乃木さんちの青葉くんはこんな感じである   作:ቻンቻンቺቻቺቻ

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58:試される感じの女子力、もしくは笑いの話

 

 天井を修繕するために道場の出入りが禁止された後日、入院している球子と杏を除いた勇者教室の生徒達は生憎の雨天でできてしまった暇な時間に僕の部屋に集まっていた。

 

「今回は……チーズケーキを焼いてみたわ」

 

「すげぇ」

 

「初心者向けの……簡単なレシピがあったから……」

 

 少し照れくさそうにもじもじとしながらも皆で囲んだテーブルの上にしっとりと艶のある見た目をした主役を置く千景。テーブルの上で切り分けられたチーズケーキが存在感と共に放つ芳醇な香りに鼻腔がくすぐられて唾液が沸き立つのを感じる。

 

「千景さんがチーズケーキに挑戦すると聞きましたのでピッタリの紅茶をリサーチしてきました」

 

「ほへぇ」

 

 続けて幼馴染が人数分のティーカップを配膳する。幼馴染が言うには、チーズの風味でクセのある味わいのお菓子には強い香りをもちながらも味覚への刺激がシンプルな味わいな種類の茶葉で煎れた紅茶をストレートで飲むのがオススメらしい。

 

「どじゃ~ん、キューカンバーサンド~。ちょっとおしゃれに言ってみたけどキュウリのサンドイッチだよ」

 

「もしかしてこの前テレビでやってたお茶会の特集見てた?」

 

「うん」

 

 ニコニコと楽しそうに一口サイズに切り分けられたサンドイッチをテーブルに置く友奈。なんでも英国貴族がぶいぶい言わせてる頃のお茶会ではこのキュウリのサンドイッチが紅茶の付け合わせにお洒落で上品だとされて大人気だったらしい。

 

「…………」

 

 無言の姉を見る。

 

「三人の女子力とやらの高さを感じるな」

 

「なるほど、このお洒落っぽさが女子力なんだね」

 

 一度会話が途切れ、少々の間をおいてから姉がテーブルの上にそっと持参したお菓子を乗せる。

 

「わらび餅だ」

 

 洋菓子、洋風、洋食、と来て突如現れるチョンマゲの空気感。

 

「皆がそれぞれなにかしらを持ち寄るなら軽い感じでツルリと食べれるやつが良いのではと思ったのだが」

 

「あっ、このわらび餅婆ちゃんがよく買ってきてたやつだ。これ美味しいんだよね」

 

「うむ、そうだったな。持ってきておいて今更だが紅茶に合えばいいが……」

 

 何はともあれお茶会の開始である。

 ちなみに、僕はなにも飲食料を用意していないのだが、それは場所の提供と言ういつもの役割があるので皆から何もしなくて良いと言われてたからだ。決して異口同音に『大人しくしてて』と言われたからではない。

 まずは馴染み深い味のわらび餅を口に放り込んでツルリと飲み込み、きなこの余韻が残る内に鮮やかな紅茶を一口。

 

「わらび餅と紅茶、合うね」

 

 きなこの鼻に残る香ばしさと舌に残るまろやかさが紅茶の華々しい香りとささやかな渋味によって瞬時に嗅覚と味覚をフラットな状態へと書き換えられる、もしやと思ってもう一口わらび餅を口に放り込んでみると最初の一口目の美味しさが再度楽しめた。

 

「合いますね」

「ビックリだね」

「新しい発見だわ」

 

 女子力高めな三人もわらび餅と紅茶の相性が気になっていたのか僕と同じようにわらび餅と紅茶を交互に口へ入れて二口目のわらび餅に対して感心するように驚いていた。

 

「そうかそうか、不評じゃなさそうでなんだか物凄く安堵してしまったな」

 

 全員が一斉にわらび餅に手を伸ばした事にほんの少しだけ目を見開いた後にそわそわとしていた姉が皆の反応にほっと一息吐く。姉の女子力は低くないと証明されたのかもしれない。

 ほっこりと微笑んでいる姉を視界の内に捉えながらも続いて友奈の用意したキュウリのサンドイッチもといキューカンバーサンドを手に取る、薄切りのパンにキュウリを挟んで細かく切り分けられた一口サイズ仕様に作られている。

 

「せっかくだからイギリスのお茶会っぽく大口開けないでお上品に食べられるサイズにしてみたよ」

 

 サイズにもこだわった友奈の女子力。

 

「ん~、るねっさ~んす」

 

 英国貴族のドレスを着たご令嬢さん達が好んでこれを食べていたとテレビで見ていたのでなんとなく思い付いた単語を言ってみる。

 

「青葉ちゃん、ルネッサンスはフランスですよ」

 

「まじか」

 

「ルネッサンスの時代に……サンドイッチはまだ発明されて無いわ」

 

「まじか」

 

「ダブルで間違えちゃってるね」

 

「間違いかける間違いでマイナスかけるマイナスみたいにプラスにならないかな?」

 

 無学を晒してしまった事に"やらかし"を感じ、千景の不意打ちな雑学に驚き、友奈のちょっとだけからかうような微笑みに冗談で返してみつつ一口サイズのサンドイッチを頬張る。しっかりと下味をつけられた瑞々しくシャキシャキなキュウリとパンに塗られたバターがシンプルながらも濃厚な美味しさで味覚を刺激する。

 

「どうかな?」

 

「やめられないとまらない系の美味しさだね」

 

 ふふん、と自慢気に笑う友奈。

 次の一口をそそられる美味しさではあるがまだ主役が残っているので胃袋の要領を圧迫しないように我慢しつつ紅茶を口に含んで余韻を楽しむ。

 

「さて、メインディッシュだね」

 

「うむ、メインだな」

 

「綺麗に焼けてるので写真を撮っちゃいました」

 

「ぐんちゃんのチーズケーキ、わっくわくだね」

 

 フォークを手に本日の主役とも言える切り分けられてあでやかな断面を僕の目に晒すチーズケーキと相対する。なんとなく主役を最後にとっておいたのは皆も同じだったようで、皆の表情から好奇と期待の思いがチーズケーキへと向けられてるのがよくわかる。

 

「あの……あまりハードルを……上げないで」

 

 なにやら千景がおろおろと弱気な顔をしているが事ここに至って期待しないという事があるだろうか。いや、無い。あるはずが無い。そういう訳でそろそろチーズケーキを食べろと僕の中の食欲と言う名の獣が呻くので実食の時である。

 

「ん~ふふふ」

 

「青葉くんが食べる前からニコニコしてる」

 

「ん、だってこれ絶対美味しそうなんだもん」

 

「……あの……ハードル……」

 

 薄黄色で表面にはうっすらと色の濃い焼き目がついているチーズケーキ、たしか分類で言えばベイクドチーズケーキと言うのだったか、それに対して逸る食欲を抑えつつケーキを崩さないように慎重にフォークで一口分だけ切り取って口へと運ぶ。

 

「んふふぅ、いただきます」

 

 舌の上でホロリと溶ける軽い舌触りながらも重厚なチーズの香り、控え目な甘さ故にしつこくないあっさりとした味わい、胃袋から全身へと行き渡る至福の気持ち、実に美味しい。

 

「……その……どうかしら……?」

 

 一口目を飲み込んでから千景がおそるおそるといった面持ちで問い掛けてくる。何をそんなに不安がるのか、これ程に美味しいお菓子を作ったのだから胸を張るべきだ。周りを見れば皆もこのチーズケーキをとても気に入ったのか満面の笑みになっているのでそれだけでも答えは解るだろうに。

 

「美味しい、すごく。好きな味」

 

「…………そう、良かった」

 

 率直に伝えた感想に胸を撫で下ろして微笑む千景。

 そのやわらかな微笑みが胃袋からとは違う幸福感が胸に満たさせる。

 

「んふふっふ、おいしいねぇ、あぁはぁ」

 

 入院中という事で球子と杏がこの場にいないのは残念だが、とても親しい友達達と同じテーブルを囲んで美味しいお菓子とお茶を楽しむゆったりとした一時にたまらなく充足感を覚える。

 

「青葉くんがゆるゆるになってる」

 

「ゆるゆる青葉ちゃんです」

 

 そんなこんなで美味しいお菓子とお茶を皆で楽しみながらの幸福なお茶会、話題がお菓子の感想の言い合いから姉による得物を振るう時の一瞬の重心操作の講座になったり新学期の勉強の話になったりとあっちやこっちにふらふらとしていく。

 

「そういえば青葉、あの時は混乱し過ぎてスルーしてしまったが天井に刺さった時に怪我はしなかったのか?」

 

 ふと思い出したらしき姉の声。

 

「ん、へーきへーき、ちょっと引っ掻けた下半身が痒いくらいかな」

 

 腹部と下半身の所々にあった軽微な出血はすぐに治まり、今では小さなかさぶたになっているので化膿の心配もなさそうなのだ。

 

「そうか、下半身が痒いだけか」

 

「……若葉ちゃんも青葉くんも狙って言ってるのかな?」

 

「言葉足らず若葉ちゃんと言葉足らず青葉ちゃんです」

 

『ん?』

 

「これで意志疎通できてるあたりは……やっぱり双子ね」

 

 何かを狙った覚えなど無いので友奈の言葉がなにを指してのものなのかわからずに首が傾く。姉も同じだったようで無意識に喉から鳴らされた疑問符が揃い、千景が今更な言葉を言いながら何やら納得していた。

 こんな感じでちょっとぐだぐたしながらも話題を何度か変えながら駄弁り続け、用意したお茶菓子の残りが少なくなってきた頃に千景のスマホが音を鳴らした。ほんの一瞬だけ樹海化の警報かとわずかに身構えてしまったが、至って普通の着信音だとすぐに気付いてビクリと反応してしまったのを誤魔化すように紅茶を口に含む。

 

「…………お父さん?」

 

 着信を知らせる音を鳴らすスマホの画面を見ながら怪訝そうに呟く千景、そういえば千景のスマホに電話がかかってくるのを見るのは珍しいなと思いつつ口に含んでいた紅茶をゆっくりと喉の置くに流す。

 

「……珍しい」

 

 千景が呟いたその言葉が指すのは電話が掛かってくる事に対してなのか、それとも千景の父が電話を掛けてくることなのか、一言「すこし失礼するわ」と口にした千景がスマホを操作して耳にあてる。

 

『やぁ千景、久しぶりだな』

 

「えぇ、そうね……急にどうしたの?」

 

 なにやらテンションが高いのか漏れ聞こえる千景父の声はしばらく前に聞いた時よりも上機嫌そうに聞こえる。

 

『いや、なに、久々に千景の声が聞きたくてな。最近どうだ?』

 

「最近……普通よ」

 

 耳にあてていたスマホを少しだけ離して反応に困ったような不思議な表情をする千景。

 

「千景は父と仲が良いのだな」

 

「楽しそうに喋るお父さんなんだね」

 

 どうしても千景父のテンション故にか漏れ聞こえてしまう会話を耳にした姉と友奈がほっこりと笑う。しかし、何故なのか幼馴染は形容しがたい曖昧な表情になっていた。

 

『普通って事は無いだろう、そうだ、勇者の訓練とかはどうだ?何か普通のトレーニングとかとは違う事をしたりしてるのか?』

 

「その……言えない事も多いから……」

 

『言える事だけで良いさ、聞かせてくれないか』

 

「押しの強い父親でもあるのだな」

 

 姉が千景をみながら意外そうに呟く、僕も前に会った時に感じた千景父のエンジョイに全身浸かったような性格と千景の物静かな性格の差異に意外性をかんじているのだろう。

 

「えと……えぇと……天井走ったら逆さまに下半身が刺さったわ」

 

『は? いったい何をどうやったって?』

 

「私じゃなくて……乃木くんが」

 

「やっぱり誰が聞いてもおかしいんだね」

 

 しどろもどろで会話する千景の話題に苦笑する友奈。

 

『あぁ、乃木くんか……いや待て、乃木くんはなんかやらかす感じはあったけど勇者じゃない普通の男の子じゃなかったか? 天井にって、どうやってだ?』

 

「壁を駆け上がって……刺さってた」

 

『……エンジョイしてるなぁ』

 

 感心するような千景父の声。

 

「青葉ちゃん、千景さんのお父さんと面識が有ったんですか?」

 

「ん、去年の秋にね。ちょっとお邪魔したら人文字されたから変身してきた」

 

「なるほど、わからん」

 

 困惑する幼馴染の問いにありのまま答えれば幼馴染の顔がキョトンとしたものになり、話を聞いていた姉が理解する事を放り投げた。

 

「あっ、もしかして青葉くんの変なお友達の……たしかドギーくんが言ってたデートの相手ってぐんちゃんの事だったの?」

 

「!?」

 

「……っ!」

 

 頭の上で電球を光らせてそうな表情になった友奈の言葉に何故か姉がガバリと立ち上がり、通話中の千景が尻尾を踏まれた猫のようにビクリと身を激しく強張らせる。そして、直後に元の場所へ腰を降ろした姉は何がしたかったのか。

 

「いや、散歩だよ? 高知まで散歩してきたんだ」

 

「へ~~……あれ? 高知って、すっごく遠いよね?」

 

「私の知らない所で青葉はいったい何をしているんだ?」

 

「きっと、知らない所で大冒険してるんでしょうね」

 

 散歩だと言ってるのに大冒険とは大袈裟な。

 なにやら意味深な納得の様子を見せた後に当たり前の事を言いながら首を傾げる友奈。それに続いて姉も首を傾げて幼馴染が何かを諦めた雰囲気で紅茶を一口だけ口に含んだ。

 

『それにしても乃木君か、仲に進展は有ったか?』

 

「…………は?」

 

 完全に困惑の表情になっている千景以外の三人の視線が僕に向けられる。そして、同時に僕の懐に入れていたスマホが着信音を鳴らしたので確認してみると画面に『タマっち』と表記されていた。病室から電話を掛けてきたのだろうか、特別な病室だと携帯電話の使用も許可されているのかもしれない。

 

『前に家に連れてきた事があっただろ。千景が友達を連れてくるのは珍しいからな、父親としてそういう所も気になるものさ』

 

「……そういうのじゃ……ないから……」

 

『そうか、そういう事にしておくよ』

 

 三人の視線が千景に向かった光景に対して口にはしないものの『猫の集会の中に猫じゃらしを投げ入れたみたい』なんて思いつつもスマホを操作して通話状態にする。

 

「もしもし、どーしたのタマ──」

 

『今すぐテレビ点けろ、なんかすげー事になってるぞ!』

 

「んん? どの番組?」

 

 電話越しに早くしろと急かす球子に従いテレビのリモコンを操作し、今しがたまで沈黙していたテレビを起動させてチャンネルを変える。

 

『そっちでは友達増えたか?』

 

「……うん」

 

『それは良かった、こっちでは『あまりだったからな』』

 

 数度チャンネルを切り替えた後に重なるテレビからの音声と千景のスマホから漏れ出る音声、突如のステレオ音声にこの場全員の視線がテレビに向けられた。そして、以前一度会った事のある男性、千景の父親が上機嫌そうにスマホで通話している映像が目に映る。 

 

『これマジで千景の父親と千景の電話なのか? タマから千景に掛けてみても通話中で繋がんないんだ』

 

「ん、間違いなく千景ちゃんのお父さんだね」

 

『マジかよ』

 

 急展開な状況に呆けながらも球子に返事を返し、少しでも状況を把握しようとテレビの画面を注視して見つけたテロップに『子育てチャンネルSP!勇者様のパパをお招きしました!』と表示されていた。そして、画面の隅にLIVEとも表示されていた。

 

『あれ? 千景? おーい?』

 

「え?……テレビの中に……お父さん……? ……え? ……なんで?」

 

『おっと、気付いたか。お父さんテレビに出演しちゃった』

 

 硬直の後に混乱極まる様相となった千景に画面の向こうから楽しそうに手を振る千景父。

 

「え? ……え? ……とうとうやっちゃったの?」

 

『おいおい、どういう意味だ?』

 

「ぐんちゃん、これニュース速報とかじゃなくてバラエティ番組だよ」

 

「あぁ、うむ……千景の今の言葉とテレビ越しの奔放な姿に千景の父がどんな人がなんとなくわかってしまうな」

 

 混乱治まらぬ千景の声に苦笑いする画面越しの千景父、姉や友奈も苦笑いする中で幼馴染だけがかつてないほどにどんな感情を秘めているのかわからない曖昧な表情をしていた。

 

『おっと、どうやら時間が押しているみたいだからここまでにするよ。それじゃ、体に気を付けるんだぞ』

 

「……あ、うん」

 

 千景の返事を聞くやすぐに切断される通話、ステレオだった千景父の声がテレビからのみに切り替わる。

 

『うっわー、千景の父さんって自由だなー』

 

「ん、フリーダムエンジョイだね」

 

 テレビ音声以外に音の無くなった部屋にスマホ越しの球子の声。後半の感想にはまったくもって同感である。

 

『と、まぁこのように親である自分が率先して自由に振る舞う事でのびのびと生きるのはこういう事だと──』

 

「なにこれ……すごく、はずかしい……」

 

 画面越しの自由な千景父がコメントしているのを見ていた千景がゆっくりと膝を抱えて座る体勢になり、両膝の間に赤くなった顔を隠す。

 

『音声だけとは言え勇者様にノーアポでテレビ出演させたり、生放送中だって知られていない事を良いことにちょっとディープな話させようとしたりと自由過ぎやしませんかね』

 

「掛ける言葉が見つからんな」

 

 番組の司会者が千景父の自由っぷりにコメントしてる姿を見た後に心底気の毒なモノを見るような目を両膝に閉じ籠もった千景に送る姉。

 

『スタッフー、マジで郡様にノーアポなの?』

 

『僕の話? しっかりギャラの打ち合わせもしてるよ?』

 

『オッサンみたいな自由人に様付けなんてしねぇよ!』

 

「うわぁ、何て言うか……うわぁ」

 

 狙っているのかいないのかボケる千景父とツッコミする司会者の姿に友奈も言葉が見つからないようだ。

 

『なるほどな、千景の父さんってこんな感じでやらかす人なのか』

 

「なににも縛られない感じがしてるね」

 

『お前が言うな。それよりも天井に刺さったってなんだよ、タマがいない所で面白そうな事やりやがって』

 

 僕も"自由"としか言葉が見つからないのでそのまま通話中だった球子と普段のような雑談を続けながら千景父と司会者の軽妙なやり取りが垂れ流されるテレビを見続ける。

 

「ん、刺さったけどなんとかなったよ」

 

『なんとかってなんだよ』

 

「若姉さんに抜かれて今は下半身がちょっと痒いくらいかな」

 

『……おーけー、おーけー、タマは慌てないぞ。主語と述語をしっかり使って話せ、な?』

 

 電話越しに先日の顛末を球子に話しつつ閉じ籠もったままピクリとも動かなくなってしまった千景をどうするべきかも考えて、まずは笑いの絶えないテレビの電源を落とすべきかと思ってリモコンに手を伸ばした。




 
 
 
 
 
 
 
青葉くん
役割は皆で集まれる場所の確保、実際大事。この役割が余計なやらかしを防止している。チーズケーキ、うっめ、めっちゃうっまい、しあわせ。ゆるゆるであぁはぁってなった。テレビ越しにエンジョイガンギマリ勢を見た、腕を上げたねとちょっと気圧された。

若葉さん
役割はお茶菓子。ティーパーティーにわらび餅を持参する勇者。お茶会だろうがティーパーティーだろうがお茶はお茶だ、最初は自信満々だったけど三人の女子力にちょっと気圧された。あれが千景の父か、なるほど、わりと自由だな。比較対象は弟。

ひなたちゃん
役割はお茶の葉。前日に天気予報を見て鍛練の中止を見越した千景がお菓子作りの準備をしてるのを見付けてお茶会を提案してみた。なぜかお礼言われた。あれが話に聞いていた千景さんのお父さん、自由だけど思ってたよりちょっとダメっぽい雰囲気が薄い気がした。判断基準は幼馴染。

友奈ちゃん
役割はお茶の付け合わせ。テレビから得た知識を頼りにブリティッシュなサンドイッチをクッキング。食堂の厨房を借りてお菓子作りしてるぐんちゃんの横でキュウリをスライス。あれがぐんちゃんのお父さん、お喋りが上手なんだね。

千景ちゃん
役割は主役のケーキ。ケーキ作るのはいいものの渡し方をどうしようかなって思ってたら上里さんからお茶会の提案。そういうの、とても助かるわ。めったに鳴らない自分のスマホの着信音に実はちょっと驚いた。父がテレビに、え?とうとう犯罪者になっちゃったの?いいえ、ゲスト出演です。公共の電波で父親に友達少ないって言われた。いいえ、故郷では少ないじゃなくて皆無です。色々と恥ずかしくなった。

タマっち
大分傷口がくっついてる。暇を持て余してテレビ見てたら直感的に胡散臭く感じてたオッサンが仲間と生電話し始めた。すかさず電話。何か男子が変な事言ってたけど一旦落ち着いてから順序だてて話すように促せる程度にはなれてる。電話越し故の余裕である。

千景父
脳髄にまでエンジョイがまわっちまったガンギマリ勢。四国に突如現れた視聴率男。

とある村民
なんであのオッサンが調子乗ってんの?

───

アンケートへのご協力有り難うごさいました。
いただいた貴重な意見は、今後"乃木さんちの青葉くんはこんな感じである"の参考にさせていただきます。
なお、協力いただいた意見に関しては"乃木さんちの青葉くんはこんな感じである"以外には一切利用しませんので、ご安心くださいませ。

アンケートの結果は活動報告に上げておきます。
それとアンケートとは関係ない私事ではありますが肉うどん美味しいです。
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