【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜   作:ちょっつー

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本当は今回の話はゼット最新話の後に投稿するはずだったんです。
セラフやるまでずっと嫌いだったアーチャー出てくるんでジードに癒されようかなって……
感想、評価お待ちしてます

誤字脱字、ご指摘ありましたら気兼ねなく


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【悪虫退治に工夫を凝らし、三上山を往来すれば】

【汲めども汲めども尽きぬ幸さち──―】

 

【お山を七巻き、まだ足りぬ】

 

【お山を鉢巻、なんのその】

 

【どうせ食うならお山を渦巻き】

 

【龍神さまの太っ腹、釜を開ければ大漁満席!】

 

【さあ、行くぞぅ!】

 

【対宴宝具──―美味いお米が、どーん、どーん!】

 

 モーさんが敵のモードレッドを撃退して東の村へと帰ろうとした時、こっちの村と違って西の村の人たちは飢えで苦しんでいる姿がないことに疑問を抱いていたら、藤太がこちらの村へ赴いてくれることになった。

 自分の宝具を見せるって言ってたから私とマシュもなんのこっちゃって感じだったんだけど……その宝具を目の当たりのして、その凄さ、()()()()()にただただ驚きと感動するしかなかった。

 

 今まで宝具と言えば、相手を倒すための攻撃的な物が殆どで他にあるとしても回復、治療といった戦闘ありきのものだったから、藤太の滝のように無限に米を溢れ出すこの()()()()()()は衝撃的だった。

 

「すごいです先輩……戦わずに、ああして人々の飢えを満たす。そんな宝具もあるのだと初めて知りました。見てください、皆さん笑顔を浮かべています」

 

「うん。この宝具はきっと()()()()()()なんだよ。はは、なんだかこっちも釣られて笑っちゃうね!」

 

「はい!!」

 

 村の人たち全員が笑顔になる宝具。誰も血を流さなくていいこの宝具を持つ藤太は本当に凄い英霊なんだって、そう思えた。

 分かってる。人理修復こそが私たちの目的で、歴史を乱す獅子王を止めなくちゃいけないことも全部分かってるけど。

 

 だけど……

 

「記憶に残らない、歴史に残らないとしても、私はこの光景を絶対に忘れたくない……!!」

 

「私もです先輩。この喜びを、この胸に広がる嬉しさを! 私はずっと、覚えていたいです……!! 

 

 今回の人理修復もうまくいく。活気つけられたこともあって気分も上々だったから気付けなかった。

 

 

 絶望は、すぐ側まで這い寄ってきていることに……

 

 

 

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「あ、ああっ!! 村が……燃えてる!!」

 

「誰かー生きてる人はいないのー!! いたら返事をして──ー!!」

 

 円卓の騎士に捕らえられていた呪腕のハサン、百貌のハサンに続く3人目の山の翁“静謐のハサン”を色々とハプニングがありながらも救出することに成功した私たちは、アーラシュさんと博樹さんの2人に村の警護を任せて、初代山の翁の力を借りるための話をつけに言っていた。

 

 協力を取り付けることが出来て、これでこちらの準備も万端になったと言ったところで、悲劇が起こった。

 私たちがいない間に円卓の騎士が粛正騎士たちを引き連れて村へと襲撃を仕掛けてきていた。

 

 着いた頃にはもう遅くて、村には火の手が上がり地面には村の人たちの死体が……っ!! 

 

「そうだ!! アーラシュさんと博樹さんは!! あの2人はどこに!!」

 

「その2人ならば、既にこの世に亡く。……ああ、私は悲しい」

 

 慌てながら事態を確認しようとしていた私たちの前に、無機質な声が音を奏でるように聞こえてきた。

 アーラシュさんと博樹さんが……この世にいない? その意味って……

 

「ガウェイン卿を伏したという相手、そしてあれほどの弓の名手と向き合う機会を与えられながら、騙し討ちで決着など……」

 

ガキィン!! 

 

 私たちが相手に反応するよりも早く、ベディヴィエールさんが相手へ剣を振り上げていた。

 赤髪の糸目弓使いってことは……あれがトリスタン卿? 

 

「トリスタン……!! 貴公ともあろう者が博樹殿とアーラシュ殿に騙し討ち……そして無抵抗の村人たちを手にかけ、あまつさえ火を放つなど……!! 円卓の誇りは地に落ちたのか!!」

 

「なんと……まるで夢のなかにいるようだ。ベディヴィエール卿、貴公までこの戦場に現れるとは。そして我らに敵対するとは……ああ、私は悲しい。あと一歩ですべてを焼き尽くせたというものを」

 

 銀の腕を開放させながら、その腕が焼けるのに耐えながらトリスタン卿へ剣を向けるベディヴィエールさん。

 温厚な彼が今まで見せたことのないほどの殺気を纏いながら、トリスタンへ剣を向ける。

 

「同じ円卓を囲み語らった騎士を……。共に数多の強敵と戦った騎士を……この手で、この()で屠らねばならぬとは……。この哀しみ、決して癒えることはないでしょう」

 

「貴方の振る舞いを獅子王が許すと言うならば! 私は貴公の屍を超えて、獅子王に問うまでの事!!」

 

「ベディヴィエールさん、私も加勢します!! 彼は、彼ら円卓の騎士は許せません!!」

 

「私も、村の人たちを……よくも!!」

 

 マシュ、ベディヴィエールさん、そして静謐ちゃんの3人でトリスタンを倒そうと動き出した。その時だった。

 

「────ッ!? なんですか……この魔力の量は……一体何処から……?」

 

「私も感じました!! まるで、()()()()()()()()()と教えているような大きな魔力です!!」

 

「これは……まさかっ!! モードレッド!!?」

 

『そのまさかだみんな。コチラでも今しがた観測することが出来た膨大な魔力。それはこちら側のモードレッドのもので間違いない、こちらから観測出来るほどの魔力量だ。きっと聖杯を使ったに違いない」

 

 こちらの村にいてでも感じられるほどの魔力。それを放っているのは西の村で警護しているはずのモーさんなのだという。けど、あっちに襲撃が来たっていう知らせは届いていないのに……どうして? 

 

「モードレッド……。そう、そういう事ですか。ああ、私は悲しい。獅子王の裁きの光を受け止めきれると思っているその傲慢さが! どちらにいてもモードレッド卿は変わらないようですね」

 

「裁きの光だと……? どういう事だトリスタン!!」

 

「時が来たという事です。これより数刻の内に西の村へ獅子王の裁き。聖槍ロンゴミニアドによる浄化の柱が落とされる。貴方たち側に立つモードレッド卿はその柱を1人で迎え撃つ気でいるのでしょう。ああ、私は悲しい。そんな事出来ようはずがないというのに……」

 

『トリスタンの言っていることは嘘じゃない!! 上空から西の村目掛けた高密度の魔力反応を確認!! なんだコレ……こんなのサーヴァントが止められるものじゃない!!』

 

「────ッ!!」

 

 モーさんのピンチだという事に彼女の助けになるように令呪を切ろうとしたけど、ドクターに止められてしまう。

 

『無理だ立香ちゃん。ここからじゃ君の令呪がモードレッドに届くことはない、残念だけど……』

 

「何か、何か方法は!! モーさんの事を助ける方法はないの!?」

 

 令呪も切れない、今すぐ助けに向かえるサーヴァントもいない。どうすることもできないその中で、何か、何かできることはないかと探しているうちに西の村へ落ちていく光の柱目掛けて登っていく赤雷と白銀が混ざった光が見える。

 

「モーさん、モーさん!! モードレッド!!! 負けるな、負けるなああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

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「コチラの避難は全員完了しました!! ……モードレッド? 何をしているのですか、貴方も早く逃げる準備を!!」

 

 “ナニかヤバイ物が来る”そのモードレッドの直感を信じ、ニトクリスと百貌のハサンは獅子王の裁きがコチラへ向かってくるよりも早い段階で、村の人々を少しでも遠くへと逃がしていた。

 残っているものがいないか確認を終えたニトクリスがモードレッドを呼び行くと、彼女は村の中心で鎧、兜どちらも完全防備状態でクラレントを地面へ突き立て精神統一しているようだった。

 

「悪いなニトクリス、ソイツ出来ねえ相談だ。オレは、オレだけはここに残らなきゃいけねえ」

 

「何を馬鹿なことを言っているのですか!! 分かっているのでしょう、貴方死ぬ気ですか!!」

 

「もぬけの殻になった場所に、わざわざロンの槍を振るうほどアーサー王は馬鹿じゃねえ。落とす場所を変えるなんて芸当、あの王なら軽々やってのけるだろうよ。だから、オレが残るんだ」

 

 モードレッドはそういうと、自分の中にある聖杯の力を使って内にある魔力を外へと放出させる。そして空に向かって高らかに叫ぶ

 

()()()()()()()よ!! オレはここだ!! アンタのブリテンを終わらせたモードレッドはここにいる!! 築き上げた聖都を()()ぶっ壊されたくないんだったらロンの槍をオレへ向けろ!!」

 

 ここだ、オレはここにいるんだ。そう獅子王に知らせるように、獅子王の狙いを自分へ向けるようにモードレッドは魔力と一緒に叫び続ける。

 霊基に溶け込んだ聖杯を爆発させ、獅子王に気づかせるために膨大な魔力を解き放つ。

 

「貴方がいなくなれば、彼女たちが悲しむことはわかっているはずです…………! それなのに何故……!!」

 

「────オレのマスターも、アイツの盾を持ってるマシュも助けられる民草を目の前にして放っておくなんて死んでも許さねえ馬鹿どもなんだよ。だから、今それが出来るオレが尻尾巻いて逃げれるかっての。しかも相手はアーサー王だぜ?」

 

 兜で顔が見えなくても、この地でなんだかんだと長く関わったからこそ、モードレッドが不敵な笑みを浮かべているのが分かったニトクリスは、腰に手を当ててため息を吐きながら彼女へ近づきその手を握る。

 

「貴方は粗暴で、乱暴、とても口の悪い方でしたが……主君への忠義、覚悟。しかと受け取りましたよ。もしも死んだら私がミイラにしてあげましょう」

 

「ははは、英霊がミイラになんかなるかっつーの。────ありがとなニトクリス」

 

 右手を握られたまま、モードレッドは左の手をニトクリスの頭へ置いてぽんぽんと優しく叩く。いつものニトクリスなら「不敬ですよっ!」と怒るところだが、今回ばかりは許しているのか兜の隙間から見えるモードレッドの瞳を確りと見つめる。

 

「立香とマシュ。アイツらは弱虫で、そんでもって泣き虫だ。誰かがケツ叩いてやらねーとすーぐ立ち止まっちまうからな、任せたぜニトクリス」

 

「…………それでは()()。私が立ち上がらせた彼女たちを見せて差し上げましょう」

 

「ソイツは楽しみだなあ!! ────ッシ、やるか燦然の輝く剣(クラレント)!! ジーっとしてても、ドーにもならねえぞ!!」

 

 ニトクリスが天空の化身の力を使って村を離れていったのを確認すると、地面へ差していた燦然の輝く剣(クラレント)を引き抜きその真名を開放させる。

 ────彼の者は、我が選定には当てはまらない。そう言わんばかりに燦然の輝く剣(クラレント)はその輝きを増していく。

 

「そうだよな。あの聖抜の時に一目見ただけで、お前のあの王は()()すぎる。そう思ったよなああ!!!」

 

 ガシャン! ガシャン! と燦然の輝く剣(クラレント)が展開し、そこから白銀の輝きが、それを包み込むように赤雷が鳴り始める。

 空を見上げると、獅子王の裁きはモードレッドただ一人を標的として光の柱が落ちてきている。

 

「さあ、見せてやろうぜ燦然の輝く剣(クラレント)!! ()()が守ろうとした無辜の民を、獅子王から! オレたちが守ってやるところをよおおっ!!!!」

 

 聖槍ロンゴミニアドから放たれた光の柱を迎え撃つために、モードレッドは両腕で握った燦然の輝く剣(クラレント)を振り上げるために下段に構える。

 目印として放っていた魔力を燦然の輝く剣(クラレント)へと集中させ、宝具を放つ準備を整える。

 

【これは、これこそは!! 我が父を滅ぼす叛逆の剣!!!】

 

 この剣は、もう邪剣ではない。自分と共に、仕えるべき主と共に運命を覆すための剣だ。

 

 迫りくる光がゴゴゴゴゴッ!!! と、大地も、空気も震わせながら迫ってくる。

 

我が麗しき父への(クラレント・ブラッド)…………】

 

 辺りの山は砕け、貧しいながらも生きるために、懸命に築いた村も跡形もなく消え去っていく。

 

【ア──サァアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!】

 

 振り上げられた赤雷を纏った白銀の光が燦然の輝く剣(クラレント)から放たれ、獅子王の裁きと衝突する。

 その押し寄せる重圧に地面がへこみ、大地はひび割れていくがモードレッドはそんな重圧にも負けずに立ち続け、剣を握るその手を弛めない。

 

「があっ!! あああああああああああああッッッ!!!! 

 

 手から、口から、目から血が噴き出してきてもモードレッドは諦めることはない。それは燦然の輝く剣(クラレント)も同じなのか刀身に罅が入ってきているというのに放出させる魔力を一向に弱めようとはしない。

 

 1分、2分。……何分耐えたのかは分からないが、拮抗していた赤雷を纏った白銀の光は穢れない光の柱に押し切られていってしまう。

 

(まだだっ!! まだ諦めるんじゃねえぞクラレント!! 一欠片でもいい、オレの、いや()()()()()()()()()()を獅子王に届かせる!!)

 

 

 

 

 

 

 

バギンッ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 獅子王の裁きに耐えきれなくなった燦然の輝く剣(クラレント)の刀身が折れた。いいや違う!! 

 モードレッドの意思に応えるように、自ら折れることを()()()()燦然の輝く剣(クラレント)は、その身を削りながらも裁きの光の中を駆け抜けていく。

 

「いきやがれええええええ!!!! クラレントォオオオオオオッッッ!!!!」

 

 光の中を、その身を削りながら突き進んでいく燦然の輝く剣(クラレント)は、一欠片だけは残し獅子王へと届いた。

 

『────ッ!!!!』

 

 獅子王も、まさか自分まで刃が届くとは思いもしなかったのか、自分に向かってくる欠片に防御も、避ける動作も出来ずその頭に身に着ける獅子の兜に直撃し、それを完全に破壊した。

 喉がつぶれていながらも叫ぶモードレッドは獅子王へと届いたその欠片を通して、漸くモードレッドは、兜が壊れ、額から血を流すその王の姿を、()()()を見た。

 

「欠片一つでもこの私に届かせるとはな。賞賛に値するぞ、カルデアのモードレッドよ」

 

 

(ああ、やっぱりか……)

 

 致命にもならなかった一撃だったかも知れないが、モードレッドはそれだけで十分だった。

 獅子王の裁きに包まれながら、その目を見ただけで獅子王の在り様を見通した。

 

(獅子王、アンタはやっぱり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、なんだな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おいベディヴィエール。その腕、あのクソ魔術師の力で誤魔化してんだろうがオレは誤魔化せねえぜ?』

 

『ッッ!! 分かるのですかモードレッドこの腕が……!!』

 

『オレが何よりも焦がれたもんだぞ、分からねえと思ってんのか! まあいい、今回はお前に譲ってやるよ』

 

『譲る……とは?』

 

『ああもう察し悪ぃなそれだからお前は決める時に決めらんねえんだよ!!』

 

『うっ、そ、それは……』

 

『王の最期を見届けるはお前の役目だ。絶対に成し遂げろ、分かったなベディヴィエール』

 

 

 

 

 

 

 

(立香、いいや博樹か? ま、どっちでもいいか……。優柔不断なアイツのこと、頼んだぜ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【モーさんvs獅子王】
 円卓、アーサー王に絶大な特攻を持っているモーさんだったが、自分を狙いにさせるために放出させた魔力。マスターが傍にいなかったなどの原因により敗北。

 一番の敗因は、クラレントが成長したモーさんに耐えられなくなっていたこと。
獅子王の裁きによって砕かれたが、それは早めただけであって普通に使っていてもいつかは壊れてしまうはずだった。


知ってるかい?まだ、獅子王の裁きは終わってないんやで……?
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