ数ヶ月。ロンドンに行ってる間に年を越していて、あの後も色々な事があって大変だったから疲れてるのかな?
あの後っていうか、ロンドンに向かう前から結構大変だった記憶しか思い出せないんだけど……。
特に、エリちゃんのハロウィン騒動とぐだぐだ問題とか頭が痛くなることばっかりだったからな〜
『イタイイタイイタイイタイ頭が割れちゃう〜〜 だずげで〜まずだああああ〜〜 』
『あぎゃあああああイタイっ、イタイはこのボケ!! あ、すまん今のは謝るから強くせんでくれええええええええ!!!! 』
総じて原因になったサーヴァントはベリアルさんに頭鷲掴みにされて悶絶する羽目になってたけどね……。 エリちゃんもノッブもあれからしばらく大人しかったし。
「会話の途中で意識を失うなんて疲労が溜まっている証拠です! 」
「そういえば、所長さんの話を聞いてる時も、立香ちゃん立ったまま眠っていたっけ? 」
「あ〜その事は掘り返さないでください〜 」
「と、ともかくまずは先輩の部屋へ。 直ぐにドクターを呼んできますので── 」
そこで、私の意識は暗転した。
「ま……しゅ……? 博樹……さん……? 」
「先輩!! 先輩!! 聞こえていますか!? 先輩!! 」
突然、本当に突然に立香ちゃんが立ったまま、しかも目を開けたまま意識を何処かへ飛ばしてしまった。 マシュちゃんと一緒に何度も呼びかけているけど反応がない事から、急を要することだと理解した私は、一体化しているベリアルさんの手を借りるために胸に手を当てて彼に呼びかける。
『恩讐の彼方へと連れて行かれたか 』
『おん、しゅう? それって── 』
『そんな事はどうでもいい。 藤丸立香を即刻自室へ連れて行け、このままだと死ぬのが早くなるぞ 』
ベリアルさんの言っていたおんしゅうの意味とかは良くは分からないけど、死ぬという単語に強く反応して彼の言う通り立香ちゃんを抱き上げて、急いで自室へと連れて行く。
以前までの私だったら立香ちゃんぐらいの子を抱っこしたまま走ったら直ぐに息切れしていただろうけど、これもベリアルさんと一体になった事による恩恵に感謝しながら廊下を全力疾走で走り抜ける。
「先輩……!! 先輩…………!! 」
あれから優に2日間もの時間が経っていた。 立香ちゃんが起きる気配はなく、マシュちゃんはそんな立香ちゃんのことを付きっ切りで見守っている。
「立香ちゃんのバイタルに異常は見られない。 魔術回路にもだ……眠り続けている以外は至って健康だ。 今はた“眠っている”と言うしかないが…… 」
ドクター、ロマニさんはそう言いながら私の方へ視線を向けてくる。……ああ、ベリアルさんの事を見ているのかな?
あれから、ベリアルさんは私に応答にも応えてくれなくて、助けたいけど私では何も出来ない。
「ベリアル。 君は今の立香ちゃんの状況が……何が起きているのか全部分かっているんじゃないかい? 」
「すいませんロマニさん。 どうにもベリアルさん何か考え事してるみたいでどんなに呼びかけても出っ! ……藤丸立香は今、魔術王を名乗っていたあの蟲の策略の檻に囚われている 」
出て来てくれるとは思っていなかったら心の準備する間も無く、身体の支配権がベリアルさんへ移った。 まだ、この感覚慣れてないからイキナリは辞めて欲しいんだけどな〜。
そんな事を考えてると、マシュちゃんとロマニさんが顔色を変えて詰め寄ってくる。
「ままま、魔術王の罠だって!? 今の立香ちゃんはサーヴァントすら連れていけない状況なんだぞ!! も、もしかしてこのまま…… 」
「ドクター!! 滅相もない事を言わないでください!! ベリアルさんっ!! 先輩を助ける方法は無いんですか? 」
「……何をしなくてもアイツは出てくるだろうと踏んでいた。 だが、コイツは今、自分が目覚めることを良しとしていない 」
立香ちゃんが目覚めることを否定してる? そんな……そうだったら既に魔術王の罠で死んでしまっているんじゃ……。
そんな事を考えていると、ベリアルさんが2人の事をどかして立香ちゃんが眠っているベットへと近づいていく。 そうして、マシュちゃんが座っていた椅子に腰をかけるとベリアルさんが立香ちゃんの手を握る。
「聞いているだろう宮原博樹。 藤丸立香が目覚めるまで、この手を離すな 」
これ位の言伝なら口に出して言わなくても伝わるのに、わざわざ口に出したのはマシュちゃんとロマニさんにもちゃんと聞かせるためもあるんだろう。
ベリアルさんが立香ちゃんの手を強く握り始めると、私の意識が表に出るのと同時に、一体になっているベリアルさんの魂のような物が手を通じて立香ちゃんに流れていくのを感じる。
『蟲如きの思惑通りにならないことは分かっている。 だがしかし、このオレが先に目を付けたんだ。 たかだが14年復讐を募らせただけの奴にそう簡単に渡すと思うな 』
【立香ちゃんの精神への侵入】
ノアの人から人へ移っていくあの力? 能力の代用のような事をやってのけている。
ベリアル自身の肉体が完全に失われている今という状況だから出来る荒技。
博樹と契約しているため彼の魂から蜘蛛の糸を垂らして立香ちゃんの精神へ侵入しているといった感じ。
7つの罪渡り歩くと絶対に長くなるので、今回はメインだけどイベントということに着手して3〜4話で終わらせる予定。