【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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セイバーとの決着、そしてFGO2次創作の分岐点とも言っていい所長が生存するか否か……

作者、所長のマナプリ礼装が出た時も直ぐに凸らせたりと所長のことが大好きですけど……

ベリアルさんならどうするか考えた結果が今回の話になります。

誤字脱字、ご指摘がありましたら教えてもらえるとありがたいです。

感想や評価もお待ちしてます。


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『やだ!! これがいいの!! 』

 

『そう言ってもそれダークザギだぞ? と〜っても悪い敵なんだからな? 』

 

『やだ!! だってカッコいいんだもん!! 』

 

『────っ、絶対ノアの方がカッコいいと思うけどなぁ…… 』

 

 

『見てみてお父さん!! 取ったよ!! 100点!! 』

 

『本当か!? 良くやったぞ〜偉いなぁ〜 』

 

『えへへ〜、これでザギ様のフュギュア買ってくれるんでしょ? 』

 

『う!?………まあ約束だしな、よし今から行くか!! 』

 

『この時間どこのお店も閉まってます。 早くお風呂に入ってきて? 』

 

『『は〜〜い 』』

 

 あの時、勝手に手が動いたのはこれが原因か……? 無意識で手が伸びるほどに、この男はアレをやっていたというのか?

 …………深く、潜ってみるか……

 

 

 

 ────◇◆◇────

 

 

 

 

『くっ!! 』

 

「どうした? 貴様は名のある英霊で、セイバーのクラスを冠するほど剣の扱いに長けているのだろう? ならばこのオレに一太刀でも浴びせてみろ 」

 

 マシュと一緒に盾の隙間から覗くように、ベリアルさんとセイバーの戦闘を見てるけど…………ベリアルさん、やっぱり凄い。

 目にも止まらない剣の連撃を、ベリアルさんは身体をほんの少しずらすだけで避けてる。

 ギリギリで避けてるんじゃない、どんな軌道で剣が振るわれるのか予め分かってるように避けてる。

 

「おーおーなんだアイツ。 あの騎士王相手に彼処まで余裕とか、魔王ってのもあながち間違いないじゃねえのかもな 」

 

「キャスターさんっ!! 無事だったんですねっ!! 」

 

「槍を持ってねえからって、弓兵ごときに遅れをとっちまうオレじゃあねえよ。 しっかし……。 どうやら宝具出せた見てえじゃねえか嬢ちゃん、いや……嬢ちゃん1人の力じゃあねえみてえだな 」

 

 アーチャーとの戦闘を終えてここまで辿り着いたキャスターが、ベリアルさんの戦いを見て驚きの声をあげてる。

 やっぱり、セイバー相手にあんな事普通は出来ることじゃないらしくて、視線はベリアルさんたちに集中しながら私たちに話しかける。

 

「まさか、嬢ちゃんだけじゃなくてマスターのほうもバカなことするとは思いもしなかったぜ。 だが、俺は嫌いじゃあないぜそう言うのよ? 運命を掴む天運、ソイツを前にした時の判断力。ソイツを持ってるお前さんにゃあ星に加護ってのがついてくるもんなんだぜ? 」

 

 運命を掴む天運……判断力……。あの時、後先考えずに行動したけどそれは良かったってこと?

 キャスターの言ってる言葉は私には少し難しくて理解出来なかったけど、褒められてるってことだけは分かったから自然に笑顔になる。

 

「和んでないで集中しなさい!! 貴方たち今の状況がわかってるの? 」

 

「ん~~。そうかりかりすんなよ姉ちゃん。 多分だが…… 」

 

 私たちの少し後ろから注意してくる所長の言葉を、キャスターは軽く流しながら、さっきよりも目つきを鋭くしてベリアルさんの戦闘を見始めた。

 キャスターの話に集中してたから見るのを忘れちゃってたから、私とマシュはベリアルさんの方へと視線を戻す

 

「もう十分だ。 騎士王と言ってもたかが知れるな…… シェアッ!!! 」

 

『何っ!? くっ!! 』

 

 宝具じゃないけど、剣から放たれた魔力の塊……って言うのかな? ベリアルさんはその塊を片手を前に突き出すだけで消してみせた。

 そんなことされるなんて思ってなかったのか驚愕の表情をみせたけど、その一瞬でセイバーは距離を詰められてた。

 

『しまっ!! 』

 

「遅い、ヘアッ!! 」

 

 一瞬でセイバーとの距離を縮めたベリアルさんは、武器の金棒を使ってセイバーの剣を弾き飛ばした。

 武器がなくなったセイバーはすぐに下がろうとするけど、ベリアルさんがそんなことを許す筈がなくて逃げようとするセイバーの髪の毛を鷲掴みにして逃げれないようにする。

 

 サーヴァントは身体能力だけじゃなくて、筋力とかそういった部分も強化されてるから、例にもれずセイバーもその強化された筋力でベリアルさんから抜け出そうするけど、一向に抜けだせる気配がない。

 

「本来こんなことをしなくても、貴様程度葬れるが……。 ()るからには徹底的にだ。

 

『グアアアアアアアアッ!!! 』

 

 鎧の隙間部分に突きつけられた金棒の先端が光り出して、金棒の先端が光だして、そこから放たれた光弾がセイバーを貫通して岩山にぶつかって消える。

 セイバーの宝具のように規模が大きいわけじゃないけど、密度が違かったのか? 凝縮された放たれた光弾はセイバーの腹部を貫通して、セイバーは消えていった。

 

 

「アーサー王相手にも無傷で勝つなんて……本当にあのサーヴァントはなんなの? 」

 

「セイバーのヤツがいなくなって聖杯戦争は終わったからか…………。はあ、結果から見りゃあ全然活躍できてねえなオレは……。 マスター、短い間だったが結構楽しめたぜ。 次に呼ぶときにゃあランサーで呼んでくれや 」

 

 勝利を喜ぶ暇もなく、キャスターが笑顔を浮かべながらセイバーと同じように光の粒子のようになって消えていった。

 闘いを終えたべリアルさんもこっちに歩いてくるけど…………

 

「グランドオーダー────、はっ、戦場はここだけではないということか。 そうでなくては面白くない 」

 

「グランドオーダー? 」

 

「べリアルさん、それはいったい? 」

 

「……冠位指定……なぜ貴方がその呼称を知っているのよっ!!! 」

 

「あの騎士王がベラベラと勝手に喋っていたんでな 」

 

 グランドオーダー、私もマシュもそれが何なんか分からず首を捻るなかで、所長だけは焦ってベリアルさんに詰め寄るけど、そんな所長のことを気にとも止めずに、ベリアルさんは所長のことを脇に抱えた。

 すると、ベリアルさんは振り向きざまに金棒から光弾を岩山に向かって放つ。

 

「なっ、何してるのよ貴方っ!! 」

 

「小汚い眼でコチラを見るな、虫酸が走る 」

 

「ほう、流石はかの騎士王を破っただけのことはある、ということか。サーヴァントを宿した47人目のマスター適合者。 そして48人目も、まったく見込みがないと善意を見せた私の失態だよ 」

 

 ベリアルさんが光弾を放った先、土煙の上がった岩山の頂上から1人の男が姿をみせた。

 その男は、カルデアに来てマシュの次に会った人物、深い緑の服を着たレフ教授と呼ばれた人物だった。

 

「ロマニも生き残ってしまったようだし、どいつもこいつも統率のとれていないクズばかりで吐き気が止まらないな 」

 

 レフ教授は、人間は定められた運命からズレたがるんだと、まるで自分は人間じゃないような口振りで私たちに言葉を吐きかける。

 所長はそんなこと関係なしにレフ教授がいることに喜んでるけど、べリアルさんが襟元をつかんで近づけない。

 

「ちょっと!! 離しなさいよ貴方っ!! 私はレフに話がっ!! 」

 

「あの皮を被ったヤツは、死人と語ることはないらしいがな 」

 

「へっ!? 死人って…………貴方なにを言ってるのよ 」

 

「はははははははっ!!! 流石はサーヴァント、同じ死人のことは理解できるということか!! そうだよオルガ、爆弾は君の足元に設置したんだ、避けられるはずもない。 君の肉体はとっくに死んでいるのさ 」

 

 カルデアに設置されている装置のうちの一つ『電子演算装置 トリスメギストス』が、肉体が死んで残留思念だけになった所長のことをこの特異点に送った。

 レイシフトの適性を持っていなかった所長がここにいること事態が証明なんだって。

 カルデアに戻ったら意識が死んでしまった身体に戻って……所長は……

 その事実に、私とマシュは只々驚くことしか出来なかった。 ベリアルさんは、最初からそのことを知っていたの?

 

「嘘よ……嘘よねレフ。 私が死んだなんていうのも何かの……冗談、よね? 私がいなくなったらカルデアはどうなるのよ!! アニムスフィアの悲願は……!! 」

 

「なら見せてやろう!! 生涯をカルデアに捧げた君に、今のカルデアスの映し出す未来をっ!! 」

 

 レフ教授……ううんレフは手に持ってる金色の杯を光らせると、後ろの空間が歪んで、マシュやみんなが爆発に巻き込まれた場所にあった球体が現れた。

 

『…………』

 

「 そこで見ているなら分かるだろうドクター・ロマニっ!!これが 人類の生存を示すカルデアスの現状だ!! そこにあるのは燃え盛る赤色だけ!! 未来は焼却されたのだっ!! 」

 

 レフの言葉とカルデアスの姿を見て現実から目をそらすことでなんとか立っていた所長は力なく崩れ落ちてしまう。

 これは人類史による人類の否定だって、人間が無意味だからって、無能だからって、カルデアはカルデアスの磁場で守られてるから2016年の間だけなら私たちは大丈夫だって

 

「我らが王の寵愛を失った故に!!何の価値もない紙くずのように、跡形もなく燃え尽きる!! …………このようにな 」

 

 ゲスな笑みを浮かべると所長の身体を包み込むように光が表れて……カルデアスのほうに……

 

「君ならわかるだろうオルガ。 カルデアスは高密度の情報体、人間が触れれば分子レベルで分解される地獄の具現だ。 最期なんだ、君の宝物に触れるといい 」

 

「いや、いや、いや、助けてっ!! 誰か助けてっ!! 」

 

 褒められたことないって、認めてくれないって…………さっきキャスターさんが私にしてくれたことをしてもらったことがないのが嫌なんだって涙を流しながら行き場のない手を伸ばし続ける所長。

 助けにいきたくて身体を必死に動かそうとマシュと一緒に頑張るけど……私たちじゃ間に合わない。

 

「ははははははっ!!! さようならだオルガっ!! 最期まで、君は耳ざばっ!! 」

 

 所長のことを貶すレフ。所長がカルデアスに呑み込まれるの今か今かと悪い笑顔を深めるその顔に、光の弾が直撃した。

 直撃を食らったレフは生きてるけど被ってた帽子は吹き飛んで、顔の半分は焼け落ちて黒い目玉みたいなのが見える。

 光の弾を打った張本人であるベリアルさんは、いつ間にか岩山の頂上まで移動していて、レフが手放した杯もベリアルさんが掴んでる。

 カルデアスが引き寄せられていた所長も引力がなくなったのか岩山の上で止まってくれた。

 

「化けの皮の裏も単なる化物か……芸がなくてつまらんな 」

 

「ぐっ……!! ま、まあいい。 この特異点も時期に崩壊する。 このまま時空の歪みに呑み込まれるのだ、最後の抵抗と受け取っておこう 」

 

 レフは岩山に飛んで、対面するべリアルさんに攻撃しようとしたんだろうけど、地震……というか見渡す限りの空間全部が揺れ始めると高笑いをしながらどこかへ消えた。

 

「ドクター!! 至急レイシフトを実行してください!! このままでは…… 」

 

『わかってる、もう実行しているとも!! でもゴメン、そっちの崩壊の方が早いかもだ!! 』

 

「っ、先輩っ!! 手を!! 」

 

「マシュっ、でもあのふたりが……っ!! 」

 

 揺れが強くなって声が聞こえなくなっちゃったけど、べリアルさんと所長がっ!!

 白い光のようなものに包まれて、私は何も見えなくなっていつの間にか気を失っていた……

 

 

 

 

 •

 •

 

 

 

 

 

「あ、ははははは………。 これがカルデアスの未来……。 アニムスフィアの悲願の末路………… 」

 

 

「ねえべリアル、私は本当に死んでいるの? その聖杯に願ったら、生き残れたりしないかしら………… なんて意地汚いにもほどがあるわね……。 こんなんだから嫌われるのよね………… 」

 

「選べ、()()()()()()()()()()()()()()

 

「へっ? 」

 

「貴様という存在を生んだ場所からも見捨てられ、守ろうと躍起になっていたものたちからも裏切られ、貴様は身体を失った。 それは変えようのない真実だまあ────死に方ぐらいは選ばせてやる。 このままこの特異点の崩壊に巻き込まれて死ぬか、カルデアに戻り、肉片になった身体に戻って死ぬか……、このカルデアスに呑まれて死ぬか……もしくは…… 」

 

「貴方が私を殺してくれる……か…………。 ────いいわ、どうせ死んならレフが言ってたみたいに私の宝物の中で死んでやろうじゃない。 でも………… 」

 

「私は臆病で意地汚くて、誰からも好かれることなんてないくらいに性格が悪いから…………ここに飛び込むなんて絶対に無理……だから…………だからっ!! 」

 

 もう後はない、自分は未来がないと理解しているからこそ……いや理解していても死にたくないからなのか大粒の涙を流す。

 その涙を隠さず、止めようとしても止まらないからこそ、オルガマリーは涙を拭わず真っ直ぐとベリアルのことを見る。

 

「────ふう。これは私の、カルデア所長の最後の命令です。 サーヴァント べリアル。 ────私のことをカルデアスで殺しなさい 」

 

「このオレに命令するとはな、随分と上から見ているなあ……。 だが興が乗った、その誘いにのってやる 」

 

「カルデアのこと…………、みんなのこと……お願いね。反英霊だろう貴方にこんなこと言っても無駄かしら? そうね、みんなじゃなくてもいいから──────── 」

 

「縛り付けられた運命から逃れられない哀れな貴様には目も向ける気にはなれないが……死してなお生に執着したその姿……オレは存外好ましく思うぞ、オルガマリー・アニムスフィア 」

 

「ありがとう。こんなことで褒められるなんて……思っても見なかったわ 」

 

 

 

────のこと、守ってね? べリアル

 

 

「軽い……あれが地球人1人の命の重さか……。 アイツらが守ろうと躍起になるわけだ…… 」

 

 

 

 




「「英霊! カプセルナビ!! 」」

「今回の英霊は〜〜こちら!! 」

「セイバー アルトリア・ペンドラゴン。 伝説に名高い騎士王アーサー王です。様々な逸話に名高いその力はとても凄まじいものでした 」

「エクスカリバーだっけ? ゲームとかでも有名な武器の持ち主ってことだよね 」

「そうですね。 あの時受け止められたこと自体奇跡に等しいものでした…… 」

「そのアーサー王相手にでも余裕で倒したベリアルさんって本当に何者なんだろうね? 」

「分かりません。 これから知っていけるのでしょうか? それでは今回はこの辺りで! 」

「次回もおっねっがっいしま〜〜す !! 」

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