乃木さんちの青葉くんはこんな感じである 作:ቻンቻンቺቻቺቻ
「片想い」「愛の告白」「親切」「幸福な日々」
園子のベゴニア
「かばでぃかばでぃかばでぃかばでぃかばでぃかばでぃ──」
「へいへ~い、ばっちこーい」
「おーにさ~んこーちら~」
陽に照らされた明るい麦穂の髪、暮れの頃に佇む淡い麦穂の髪、うっかり刈り忘れてしまい冬まで放置されて白い霜が降りた白髪混じりの麦穂の髪、三者三様ではあるが共通して麦穂を連想する金の髪が揺れる。
「なんの奇声かと思ったら青葉と園子達か、あの奇行はいったい何をやってるんだ?」
西暦と神世紀の勇者達が時代を越えて集められた神樹が内包する世界、過ごしやすいあたたかさの季節の朝食には遅く昼食には少し早い時間帯、世界のベースとなった時間軸以外から集められた勇者達が寝泊まりする寄宿舎の前、曖昧な表情をした若葉が建物脇に設置されたベンチに腰掛けていた千景に訊ねる。
「カバディ……ってスポーツらしいわ」
手持ち無沙汰のようだがそれでも電源の入ってない携帯ゲーム機をベンチの空きスペースに放ったままぴょんぴょんと楽し気に動き回る三人を眺めていた千景が平坦に答える。
空いてる時間にはゲームばかりをしている千景が暇を持て余しているだけなのは珍しいなと思いつつ千景の言葉を反芻する若葉。スポーツと言うからには何かしらのルールが有るのだろう、どんなスポーツなのだろうかと麦穂を揺らす三人に視線を向ける。
「かばでぃかばでぃかばでぃかばでぃかばでぃかばでぃ──」
「カバディカバディカバディカバディカバディカバディ──」
「カバディカバディカバディカバディカバディカバディ──」
ほんの一瞬前までは小さい方の園子こと小学生園子だけが放っていた奇声と同調するように奇声を繰り返す青葉と園子、三人が姿勢低く小刻みに左右へと跳ねている姿に若葉は即座に理解する事を放棄した。
「カバディカバディカバびゅぃ……んー、噛んだ」
「あにぃちゃん、隙ありだよ~!」
「おっと」
同調させていた奇声の連続に呂律が追い付かなくなった青葉に隙が生じたと見た小学生の園子が鬼ごっこの鬼のようにタッチし、即座に反転して走り出す。そして、ほんの一瞬だけ驚いた表情を見せた青葉が小さな園子を追うように駆け出した。居合の鍛練によって会得したのであろう身体操作の技術、重心の瞬間的な移動による加速や無駄の無い足運びで小さな園子を追う青葉の様子に若葉は自身の半身が大人気ない事をしているのだろうなとだけ理解することができた。
「そら、捕まえたぞぅ」
「きゃーー!」
追い付くや否や背後から胴に腕を回してするりと肩まで持ち上げた青葉、走っていたはずなのに気づけば空を見上げていた面白さにはしゃぐ小さな園子の声が響く。
「兄と妹って……あんな感じなのかしら?」
誰に聞かせるためのものでもないふと零れ落ちたかのような千景の疑問符、それに対して若葉が言葉を返す。
「青葉お兄ちゃん、略して"あにぃちゃん"だったか。もしかしたら、乃木にとっては遊んでくれる親戚のお兄さんみたいな感じなのかもしれないな」
名家に産まれ、蝶よ華よと育てられた自身の子孫は家の威光があまりにも強すぎたが故に同じ勇者の仲間である鷲尾須美と三ノ輪銀と親しくなれるまでに友達が少なかったと若葉は聞いていた。仰向けの姿勢で弟の肩に乗せられてぐるんぐるんと回されてはしゃいでいる子孫の姿、遊んでくれる歳上の存在も乏しかったのだろうかとの当たっていても嬉しくない予想が若葉の眉間に皺をつくる。
「回り過ぎじゃないかしら……? 転んだりしたら危ないわ」
「ん? あぁ、大丈夫だ。青葉に限ってその心配は無用だろう」
さも心配だと言わんばかりな声色の千景に絶対の自信を持ちながら答える若葉。今目の前で女子小学生をぶん回しながら一緒に台風の軸となっている男子は"身体操作"に限るならば勇者装束を纏った勇者よりも秀でているのだ。外的要因にて無理矢理転ばされるでもない限り転倒はあり得ないと若葉は断言する。
「私もアオくんに乗るんだ~……っぜぃ!」
「んぐぅっふ!」
体の軽い者ならば触れただけで弾き飛ばされると思われる程の回転に自ら飛び付いた大きい方の園子こと中学生の園子。青葉の回転にタイミングを合わせて上手い事背中側から肩と脇腹を通して腕を回し、そのまま襷掛けにされた鞄のようにぐるんぐるんと回転に乗る。急激に増した荷重により肺から空気を漏らしながらも止まらない青葉。
乃木家に連なる三人が合わさった麦穂色の激しくたなびく愉快なメリーゴーランド、部活動仲間のネーミングセンスを借りるならば乃木家大回転。殺傷能力は大きい園子の踵と青葉の足腰に依存する、小さい園子は重心がブレないように補佐する重りだ。
「きゃ~~っ! あにぃちゃん、もっと回って~」
「よしきた、まかせろぉ!」
小さな園子のせがむ声にやる気満々で応える青葉。回転の勢いが増し、乃木家大回転が乃木家エンジョイ大回転へと進化する。それはさながら勢力を増し続ける秋の台風のようだった。
「わ~い、アオくんすご~い。あっ、わかちゃんだ~」
常人ならば視界なんてブレてろくに役に立たないであろう回転の中、ぶら下がり方によって周囲三六○度全てに視線を巡らせる事だけはできる大きい園子がどうやってか離れたベンチの傍で佇んでいるのを見つける。
「おはよ~ございま──あれれれぇ~~」
「ちょっ、園子、何故だ!?」
そして、何を考えてるのか何も考えてないのか、挨拶のつもりなのか片手を回転の軸である青葉から離して若葉へと手を振ろうとして──腕一本では遠心力に耐えられなかったのか弾かれる様に空中へと射出される。
何故その状態で手を離す選択肢を選んだのかまるで解らずに驚愕の声を上げる若葉、その目に映る大きな園子はまさしく弾丸、いや、砲弾。これこそまさに乃木キャノン、殺傷能力は大きな園子の踵に依存する。部活動仲間のネーミングセンスを借りるならば乃木家大砲撃。
「しゅわっち!」
器用に空中で身を翻して何事もなく両足で着地する大きな園子、なにやら達成感を覚えているのかしたり顔でYの字に見えるような姿勢の万歳。
「んをををぅっ!?」
「わわわわわぁ~~?」
綺麗な着地を披露した大きな園子の背後、急激に荷重が減少したせいか流石に足をもつれさせた青葉が情けない声を上げ、小さな園子が回転の軸が突然揺らいだ事で声を戸惑いに揺らす。
「そのちゃん、非常事態C!」
「あいあいさ~」
青葉から発令される非常事態宣言。足のもつれよって体が大きく傾いた青葉が身を捩って仰向けに倒れる姿勢へと替わり、肩の上に乗せられていた小さな園子もくるりと身を捻って青葉の首にしがみつく。
「受身!」
「きゃっち~」
非常事態C、CATCH、つまりは受け止める。倒れる衝撃を全て青葉が分散させながら小さな園子が青葉をクッションにして安全に着地する対応策。因みに、非常事態Bは"バックれる"つまりは逃げるシラを切る、非常事態Aは"あきらめる"で主にひなたにイタズラがバレた時に発令される。
「…………転んだわよ……」
「そうだな、だが青葉なら大丈夫だ、安全確実な転び方で怪我なんてさせやしない。実際あれならば乃木への衝撃は敷かれた布団に飛び込んだのと同じくらいのはずだ」
じっとりとした視線を若葉に向ける千景。対する若葉の態度は軽いもので、あっけらかんと言葉を返しながら薄い笑みを浮かべつつ千景の隣に腰を降ろす。
「ほら、見てみろ。二人とも痛がる様子なんてまるで無いだろう、見事な受身だ」
若葉の言葉に今しがた転倒した二人へと視線を向ける千景。たしかに若葉の言う通り二人は痛がる素振りをなど少しも見せなかった、それどころかピクリとも動かずにいた。
「痛がるどころか二人とも全然動かないのだけど……あれって打ち所悪がかったなんて事は……?」
「なんだと?」
仰向けに倒れたままの青葉、青葉の胸板の上でうつ伏せなままの小さな園子、転倒してから変わらずに動く気配を見せない二人に困惑と心配を隠さない千景の言葉に若葉も怪訝な表情を見せる。そして、示し合わせる事なく若葉と千景の二人は転倒した二人確認しようと腰掛けていたベンチから同時に立ち上がった。
乃木キャノンによって離れた場所に着地していた大きな園子も動かない二人に疑問を感じたのか小走りのような速度で歩み寄る。
「おい、青葉?」
「あ、若姉さん」
転倒したままの二人に近寄った若葉が仰向けに倒れたままの青葉の顔を覗き込みつつ呼び掛ける。青葉にはハッキリと意識が有ったようでぽやんとしつつもどこか困ったような表情で若葉と視線を絡めた。
「どうしよう」
「もしかして……怪我?」
やや眉尻を下げた青葉に千景が心配の色を強めた表情で問い掛ける。
「ううん、そうじゃないんだ……そのちゃんがさ」
「まさか、ホントに打ち所が──?」
青葉の心底どうしたら良いのか解らなさそうな困り声に『まさか』と感じているのをおおいに感じさせる声色を放つ若葉。そんな若葉の言葉を大きな園子がのんびりとした口調で遮った。
「あれれ~? そのっち寝ちゃってるね」
「──悪かっ……何故このタイミングで寝れるんだ?」
「なんかすっごい安らかに寝てるからさ、起こすに起こせなくて動けないんだ」
困って眉尻を下げる青葉、困惑で眉尻を下げた若葉、変化の理由は違えど双子の表情がシンクロする。
「園子、もしかして過眠症とかそういうのだったりするのか?」
「そういうのは無いと思うよ~…………ぐぅ」
「言ってるそばから立寝だと!?」
「ん~~、シャツにそのちゃんの寝よだれが染みてきた……」
困ったままな表情の青葉が手持ち無沙汰に持て余した手で自身の上で眠る小さな園子の頭を撫でる。はらりと揺れる陽光の麦穂色、絹よりもきめ細やかな感触のそれに節くれだった指で手櫛をすると水が流れるかのようにするりと指が通った。
「……ぇへへぇ…………」
「んん?」
自身の垂らした寝よだれで色濃くなったシャツの上から子犬が甘えるかのようにふにふにと頬擦る小さな園子。
「……あにぃちゃん……おっきいね……」
「寝言かな?」
もにょもにょと口を動かす小さな園子の寝言。どのような夢をみているのか当人以外に知れないが、きっと悪いものでは無いのだろうと幸せそうな寝顔に周りの者達が確信。立寝のフリをしていた大きな園子も含めて全員がほっこりと頬を弛める。
「…………二○センチ……きのこ……」
直後、全員の時が止まって女性陣の眼から光が消えた。
。
「青葉……お前…………まさか、血縁の小学生相手に?」
「これはビュオオゥできないんよ……」
「それは、それはダメよ乃木くん……それは正常ではないわ」
未だ仰向けに倒れたままの青葉に突き刺さる温度の無い女性陣の視線、その視線に凍り付きそうな錯覚を覚えつつも困った微笑みだった表情が心外だと言わんばかりに歪められる被疑者青葉。
「誤解だよ、僕は何もやってない」
「私もそうだと信じたいのだが、青葉は無自覚にやらかしてる事が多過ぎるからな」
半身は小学生に手を出すロリコンでは無い、そう信じてはいるがそれと同時にうっかりセクハラしている間抜けであるとも謎の信用もしている若葉。正と負の信用がせめぎ合う悲しい心境が若葉の視線から温度を奪い続ける。
「…………あにぃちゃんの……きのこ……」
「"の"って言ってるのは、かなり危ういんじゃないかな」
「これはほら、きっとあれだよ、趣味で育ててるキノコの話さ」
狙ったかのようなタイミングで放たれた小さな園子の際どい寝言に疑念の色を強めた表情になる大きな園子。それに対して少なくない頻度で自室に遊びにくる小さな園子は自身の趣味を知っていて、上手く育った物を一緒に収穫して食べた事もあるからその時の事を夢に見ているのだろうと青葉が主張する。
「それにさ、僕のは本気出しても二○センチも無いよ、五センチ以上も盛った申告は逆に惨めになっちゃう」
「なんのカミングアウトだ、やめろお馬鹿」
まさしく無意識でうっかりセクハラへの制裁として身動きの取れない青葉の額に軽く拳骨を落とす若葉。
「………………十五、センチ……」
「ビュオゥ?」
華奢で白い人差し指と親指で大体十五センチ程の長さを作った千景がおののく姿を目敏く見付けた園子、ポケットからメモ帳を取り出そうとするもなんとなくそれはダメな気がして何事も無かったかのように自身の昂りを鎮める。
「…………どびん蒸しぃ……」
「ほら、普通にキノコの話じゃん」
もにょもにょと口を動かしながら追加された小さな園子の寝言、これこそが自身の潔白を証明するものだと青葉が主張する。
「う……むぅ、そうか、そうだな、変な疑いをして済まなかった」
半身はやはりロリコンではない、その安堵と同時にあらぬ疑いを掛けてしまった羞恥を覚えつつも素直に謝る若葉。そして、女性陣の眼に光が戻る。
「ん、いいよ……慣れてる」
「慣れるほど疑われる頻度が多いのもどうなんだろうね~」
相も変わらず身動きの取れないまま仰向けの姿勢の青葉が珍しく影のある微笑みを浮かべ、大きな園子がゆったりとした動きで首を傾げる。そして、そんなやり取りをよそに千景が転倒したままの二人の傍で屈んで小さな園子の肩に控え目な動作で華奢な手を伸ばした。
「園子ちゃん、起きなさい。冷える季節では無いけど外で寝てたら風邪を引いてしまうわ」
小さな園子が体調を崩さないようにとの心遣いで目覚めを促す千景が小さな園子の肩を優しく揺らし、少しだけ顔を寄せて静かな声で呼び掛ける。
「……ぁにぃ……すき……んん~~……?」
「す……」
やんわりとした刺激で微睡みから意識を穏やか浮上させる小さな園子。夢から覚める最後の最後で微かに口からこぼれた寝言が千景の耳にだけ届く。
「えへへ、いつの間にかちょっと寝てたんよ~」
「ん、ほんとにいつの間にかだったから驚いたよ」
小さな園子の肩に手を乗せたまま驚きか放心かも解らない状態で身動きを止める千景。そんな硬直に気付かないまま仰向けとうつ伏せで密着しながらのほほんぽややんと言葉を交わす二人。
「あのね、あにぃちゃん」
「ん?」
小さな園子が青葉の鍛えられた胴に股がるように座り、見る人の頬を綻ばせる陽光の笑顔を輝かせる。
「お昼はすき焼き風うどん食べたいな~、とっても味の染みた椎茸が入ってるやつ」
「いいね、食べに行こうか」
「やったーー!」
身体をぴょいんと跳ね上げながら万歳をして喜びを全身で表現する小さな園子。その爛漫な姿に西暦の乃木二人がほっこりと笑み、神世紀の乃木がサラリと軽くメモを記した。
「…………すき焼き……」
感じた安堵の正体は何なのか、いや、自分が安堵した自覚も無いままに硬直の弛んだ千景が小さく呟きながら息を吐く。
「ご先祖様も一緒に行こ~」
「そのっちもどう?」
ぴょいんぴょいんと跳ねる動きで若葉に寄った小さな園子が昼食に誘い、ようやく身を起こした青葉も折角外食するならば人数が多い方が楽しいだろうと大きな園子にも誘いの声を掛ける。
「誘いは嬉しいがこれから夏凜と鍛練の約束が有るんだ、私はまたの機会にするよ」
「私もあんずんとの約束があるんよ~」
「あぅ、ざんねん」
「ん、また今度だね」
誘われた事を喜びつつも少し申し訳なさそうに先約が有ると言う若葉と大きな園子。それならば仕方無いと残念そうな表情を見せた青葉が立ち上がり、おなじくほんのりと眉尻を下げた小さな園子が狭い歩幅で青葉のいる場所まで戻り──そのまま通り過ぎて千景の手を握った。
「んじゃ、三人で行こうか」
「あにぃちゃんと~千景先輩と~おでかけ~、えへへへ」
「私も一緒に行くのは……確定済みなのね」
行動を共にするのが当たり前と言わんばかりな青葉と小さな園子の口振り。された人によってはその人の予定を無視するかのような失礼な振舞いだが、説明のできない心の動きで生じた仄かな喜びと嬉しさで千景の胸の内があたたまる。そして、呆れたような、それでもどこか喜色を隠せない表情になりながらも小さな園子に小学生相応の力でじゃれつかれるように手を引かれながら立ち上がった。
「ん? そういえば最近この三人で一緒なのが多かったからつい頭の中で今日も一緒だってなってたよ。千景ちゃんはこれから何か予定有ったかな?」
「いいえ、暇を持て余してたから……私も一緒させてくれると嬉しいわ」
都合を訊ねるタイミングとしてはかなりズレているが、一応の感覚で確認する青葉に快諾する千景。お互いになんとなく結果が解っていた確認を済ませて微笑みを交わし合う。直後、小さな園子がくるりと身を翻して青葉にも手を伸ばす。
「いっしょーに~、おーでかけ~。ねぇねぇ、食べたらゲームセンターにも寄って行きたいなー」
小さな右手を華奢な左手と、小さな左手を硬く節くれだった右手に、陽光の少女がうっかりな麦穂と濡れ羽色の間に橋を掛ける。
「ん、いいんじゃないかな。千景ちゃんもそれでいい?」
「ふふ、今度は確認するのね……喜んで」
三人ひと繋ぎ、食事の話をしたせいか感じ始めた空腹にきっと楽しくて美味しい昼食を予感しながらその場を後にした。
「いいねーー、これはこれでとてもいいんよ~~! ビュオオ──」
「そういえば結局どこからどこまでがカバディとやらだったんだろうか?」
三人並ぶ後ろ姿、見送る神世紀の乃木はメモ帳を削る勢いで何かを記し、西暦の乃木は少しだけ離れた半身の後ろ姿に寂しさと喜びを得た。
なんて事ないようで、でも誰かにとって大切な休日。
かけがえの無いいつか終わる日々、少女は大好きな人と素敵な人の幸せを祈る。
そのっち~、こんな話はありえないんだよ。
だって青葉くんは勇者でも巫女でもないんだもん。
例えばの話、とんでもないレベルの名家に産まれてとんでもない箱入りで育ったせいか周囲の人間に遠巻きにされてきたお嬢様がいるとする。でもなんの因果か時空を越えて「名家?なぁにそれぇ?」な感じで疲れて一緒に昼寝するまで全力で遊び倒してくるれるお兄さんやクールなようで実は結構気を掛けてくれるお姉さんとかと出会っちゃったりしたとしよう。今までに無かった新鮮な人間関係が嬉しくて楽しくて毎日をエンジョイしまくるお嬢様がこれでもかってレベルでお兄さんにかまって貰い、お兄さんの部屋にお揃いの昼寝用枕(お兄さんのお腹か腕を枕にするので基本的に抱き締めるだけ)が置かれる位一緒の時間を過ごしてる内に父親や一緒に戦う"ずっ友"にも感じた事の無い不思議で幸せな感情を抱き始めたりするかも知れない。そうなった場合はまだ幼くてもとても賢いお嬢様は『母が父に、父が母に向ける感情と同じモノかもしれない』だなんて考えてしまうかもしれない訳だ。だがしかし、お嬢様はやっぱり賢くて聡明だからお兄さんはお姉さんに、お姉さんもお兄さんに自分の感じているであろう幸せな感情を向けている事に気付いてしまうのだろう。『せめて自分が2年後の自分なら』なんてちょっと考えるも大好きな人が素敵な人と幸せならいいかななんて切ないけども思っちゃうお嬢様は二人を応援し始めてしまうかもしれない。だけどそれはそれとして女性として想われるのではなく妹分として可愛がられるのは別だよねなんてちょっぴりエンジョイする事も有るはずだ。まぁなんだかんだ色々あるけどこの世界が終わり記憶や思い出が消えたとしても、このかけがえの無い日々の中で胸に感じた幸せはだけはどうか憶えたままでいさせて欲しいと神に祈り続けるお嬢様。
そんな話が読みたい。
誰か書いて。
8月30日、そのっちの日を祝え。
そのっち~