幾何学ドーム・グレイファントム 作:鎌寺正一@D-Alderz/神咲ハルカ
轟々と燃え上がる海。
黒と紅で埋め尽くされた、夜明けの海に・・・
その
パシャリ、パシャリと、小さな飛沫を上げながらその艦娘は歩く。
黒いボロ布をコートの様に羽織りながら、右手に返り血とオイルで汚れた歪な形の刀を持ち・・・
揺らめく黄金の闘気を湧かせ、その艦娘は・・・
ただ真っ直ぐ、朝焼けの海を、歩いていく。
「・・・必ず・・・成し遂げます・・・だから・・・」
艦娘は歩くのをやめ、そう呟くと空を仰いだ。
遠くから戦闘音が聞こえる。
「・・・もう、ここまで来たんですね・・・」
彼女は戦闘音の響いた方角に体を向け、言う。
「・・・出来れば・・・こんな姿で会いたくはなかった・・・」
寂しそうな声を出し、
「・・・お姉さん・・・みんな・・・私は・・・もう、戻れないみたい・・・」
ひっそり涙を流しながら、戦闘音のした方とは逆向きに歩く。
奇しくもそちらは、
「・・・提督・・・私は、やります・・・あなたを見殺しにした・・・」
ーーあいつを・・・殺すために・・・ーー
1940年。
海から現れた異形の存在によって、人々の命は聞きに脅かされた。
数々の貿易ルートが破壊され、いざ本土が異形により侵略されんとしたその時・・・
「ここは私たちに任せてください。」
5人の少女が、その異形達を返り討ちにしたのだ。
その少女達こそが、原初の艦娘であり【始まりの5人】と呼ばれる少女達である。
こうして人類は反攻作戦に打って出た。
その作戦は最初こそ手こずったものの、徐々に海域を取り戻すことに成功、化け物たち・・・深海棲艦を退けることに成功したのだ。
その快挙から4年・・・
突如、とある鎮守府に強大な爆弾が落とされた。
深海棲艦側の反撃である。
ついに、深海棲艦も総力戦を決め込んだのだ。
そして、爆弾が落とされた鎮守府の艦娘だったのが・・・
「・・・もう、時間も少ない・・・急がないと・・・」
左腕の無い、ボロ布を纏った冒頭の艦娘だ。
黒髪セミロングで、左側頭部に特徴的なバックルを付けた、青服の少女。
腰から艤装が伸びており、左右に銃と艦船を合体させた様な形をしている。
そんな彼女の名は・・・
「・・・電さん・・・行きましょう」
「・・・了解なのです、
重巡洋艦、羽黒。
かつて日ノ本最強の艦娘と謳われた、七天の1人だ。
これは、愛する人を失った艦娘による、怒涛の復讐劇。