【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
2部4章のインド組のお陰で彼らへの理解も深まり、どうベリアルさんと絡んでいくのかお楽しみにください。
と、言っても授かりも施しも最初は出番ありませんが………
感想、評価お待ちしてます。
誤字脱字、ご指摘ございましたらよろしくお願いします。
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【古き友は言った。
物事を始めるチャンスを、私は逃さない。
たとえマスタードの種のように
小さな始まりでも、芽を出し、根を張ることがいくらでもあると 】
「〜〜〜〜っ!! 」
痛い……。 カルデアにコフィンの中からレイシフトを開始する音声が流れたと思ったら一瞬で別の場所に移ったものだから驚いて転んでしまった。 ベリアルさんの記憶ごしにではあるけどレイシフトは何度も見ていたから大丈夫だと高を括ったのだが駄目だったみたいだ。
「ははは、ごめんね立香ちゃんマシュちゃん。 来て早々かっこ悪い所見せちゃって……あれ? 立香ちゃんとマシュちゃんは? 」
(ここにはいない。 どうやら別の場所に飛ばされたようだな )
私の中にいるベリアルさんが軽い感じでそう言うけど、辺りを見渡してみても立香ちゃんたちの姿が見えないから本当のことのようだ。
慌てても何も始まらないため、私は深呼吸をして落ち着いて辺りをよく観察する事から開始する。 石造りの灯りも何も付いていない暗い道、ベリアルさんとの一体化のお陰で暗くてもハッキリと見える暗くても平気だけど……天井が見えるからどうやらここは室内のようだ。
「う〜ん、ロマニさんたちが言っていた話と違うぞ? レイシフトは安全を十分に考慮して拓けた場所に転移するようにしているんじゃなかったのか? 」
目覚めてから今日に至るまで、立香ちゃんよりも魔術面でもレイシフトに関しても知識で劣っていたため、時間があれば勉学に励んでいた。その事から室内に転移されることは可笑しいと感じる事が出来たけど、カルデア側で何か不具合が起きたのか? 通信しようにもそちらの方もまともに機能しないため確認の使用もない。
(他の人間がいようがいまいが関係はない。 いいから進め )
「確かにベリアルさんの言う通り、ただ立ち止まっているよりかは少しでもこの特異点の状況を調べておいたほうがいいかな、どう思うアリスちゃん? 」
『悪いおじさまの考えにさんせいね。 この先にわたしたち以外のサーヴァントの反応をかんじるからそこへいってみましょう? 』
私の服の腰にかけてある本。 正確には本の英霊であるアリスちゃんにも意見を聞いてみたけどどうやらベリアルさんの考えに賛成みたいだ。
立香ちゃんがマシュちゃんを連れてレイシフトを行うようにアリスちゃんを連れてきたけど、この特異点修復大丈夫かな〜?
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「君が、ここに囚われているサーヴァント? 」
あれから前を先行してくれるアリスちゃんの後を付いていくとそこには本当にサーヴァントがいた。 途中ここに来るまで私たちがレイシフトした場所が監獄だってこちは分かっていたけどその不自然さに目がついた。
この監獄に収容されているのは目の前にいる女の子を除いて誰一人としていなかった。それはまるで赤い髪を2つ結びにした女の子を囚えるためだけに機能しているようにみえる。
「……私はシータ。 コサラが王、ラーマが后です 」
后……お姫様ってことか! シータちゃんは最初私たちにことを警戒していたようだけど、どうやら私たちが人理を修復するために来たって事が分かったみたいで友好的に話しかけてくれた。
そのお陰でわたしたちへ、この特異点の問題とシータさんが囚われている理由を教えてもらった。
「そう、だったんだ。 じゃあいまからこに牢屋を壊しちゃうからそのラーマさんに会いに行こう!! 」
「────それは非常に嬉しい提案ですが……無理なのです。 私がラーマ様に会うことは、不可能なんです 」
「えっ? なん「呪いよおじさま。 とっても、と〜っても悲しい呪いよ 」アリスちゃん? 君は知ってるの? 」
寂しそうな、悲しそうな顔をしているシータちゃんにその理由を聞いてみようとすると、同じように悲しんでるアリスちゃんが本の姿に変わり私の手に収まった。
「“ラーマーヤナ”…………? これを、読めばいいのかな? 」
アリスちゃんが私の言葉に反応するように本が開かれる。 そこにはラーマさんとシータちゃんの2人に話が、英雄の知識が殆どない私にも分かりやすいように簡潔にまとめられていた。
【唯一人間でしか倒せないと謳われる羅刹の王ラーヴァナ。その魔王を倒すためにヴィシュヌという神様は、自分の全てを忘れて1人の人間に生まれ変わった。その人がシータちゃんが言っていたラーマさん。 皇子として生まれたラーマさんだったんだけど色々な障害によって后であるシータちゃんと一緒に国を追放されてしまう。
不幸はそれだけでは終わらない。シータちゃんがラーヴァナによって連れ去られてしまったんだ。
連れ去られたシータちゃんを取り戻すために、ラーマさんは14年間もの間戦い続けて、遂に魔王ラーヴァナを倒しシータちゃんを救い出した
「………… 」
普通なら、シータちゃんを助けたラーマさんは幸せに暮らしました。 そうなるのものだけど、それじゃあまさラーマさんの不幸を終わることはない。
アリスちゃんが言っていたとても悲しい呪いはここからが本当の始まりだった。
『貴方はたとえ后を取り戻すことができても、共に喜びを分かち合えることはない。 絶対に 』
14年も戦いの中で起こしてしまった失策、敵を背中から騙し討ちすることで勝利を掴んだことで、敵の妻から掛けられた呪い。
その呪いによって取り戻したシータちゃんとラーマさんは永遠に引き離されてしまった…………。 】
私は、最後まで読みきることは出来ず本を閉じシータちゃんに話をする。
「────呪いは、今も2人を? 」
「“離別の呪い” 死した後、サーヴァントになっても私とラーマ様の呪いは消えることはありません。 ですが、この人理の危機という特殊な状況ならもしかして、あの方に会えるのでないかと期待をしたのです。……可笑しいですよね 」
(変われ )
えっ? ベリアルさん!? ラーマさんとの再会を信じているのに、諦めているようなシータちゃんに可笑しくなんてないと答えようとしたら、突然ベリアルさんに身体の支配権を奪われてしまう。 ベリアルさんは手に持っていたアリスちゃんのことを後ろに放り投げると、鉄格子に手をかけシータちゃんの事を上から睨みつける。
「もうひどいわっ! 悪いおじさまでしょ!! レディにちゃんとやさしくしないとダメなのよ!! 」
「貴方は……? 博樹さんとは、違いますね…… 」
「哀れだな。 裏切られその命を落とした貴様は、それでもなお信頼を寄せているその目は、余りにも滑稽だ 」
「────あれは、
ベリアルさんに詰め寄られたシータちゃんは、その圧にも負けずに自分が命を落とした原因をたった一言で片付けてしまう。 スゴイと……その真っ直ぐな瞳を見ながら私はただただ驚くしか出来なかった。
仕方がない、それを言うのは誰にだって出来る簡単な一言かもしれない。 けど、民の疑い、ラーマさんの疑い、ベリアルさんの言う通り裏切りだって思うことの方が普通なのに、憎むのでもなく、悲しむのでもなく、その事実を受け入れてシータちゃんは『仕方がない』の一言で片付けしまうほどに強かな想いを見せてくれた。
────ああ、そっか……
「シータちゃんは、ラーマさんのこと本当にほんとうにっ、大好きなんですね 」
「はい。 私はラーマ様のこと愛しています 」
ここは……星雲荘? …………いいや違う。 リクくんの私物や生活用品が一つも置いていないし、何よりここで誰かが生活している様子も感じられない。
(ってことはリクくんがウルトラマンに変身出来るようになる前の時間なんだ。 でも何で今になってここに? )
星雲荘は元はと言えばストルム星人である伏井出ケイが乗っていた宇宙船で、彼はここで盗み出したライザーとウルトラカプセルを解析して怪獣カプセルの開発をしていたと思うから、伏井出ケイがいるものだと思っていたけれど、一向に姿を現わすことはない。
何も起きないことに疑問を抱いていると、突然この基地の報告管理システム──のちのレムが起動し始めた。
『何者かの侵入を確認。 照合を開始します──────完了。 思念体ではありますが照合の結果貴方はマスターが懇意にしている存在、ウルトラマンベリアルですね 』
『御託はいい。 ストルム星人が生み出したこのオレのクローン……いいや、オレの息子が戦士に変わるための道具を出せ 』
秘密基地へ侵入してきたのは、思念体のため身体が透けているが確かにその姿はベリアルさんだった。
彼は報告管理システムにリクくんが変身するための道具、ライザーや装填ナックル、そしてウルトラマンのカプセルだけが起動していて残りはブランク状態のカプセルを出させた。
一体、何が起こるっていうんだ?
5章はメインタイトルに〜この宇宙を回すもの〜としていることもありO-50……というよりナイチンゲールの友だったであろう女の子を少し……。
そしてもう一つはベリアルさんが知らない感情を持っているであろうサーヴァントたちとの関わりをメインに添えていく章になると思います。
2部4章のアルジュナ(オルタ)、アイツ簡単に言えばルーゴサイトみたいな存在だったと感じずにはいられませんでした。 てかそう思ってから第3再臨辺りの姿が擬人化ルーゴサイトに見えてくる不思議。