乃木さんちの青葉くんはこんな感じである 作:ቻンቻンቺቻቺቻ
身に纏うのは濃紺の着なれた胴衣と袴。サラシは巻かない、腹を斬られる不様を晒せば腹圧で中身が出なかったとしても出血で動きが鈍って次の一手で首が落ちるだろうからだ。ほんの数瞬の命よりも僕の数少ない長所である身体の軟らかさを生かすために動きを阻害するものを身に付けない事を優先する。そもそもの話、隻腕の僕では一人で巻ける気がしない。
「……」
念のために使いなれた居合刀を白鞘から抜いて刃に視線を沿わせる、なんの変哲のない数打ちではあるけれども手入れを怠らない愛刀に刃こぼれは無く歪みもない。姉の生大刀の様な極上になれば話は別だが、名刀だろうが数打ちだろうが刃を当てて撫でれば斬れるのだ、僕の手に在るこの銘の無い数打ちは命を預けるに足る相棒だ。
「……」
右手で左の袖に仕込んだ小刀を揺らして弄ぶ、滅多な動きでは落ちてこないし袖に手を入れればすぐに抜ける位置に固定されている。問題なし。
「……あっ」
いざ部屋から出ようとして冷蔵庫のプリンを思い出す。生きるか死ぬか、死ねば冷蔵庫のプリンが無駄になる。悔いの遺さないように冷蔵庫から手早く取り出して蓋を剥がし、呷るように上を向いてから開いた口の上でプチンとすると甘くて美味しい。頬に付いたカラメルはティッシュで拭いた。
「よし」
今度こそ、やり残した事は無い。
寄宿舎から出て少し歩き振り返る、千景の部屋を除いて皆の部屋は既に暗くなっている。千景はこんな時間まで起きているのか、中学生にもなると夜遅くまで何かやる事が有るのだろうか。……勉強だとしたらもうすぐくる進級の季節が少し憂鬱だ。
帰ってこれなければ憂鬱になる事も無いよね、と自分自身に胸の中でジョークを飛ばす。……面白くないな。
「……」
姉と幼馴染のそれぞれの部屋の暗い窓を見る、二人は今日までの日常が明日も続くと信じて眠りに就いているのだろう。それを、裏切る訳にはいかない。
幼馴染の涙が、僕は許せない。生きて帰る。
一人では立てないと、姉は言った。僕が支える、生きて帰るのだ。
強く握った刀袋がギュッと鳴った。
「来たか坊主、時間通りだな……顔怖ェよ、殺気立ち過ぎ……」
「そうかな?」
向かった先、丸亀城の敷地と公道の境目に居た軽薄な顔ではない警備の熱い男。
丁度良い。泣かすと決めた相手が油断しきった姿で立っているのだ、元々今夜この男から一本取る予定は無かったが一当てしておこう。なに、何事にも報いを。報いを返すだけだ。
「普段ぼへらっと笑ってるからな、真顔が似合ってねぇ」
相対する五歩の距離、呼吸は整えずにそのまま自然に歩み寄る。相手は手練れだ、呼吸の変化だけで察知されるかもしれない。
「ぼへらって、そんな顔してないよ」
残り、三歩。
「んじゃあ、ヘラヘラだな」
残り、一歩。
「えー」
間合いに捉え、呼吸を変えずに放つ。
「な……ん……」
「これは、報いだよ」
確かな手応え、硬直して息の詰まった様子の男に言い放つ。
「ちゃって~~。残念だったな、俺は無敵だ」
「うぇっ!?」
完全な間合い、完全な力加減、完全なタイミングで打ち放った僕の熊手打ちは確かにこの熱い男の股間に叩き付けられたはずだ。「なんちゃって」で笑い飛ばせるはずがない。
ヘラヘラと笑ういつもの格闘術の先生の顔が、得体の知れない化物の顔に見える。
「高嶋の嬢ちゃんに金的を教えたのは俺だ、自分が教えた必殺技の対策をしてない格闘家なんていねぇよ」
「手応えあったのに!」
叩き付けたままの熊手をほどいて触ってみる、何も防具を仕込んでる手応えの無い生の感触が手に残る。キモい。
「揉むなバカ野郎。金玉腹に引っ込めただけだ」
「なにそれずるい」
ハエを払うような仕草で手を振り払われたので、大人しく熊手打ちを放つ為にその場に落とした刀袋を拾う。手を洗いたい。
「ずるくねぇよ、大人の嗜みだ」
「大人ってすごい」
「君達は、一体何をしているのかね……」
「あっ、鷲尾先生。こんばんは」
背後からの重く響く声に振り向けばムッツリと呆れの入り交じった表情をした担任が立っていた。
「鷲尾先生も金玉お腹に入りますか?」
「……乃木君、君は一体何を言っているんだ」
大人の嗜みと聞いたのに鷲尾先生に話が通じなかった。背後から格闘術の先生の「コイツ真顔で何言ってんだ」と嘲笑する声が聞こえた。なんだか納得がいかない。
「ふむ、よく解らないが、見送る乃木君に緊張の様子が見えないようで少しだけ安心したよ」
「僕の居合は"日常の居合"ですから、日常で緊張なんてしないですよ」
「さっきまで殺気立ってた癖によく言うよ」
「……そんな事無いし」
オッサン、あんちゃん、僕の年齢の離れた三人で夜の丸亀城を背景に暫くの間雑談を続ける。冬の終わりに近付く冷たい空気が煩わしいなと思い始めた頃にいつか幼馴染と一緒に乗った黒塗りの高級車が目の前に止まった。
「ただの教師の私に近くでの応援の許可は降りなかった。私は見送るだけしか出来ないが、乃木君の事を心の底から応援しているよ」
「鷲尾先生、ありがとう。いってきます」
格闘術の先生と共に高級車に乗り込む。「いってきます」と言ったからには「ただいま」と言いたいものだ。
これから僕は斬るか死ぬかに赴くが、僕にとっての事の発端は昨日の放課後まで遡る。
─────
「乃木君、後で職員室に来なさい」
終業の礼をした直後にいつもの三倍ムッツリした顔でそう言った鷲尾先生が教室から出ていき、皆の視線が僕に集まった。
「なんだ青葉、何をやった。鷲尾先生から凄い怒気を感じたぞ」
「何をって、何だろうね」
姉の問い質す声に記憶を掘り起こすが職員室に喚び出されるほどの事をした記憶は無い。強いて言えば昨日球子と一緒にちょっとイタズラをした事くらいだ。
「あれかな?職員室の先生の机の上の配置を全部鏡に映したみたいに左右ひっくり返したやつ」
「青葉ちゃん……何をやってるんですか……」
「言い出しっぺはタマっちだよ」
球子と一緒に物陰に隠れて鷲尾先生の反応を窺っていたのだが鷲尾先生は何を気にした様子もなく机に座り、一切の淀み無い動きで書き物仕事始めたのは逆に驚かされた。
「あれにはビックリしたよな、先生両利きだったんだな」
「思わず二人で"えっ"て言って驚いちゃったもんね。そのせいで隠れてるのバレたし先生にニヤニヤしながらちょっと叱られたし」
「鷲尾少年を久しぶりに見たな」
「タマっち先輩達のイタズラの下らなさとか先生のニヤニヤを見たとか鷲尾少年とか何処にツッコめば良いのかな?」
逆ドッキリをしてきた鷲尾少年曰く、大人の仕事道具をイタズラしてはいけませんとの事。
「でもそれならタマも一緒に喚び出されるだろうし、そもそも先生は一度終わりにした話を蒸し返さないだろ」
「そうだよね」
教室でアレコレ話していても仕方ないので一緒に鍛練をする予定だった姉に一言「行ってくるよ」とだけ言って職員室へ、扉を通って入った職員室内は何やらピリピリとした肌に貼り付く空気だった。
「来たかね乃木君、奥のソファーに座りなさい」
通されたのは使っているのを見たことがないソファーとテーブルを置いただけの簡素な応接スペース、先客の格闘術の先生が不機嫌な顔でお茶を啜って座っていた。
二人掛かりで叱られるほどの事をした記憶は無いのだが。
「濡れ衣です?」
「そういう話じゃねぇよ」
ではどういう話なのだろうか。医務担当の職員さんがお茶の入った湯飲みを机の上運んできてくれてから鷲尾先生がムッツリ顔のまま口を開いた。
「四国に設立された臨時政府、今は単に政府と呼ばれているのだが──」
あっ、凄く難しい話だ。授業でもいっぱいいっぱいなのでそういうのはちょっと困る。鷲尾先生の重い声を聞き流しながらぬるめのお茶を口に含み、感じる眠気と頭上を回転する難しい単語をお茶の渋味で押し流した。
曰く、公的機関・支援・秘密・人材・推薦・大社・政治・発言力……駄目だ、辛うじて頭に残る単語では先生が何を言っていたのかまったく解らない。でも一応鷲尾先生の垂れ流す音の羅列の合間に「はい」とは言っておいた。
「坊主、解ってないだろ」
「はい…………あっ」
いっけね、やっちまった。これが誘導尋問か、大人って汚いな。
先生二人が大きな溜め息を吐いた。
「いいか、馬鹿に解るように順番に言い直してやる」
「ん」
それはかなり助かる。
「政府は坊主が丸亀城にいるのが気に食わなくて追い出したい」
「ん」
マジか、僕って国に嫌われてるのか。
「大社は坊主を丸亀城に置いておきたい」
「ん!」
「政府が坊主よりこっちのエリート坊っちゃん置けよってゴネた」
「ん」
「大社はエリートより坊主が良いって言った」
「ん!」
「政府がそれなら坊主が優れてる所を見せろよって更にゴネた」
「んー」
「御前試合が決定された」
「マジか」
「色々省略し過ぎでは?」
鷲尾先生が横で溜め息を吐いてから少し補足を足してくれた。
大社は勇者達を違和感無く身辺警護できる存在として僕を丸亀城に置いているが、政府は僕の実力を信用できないから政府の選んだエリート君を使えと指示してきたらしい。
「そのエリート君と一緒じゃ駄目なの?」
「大社はエリート君と政府が嫌いだ」
「もっとこう、他の言い方は……」
「とにかくうるさい政治家ども自慢のエリート君をぶちのめせ、祝詞の一つも理解できねぇ奴等に口出しさせるな」
イライラが白熱している格闘術の先生、鷲尾先生がちょっと引いてる。
それにしても大人の喧嘩に子供をだして御前試合と申したか。
「断ったらどうなるの?負けたら?」
「どっちも教室の坊主の席がエリート君の席になる」
「マジかぁ」
それは、嫌だな。
御前試合と言うのならそのエリート君とガチで殺り合う事になるのだろう、逃げても負けても僕はここからいなくなるのか。勝負の結果僕がいなくなるのも嫌だけどまだ良いと思える部分もある、僕より強い奴が姉と幼馴染と皆を護ることになるからだ。逃げるのは有り得ない、僕より強いかどうかさえ解らない奴に姉と幼馴染を任せたくない。……よし、覚悟は決まった。
「解った、ヤるよ。いつヤれば良いの?」
「明日の深夜、大社でだ」
「ん、頑張る」
「乃木君、決断早いのだな」
死ぬかもしれないのは怖い、だけどそれ以上に姉と幼馴染を弱いかも解らない他人に任せてはいられないという思いが遥かに上回ったのだ。大社にもこんな大変な世界になってしまったのに以前とくらべて遜色の無い生活をさせて貰っている恩もある、自分でも驚く程に躊躇いは無かった。
─────
広い庭に煌々と燃え上がる幾つもの篝火、夜闇を払う耀きに照らされるのは面を被った数人の神官装束の一団と数人の仕立ての良いスーツを着こなした一団、そして簡素な木椅子に腰掛ける僕と少し離れた場所で同じように座る年頃の近いであろう端正な少年。これからあの少年と斬り合う事になるのか。
理知的そうな顔で面姿の神官達を興味深そうに見ている少年は見た限り僕よりも背は高く勿論五体満足の姿。黒い袴姿の袖から見える手は固く太い物、積み上げた鍛練に疑う余地無し。
満天の星空に恐怖を然程感じないのはただ怖いだけの空よりも僕を斬りうる解りやすい恐怖が近くにいるからなのだろうか。
「おや?」
「ん」
不意に少年と視線がぶつかった。数瞬の間の後に少年が立ち上がり、僕の元へと歩み寄ってきた。
「今日はよろしく、悔いの残らない試合にしよう」
「んー、そだね」
これから死ぬかも解らないのに自らを殺しうる相手にこの気さくな接し方、この少年、頭のネジが何本もぶっ飛んでいるのでは?
「君はさ、なんで戦うの?」
これは、聞いておきたかった。もしも僕がいなくなった後にどんな事を考えている人間が姉と幼馴染とクラスメイト達の側で武器を握るのかを知りたかったのだ。
「半分は護国のため、もう半分は男なら女の子を護るものだろう?大変なお役目を背負う勇者の女の子達の力になれたらなって思ったんだ」
「そっかー」
少しだけ話をした印象は性格がイケメンな感じ、見た目も中身もイケメンとか凄いな。頭のネジがぶっ飛んでるけど。
「君は?」
「それのために僕を使うと定めたからさ」
"それ"とは即ち姉と幼馴染の笑顔、そこまで説明する義理は無い。問い返された質問にはしょって答えると少年が「よく解らないや」と正直な反応をした。
「そぉれドーン!」
背後から突然の衝撃と明るく幼い声、纏わりついた重さに首だけ振り返れば夏に会ったきりの鷲尾が襦袢に半纏姿で背にのし掛かっていた。
「にーちゃんも来てたんだな、何これお祭りか?」
「えーと?この子は?」
突如現れた鷲尾曰く、深い説明もなく今夜は自室から出ないように厳しく言い付けられていたが、昼から大人達がしていた大掛かりな準備の正体が気になって抜け出してきたきたらしい。当たり前のように指示を無視して「グニグニゴリゴリ~」と僕は手を両手で揉む鷲尾のマイペースさには「ん~」と唸ることしかできなかった。
「やっと見付けたよ鷲尾ちゃん、叱られる前に部屋に戻るよ」
「えーー」
「あ、真鈴ちゃんまで」
真鈴曰く、「トイレ!」と言って消えて帰って来なかった同室で面倒見ている鷲尾を探しに来たらしい。と言っても消える前のソワソワした様子と普段の気ままな振る舞いに半ば此処に来ているだろうと確信していたので探す手間は無かったとの事。
「……いや、もう見付かってるし追い出されるまではいっかぁ」
「やった!」
感じる複数の視線の元を辿って周りを見渡せば、スーツの一団からも面の一団からも一斉に視線を向けられていた。これだけ鷲尾が楽しそうに騒いでるのだから見付かるのは当然だと思う。少年が面の一団の視線に居心地悪そうしていた。
「それで、これ何の集まり?乃木君の格好もなんだかビシッとしてるし……このイケメン君は初見だね、何者?」
「とーちゃんはイケメンに気をつけろって言ってた、安芸姉ちゃんも気をつけてな」
これから此処で果たし合いするのとその相手だよとは流石に言えなかった、女の子相手に血生臭い話はどうかと思うのだ。
「これからここで試合する事になってまして、その対戦相手として呼ばれたんですよ」
マジかよコイツ、言いやがった。頭のネジがぶっ飛んでるどころか頭そのものがぶっ飛んでるな。
「へ~~。君が、乃木君と?……そういうの見た事なかったからかなり見てみたいね。このまま此処にいたら駄目なのかな?」
「わたしも見たい!」
見た事あったらヤバいよ!なんでそんなに興味津々なのさ!
女の子二人の意外な悪趣味さに戦慄していると面の一団から一人こちらに向かって落ち着いた動きで歩み寄ってきた。少年が思いきり身構えるが、無理も無いと思う。
「巫女は姿を隠すように言われてたはずじゃなかったのか」
聞き覚えのある声、軽薄さを隠していた頃の格闘術の先生の声だ。一緒に来たはずなのに姿が見えないと思っていたらコスプレして顔を隠していたらしい。
「せんせー、その格好どーしたの?」
「俺は元々神職だ。面、カッコイイだろ?顔も見せたくない相手の前ではつけてんだ」
「……その面ってそうだったんだ」
「おっちゃん、試合見ていきたい!」
安芸の困惑の声と鷲尾のおねだり、格闘術の先生が面裏の顎を手のひらで擦りながら「権力汚れの政治屋の目に晒されて欲しく無かったんだがなぁ」とつぶやいた。
悩まずに駄目だと即答しようよ……僕が言うのもアレだけどこれから此処で行う事って絶対教育に悪いって。
何がそこまで鷲尾をかき立てるのか、おねだりしながらも僕の手をグニグニし続ける鷲尾をみる。子供の内からスプラッターな物を見るのはきっとよろしくない。
「まっ、良いんじゃね?」
「やった!」
「ありがとうございます」
マジかよコイツ、許可しやがった。
周りが静まりかえっているから少し離れているだけの二組の一団にも聞こえているはずなのに反対する声が一つも上がらない。ここに良識のある大人はいないのか。
偉い人は恋ばな好きで出す指示はズレている。指示を受ける人もズレていて目の前にいるこの男も必殺技と称して女の子に金的教えるし、巫女に至ってはスプラッターに興味津々。挙げ句の果てに大人の喧嘩に子供を出して真剣勝負させる良識の無い修羅達。
大社っていったいなんなんだ?こんな集団が四国の未来を護っているのか。
「刻限です、両者前へ」
面の集団の内の誰かが平坦な声で宣言、とうとう斬るか死ぬかを始める時がきた。少年が自分の得物を取りに先程まで座ったいた木椅子まで戻っていく。
僕もドン引きなやり取りを見て緩んでしまった心を引き締めて、刀袋から白鞘の相棒を取り出して前へ。
「あん?」
まだ側にいた格闘術の先生が何か違和感を感じた様子だがかまっている暇はない。
篝火に囲まれた明るい夜の庭、名前も流派も知らない少年と対峙する。
「コーー……フーー……」
「合図の後に禁じ手無しの一本勝負にごさいます」
「はい」
「コーー……フーー……」
息を整えながら合図を待つ、返事は返さない。
「お互いに、構え」
少年が鞘に白鞘に収めたままの得物を正眼に構える。
──舐めてくれるじゃないか、僕に刃は必要ないと?
「コーー……フーー……」
僕も抜刀し、構える。左半身を前に、刀を握る右手を相手から隠す変形した脇構え。居合は斬り合いの技術ではない。まっとうな斬り合いでは不利が予想されるが故、トリッキーな攻めで即座に勝負を決める。
周囲がざわめいた。
「坊主、待て。絶対動くな、待て」
ここに至り、突然の制止。なんだと言うのか、整えた呼吸が肩透かしに少し乱れてしまった
「……なにさ?」
「それ、刃引きしてないマジモンだな?」
「当たり前じゃん」
場の空気が固まり、対峙していた少年が眼を剥いた。
「誰がガチの斬り合いやれって言ったよ!馬鹿じゃねぇかお前!!」
「御前試合なんでしょ?」
「物の例えに本気になるなよ!お前今の今まで生きるか死ぬかのつもりだったってか!」
「ん!」
声を荒らげていた格闘術の先生がその場の地面に手をついて項垂れながら「ん!じゃねぇよぉ……」と今までにない声色で溢した。
御前試合と言われたから斬るか生きるかだとずっと思っていたのだ、違うなら違うと言って欲しかった。
「うわぁ、命の価値が軽い」
「日本刀カッケェ!」
失礼な、僕は覚悟を決めて此処に立っていたというのに。
「君は、殺し合うつもりの相手に今までなごやかに接してたの?」
ちょっと青い顔の少年に震えた声で問われる。
「君こそ斬り合う相手にやたらと気さくだったから僕は舐められてるかと思ってたよ」
「……前提から間違ってるよ」
「誰か木刀でも竹刀でも何でも良いから持ってこい」
僕の代わりの得物が用意されるまで試合は中断される事になった。
なんか、こう……気が抜けた。
修羅葉くん(勘違い)
これが、報いだ(金的パンチ)謎の技術で回避される、大人って凄い!タマっちと一緒にイタズラ、された先生も少年の笑顔、これがおふざけってやつよ!姉と幼馴染と離ればなれになるかもって言われてスイッチ入りかけて御前試合って言われてスイッチON!御前試合=斬るか死ぬか。自分より弱い奴に姉も幼馴染も任せてられない、思考を回して二秒で覚悟が決まる。話をキチンと聞いて理解出来ていれば勘違いなんてなかったのにね。大社という集団に戦慄。第二回ブーメラン大会IN大社のチャンピオン。手が男臭い、洗ってきたのかな?
事業仕分けの対象。
格闘術の先生
収納は大人の嗜みさ、ドヤ顔。殺気立ってる坊主の一撃に対応できたのは実はギリギリだった、まっすぐ近付いてきて距離が狭くなりすぎた事に違和感を感じなかったら報いを受けてた。結果、少年の緊張をほぐして袋を揉まれる。実は勘違いの原因のその1、説明を省略し過ぎたのとスイッチ入る寸前に御前試合とかって言っちゃったから。刀袋から出てきた得物に違和感、抜刀、おい馬鹿やめろ!坊主の覚悟っぷりを舐めてた。仮に青葉くんが負けても無理矢理丸亀城にいさせるつもりだったけど
エリート君くるのが心の底から嫌なのでやる気を出して貰うためにそういう事は言わなかった。
鷲尾先生
こんなイタズラ私もしたなぁ、ニッコリ。大人の都合で支え合う双子と幼馴染を引き離すかもしれないという現状に激しくムッツリ、怒りで赤くなって三倍ムッツリになる。実は勘違いの原因その2、キチンと理解させてあげていれば……でも彼を責められない、普通はそんな覚悟決めない。本当に斬り合いだったら全力で立ちはだかり見送りなんてする訳が無い、生徒を死地に送る先生では無いのだ。青葉くんが追い出される事になるとかなっても自分が引き取り丸亀城で授業を受けさせると決めたので笑顔で送り出し、この少年は丸亀城の教室に必要不可欠だと確信しているのだ。
鷲尾ちゃん
レッツゴー夜の大社、好奇心は止められない。にーちゃん来てるじゃん!遊ぼうぜ!寂しくないけど固い手のひらにとーちゃんを思い出す。イケメンは気をつけろ、オオカミだから噛みつくぞ!間違いなくエンジョイ勢。
安芸さん
相部屋の女の子を探す名目でちょっと気になってた庭を見に来た。なにこの状況?試合?へーー。見付かってるから開き直る。仮面の意味は多分騙されてる。戦場帰り男子の命の軽さがフワッフワでヤバい、あれガチでやる気の顔だった。
イケメン少年
政府高官の親戚で文武両道な頭よさそうな顔したイケメン。まっとうに育って、まっとうに剣を習い、まっとうに天災を生き抜いて、まっとうに努力する天才。こんな世界で自分に何かできないかと悩むも解らないからひたすらに剣に努力していた。突如親戚の政治家から話、やってやんよ!自身が勝利したら仲良し三人組を引き裂く事になるとかそういうネガティブな話はされてない。得物は普通の木刀。
大社
イカれ集団(濡れ衣)。政府がさ~ぐだぐだ口出ししてくんのよ~政教分離って知らないの?なんかさ~支援してるんだから情報開示しろとかぁ予算厳しいから弟君事業仕分けしろとかさぁ煩いのよね。しかもさぁ、この状況を乗り切った後に色々発言力を持ちたいのか知らんけど政府お抱えの機関になれとか政治家の息のかかった馬の骨を使えとかもうウザすぎ。弟君と馬の骨だったら絶対馬の骨使うべきとか舐めすぎ、勇者様の双子の弟だよ?(根拠の無い信仰ガンギマリ)負ける訳無いじゃん。
弟君真剣持ち込んでるし気合い入り過ぎ(笑)
政府(臨時二年目)
大社調子乗り過ぎ、この状況なんだから譲歩してよ。秘密主義とかマジ無いわ。ちょっとだけ見せて貰った資料に意味不明な少年発見、勇者でも無いのにこんな子どもがいてたまるか、突っついてみる。
何あの子供、サイコパス?(戦慄)
丸亀城の善良な大人から見た青葉くん
・姉と共に将来を嘱望される居合剣士だった・でも天災の日に隻腕になる被害・家族を失い姉と二人きり・残った家も取り壊し・幼馴染を庇って斬られて大怪我・それでもいつもぽやぽや笑って姉と幼馴染と支え合う健気・丸亀城に来た頃は欠片も笑わなかった女の子が青葉くんともう一人の女の子と一緒なら自然に笑ってる所を目撃できる・喧嘩しても女の子には手を出さない
なんか青葉くんが追い出されそうなんだってよ…はぁ?(怒)そりゃあ職員室もピリピリするわ。
尚青葉くんの実態はアレである。
────
一度書き上げる、見直す、何故かのわゆ原作で金と権力渦巻く政争の話になってる、削除。
青葉くんにとってどうでもいい部分は全部カットして書き直しました。書き直したのに勇者の出番が少しだけなのが辛いです。
西暦勇者の周りの大人達の事情を書きたかったのにどうしてああなってしまったのか、話を書くのは難しいですね。