今後も応援宜しくお願いします!
俺の名前は
我々男子バドミントン部は全国の強豪校のうちの一つで、県大会では常に優勝している。
去年の県大会では見事、偉業の〝10連覇〟を成し遂げ、国中から注目を浴びた。
俺個人としては1年生ながら去年の大会にレギュラーとして出場し、あろうことか〝個人戦〟、〝団体戦〟共に優勝してしまった。
両親を失った俺を引き取ってくれた叔父夫婦は〝逆に優勝出来ないとおかしい〟と言っていたが、俺としては何が起きるのか分からないのが試合というものだ。
それにその後の全国大会やインターハイまで優勝してしまったのだから、より一層注目の的となってしまう。
しかも決勝の相手が〝高校生最強男子〟として有名だった選手だから尚更注目を集める形となってしまった。
お陰で翌日から俺はメディアに引っ張りだこされ、今も体育館の外からスカウトや記者が俺の練習を見学している。
まぁそれだけでも結構騒がしいのだが......。
「コーちゃん!きゃ〜♡♡♡♡」/////
「お、おい......もしかしてあの子って......。」
「間違いない......今年からフレゼリシアに留学してきたデンマークの若きプロ選手、コニー・クリステンセンだ。」
「なんでそんな子がここに......?」
「バっ.........もしかして知らないのか?鮫川鴻はコニー・クリステンセンの〝
「マジか !? こりゃあ記事が捗るなぁ。」
などと記者やスカウトマン達がありもしない事実で盛り上がっていた。
つーかちょっと待て?一体いつ誰が誰の婚約者なんぞになった!
まだ恋人ならば分かる.........なのにその恋人ですらない俺が何故コニーの婚約者などという話になってんだ?
「コニー選手。鮫川選手の婚約者と言うのは本当ですか?」
「うん!そうだよー♪」
おい、そこの眼鏡記者......余計な事を余計な奴に聞くんじゃない!
そしてコニー!お前も適当な事を......つーか大法螺発言をするな!
「という事は鮫川選手と結構進んでるの?」
「進んでるどころか、初エッc──(スパコーーーーン!)──あいたぁ !!」
俺が放ったスマッシュを受けて、そのまま頭を壁にぶつけるコニー。
言っておくがコニーとは初夜どころか初デートすら行ってはいない!
「さ......鮫川選手?」
「皆さん......これ以上余計な事を聞くのなら、今度はポールを投げ飛ばしますからね?」(#^ω^)ピキピキ
『は、はい......。』
俺は震え上がっている記者やスカウトマン達の間を進むと、ぶつけたおでこを抑えながらしゃがんでいるコニーの首根っこを掴んで外へと引き摺っていった。
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「.........で、どうしてお前がここにいる?」
砂利で作られた駐車場にて、コニーに正座をさせながらそう訊ねる。
「その前に鴻ちゃん。ここ、凄く痛いから別の場所で(ギロッ)......あ、いえ......ナンデモアリマセン......。」
「そうか。ならさっさと質問に応えようか?」
「いやぁ......練習してたら急に鴻ちゃんに会いたくなっちゃって〜......それで来ちゃった♡」
我が北杜峯とコニーが通うフレゼリシア女子大付属高校は、その間たった数百メートルといった超ご近所同士である。
故にこうして徒歩で行き来するのが可能なのだ。
しかしだからと言って俺はそんな理由で許すことはない。
「お前、俺が練習終わるまでここでそのまま待機な?」
「そんな !!!!!!!?」
一先ずコニーについてはこれでよし。
俺は次の大会に向けて練習をせねばならないのだ。
だからコニーに構っている時間などない!
俺は正座のまま泣き喚くコニーを横目に体育館へと戻ったのだった。
それから一時間後......。
今度はフレ女の主将である
「鴻くんやっほ〜♪」
「久しぶり、鴻!」
手をひらひらさせながら挨拶してくる唯華と、元気一杯の声で挨拶してくるヒナ。
「もしかして......もしかしなくてもコニーの事か?」
「そだよ〜♪途中で姿消したからさ〜、どうせまた鴻くんに会いに行ったんだろうって、こうして来たわけなんだけれど.........コニーは?」
「ここを出て左に真っ直ぐ行った先の駐車場にいる。」
俺が駐車場の方向を親指で指差しながらそう言うと、二人は疑問符を浮かべながらその方向を見た。
「なんでそんなとこに?」
「反省だ。」
「あ、やっぱり......?」
〝やっぱり〟と聞くところを見るに、唯華は大体そうなるだろうと予測していたようだ。
というか、ここに来ることも予測していたのなら最初から見張っていて欲しかった。
俺は練習を中断すると、唯華とヒナを連れて駐車場へと向かったのだった。
まぁコニーも十分反省しただろうし、こうして迎えが来たのならもう解放してやってもいいだろう。
そう思っていた俺だったが、コニーの行動がその斜め上を突き抜けていく程にぶっ飛んでいる事を、俺はまだ知らなかった。
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鴻くんに案内され駐車場に来た私達は、そこで目を疑うような光景を目のあたりにしてしまった。
「サインありがとうございます!」
「あ、握手して貰ってもいいですか?」
「いいよ〜♪」
そこには砂利の上で正座をしながら、数人の男子や女子達にサインや握手をしているコニーの姿があった。
その様子に私やヒナはもちろん、当の鴻くんまで絶句していた。
そして......。
スパーーーーーーーーーーン !!!!!!!!!!!!
絶句からいち早く我に返った鴻くんが、コニーの頭に全力でハリセンを振り下ろしていた。
それによって爽快感のある音が駐車場に響き渡る。
というか待って.........鴻くん、そのハリセンは一体何処から出したの !?
全力で叩かれたコニーは勢い余って地面に頭を打ち付ける。
それを見ていた男子や女子達が震える中、鴻くんは彼らを見渡しながら説教を始めた。
「たった3kmのランニングなのになかなか帰ってこないから可笑しいなとは思っていたが.........一体ここで何してんだテメェら?」
「さ、鮫川先輩......これは......その......。」
「喧しい!テメェらの説教は後にしてやるから、さっさと戻って練習しろ!」
『は、はいぃぃぃぃ !!!!』
哀れ......あれほどコニーを持て囃してた彼らは、鴻くんの威圧により逃げるようにして体育館へと戻っていってしまった。
残されたコニーはそれから30分間、鴻くんの説教を受けてからやっと解放されたのだった。
コニー......本当にあんたは何をしてるの?
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コニーの説教で余計な時間を費やしてしまった俺は、やっと練習へと戻った。
しかしそこにはうちの部員ではない者が3人.........コニー、唯華、ヒナである。
「ねぇ?本当に私達も混ざっていいの?」
「別にいいよ。どうせ今から戻っても碌な練習が出来ないだろ?だったらこっちに混ざって練習しろよ。」
「やったー♪鴻くんと一緒に練習出k......「ちなみにコニーは女子達とな?」......そんな !!」
「ほな、コニーちゃん。ウチらと練習しよな〜♪」
ガックリ項垂れるコニーを、女子主将であり俺の従姉である
「それじゃあお言葉に甘えて混ざらしてもらうね♪」
その後に続くように唯華とヒナも苦笑しながら練習へと混ざっていった。
それを見送っていると、うちの主将である
「本当に、いつもいつも大変だよね?君は。」
「相馬さんだけですよ?俺の苦労を分かってくれるのは......。」
「あっはっはっ♪伊達に君を一年間見てきてないよ。ところで鴻......これから僕とラリーをしないか?」
「いいですね。それじゃあやりますか?」
その後、俺はコニーが悔し涙を流しながら見ている中、相馬さんとラリーをしたのだった。
「どうすれば鴻ちゃんは私に振り向いてくれるかな......。」
「ほんならウチが手伝ったるで♪」
「本当に、ララちゃん !! 」
「とりあえず今夜、鴻ちゃんにこっそりお酒飲ませてベロベロに酔わしたるから、その隙にコニーちゃんは既成事実作ったり♪」
「ありがとう!」
うん..................今夜は二人に説教してから寝る羽目になりそうだな......。
『おまけ』
蘭々「鴻ちゃん、麦茶飲みや〜♪」
鴻「おん?ありがとう。」
蘭々(クックックッ......これで年貢の納め時やで?鴻ちゃん。)
鴻「その前にお前が飲め。」
蘭々「んぐっ !? ......ゴクッ......ふにゃあ〜。」/////
鴻「〝ぐら○ぶる〟に出てくる特製麦茶(ウィスキー+ウォッカ)かよ......。で、お前はいつまで隠れてるつもりかなコニー?」
コニー「──── !?」
その後、コニーの悲鳴がご近所中に響き渡ったという......。
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