【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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やっぱりジードってイケメンだよな〜と、Zのスペシャルムービーに出てくるライジングギャラクシーを見て思いました。

難産ばかりの5章でしたが、後多分3話くらいで終わるような目処が立ちました。長かった……。

感想、評価お待ちしてます

誤字脱字、ご指摘ありましたら気兼ねなく


7

「ベリアルゥゥゥ!!!」

 

 堅く閉ざされ、外部からの侵入者を拒んでいた黄金劇場への扉。その扉を力だけで強引にこじ開け中へと入った私たち。 ベリアルさんが侵入した影響なのか、黄金劇場には火の手が上がり崩壊が始まっている。

 

 そんな中で、この劇場を創り出した張本人であるネロさんが大粒の涙を瞳に貯めながら駆け寄ってくる。

 

「お主、余の劇場を燃え上がらせるとはどう言う事だ!! 入ってくるにしてももっと、こう……やり方というものがあるだろう!! 確かに、侵入も脱出も認めない劇場を創ったのは余なのだが……

 

「邪魔だ。 お前に用はない」

 

「ぬおっ!?」

 

 彼女に謝ることもせず、頭を掴み上げてジェロニモさんが戦闘している方へと放り投げ、自分は敵であるメイヴへ向かって歩いていく。

 

「どうやってる。貴様はどうやってその感情を振りまいてやがる、コノートの女王?」

 

「なっ、何よ何なのよその目はっ!! そんな目でこの私を見るんじゃないわよ!! クーちゃん、ヤっちゃって!!」

 

 ベリアルさんから向けられる目を見て怯えているのか、彼女は自身の人差し指を刃物で切り、漏れ出て来た血を地面に落とすとそこから大量の兵士が産み出す。

 

 一気に数十を超える軍勢を創り出し、その軍を率いるように前に出てきたのが、さっきベリアルさんが言った作り出された王──クー・フーリンが私たちの前に立ち塞がる。

 

「そうか、アレでケルトの兵士たちを増産していたのか」

 

「奴さんを止めなきゃ何も止まんないってのは本気もんだったって訳だ!!」

 

「流石にあの数じゃ彼でも不味いんじゃないの?」

 

「しかし!! コチラもアルジュナを止めることで手一杯だ! どうするベリアル!!」

 

 アルジュナを止めている4人がベリアルさんを心配する声をかけてくるけれど、心配はいらないと思う。 

 

「死ね」

 

「貴様に用はない、邪魔だ」

 

 変な感覚だ。目の前に立っているはずのクー・フーリンの事を、ベリアルさんは映していない。ぼやけて見ている

 振るわれた槍を虫をはらうように片手ではらい飛ばすと、相手の反応速度を超える速さで動き殴り飛ばした。

 

 殴られたクー・フーリンは防御もできずメイヴの後方へと叩きつけ、残りの軍勢のことはギガバトルナイザーを大きく振るうだけで発生する衝撃波だけで全員一瞬で消滅させた。

 まあ、次いでと言ったらあれだけど劇場の崩壊がまた進んでる

 

「ああああ余の劇場がああああああ!!」

 

 ごめんネロさん。 ベリアルさんが……ウルトラマンが建物を壊さずに相手を倒すなんて多分無理だと思う。

 

 

 

 

────良い男が好きだ

 

────強い男が好きだ

 

────それが自分に屈服しない男ならば、更に好きだ

 

────いたぶり甲斐がある男ほど大好きだ!! 

 

「(何よ……何なのよ、コイツはっ!?)」

 

 コノートの女王、恋多き女であるメイヴが必然的に湧き上がる感情。男を見たら必ず品評し、その価値、クラスを決定づける。

 それこそがメイヴが英霊としての特性のようなもの。しかしメイヴは目の前に立つ男──ベリアルに対してそれが出来なかった。

 

 恐怖────メイヴが男を見て最初に湧き上がった感情がそれだったことなど、これまで一度もなかった。

 

 けど、クー・フーリンなら? 自分が今まで見てきた男たちに中で誰よりも、何よりも強い私の王なら何とかしてくれると……そう思った。

 兵士たちを産み出したのはクー・フーリンへの不安ではなく、肉壁として役立てだてばいいと思ってのことだった。

 

「(クーちゃんを一撃で……!? コイツ、何なのよ!!)」

 

 だから目の前で起こった惨状がメイヴには理解出来なかった。 クー・フーリンをたったの一撃で沈め、産み出したのはケルトの軍団は一瞬で塵へ還された。

 ケルトの勇士たちも荒唐無稽な事を為す存在はいるが、この男はそれを遥かに逸脱している。勝てる筈がない、そのビジョンが浮かんでこない。

 

 インドの大英雄であるアルジュナを呼ぼうにも、ネロが加わった4基のサーヴァントを相手取るのに手間取っていてコチラに力を貸すのは無理だ。

 

「さあ答えろ、お前の振るうその感情の根本を」

 

「はあ? (コイツ何言ってるのよ? 私がクーちゃんを産み出した理由? その感情ですって?) そんなの決まってるじゃない! 私がクーちゃんのことを()()()()()からよ!!」

 

 ベリアルに迫られたメイヴは自信満々にそう答えると、続けざまに自身の思いを爆発させる。

 

「アルスターの男たちの中で、唯一、私が『欲しい』と思っても私のものにならなかった男がいた。それがクー・フーリン!! この私の顔に泥を塗った、なびかなかったあの男を手に入れるために聖杯に願ったのよ!! 私だけの「長い」んぐっ!」

 

「どれだけのモノを持っているのかと期待したが、先の2人と比べてれば、お前は何処までも薄っぺらいな」

 

 メイヴの熱意は、話している最中に口を掴まれて強制的に中断される。

 そうしてベリアルは、掴んだメイヴのことをゴミをポイ捨てするように投げ捨てる。

 

「薄っぺらいですって……? 私のクーちゃんへに思いが薄っぺらいですって! ふざけてんじゃないわ!」

 

「真実だろう、だからこの程度のヤツしか産み出せない」

 

「グアアアアアっ!!」

 

 メイヴの怒りに対して、ベリアルは壁に叩きつけたクー・フーリンを打ち上げ、彼の腕をメイヴの目の前で引きちぎって見せた。

 

「あ、あああ、クーちゃん……」

 

「たった1人へ向けたその程度の感情が、お前の本音だと? 笑わせるなよ」

 

「────ッ!!」

 

 事実だった。 メイヴにとってクー・フーリンは確かに、他の男たちと比べたら特別なのかも知れない。唯一自分になびかなかった男、自分の物にならなかった男、しかしそれだけでしかない。

 全ての男の恋人であるメイヴにとって結局の所、クー・フーリンすらもその中の1人でしかない。

 

 けどそれは、他の誰かに指摘されていいものでは決してない。メイヴという英霊にとっての本質…………

 

「知ったような事言ってんじゃないわよ……!!」

 

 だからこそ、怒りが爆発した。

 先程までベリアルへの恐怖で動けなかったはずのメイヴは、()()()()()()()だけでその恐怖を払い退けてみせた。

 そして、ただ怒りをぶつけるのではなく、逆に冷静さを取り戻したメイヴはベリアルが何を考えているのかを思案する。

 

(なんでコイツは、こんなにも責め立ててくるくせに手を出してこないの? コイツ程の力ならクーちゃんや私、それにアルジュナのヤツだって一瞬で殺せるはずなのに……)

 

 ────ああ、そうかと

 女として何人もの男を落とし、見てきたメイヴだからこそベリアルが何を求めているのか気付けた。

 コイツは私の口から聞きたいんだ。私の人生すべてを埋めたこの感情が何なのかを、嘘偽りのない本音を求めているんだと……

 

(はっ、じゃあ見せてあげようじゃない。女王メイヴのホ・ン・ネってヤツを!!)

 

 ならば乗ってやろうと、男に求められたなら応えるのが私だと言わんばかり、メイヴはベリアルへ向かい合う。

 コイツは言葉を求めているから攻撃はしてこないと確信があるからできること

 

「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私はメイヴ! コノートの女王、全ての男に愛されるものよ!!」

 

 自分を変えない。男に良い顔をしている時こそが本当の自分なんだと言わんばかりに、堂々とベリアルへ自己紹介を始める。

 

「一目見て惚れさせるだけじゃだめ、私に尽くし、私にすべてを捧げる男にするために、私自身が女を磨くのよ!! 誰よりも美しく、誰からも愛されるために! 誘惑し魅了できる最高の自分を作り出すのよ! それが女王メイヴにとっての愛ってものよ!! いい、私は男たちを愛する以前に、私自身のことが大好き! 愛してるのよ!」

 

 愛されるために、誰よりも自分のことを愛し、磨き続けることを怠らない。 

 自分が努力している姿を決して他人には晒さないメイヴが、ベリアルにはそれを伝えた。

 

「はっ────はははははははははっ!!! そうか、そうか! それが愛情という感情か!」

 

 メイヴの言葉を受けたベリアルは、笑いながら今まで理解できなかった愛情を知ることが出来たと喜びの声を上げる。

 そんなべリアルの表情を見て、メイヴはきょとんとした。

 

「あらなによ、アンタそんな顔できたの? いい顔するんじゃない」

 

()()()お前に言葉により、オレは愛情という感情を知った。 その礼だ。お前らで言うところの“ゲッシュ”を立ててやる」

 

 ベリアルの唐突な一言に、メイヴは目を見開いて驚いた。

 それもそのはずである。ゲッシュとはメイヴたちが生きたケルトの時代において、厳守すれば神の祝福が得られるが、一度破れば禍が降りかかると考えられた最も尊重しなければならない制約である。

 メイヴはこのゲッシュを用いることでクー・フーリンを破滅へ追い込んだ歴史があるため、誰よりもゲッシュの恩恵、恐ろしさを知っている。

 

「アンタ、本気で言ってるわけ? この私にゲッシュを立てるなんて……」

 

 ベリアルはどこからか紙を取り出すと、そこに文字を書き連ねていく。

 書き終えると、その紙をメイヴへと渡し彼女に読ませる。

 

「『この特異点が存在しづける間、ベリアルとその契約者は、ケルト軍を殺してはならない』……ははは、こんなん笑うしかないじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 ────まただ、また夢を見てる……

 見ているのはナイチンゲールさんの夢のなんだろうけど、そこに私の知るナイチンゲールさんの姿はない。

 そこにいたのはベットで横になっている老婆の姿だった。

 

 今にも目が閉じて、永遠に開かなくなってしまいそうなほど年老いたそんな彼女の前に、以前の夢でナイチンゲールさんと一緒にいたあの青い瞳をした少女が音もなく現れた。

 

「やはり、人間の一生とは短いものだな。それでよく、全ての病を根絶すると宣ったものだナイチンゲール」

 

 ナイチンゲール!? え、じゃあこのおばあちゃんがナイチンゲールさん本人だっていうの!? 

 確かナイチンゲールさんは90歳で亡くなったらしいからその姿なのかも知れないけど、()()は? 彼女はどうして前見た夢の時から姿を変えていないの? 

 

「病は、根絶しますよ……。 私の意思を受け継ぐ誰かが、他の誰かへその意思を繋いでいく……。 そうすることで、いつか、必ず、この世から病はなくなります……」

 

「無理だ。病とは人の悪意そのものだ、人が人である以上悪意は無くならず、病は伝染しつづける」

 

 会話が成立していると思ったけど違った。もうナイチンゲールさんの耳に彼女の言葉は届いていなくて、自分が伝えたかった言葉だけを彼女に伝えてるんだ。

 

「あなたの、その胸に巣食う病も  いつか、必ず……あなたを 受け止めてるくれる誰かの手によって……  完治する、はずです……」

 

 言いたいことだけを伝えて、ナイチンゲールさんは永遠の眠りについた。

 そんなナイチンゲールさんの最後を見届けた青い瞳の少女は、近くのテーブルに置いてあった何枚も重ねられた手紙を取り、その中身を確認する。

 

「……ただその日何があったのかを書き連ねただけの、宛名も書いていない手紙。 馬鹿な女だ、ナイチンゲール。お前にとって激動だったあの3年を付き添った私のことなど、忘れればいいものを……」

 

 宛名のない、けれど誰へ向けた手紙なのか少女は理解したらしく。ナイチンゲールさんが残した手紙をすべて読み終えると、1枚も残さず暖炉の中へと放りなげ燃やしてしまう。

 

「こんな手紙ごときでは、お前が言ったこの病は治らない。 私の胸を焦がすのはこの炎と同じだ。復讐という種が消えない限り燃え続ける……。この炎を受け止めてくるものなど、存在しない」

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

「ほらほらどうした!! お主の力はこの程度ではないだろう!!」

 

「はい!! いきますっ!!」

 

 アルカトラズ島で、シータさんの霊基を使用することでラーマさんの怪我を治療することに成功してから数日。

 エジソンを説得することに成功した私たちは、いよいよ明日へと迫ったケルト軍との決戦に向けて最後の特訓を行っていた。

 

 マシュと私のことを見てくれるのはスカサハ師匠、そしてアステリオスのことを見てくれているの李書文先生だ。

 この二人はアルカトラズ島から大陸に戻ってきた時に出会って、何でもベリアルさんに頼まれたから私たちを師事してくれるといってくれた。

 ありがたい申し出だと思い、私は二つ返事で了承したんだけど…………

 

「呵々ッ! 傷つくことを恐れないのは利点ではあるが、そればかりに頼っていては守れるものも守れんぞ。お前はもう、ミノタウロス(化物)ではないのだろう? アステリオスよ」

 

「う ん ぼ くは アステリオスだっ!!」

 

 ベリアルさんの力でパワーアップしたけど、完全にはその力を使いこなせていなかったアステリオスも、李先生のおかげで力の使い方がわかってきたみたい。

 それに、マシュの方もスカサハ師匠が武器なら何でもござれの人のおかげで武器によって盾をどう振るえばいいのか理解してきている。

 

 そんな中で私自身も、スカサハ師匠からとっておきの()()()を教えてもらったんだけど、成功と失敗を繰り返している感じで実戦で使うには危険すぎる状態だ。

 

「ナイチンゲールさん」

 

「立香。……貴女も見たようですね、私の最後の時を」

 

 気分を入れ替えるというのと、明日の決戦で戦力に割り振りを任されたって言う事もあって、それを考えるために歩いていると、明日の治療に向けての準備をしているナイチンゲールさんにあった。

 どうやら私の表情を見て何を話したいのか分かった見たいだから、私は頷いて返す。

 

「世界の崩壊を止める責務をただ1人に負わせるなど、本来は正気の沙汰ではないのです」

 

 それは絶望的な所業に他ならなくて、自分のように狂わなければ耐えられないものだと、そうナイチンゲールさんは言う。

 

「ですが、貴女は決して1人ではありませんl。マシュが、そしてあの男……ベリアルとそのマスターもいます。幻だったかも知れない、けれど確かに私の側にあの子がいたように」

 

 この特異点の修復が、引いては人類の未来が掛かった戦い。 絶対に成功させなくちゃいけない、失敗は許されないんだという、そんな責任に押し潰されそうな私の心を癒してくれるかのように語りかけてくれる。

 

「貴女は十二分に努力しています、試続けています。だからこそ、重荷を背負う必要はありません」

 

 そんな私だから、もっと気楽に、そして誠実に決めたのだったら皆んなが応えてくれる。

 そう優しく微笑んでくれたナイチンゲールさんだったけど、その表情は少しだけ曇っているようにみ見える。

 

「こんな言葉を、あの子へ向けることが出来たら、何か変わっていたのかも知れませんね」

 

 それは、私が初めて聞いたナイチンゲールさんの弱音の様なものだった。

 彼女の事を振り捨てた、気にしていないような素振りを見せていたけど……やっぱり心残りがあったんだ。

 

「なら、また会って伝えればいいじゃないですか」

 

「え?」

 

「あの子、ナイチンゲールさんが年老いていても何も変わってなかったじゃないですか! なら今も何処かで生きてるのかも知れない、ナイチンゲールさんはサーヴァントとしてかも知れないけど、いつかどこかで再開できる! そんな運命を信じたっていいじゃないですか!!」

 

「ですが、それは計算的にも不可能な……」

 

 ナイチンゲールさんは私の事を言葉で癒してくれた。なら私は? 治療することは出来ないかも知れないけど、その心に希望を宿すことは出来るかも知れない! そんながむしゃらな思いを込めてナイチンゲールさんへ言葉をぶつける。

 

「死者が世界を救うために戦うような世界、宇宙人が本当に存在するような世界ですよ? 確実な計算式以上の事だって起きるはずですよ、きっと!!」

 

「…………ふふっ、私では治療不可だと診たベリアルが、どうして貴女やマシュを選んだのか理解できたような気がします」

 

 

 

 

 

 




メイヴちゃんをいつもの様にスパルタベリアル講座させるのは簡単でした。
けど! メイヴちゃんは邪ンヌのようなチョロインとは違う!! あの娘は“いい悪い女”なんだ! ベリアルさんの恐怖にだって打ち勝てる!!

という謎の信頼から今回のような会話になりました。

ベリアルさんがどのような『愛』を学んだのかの答え合わせはもう少し後で……。


ベリアルさんがいる事で戦力不足だった立香ちゃんたちは2人にハイパー師匠がついた事でそれを補います。立香ちゃんの必殺技? スカサハ師匠が教えてるんだ、スゴイものに決まってるだろおう?
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