【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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コロナでウルフェス が中止なんて……!!
今回は早めに投稿出来ました。まあ、5章をやるにあたって1番書きたいと思ってた部分でもあるんでね

感想、評価お待ちしてます

誤字脱字、ご指摘ありましたら気兼ねなく


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「それじゃあ、私たちは行くわね。 また会いましょうベリアル。今度は私が支配したこの大陸で会いましょう?」

 

 ベリアルさんが衝撃のゲッシュを立てた後、女王メイヴは気を失ったクー・フーリンをアルジュナに担がせ街を後にする直後。

 

「おい、授かりの英雄」

 

「……私ですか?」

 

 ベリアルさんが授かりの英雄と呼ばれるサーヴァント、アルジュナを呼び止めた。

 

「求められる英雄像に悩み続けるか、宿敵との決着をつけるか、どちらか一つに決めておけ。もし、決着を求めるんだったら……」

 

 

最高の舞台を用意してやる

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

「宇宙警備隊大隊長ってのは随分とヒマみてえだな、ケン」

 

「────今しか、この瞬間しかないと思ったんだ」

 

 アトロシアスとなったベリアルさんとの最終決戦。ジードのピンチに現れたウルトラの父が張ったウルトラコクーンの中で衝突する2人は、距離を取り言葉を交わしていた。

 

「誰の邪魔も入らない。キングの介入すらあり得ないこの瞬間しか、お前と話しをする機会はないと思ったんだ」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 ────大地は灼き焦げ、遠くから見ていてもその周りの空間が震えているのが分かる。

 

「あれが、インドの大英雄同士の衝突……!?」

 

 アメリカ特異点での最後の戦い。南軍と北軍とで別れて進軍を開始した私たち。

 暗殺へ向かったサーヴァントたちは、アルジュナにやられた傷が完全には癒えなかったから後方で支援に回ってもらっているけど大丈夫、絶対に勝てる。

 

 現に、カルナとアルジュナの宿命の一騎打ちはカルナの方に分があるみたいで、このままいけばカルナの勝利は間違いな────

 

「────『抉り穿つ塵殺の槍(ゲイ・ボルク)』」

 

 

「……気に入らねえな」

 

「え……?」

 

「ベリアルさん……いつの間に!?」

 

『サーヴァントの反応が突然現れたのもそうだけど、ベリアルがなんだって? また彼が何かしたのかい!?』

 

「一体どんな()()()()を使いやがった。因果の逆転をどうやって止めやがった」

 

 何が、起きてるんだろう? 私が辛うじてわかったのは、突然現れた敵の王であるクー・フーリンと、さっきまで私たちの後ろをついて回っていたはずのベリアルさんが、クー・フーリンの武器であろうトゲトゲした()()()()()()()()()()()()という事だけ。

 

 後から聞いた話だけどクー・フーリンの宝具であるゲイ・ボルクは因果の逆転現象、『心臓を刺した』っていう結果を起こしてから武器である槍を放つ絶対に命中する宝具なんだという。

 それを槍を物理的に握るだけで止めるってベリアルさんの何したの? 

 

「メイヴに誓ってやったからな。殺さないでおいでやる……元いた場所に戻ってろ」

 

「ガハッ!?」

 

 握った槍を砕いたベリアルさんは、クー・フーリンとの距離を詰めると彼の頭を掴み地面に叩きつける。

 そして続けざまにクー・フーリンを彼方へと蹴り飛ばしてしまった。

 

『べべべ、ベリアル!? 何をやってるんだ君はっ!! 忘れた訳じゃないだろ、君自身がゲッシュを立てたんだぞ“ケルト軍を殺さない”なんて馬鹿な誓いを!!』

 

「だから殺してねえだろ。殺さねえ程度に痛めつけただけだ、それにアイツは聖杯を埋め込まれてる分他より頑丈だからな」

 

 ベリアルさんが私たちと別れていた内に女王メイヴと交わしたというゲッシュ『この特異点が存在し続ける間、ベリアルとその契約者は、ケルト軍を殺してはならない』というもの。

 ベリアルさんが言う通り、殺さなければゲッシュを破ったことにはならない。まあ、ベリアルさんの力なら殆どの敵が手を出した瞬間に死んでしまうから、今クー・フーリンに攻撃する時も随分と手を抜いているようだったし。

 

 邪魔者をどかしたベリアルさんは、膝をついているアルジュナへと近寄っていく。

 

「出来もしねえことをやろうとするからその有様だ。無様だな、授かりの英雄」

 

「はあ、はあ……ベリアル……」

 

「本当に勝ちてえんだったら捨ててねえものが一つあるだろ……なあっ!!」

 

「ふぇ!?」

 

「アルジュナ……!」

 

 グサッと、ベリアルさんの手がアルジュナのことを貫いた。

 私も含めてみんなが驚く中で、ベリアルさんはその手から何かをアルジュナの霊基の核へと注入していく。

 

「うぐっ……! こ、これは……!」

 

「因縁に決着(ケリ)をつけてえんだったら、テメエが拒絶した()すら力にしろ」

 

 その言葉は、まるでベリアルさん本人が拒絶していた誰かの力を自分の物としたことがあるかのような台詞だ。

 

「そうか、(クリシュナ)か……!」

 

「クリシュナ? それって確かアルジュナの従者とかなんとかってドクターが」

 

「マスターが知っているクリシュナとは別だ。(クリシュナ)とはアルジュナの中に潜む闇、アルジュナが受け入れることが出来なかった側面。それを引き出そうというのか、ベリアル」

 

 博樹さんに聞いていたけど、ベリアルさんが今アルジュナに注入しているのは“ベリアルの闇”と呼ばれる因子だ。

 因子を打ち込まれたからだろうか、アルジュナの黒かった髪が部分的に白色に染まり、浅黒い肌にはウルトラマンとなったベリアルさんのような赤いラインが入っていく。

 

「はあ……はあ……カル、ナ……!!」

 

「いいか、周りの目なんぞ気にするな。何をしようが、どんな手を使おうが勝てばいい」

 

 ベリアルさんはそう言うと、博樹さんの手の甲にある令呪を2画使い、カルナとアルジュナへと魔力を送って見せた。

 

『カルデアの魔力リソースを勝手に……』

 

「お前もこのまま決着(ケリ)がつくのは許せねえだろ、施しの英雄。アメリカを背負うだろうケルトを滅ぼすだろうが、人類の未来だろうが関係ねえ!」

 

 ベリアルさんが手を高く上げると、カルナとアルジュナを包み込むように巨大なドームが形成されていく。

 誰の邪魔も入らない空間で、カルナとアルジュナに決着をつけさせてあげるってこと? 

 

「ケンのヤツほどの強度はねえが、サーヴァントごときがどれだけ暴れようが絶対に壊れはしない。存分に暴れろ!!」

 

「ふう……ああ感謝だ。この力を憂いなく扱える日がこようとは……いくぞカルナ、この力を使ってでも私は、()()はお前に勝つ!!」

 

「ああ、どうやらベリアルのお陰で如何なる天魔といえども、邪魔は入らない。 施しの英雄であるオレ、まさか施しを受けるとはな……。 アルジュナ、お前の勝利はオレが奪う!!」

 

「カルナああああああっ!!」

 

「アルジュナああああっ!!」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「はっはっはっ、その為だけにこんな大層なもん作りやがったてのか」

 

 父────ケンは、ベリアルさんと話すためにアトロシアスの攻撃ですら破壊できないコクーンを作り出した。

 その中でケンは、自分の想いを語るため口を開こうとすると、ベリアルさんがケンに向けて拳を放つ。

 

「話があるなら、闘いの中で語れ。死ななかったら最後まで聞いてやるよ」

 

「ふっ、そうだな。お前も私も、()()()()()()()だからな」

 

 ────っ! 気づいてたんだ。ベリアルさんがアトロシアスになった理由、地球へと降り立った理由を。

 そうして、武器や光線を使ったりしない2人のウルトラマンの単純な殴り合いが始まった。

 

 ぶつかり合う拳と拳。最初に相手の体へ届かせたのは、ベリアルさんだ。

 

「どうやら、古傷のほうは完全に治してきたみたてえだな」

 

「お前と語らうのに、名誉の負傷など残しておく価値はない。 お前と全力でぶつかるために、私はここに来た!!」

 

 想いを込めたケンの拳がベリアルさんに届き、ベリアルさんのことを後退させる。

 

「今も! 昔も!! どれだけの時が経とうと変わることはない!! お前は私の憧れだ!!」

 

「気に入らなかった!! 地位も才能も!! 確約された未来も!! 最初から全て握っていやがったテメエが!!」

 

「お前が私の先を歩いてくれる。そんなお前に追いつきたくてがむしゃらになれた!! 才能に甘んじていた私に、お前が努力することを教えてくれた!!」

 

「いつもいつもお前はオレの先に立ちふさがる。誰からも慕われ、誰もがお前に憧れた! 生まれた時から一人だったオレに絶対に手に入れられねえものだ!!」

 

「憧れた!!」「妬んだ!!」「嬉しかった!!」「悔しかった!!」「一緒に隣を歩きたかった!!」「追いつき、そして超えたかった!!」「私にはない力を持つお前と!!」「オレにはない才能をもつお前を!!」

 

「「お前のようになれたらと、何度も思った!!」

 

 お互いがお互いをどう思っていたのか、殴り合いながら拳と共に想いをぶつけていく2人。言ってることは真逆かもしれないけど、感じていたことは一緒だったんだ。

 

「言っても無駄だとは分かっている。だが、私は何度も夢を見た!! あの時お前の手を掴んでいれば! 自分の立場などかなぐり捨てる覚悟があれば!! 今もお前と並んで歩いていたんじゃないかと!! ありえないもしもをっ!! 何度も夢見たんだ!!」

 

「はっ!! やっぱりお前はあまちゃんだなケン!! まあだが、その甘さを超えられねえと思ったからこそ! オレはこの力を手にしたんだ!! 光の国への復讐? 全宇宙の支配? 違うな、オレが一番求めてたのは、全力を出したお前を倒すことだった!!」

 

 ケンへの恨みってそういう事だったんだ。初めて闇の力を手にした時も、復活して対峙した時も、ケンはベリアルさんに対して本気を出せなかった。それが悔しかったから、ベリアルさんはケンのことを恨み続けていた。けど、その恨みも今ようやく晴れる。

 

 24時間なんて、ウルトラマンたちにすればほんの少しの時間かも知れないけど……2人は息を切らしながらもその手を止めようとせず殴り続けていた。

 

「はあ、はあ……もう少しでこのバリアも限界が近いな……。 私の力だけでは、止められなかったか」

 

「はあ、はあ……ふっ、戦線を退いてたくせにここまでよくやったじゃねえかケン」

 

「────消えるつもりなんだろう、ベリアル」

 

 もうコクーンの残り時間もわずかだと言うタイミングで、ケンがベリアルさんへ確信を持っていう。

 

「私との闘いに素直に応じたのも、吸収したキングの力を消費して彼──お前の息子だというジードがお前のことを倒せるまでに弱体化するため。そうだろう?」

 

「はっ、お前には何もかもお見通しってわけか。ああそうだ、オレはここで終わる。息子の手によってな」

 

 そう、ベリアルさんは自分で自分の終わりを決めたんだ。ケンやゼロ、ましてやキングによって終わるんじゃなく自分の息子であるジードの手によって終わることを望んで。

 ケンとの戦いも、分解酵素を打ち込まれたことでキングの力を放出すことで、ジードが自分に勝てる可能性を増やしていた。だからケンとの闘いは今までにないくらいに全力で挑んでいた。

 

「これで本当にさよならだ。最後の最後でお前と話しが出来てよかった。友として、お前の最後を見届けよう」

 

「はっ! まだこんなオレのことを友呼ばわりするとはなあ。 馬鹿なんじゃねえのかケン?」

 

「馬鹿じゃないさ。光の国には共に戦った仲間や慕ってくれる部下たちは何人もいるかもしれないが。 私にとって友達と呼べる相手は、一生涯かけてただひとりだけ。宇宙警備隊大隊長でもなく、ウルトラの父でもなく、ただの一人の戦士であるケンと呼んでくれる大馬鹿者だけだ」

 

「ふ、ふっはっはっはっは!!! じゃあなケン。楽しかったぜ」

 

 これが、ウルトラコクーンの中で起きていた2人の戦士の最後の語らい。ケンとベリアルさん、そして私しか知ることのない一幕。

 深い闇に堕ちてしまおうが関係ない、ケンにとってベリアルさんはいつまでも最初で最後の友達であり続けていたんだな……

 

 

 

 

 

 

 




アルジュナ(inベリアル因子)
 ベリアル因子を身体に注入された事で、拒んでいたはずの黒を受け入れてしまった状態。
気分的には酒に酔っているような感じとおんなじなため、黒を見たものは全て殺すということも忘れてカルナとの全力の死闘を楽しむことしか考えていない。
 fgo本編に実装されているアルジュナ(オルタ)とはまるで違うので注意。

ベリアルコクーン(仮称)
 ケンのウルトラコクーンをベリアルさんが再現した技。見た目は赤黒い色をしたウルトラコクーンまんまだが、ケンがベリアルさんと語らうために練り出した物よりも練度は低い。 といっても神霊クラスのサーヴァントですら壊すことが出来ない強度なため普通に強力。


狂ニキは因果の逆転を止めたのにカラクリがあると言っていますがそんな物はありません。ただ純粋な力が因果を捻じ曲げるほどだったというだけの話。
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