【一部完結】Fate/Grand Order〜Bの因子〜 作:ちょっつー
この章序盤から出てきていたキングゥようやくジードの時。
長かった、本当に長かった……。
あ、一瞬でしたがランキング入りしてました。評価してくださりありがとうございます!!
感想、評価お待ちしてます
誤字脱字、ご指摘ありましたら気兼ねなく
[ナンデ? ナンデ? ]
[[[ナンデ? ナンデ? ナンデ? ナンデ? ナンデ? ナンデ? ナンデ? ナンデ? ]]]
[ナンデ 動イテル???? ]
最後の一人になったシドゥリの心臓を貫こうとした新人類の不気味な爪は、寸前の所で止まった。いいや、止められた。
何もない空間から波紋が広がり、そこから伸びた鎖が新人類の事を縛り上げ、その動きを封じ込めたからだ。 この場所で、そんなことが出来るのは一人しかいない。
だが、そんなこと出来るはずがない。魔術王の聖杯を所持している限り、ティアマトの言葉と同義である自分たちの命には逆らえないはずだ。
だからそんな有り得ないことが起きたために、新人類たちは動揺し同じ言葉を繰り返しながらその存在を視た。
「はあ……はあ……ガハッ! ジーッとしたまま死を待つなんて嫌だからね。縛られたままじゃドーににもならないから自分の手で……僕を縛る鎖を引きちぎったんだ……」
[狂ッテル 狂ッテル 狂ッテル! キングゥ
胸の中心に大きな空洞を作り、口から血を吐き出しながらも鎖を操るために手を前へと翳すキングゥ。その傍らには彼のことを縛っていた魔術王の聖杯が投げ捨てられていた。
「当たり前さ……狂っていなくちゃグッ! こんな事してない!! 」
「きゃっ!? エルキドゥ……私を守って……」
「勘違いするな! 僕はお前に! 聞かなくちゃいけないことがあるんだ。死んでもらったら困るんだよ!!」
鎖でシドゥリの事を引き寄せると、魔術王の聖杯を鎖で掴んで空の方へと投げ飛ばす。
新人類たちにとってその聖杯こそが何より大事なものであるため、一体残らずその聖杯に顔を向けたその隙を使い、周りを囲む新人類たちを一掃したキングゥはシドゥリの事を抱き上げてエリドゥから飛び立つ。
[馬鹿ダ 馬鹿ダ! コレデ母ガ目覚メル! ]
[[[[[[[シャハハハハハハハハハ!!!]]]]]]
聖杯を手にした新人類たちが歓喜と狂気の笑い声をあげるが、キングゥは振り向くこともせずにウルクのある方角へ向かって真っすぐに飛んでいく。
『アレはメソポタミア世界の基本とも言える素材────神代の砂と土……神の泥で構成された、これまでの生命の系統樹には存在しない個体だ』
“人類悪”文字通り人類の汚点、人類を滅ぼしてしまう様々な災害の事を指したもの。
これは人類が発展すればするほど強くなって、その社会を内側から食い破る癌のようなものだって王様は言っていた。
それは霊基として存在していて、人間の獣性によって七つの災害に分けて顕現する。
クラス・ビースト。ティアマトはそのビーストに該当するのだという。
『────以上の事から、ボクはあの個体を“ラフム”と名付けた。ティアマト神最初の子どもにして、泥の意味を持つもの』
ラフム……ジグラッドに戻ってくる最中も何度か戦闘になったけど、その一体一体が強大な力を有していたというのにあろうことかドクターはアイツらはまだ“幼体”でさらに変化するという。
あれ以上強くなるなんて……うそでしょ?
「これより、海より現れた生命体をラフムと称する! シドゥ……いや、そこな兵士長よ。ラフムの名を各部門に伝えよ。今後の伝達が楽になるからな」
「……王様、シドゥリさんは?」
緊急事態だったから気が付かなかったけど、ずっと王様を支えていたシドゥリさんの姿がない。
王様はシドゥリさんの事は忘れてラフムの対策をしろっていうけどそんなこと出来るわけないじゃないか!
このままティアマトを止めなくちゃ人理修復は不可能だとかなんとか言うけどそんな事よりもシドゥリさんはって言及すると、王様は諦めたような表情で黙々とシドゥリさんの行方を教えてくれた。
「シドゥリであれば市民を庇い、ラフムどもに連れ去られた。以上だ」
「「「!!」」」
じゃあシドゥリさんはケツァ姉さんがいないことをいい事に、ラフムたちが巣を作ったエリドゥにいるってこと……?
それなら一刻も早く助けに行かなくちゃ!!
立場上個人の為に動けない王様にそう言うと、言ってくれるのを待っていましたとばかりに速攻で許可をくれたから私たちはケツァ姉さんの翼竜に乗ってエリドゥに向かうことになった。
どうか無事でいて……シドゥリさん!!
「がっ!! グッ!! クウウウウウウウッッッ!!!」
エリドゥを飛び出して30分は経っただろうか? 自ら心臓を抉ったせいで、もう飛ぶことすらままならなくなったキングゥは、受け身すらとれないことを察するとシドゥリも含めて全身を鎖で巻いて地面へ不時着する。
落ちたのは密林へ入る一歩手前にあった廃墟。直ぐに気が付いたシドゥリはすぐにキングゥの事を介抱する。
「はあ……はあ……、なんで……」
「喋らないでください、ああ血が、血が……!」
「なんで……
自分の死を悟った時。ラフムに持ち上げられ心臓を貫かれる瞬間、キングゥに向かって発した最後の言葉が『ありがとう』だった。
普通なら助けてや死にたくないといった台詞を吐くであろう状況で、シドゥリは笑顔を向けながらそう言った。
「……以前は、伝えられませんでしたから……」
「以前……? ああ……エルキドゥが、生きていたころ……か……」
「はい。私たちウルクの民は決して、アナタへの感謝を忘れはしません」
シドゥリはもう長くないキングゥに向けて話を始める。孤高の王だったギルガメッシュ。神でもない、人でもない『天の楔』として生み出された彼の王は生まれながら孤独だったと。
神ですら理解できない広く遠い視野も、ありあまる力を持っていることを知っていても誰も彼もギルガメッシュを止めることは出来なかった。
「貴方は、孤高の王に人生を与えてくれました。 偉大な王への道を示してくれました」
そこに現れたのが神によって造り出された『天の鎖』エルキドゥだった。
彼と出会い、戦い、認め合い親友となったことでギルガメッシュは人の生を実感できるようになり、民の尊祟を集める偉大な王へと変わっていった。
だからこそウルクの民はそんな王を変えてくれたエルキドゥの事が大切だった。
「貴方がゆっくりと弱っていくその姿を見て、悲しまなかった者はいませんでした。 貴方の死を嘆かなかった者はいませんでした」
もうない筈の心臓が鼓動しているのを感じた。ドキドキと締め付けるような感覚に覚えがあったキングゥは直ぐにソレが何なのかわかった。
“憧れだ”。キングゥはシドゥリに、ウルクの民たちにそこまで思われていたエルキドゥに憧れた。
「────だから、ありがとう。
「え? なんで……僕に、その言葉をかける? それは、その言葉を受け取るべきなのはエルキドゥのはずだろ?」
だから、思考が停止するレベルで慌て始めた。シドゥリが『ありがとう』の言葉をエルキドゥではなくキングゥに投げかけてくるとは思わなかったから
「その心が違くても、私たちの友ではなくなってしまても。貴方は自分の命を引き換えにしてでも、私のことを助けてくれました。だから、ありがとう」
「────」
足りなかった何かが、満たされていく。胸に空いた大穴が塞がってしまうようなほど大きな何かがキングゥの心を包み込んでいく。
口から垂れた血を拭きながら、頬に手を添えながら言ってくれたシドゥリのその熱を感じながら、キングゥの瞳から自然と涙が零れ落ちる。
(ああ……こんなもので良かったのか……。たった一言言ってもらえるだけど“生きている実感”を得られた……)
「────守りたい」
「え?」
「君を……、ウルクの民たちを守りたい……。魔獣たちをけしかけておいて都合のいい話かも知れないけれど……やりたいと思った……!
恨まれるのは当たり前で、都合が良いことは分かっている。それでも“守りたい”と、キングゥの心とエルキドゥの身体が初めて合致した瞬間だった。
「なら、こんな所で横になってる場合じゃねえだろ」
「「!!」」
その声と一緒に、キングゥの胸に空いた大穴の中に何かが投げ入れられた。
反応できず、ただただそれを受け入れたキングゥは、魔術王の聖杯よりも自分の身体に馴染むソレに驚きを隠せなかった。
「これは、王が所持していた
「お前に渡すと言ったら放り投げてきたぞ、贔屓してなにが悪いとか言ってな。どうだ? あんな蛆が造ったモノよりも、馴染むだろう?」
「あ、ああ……。だけど、どうしてコレを僕なんかに!」
ウルクの大杯。ギルガメッシュが所持し、三女神同盟が競い合っていた聖杯と同じだけの魔力が込められているソレが、魔術王の聖杯を代替えの心臓にしていたキングゥの新しい心臓に成り代わったのだ。
エルキドゥの身体だからなのか、ウルクの大杯は魔術王のソレ以上にキングゥの身体に馴染み、一瞬で胸に空いた大穴を塞ぎ身体を全快まで回復させた。
だが腑に落ちない。どうしてそんな大切なものを敵であった自分に与えるのか? 理解できずに彼に声をかけると、彼はいつの間にか目の前に立っていてキングゥの頭に手を置く。
「君が心を、ちゃんと理解できたから。“守るべきもの”を見つけたからだよ、キングゥ」
「…………」
「どうすればいいかはアナちゃんに伝えてある。あとは任せたよ、キングゥ」
「あ……!」
それだけ言って、ベリアルと博樹はウルクとは真逆の方向。ティアマトのいるペルシャ湾へと飛んでいく。
一方的に伝えられて、立ち尽くしてしまったキングゥの肩に手を当て微笑むシドゥリ。
「ありがとう。伝えられませんでしたね、キングゥ?」
「べっ! 別にあんなヤツにそれを言う必要はないだろ! 何だよその顔は! ほら、早いところギルガメッシュの所に戻ったほうがいいんだろう!?」
「ふふふ、そうですね」
(さあ覚悟は出来てるな宮原博樹!)
「この特異点に来た時から覚悟は出来てます! 行くよアリスちゃん!!」
「ええおじさま!」
ペルシャ湾が近づき、地面に降り立ったベリアルは意識を博樹へ移し、変身するための準備をする。
ナーサリー・ライムの力で宙に出現させたベリアライザーを掴み取り、2本のカプセルを起動させていく。
「ウルトラマンベリアル!!レイブラッド星人!!」
もう慣れた手つきで、起動させた2本のカプセルを装填ナックルに装填させてライザーに読み込ませる。
ライザーから読み込ませ、力が込められてた2本のカプセルの名前をナーサーリーの声をした電子音が響く。
『ウルトラマンベリアル!!レイブラッド星人!! 』
(うおっ、いつの間にかアリスちゃんの声にアップデートされてる!)
『デモニック・フュージョン!!』
「んんっ! 超えるぜ! 覇道!!!」
完全に混ざり合った2つの力を身体に注入し、博樹のことを赤雷を纏った闇が包み込む。
「ベリアルウウウウウウウッ!!!!」
まるでその目覚めを阻むように博樹の事を岩が包み込もうとするが、博樹がその名前を叫びと共に、ベリアルの双眼が瞬きその立方体を破壊しながら巨大化していく。
辺り一面雷が鳴り響く紫煙の中をその鋭い爪で引き裂き、赤と黒の雷の中を進みベリアルは更にその身体を大きくさせた。
そうして、黒に包まれた海面にウルトラマンへと変身したベリアルが降り立った。
「さあ、このオレに貴様の力を見せてみろ。回帰の獣、ティアマト」