【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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問題
 貴方使えるサーヴァントは2基。 敵は1ゲージ20万のHPを持っています。 こちらの攻撃は全てweak、相手からの攻撃はクラス関係なくnormalです。 どうやって攻略するでしょう? エネミーのチャージは5、宝具なしのEXアタック。
また、礼装の選択は自由。 マスター礼装はカルデア魔術礼装固定とする。

感想、評価お待ちしてます。
誤字脱字、ご指摘ありがとうございます。


3

「貴方は、人の生命を脅かしましたね。 私は一切の害ある者を赦しはしない!! 」

 

「かはっ!! はあ、はあ……メルセデス、さん? 」

 

 ベリアルに首を絞められ、持ち上げられ意識が朦朧とする中で、突然ベリアルさんの事をメルセデスさんが吹き飛ばした。

メルセデスさんの正体はサーヴァントだったらしく、彼女の治療を受けた私は意識がはっきりとしてくると、メルセデスさん、それと復帰したアヴェンジャーがベリアルさんと向き合っていた。

 

「本性をあらわしたようだな。 マスター、お前はこの女をか弱い人間だとでも思っていたようだが、此処に迷い込むは罪に爛れた魂のみ。 この女こそが“傲慢の罪”を背負いし女だ 」

 

「メルセデスさんが……裁きの……じゃああのベリアルさんも! 」

 

 ベリアルさんもメルセデスさんや、今まで超えてきたファントムやフェルグスさんの様な、私の知っている人を象った罪何だと思ったけど、それは間違いなのかアヴェンジャーは嗤う。

 

「クハハハ、それは間違いだぞマスター。あれは正真正銘お前の知っている男その者だ。怠惰、強欲、暴食、そして憤怒!! お前が超えるべき4つの罪を喰らうことで、漸くその身体をこのシャトー・ディフに現す事が出来る欲深き者。 まさか、このオレをも超える恩讐の持ち主がいようとはなっ!!! 」

 

「マスター、アレは全ての生命を脅かす存在です。 私はそれを赦す訳にはいかない、指示をお願いします 」

 

 アレはベリアルさん本人。 私が超えるべき筈だった4つの罪を持って此処までやって来た。最初は助けに来てくれたのかと思ったけど、そんな事のない。 ベリアルさんが向けてくるその殺気が本当のものだって、ずっと近くで見てきたから分かる。

 …………ベリアルさんは、私が歩く事を止めているって言った。 けど、私は今も歩き続けてる。 現に、この監獄塔から脱出するために奮闘していたんだから。 なら、今ここで証明してみせる。

 

「ベリアルさんを超える!! お願いメルセデスさん!! アヴェンジャー!! 」

 

「了解 」

 

「任せろ 」

 

 メルセデスさんとアヴェンジャーがベリアルさんに向かっていく。 地面を駆けていくメルセデスさんとまるで瞬間移動しているように移動するアヴェンジャー。 それを見てベリアルさんは自身の宝具である黒き鋼──たしか正式名称はギガバトルナイザーだっけ?──を呼び出して反撃の構えを取る。

 

「アヴェンジャー!! ベリアルさんの手から武器を離して!! 」

 

「クハハハ!判る判るぞ!! 貴様はこのオレと同じだ!! 復讐こそが本懐の獣!! あの男から話には聞いていたが、まさか此処までとはなっ!! 」

 

「……魔術も、力も、知識も何もない。 他のマスター候補どもと比べれば、アイツ……宮原博樹はお前に最も近しい存在だ。 だからこそ、自分よりもアイツの方が上だと、比べる 」

 

 青黒い怨念の炎をレーザーの様に放射させながら得意の超光速移動でベリアルさんに接近するアヴェンジャー。手をベリアルさんと似た爪の形に変えて彼に迫っていく。

ナイザーを一回転させる事でレーザーを無効化させたベリアルさんは、迫るアヴェンジャーの爪をナイザーで受け止める。

 アヴェンジャーの言葉に耳も傾けず、最近……博樹さんが目覚めてから思い始めていた気持ちを、見抜いた上で喋るベリアルさん。

 

「クククっ!! 案ずるなマスター!! 其れこそが愚かな人という生命だ。 他者と比べ、嫉み。 自らの成功の為ならば誰であろうが人の生を地獄へと堕とす!! 」

 

「ソレの愚かさを理解している。 だからこそお前は停滞を選ぼうとしている、宮原博樹に全てを預け、殻に閉じ籠ろうとな 」

 

 光速で地面を、空中を自在に動きながらベリアルさんに攻撃していくけど、それら全てを予知しているかのようにベリアルさんは捌いていく。 閉じ籠る……。 博樹さんに全てを任せればもう命のやり取りが紙に字を書くように簡単に行われる場所に赴かなくていい。 そう思うと気が楽になる……けど、今の居場所を博樹さんに渡すのは……

 

「健康な状態で生きているという事はそれだけで素晴らしい。 わざわざ、生命を墜とそうとする行為を、私は賛成しません 」

 

 良いの? 閉じ籠っていても、生きているなら私は戦わなくても良いのかな? メルセデスさんの言葉は、今の私の心に直接響いてきて、博樹さんに全部任せても良いのかなって気持ちが強くなってくる。

 メルセデスさんがレーザーが飛び交う中へ掛け行けていく。 アヴェンジャーも理解しているから当たる事は無いけど、迷わず当たってしまうかもという恐怖すら見せずベリアルさんとの距離を詰めたメルセデスさんが、彼の胸部に手を添えた。

 

「その外見に少々戸惑いましたが、どうやら体内の構造は人体と然程違いはないようですね。 私では、身体全体に存在する治療不完全な傷を開く事は出来ませんが……はっ!! 」

 

「ベリアルさんの肩をっ!! 」

 

 手を添えて何かをしたメルセデスさんは、ベリアルさんの両肩を掴み、ガコッ!と人為的に肩を脱臼させた。けど、そんな事にも動じずにメルセデスさんの事を蹴り飛ばしたベリアルさんの瞳は私のことを見続けてる。

 

「逃げたいのなら逃げろ。 それがお前の歩む道の答えならな 。 だが、遂げた後に残るのは空虚。 何も満たされない無惨な心だけだ 」

 

 ────空虚、何にも満たされない……心……。 言われても分からな……くない……。 カルデア来るようになってから見るようになった夢。 隔離された個室で、外の世界を知らずに何も知らない『空白』の心。 あの心は、とてもとっても寂しそうだった。

 

 そんな思想に耽っていると、肩を脱臼していたベリアルさんは超能力でナイザーを操りアヴェンジャーの事を倒し、ナイザーを無理やり自分の腕にぶつける事で脱臼も直していた。

 

「それを望むのならそうすれば良い。 捨てるのは簡単だ 」

 

「マスターっ!!! 」

 

(身体が宙に……!? 声も出せない…… )

 

 ベリアルさんが手を前に出すと、私の身体が金縛りにあった様に自由が効かなくなり、空中に浮かんで行く。メルセデスさんとアヴェンジャーが助け出そうと動いてくれるけど、独りでに動くナイザーに行く手を阻まれている。

そうしているうちにベリアルさんはもう片方の手も使い出し、超能力を使って監獄塔の瓦礫や石が私の周囲に集まっていく。

 

「貴方は彼女に何をしようと言うのですか!! 」

 

「孤独になる事を望でいる。 だからこそその手助けをしてやってるだけだ、身体を動かすことも、喋ることも出来ない只一人だけが収容される監獄に閉じ込める為のな 」

 

 閉じ込める!? じゃあこの瓦礫は私のことを、私だけの事を閉じ込める為の監獄を作る為の材料。 この監獄塔に閉じ込めらたけど、まだ自由があった。 脱獄するための方法や、歩く道があったけどベリアルさんが今作ろうとしてる監獄にはそれがない。

 

 その事を考えるだけで湧き上がってくる恐怖に抗う為に、如何にかしてでもベリアルさんの超能力から抜け出せないか全身に力を入れて抗う。

 

「どうした? 全て捨てると決めたんだろう? 宮原博樹に全て託し、自分は投げ出すのだと!! 」

 

 私がまだ抗おうとしてる事に気づいたベリアルさんが、無駄な足掻きは止めるように諭してくる。 博樹さんに全部任せて、私自身は眠っていろって物理的な方法で迫ってくる。

 

「全て、全て、全て渡してしまえ!! カルデアから背負わされたその使命も!! 」

 

 ベリアルさんのその言葉を聞いて頭の中を駆け抜けていくカルデア職員のみんなの顔、私なんかに本当に人理を世界を救えるのかって思ってる不安な顔。

 

『────う〜ん、今の僕に出来ること……。 あ、僕秘蔵のお菓子が欲しいって言ってもあげないぞ、もう何個君にあげたと思ってるんだい 』

 

 そんな中で、私に一際優しくれる頼りないけど、朗らかな笑顔を向けてくれる人がよぎる。

 

「お前が契約したサーヴァント供との信頼も!! 」

 

『────まあ、私も暇ですから? コイツが起きた時文句言うために此処にいてやるわよ 』

 

『────たっく、こんな所で立ち止まってんなってのマスター。 その背中叩いてやっから早く起きろよな? 』

 

『────ますたー。 ぼく、ずっとそばに、いる、よ? 』

 

 声が、聞こえた気がした。 私が……こんな私と契約してくれたサーヴァントたちの声が……。 そうだ、モードレッドと約束したんだった……私のジードを手伝って貰うって、このままここで諦めたらその約束も無駄になっちゃう。

 

「お前があの時手を取った、マシュ・キリライトとの絆も!! 全て渡してしまえ!! 」

 

「……だ 」

 

 あの日、炎に包まれる中で、自分が死んでしまうという状況でも私の身を案じてくれた優しい女の子。 いつも震えた手で盾を持って、戦えない私の代わりになって戦ってくれる少女。ずっと一緒に歩いてきたマシュとの絆も博樹さんに渡してしまえって、ベリアルさんが叫ぶ。

 

『────先輩、私は信じています。 先輩は必ず帰ってくると 』

 

「いやだっ!! それは全部私の、私だけのものだ!!! 」

 

 動かなかった身体が動くようになって、空中に身を投げ出された私だったけどアヴェンジャーが受け止めてくれて怪我なく地上に下ろしてくれる。

そうして私は、ベリアルさんに向かって私が今感じた感情をぶつける

 

「死にたくない! 誰かに全部任せて逃げ出したい!! けど、渡したくない!! 確かに私には何もない!! 他のマスター達が残った方が最善の結果を残せるかも知れない、博樹さんの方が世界を救う才能があるかも知れない!! だけど! 私が築いた絆は私だけのものだ!! 」

 

 どんなに行ったって、きっと私は博樹さんや才能ある他のマスターと自分の事を比べて、私自身の事を下に見てしまう。 けどサーヴァント達は別だ。

どんなに博樹さんや他の誰かと仲良く喋ってても、目に見える絆(令呪)も、目に見えない絆も築いてきたのは私自身だ。 それを誰かに渡すなんて絶対いやだ。

 

「他の人から見たら不恰好で、かっこ悪くて、醜いかも知れない。 最善だって言える道なんて私は選べない。 だけどそれでも良いって言ってくれた仲間がいるから!! 世界が救えなくても、私は私が進みたいって思った道に向かって、一歩ずつ地道に進んで行くんだ!! 」

 

 一気に本丸を叩くと、向かった特異点の問題を一瞬で解決するなんて事出来るはずない。 だから今まで通り、手探りで自分に出来ることを見つけながらその答えを地道に見つけていく。 多分、それが私には一番合ってると思うから。

 

「────そうだ。 その目だ 」

 

「えっ? ベリアル……さん 」

 

 今までピンピンしていたはずのベリアルさん身体が突然薄くなっていく。 サーヴァント達が消える時と一緒の現象なんだろうけど、なんで? メルセデスさんの攻撃やアヴェンジャーの攻撃が少しは当たってたのは分かるけど、消えるまでではないはずだよね!?

 

「後はソイツに出口まで導かれろ藤丸立香 」

 

「────ククク、こうまで俺とあの女を殺しておいて良く言う 」

 

 今気がついたけど、アヴェンジャーもメルセデスさんも立っているのが不思議なくらいの重傷を負ってる。 もう戦う理由もないから、ベリアルさんは一人勝手に帰るって言ったのかな? そんな事を考えていると、後数秒すれば完全に消えるベリアルさんが私に話しかけてくる。

 

「覚えておけ藤丸立香。 何も考えずに伸ばしたお前のその手に、救われるヤツもいる事をな 」

 

 それだけ言って、ベリアルさんは消えていった。

 

「クハハハ!! そうか、そうかそうか!! 理解したぞベリアルっ!! 種の罪、悪性全てを被った男よ!! 不完全な状態で何故この場に姿を現したのかと思ったが……そうか!! あの男が お前のファリア神父かっ!! 」

 




回答
 メルセデスが倒れないようにスキルや宝具を使いながら、アヴェンジャーで星出しまくって人型特効でぶん殴る。

・今回のべリアルさんは4つの裁きを吸収する事でどうにか姿形を保っている状態。 それでも並みのサーヴァントじゃ相手にならないレベル。 メルセデスさんの人型特効はやっぱり強いよ。

『触診』 漫画版監獄塔で見せたメルセデスのスキルのひとつ。 対象の身体に触れるだけでその肉体の弱点、傷口などを一瞬で理解する。


次回は監獄塔エピローグ


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