【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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新しいウルトラマン、「ウルトラマンタイガ」が発表されましたね。
正直な話、フーマ、タイタス、トレギアよりも気になるのはギンガとの関係性
未来から来たとされてるギンガ。 本編では何かとタロウと絡みがあったし、もしかしたらその息子のタイガの弟子がギンガなのかも? とか考えるだけでワクワクします。
もしくはトレギアがギンガの中の闇を見出し、抜き取ることでルギエルを生み出したとか、ギンガに続く物語だったら最高だな〜っと



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「オレは1度でも味わってみたかった。 かつてオレを導いた敬虔なるファリア神父のように…… 」

 

 絶望に負けない者が、彼の希望として送り出すこと。 勝利を知らないでいた、勝利の味を知らないそれが巌窟王。

 

 べリアルさんも、メルセデスさんもこの監獄からいなくなって、最後に残ったアヴェンジャーが、なんで私がここから出る事に協力してくれたのか教えてくれた。

 

「オレはオレをもて余した。 だからこそ、復讐に身を染めた存在は希望を見ることは叶わないと思っていた 」

 

「その考えが、変わったの? 」

 

「勝利を選ることは不可能だった!! だが、オレはお前に希望を見た!! 永劫の復讐に呑まれた者が希望と認めるほどに“耀き”を! お前はこのオレに魅せた!! 希望を見るには、充分な結末じゃあないか 」

 

 アヴェンジャーは、私とべリアルさんをファリア神父が希望を見いだした自分(エドモン・ダンテス)のことを重ねたのかな?

アヴェンジャーは希望を見つけたから、このまま消えて私のことをこの監獄から出そうとしてくれる。

 

「……べリアルさんは私のファリア神父なのかどうかは、今もわかんないよ。けど私は歩き続ける、あがき続けるよアヴェンジャー、世界を救うためにじゃない。 自分が結んだ絆を絶たないために 」

 

 そう言いながら、私はアヴェンジャーに向けて手を伸ばす。 この監獄塔で結んだ絆もここで終わりにしたくないから。

そんな私の事を見て、アヴェンジャーは有り得ない物を見るような目を一瞬だけ私に向けるけど、直ぐに「ああそうか」って小さい声で納得すると、この監獄塔で見慣れた高笑いを始める。

 

「クハハハハハハっ!!! そうか、お前は光りも通さぬこの監獄で掴んだものすらも離さないというか!! あの女のような強大な願望には届かないにしても、人ひとりが持つには十分な傲慢じゃないか!! 」

 

「また、会えるよね? アヴェンジャー 」

 

「ふっ、再会を望むならオレはこう言うしかあるまい 」

 

 

 

 待て────しかして希望せよ

 

 

 

 ────────────────

「んっ…… 」

 

 久しぶりに、感じる光がとても眩しく感じながら目を覚ました。誰かが私の手を強く握っている感触に目を向けるとその綺麗で大きな瞳に涙を浮かべながら安心した顔をしたマシュが立ってた。

 

「先輩!! 良かった!! 本当に良かったです……!! 」

 

「ごめんマシュ、心配かけちゃったよね……」

 

 目元に浮かぶ隈から何日も寝ずに私の事を心配してくれてたんだなって分かる。

泣いてるマシュの事をあやしていると、マシュが握っていたのとは逆の手に誰かがさっきまで握ってくれてた温もりが残ってることに気がついた。

 

「アイツならお前がすぐに目覚めるっつって外に出ていったぜ? 」

 

「モードレッド。 アイツって……べリアルさん? 」

 

「はい。 先輩の意識が囚われていた場所、そこにべリアルさんが向かっている間、博樹さんが眠らずに先輩の手を握り続けていたので睡眠をとりに行ったのかと……先輩っ!? すぐに立ち上がるのは危険です!! 」

 

「ごめんマシュ……私は今、博樹さんに言わなきゃいけないことがあるんだ…… 」

 

 ベットから降りようとする私の事を止めようとマシュ、それにドクターが止めにくるけど、私はそれを断って無理矢理にでも立とうとする。 結構長い時間眠り続けていたせいで腕に力が入らない。

 

「たっく。 ほらよ 」

 

「わっとと……モードレッド? 」

 

「アイツんとこ行くんだろ? だったら早いとこ行くぞマスター 」

 

 マシュの後ろに控えてたモードレッドが腕を掴んで私の事を強引に立ち上がらせ、支えてくれる。

 

「マスターの事支えんのはお前の仕事だろマシュ。 片側空いてっからお前も支えんのは手伝え。 重いったらないぜ 」

 

「は、はいっ!! 」

 

「モードレッド……私、そんなに重くないんだけど…… 」

 

 

 

 ────────────────

 

 

 

「博樹さんっ!!! 」

 

 立香ちゃんが目覚めると言って、身体の主導権を握ったベリアルさんは立香ちゃんが目覚めるのを見ることなく部屋から出て行ってしまった。 私の身体から離れている間何があったのか聞いてもベリアルさんは答えてくれないもんだから、流石にずっと起きてたから眠ろうとすると、後ろから声が聞こえてきた。

 

 その声が聞こえたかと思うと、突然ベリアルさんが身体の主導権を私に返してきたもんだからびっくりして躓きそうになってしまう。

それを何とか耐えて後ろを振り向くと、そこにはモードレッドちゃんとマシュちゃんに両肩を支えられながら、その後ろではロマンさんが心配そうに見守りながら立ってる立香ちゃんがいた。

 

「良かった立香ちゃん。 目が覚めたんだね 」

 

「はい。 マシュから聞きました。 ベリアルさんの事をあの場所に送るために、ずっと手を握ってたって。 ありがとうございます 」

 

 だけど!! と、そう言って立香ちゃんは支えてもらってるモードレッドちゃんの肩か離れると、その腕を私に突き出してきた。

 

「私、負けませんから!! ただそれだけ、今言っておきたかったから…… 」

 

 それだけいって、立香ちゃんは珍しく怒ってるロマンさんに連れられて医務室に向かっていった。 私もそれに着いていった方が良かったのかも知れないけど、まさか立香ちゃんから「負けない」なんて競うような言葉が向けられるとは思わなくてその場に立ち尽くしてしまう。

 

「は、ははは。 負けない、負けません……かあ 」

 

(なんだ、気でも触れたか )

 

「いいえ、そうじゃない。 そうじゃ、ないんです…… 」

 

 今の言葉で、立香ちゃんがどうして眠り着いていたのか何となくだけど分かってしまった。立香ちゃんはきっと、同じマスターっていう立場の私と自分の事を比べてしまったんだ。 私よりも、自分の方が劣っているってそう言う風に思ってしまった心を狙われてしまった。

 

 

 

 

 

 

 そんなことあるはずないのに……。

 私は、肩を担ぐのが面倒くさくなったのかモードレッドちゃんにお姫様だっこされて連れていかれてる立香ちゃんの事を見ながら、思い出していた。

 

 ベリアルさんが私と契約してくれたのは偶然で、私は最初、悪のウルトラマンであるベリアルさんの事を拒絶していた。彼の記憶と向き合っていくうちに、私はベリアルさんの事を受け入れる事が出来たんだ。

 

 だけど、立香ちゃん。 君は違う

 

『あの、貴方は何て言う英霊……なんですか? 』

 

 怖かったと思う、誰とも分からないその人に。 誰も出来なかったことを一番最初にやったのは君なんだ。

 だから立香ちゃん、私は君が何よりも羨ましく映るんだ。ベリアルさんの手を最初に掴んだ君のことが……

 

 

 




次回はナーサーリー・ライムの幕間を予定してます。

ゲーム本編では自身を導き、最後には監獄塔から脱出した主人公に希望を見出し縁を結んだ巌窟王でしたが、この小説ではベリアルと立香ちゃんの関係に希望を見出す事で、そして立香ちゃんの強引な手により縁を結びました。…………立香ちゃんのメイン鯖にはならないよ?


ウルトラヒーローズEXPO2019 in SUKAGAWA にいってきました。
ジード好きは見たほうがいいとの事で見に行ったら……ジードが最高でした。 新フォームと言っても過言じゃない最高の戦いかた、あんなん惚れるに決まっとんやろ!!

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