もし宮永照と大星淡がタイムリープしたら   作:どんタヌキ

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この話で、ついに決着……!
対局の順位は、そして照と咲の関係はいったいどうなっていくのか!?

……まさか、そこにたどり着くのに9話も使うだなんて(焦り)


9,清澄内対局(後)

 ――――東三局、親は咲。

 

 

 

「なあ、優希」

「なんだ?」

「……これって、麻雀だよな?」

「当たり前、って言いたい所だけど完全に肯定出来ないのが辛いじぇ……」

 

 最初はあまり異質な空気を感じ取れていなかった京太郎と優希の二人ではあったが、現実に異質な対局を目の当たりにして疑問に感じている所があった。

 

「照先輩がああなのは割と普通だけど」

「普通なのかよ……!?」

 

 とは言っても、優希も照と実際に打っている人物の一人なので、連続和了を見る、実際に受けるのは慣れていた。

 否、受ける事に関してはまだ慣れてはいないだろうが。

 

 

 

「何だか、いつも以上に怖かったじぇ」

「……」

 

 何も気づいていなかった優希でも、実際に打っている所を見てほんの――――もしかしたら気のせいかもしれないレベルだが、異変を感じていた。

 

「だけど、何だかそんな物は吹き飛んだじょ!」

「……まあな」

 

 だが、それは先程までの話。

 もう、殺伐とした空気は存在しない。

 

 京太郎も優希も、安心と今後の展開に楽しみという点も重なり、笑みをこぼす。

 

「……はっ!」

「なした?いきなり何かに思いついたように……もしかして何か大変な事に気づいた、とか」

 

 突然何かに気づいたかのような反応を優希がしたのでそれに対し京太郎も反応してしまう。

 状況が状況なだけに、もしかしてまだ危惧する事があるのではないか、と京太郎も勘ぐってしまう。

 

「ああ、大変な事に気づいてしまったじぇ、京太郎」

「……!?」

 

 半ば冗談、だけど少し心配はしていたといった程度のものだったがまさか本当に大変な事だとは、と京太郎は心配する。

 ――――そして優希が気づいた大変な事とは。

 

 

 

「……試合に熱中しすぎてタコスを食べ忘れていたじょ!」

「…………ん?」

 

 あれ?俺は考えすぎていたのか?と改めて思考の上書きをする京太郎であった。

 

「確か照先輩が持ってきた袋に……はっ、これは呪われしチップス菓子、ドンタコス!」

「どこに呪われている要素が!?」

「知らないのか京太郎は!?これは呪われしタコス一族のご用達のお菓子でな……」

「いや……うん、何かもういいや」

 

 これ以上話していても時間の無駄だと悟った京太郎は、無理やり会話を切った。

 そして優希が袋から持ってきたのはドンタコス、だけ。

 

「あれ、タコスも買ってきたって言ってなかったっけ?」

「ふふふ、今日は主役は後で取っておく、そんな気分なんだじぇ」

「お、おう……」

 

 要するにタコスは最後に食べる、そういう事を優希は言っている。

 このタコス(優希)とは人間の会話が出来ねえ、そんな事を少し思い始めた京太郎であった。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

(……うーん、淡は何がしたいんだろう?)

 

 照は自身の配牌を見ながら対面の淡を気にする。

 

(今回は五向聴じゃないし……何か企んでる?)

 

 今回は配牌時点で二向聴の手。

 つまり淡が能力を使用していない、という事になる。

 

(別に五向聴自体は何度か打っていれば珍しい事じゃないし、そもそも淡は能力を全く展開していない?)

 

 先程東二局の二本場の時、照は五向聴スタートであった。

 だがそれは偶然なのか能力を使用された事による必然なのか、照は掴みきれていなかった。

 

(もうちょい淡というか、全体を気にしていれば気づけていたかもだけど、あの時の私は自分と咲しか見えてなかったからなぁ……)

 

 これがいつもの照ならば気づく部分があったかもしれないが、先程は周りが見えていなかった。

 

(……まあいい、ここはいつも通り自分の麻雀を貫くだけ)

 

 そして照は順調に手を作っていき――――

 

「ツモのみ、300、500」

 

 和了宣言。

 これで咲の親番は流れていく。

 

 

 

(まだまだ……この程度じゃ終わらせない!)

 

 先程のように悪い感情こそないものの、勝利への執念はいつも以上に高い。

 照は次も、その次も和了っていく事を強く決意する――――!

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 ――――東四局、淡の親番。

 

(ッ、五向聴……)

 

 照は自身の手を見てすぐさま、対面の淡を見た。

 ニコニコしていた。凄くニコニコしていた。

 

(随分と楽しそうに麻雀を打つね、淡……!こっちも楽しくなるよ、そんな笑顔を見たら)

 

 この笑顔、明らかに能力を使っているなと照は察する。

 そしてそんな笑顔を見て照も、楽しさの感情がより一層強くなる。

 

 楽しそうに麻雀をしている者が卓にいると、それは周りもいい意味で伝染していくのだ。

 それはある程度実力が拮抗していれば、と付け加えこそするが。

 

(だけど勝負は別……楽しんだ上で、私が勝つ!)

 

 

 

 ――――四巡目。

 

 

 

「ロンッ!三暗刻ドラ2、満貫だよー!」

「えぇっ!?うわあ、高いの振っちゃったよお……」

 

 淡の親満が咲に炸裂。

 絶対安全圏内での12000和了という離れ業をやってのける。

 

(さっきのサキの親の時はちょっと不気味さがあったからあえて能力を使わずにテルに流してもらったけどー)

 

 東三局の時、淡はあえて能力を使わなかったのだ。

 それは自身が能力を使うよりも、他人を使って咲の不気味な親を流したほうが確実だと感じたからだ。

 

 いわば、能力を使わないで自身を有利な方向に持っていくやり方。応用だ。

 

 

 

「ま、こっからは私の連荘で行くよっ!」

「……そんな事させると思ってる?」

「ふふふ、いくらテルであろうと今日の私は止められないよ!それに、今までだってテル相手に連荘……連荘、したことあったっけ……?」

 

 喋りながら自身の記憶を探ってみるが、淡の中に照相手に連荘できたか、覚えていなかった。

 

「……今日の私は止められないよ!一本場!」

「淡さん、それさっきも聞きましたが……」

 

 煌からの冷静な突っ込みを受ける淡であった。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

「ロン、1000点の一本場は1300点」

「うわああああん!テルがいじめるー!」

 

 あっさりと淡が振り込む事により、淡の親番は終了した。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

(……さて、また五向聴ですか)

 

 南一局、親は煌。

 先程からの配牌の悪さに頭を抱えてばかりであった。

 

(今回はとことんツキが来ないですね……いや、もうツキとかだけの問題では無いかもしれませんが)

 

 何故、との結論までは見えてこないものの、薄々と何かの力が作用しているのではないかと煌は感じている部分があった。

 

(……いや、これは?むしろ……)

 

 確かに、五向聴ではあるが今までの手と違う。

 ある意味、ここが自身のターニングポイントではないのかと煌は考えた。

 

(……やるなら、思い切って行きますか!)

 

 配牌から導かれる最後の形へのビジョン。

 煌はそこに向かって突き進む――――!

 

 

 

「ツモ、500、1000」

(……届きませんでしたか、本当に照先輩の速度はすばらです)

 

 照が和了る事により、煌の親が流れていく。

 煌の手牌――――国士無双一向聴。

 

(でも、自分の決断に後悔などありません。目的を持って、そこに向かって戦えているのだから)

 

 いくら点差が離れようとも、トップを諦めない煌。

 和了れなくても、自分のやりたい事に向かって打つことが出来たのだから後悔はしない。

 

(さて、まだ勿論トップは諦めませんが……)

 

 まだ残り三局高い手を和了り続ければ可能性が無いわけではない。

 

(……この点数、この楽しくて大事な対局を飛んで白けさせる、そんなすばらくない事はしたくは無いですね……)

 

 自身の点数を気にし始める煌であった。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 ――――南二局、照の親。

 

(……五向聴じゃない、私が親なのに?普通なら和了らせたくないと考えたら、能力は使ってくると思ったけど)

 

 照は自身の手を見てまた対面の淡を見る。

 ニヤニヤしていた。ニコニコというより、ニヤニヤしている。何かを企んでいる顔だ。

 

(淡が勝負を放棄するなんてまずあり得ないと思う……なら、何だろう。凄く、引っかかるな……)

 

 引っ掛かりを残しつつも、疑問は解消されない。

 それならば自身の麻雀を打つだけ、と照はいつものように打っていく。

 

 

 

「ツモ、1000、2000です」

(ッ!?そういう事……)

 

 だが、照よりも早く咲がツモ和了をした。

 

(ちょくちょく能力を使ってこない、とは思っていたけど……その時は全部、淡自身が和了らずに他の人が和了って、親を流してる)

(お、あの表情……テルは気づいたかなー?)

 

 照が何かを察したような表情をしたのを淡は見て、内心してやったりと思っていた。

 

(全く、淡自身の和了速度もかなり速いのに……よくそんな思い切った事をするよね)

(ふっふっふ、強さとは自分だけの強さだけではないのだ!他人を利用して、高校百年生が二百年生にも三百年生にもレベルアップするのさー!)

 

 今回の状況では淡は能力をフルに使った自分よりも、咲のほうが和了りが早いと判断した。

 だからこそ、今回も淡は能力を使用しなかった。

 

 

 

(……まあ、悔しくないわけが無いんだよね)

 

 だが、淡は流せたのを嬉しいと思うのと同時に悔しさも感じていた。

 

(一番の理想は、そりゃ自分が全部和了る事。他人の力を借りて三百年生よりも、自分の力だけで四百年生、五百年生の実力持っていたほうが絶対に良いのは明らか)

 

 他人の流れを見ながら打つ事を淡は覚えたが、淡自身の理想としては自分自身がとにかく最強、というのが理想なのだ。

 

(ま、そんなのは厳しいって過去の経験から何となくは察してるんだけどねー。今の自分の力を把握し、他人の力も把握しながら対局するってのが一番大切かなー)

 

 高い、ある意味無理な理想こそ持ちつつも淡は自分の力を、そして周りの力を理解しながら打っている。

 この無茶苦茶な理想こそ淡の変わっていない所だが、プレイスタイル、意識自体は確実に変化していた。いい方向にだ。

 

 

 

(さて、テルの親も流れたし。チャンスだよー!)

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 ―――南三局。

 

「それロン!親流して悪いねサキ、2600だよー」

「あー、当たっちゃったかあ……」

 

 淡が上手く咲から直撃し、咲の親を流す事に成功。

 

(今回は私の流れ来てる!テルとサキ、今回は二人を主役にしようかなって思ってたけど、私は空気を読まないよっ!トップ狙うから!)

 

 

 

 南三局終了時点数

 

 煌・6600

 照・34000

 咲・24800

 淡・34600

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 ――――オーラス。

 

「さーて、現在一位だし、最後に私の和了でこのままトップ狙っちゃうよー!」

 

 高らかに勝利への宣言をする淡。

 

(これは本当に淡さんが……?いや、まだわかりません。勿論私だって役満でトップ……!)

 

 煌は自身の勝利をまだ諦めない傍ら、内心かなり動揺していた。

 今まで煌が照の対局を見てきた中で、負けた試合が――――記憶に無いのだ。

 

 

 

「……ふぅ」

 

 照は大きく息を吐き、心を落ち着かせる。

 

(正直、淡の点数はともかく……咲のこの点数、途中からこの展開は予想していた)

 

 咲の点数、現在は24800点。

 

(3飜40符……5200点。それで30000点、プラマイ0になる)

 

 そう、プラマイ0への道が出来ているのだ。

 

(私や淡、煌相手に……容易にその道が出来ている、それだけでとんでもない強さ。咲が本当にプラマイ0麻雀をしなければ、多分私よりも強くなる)

 

 プラマイ0とは、狙って出来るような物ではない。

 点数を調整しなければならない。それは、トップを狙う事よりも難しいことだ。

 

 それを照達のような実力者相手にやろうとしているのだ。実際、出来つつあるのだ。

 

(咲は優しい、そして臆病な子だったから、自分も傷つかないように、他人もある程度傷つかないようにプラマイ0しか打てなくなってる。ある種、呪縛でもありそれが咲の勝利条件にもなってる)

 

 家族麻雀で咲は他人を傷つけたくなかった、そして自分も傷つきたくなかったという気持ちからプラマイ0の麻雀をするようになった。

 そしてそれは、プラマイ0になる事は自分が傷つかなかった、他人もそこまで傷ついていない。つまり咲の自己満足、咲からすると勝利したという事になる。

 

(私は……)

 

 照は頭の中で決意する。

 

(……絶対に勝つ!勝たなきゃならない!呪縛を解き放ち、咲に再び麻雀の楽しさを知ってもらうためにも――――!)

 

 自分が勝ちたい、そんな単純な理由も勿論含まれている。

 だがそれよりも、最初の頃純粋に楽しんでいた麻雀、それを咲に取り戻して欲しい、そんな気持ちが強かった。

 

 

 

「リーチッ!」

(ッ、ここでダブリー!?)

「珍しく驚いた顔をしてるねテル、攻めないと思った?ガンガン攻めてくよ!」

 

 思ってもいなかった、淡のダブリー。

 しばらく来ていなかったので来ないと思っていたが、ここで仕掛けてきた。

 

 そして、リーチをしてきたという事は点数にも影響が出てくる。

 

 

 

(だったら咲は4000点和了の手、恐らく3飜30符の手になってくる……だけど私の予想だと、絶対にあれが来る。だったら順子が3の暗刻が1そんな感じになっているはずだ……!)

 

 この淡のリーチの時点で、咲の最終形すらも照は予測した。

 

 

 

「……ポン」

 

 七巡目、咲は三筒をポン。

 

(もう動いてくる……!だったら、こう……!)

 

 咲のポンに反応し、照は瞬時に手を変えた。

 ――――八巡目。

 

 

 

「カン!」

(ッ、このカン……テルに責任払いさせた時のような、そんな感じの……!)

(咲さんのカン、まさか……!?)

 

 淡も煌もその咲のカンに注目する。

 東二局、とんでもない和了り方をしたカンからの嶺上開花。一度だけしか和了してないのに、そのイメージが未だ脳裏によぎっていたのだ。

 

 京太郎も、タコスを食べながら見ていた優希も思わず動かしていた口を止めるほどの空間がそこには広がっていた。

 見るものを魅了させる、そんな空間――――!

 

 

 

 咲の顔は自信に溢れていた。

 嶺上牌がわかる、そして自分が和了る事がわかっているかのように。

 

 

 

 

 

「そのカン、成立しない」

「…………え?」

 

 だが、そこに待ったをかける者がいた。

 それはリーチをかけていた淡でもなければ、煌でもない。

 

 

 

「槍槓のみ、1300」

 

 

 

 照の勝利申告が、ここに放たれた。

 

 

 

 煌・6600

 照・36300

 咲・23500

 淡・33600

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

(――――ふうっ)

 

 対局が終了し、未だ皆が何が起こっているのか理解できずに固まっているような状況。

 照は心の中で、一息ついた。

 

(……勝った。こんなに泥臭い麻雀をしたのはいつ以来かわからないけど……絶対に負けられない戦いで、勝った)

 

 槍槓のみでまくる、などという泥臭いながらも劇的な終わり方。

 見事、照は勝利を掴んだ。

 

 

 

「……咲」

「…………え?」

 

 未だ呆然としていた咲に、照が自ら声をかけた。

 

 

 

「ごめん」

「……な、何が?」

 

 いきなり謝られても、何のことだか咲にはさっぱりわからない。

 

「こんな最低な姉で……!」

「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!?」

「家族麻雀の時、咲に酷い事言って、本当にごめん……」

「え?あ、違うよ!あれは私が悪くて」

 

 ようやく何の事を言っているのか理解した咲はそれは違う、と言葉をかける。

 

「そんな事無い、あれは私が悪い」

「だから……」

 

 そんな事無い、と咲も言い返そうとしたがキリがない、そして照の話を最後まで聞きたかったので言葉を思わず止めてしまった。

 

「実はあの後、ずっと咲に謝りたいって思ってた」

「!」

「でも……言えなかった、私が弱いせいで。ねえ咲、目の前にいるのは謝ろうとして何年も謝る事が出来なかった弱い最低な姉なんだよ」

 

 照の声は弱く、そして震えていた。

 

「咲が私の事が嫌いなら……それでも構わない」

「お姉ちゃん……」

「私の本音は、咲とまたお喋りして、一緒に麻雀打って、部活にも入って欲しい……!けど」

「けどでも何でもない!お姉ちゃんの馬鹿っ!」

「え……?」

 

 照の言った事を否定するかのように、咲は強く声をあげた。――――咲は、泣いていた。

 

「お姉ちゃんの事を嫌いになるわけがない!お姉ちゃんは弱くなんかない!お姉ちゃんは……私のお姉ちゃんは、とっても強くて、ぐすっ」

「……咲」

「私だって、そんな事言ったらずっとお姉ちゃんと喋りたかった!だけど、私も歩み寄る事が出来なくて……」

 

 卓に座っていた両者は同時にガタッ!と立ち上がる。

 そして、泣いていた咲は照の胸に顔をうずめる。そう来るとわかっていたかのように照は、咲を優しく抱いた。

 

「お姉ちゃん……お姉ちゃん……!」

「咲……ごめん……!」

「うえええええええん……!」

 

 咲はずっと涙を流す。

 照も咲ほどではないが、少しずつ涙を流し始めた。数滴、涙が咲の髪の上に落ちた。

 

 その間、周りの者は声も出さずにその光景を見つめていた。

 一部、目に涙を浮かべる者もいる。

 

 

 

「……お姉ちゃん」

 

 少し時間がたち、若干の落ち着きを咲は取り戻した。

 

「どうしたの、咲」

「私、この部活に入るよ」

 

 咲は麻雀部への入部を宣言した。

 

「お姉ちゃんに負けて、次は負けたくないって思いが出てきたんだ。何だか、麻雀を思い出した気がするよ」

「そう……それは、よかった」

 

 麻雀を思い出す、という意味深な言葉を照も嬉しそうに理解した。

 

「お姉ちゃん」

「どうしたの?」

「麻雀って……楽しいよね!」

「……そうだね、麻雀は楽しい」

 

 

 

 そんな光景を見ていた周りも、それぞれ多種多様な反応をする。

 

 

 

「……ぐすっ、何かよく理解出来てないけど……よかったじぇ……タコスがしょっぱいじぇ……」

 

 状況を把握出来ていないが、雰囲気に流されて感動してしまった優希の目から涙、そしてタコスに滴り、それをかぶりついている。

 

 

 

(……よかったな、咲)

 

 咲の一番のつっかえが取れた事を理解し、幼馴染の京太郎は自分の事のように嬉しそうにその光景を見ていた。

 

 

 

(……はあ、この光景を見てると自分が負けた事なんてどうでもよくなってくるな。……いやいや、どうでもよくない!とにかくおめでと、テルにサキ)

 

 対局に負けた事を悔しがりつつも、先輩のテルが何年も悩んでいた事が解決したのを見て、心の中で祝福する淡。

 

 

 

 そして、その全てを代弁するかのように煌は涙声で言い放った。

 

 

 

「……本当に、すばらです!」




今回のまとめ

ド ン タ コ ス
淡、トリッキー
照、執念の勝利
無事、和解
麻雀って楽しいよね!(結論)
すばらっ!

ついに、清澄が一つになりました。次回からはテンポよく進んでいきたい所。
淡が思った以上にトリッキープレイヤーになってる。多分これが淡より格下なら、圧倒的火力で押すのでしょうが……最後のダブリーは、降りれない照に対しての挑戦みたいなものですね。

槍槓で照を勝たせるのは、最初から考えていました。照っぽくない気もしますが、どうでしょうかね。

……あ、照に顔をうずめる胸なんてないだろって思った人。誰かにロン(物理)をされても私は責任を取りません←

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