オフェリアさん、君が口を割らないから悪いんだよ 作:レモンの人
「無駄よ。私はキリシュタリア様に忠誠を誓っている。何をしようが口を割るつもりは無いわ」
独房に閉じ込めたオフェリアがキッとこちらを睨んできた。念の為にとこちらで用意した対魔眼用の眼帯をしっかり固定させた事・室温を低めに設定して鼻声にさせた事で実力行使はされないようにしておいた。
「ククク……今に口を割るようになるさ。いつまで保つか楽しみだねぇ」
俺はわざとらしく下劣な笑みを浮かべて、メイヴさんからレンタルした鞭でヒュッと音を立てた。さて、どうやって尋問しようか……
①楽しい映画鑑賞
「ところで、アメリカンコミックを見た事は?」
「……言うわけないでしょ」
「まぁいい。今日は映画を上映する予定なんだ。24時間耐久リレーだ」
「?」
「今からこっちで色々流すからまぁ気楽に観てくれ。水とポップコーンは常備しとくから追加で欲しくなったら言えよ」
それだけ言うとスクリーンを下ろして俺は出て行った。ククク……
「先輩、一体何を上映するんですか?」
「『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』、『恐怖!キノコ人間』、『アタック・ザ・キラートマト』、『ジュラシック・シャーク』、『ロスト・ジョーズ』、『死霊の盆踊り』、『エイリアンVSアバター』……etc」
「ヒェッ」
独房は常に録画されておりリアルタイムでも見る事が出来る。因みにオフェリアは既に目が死んでいた。幸い、この手のクソ映画は得意中の得意だ。
12時間後……
「やぁやぁ、今日は奮発してラーメンを作ったよ。北欧で色々貰えたからね、加工して作ったお手製だ。麺がまずかったら残してもいいよ」
ラーメンをコトリと置いたが、オフェリアは白眼を剥いて放心状態だった。まぁ、よほどメンタルが鍛えられなければキノコ人間の時点で心が折れる。
「どうだ?まだまだ頑張るか?」
オフェリアの目からツーっと涙が流れた。
②一緒にごはんを食べよう!
「さて、まずは食事を摂るとしよう。このレンゲは掬うのは出来るが少しでも無理に力を加えると砕けてしまう粗悪品だが許してくれ」
「?」
指を鳴らすと、マシュが首を傾げながら俺の作った料理を運んできてくれた。そう、俺の大好物……!
「……泰山名物麻婆豆腐だ」
「麻婆豆腐?中国の料理ね…食べさせてくれるの?」
「あぁ、手ずから食べさせたいのは山々だが、ささ…食べるといい」
マシュの分も用意して取り敢えず食事を摂る事に──したのだが、
「ごはぁっ!?!?」
オフェリアが豪快に噎せた。
「ハハハハハ!どうだ?美味いだろう!どんどん食えよ!」
「これ毒入ってる!!!藤丸!これ毒入ってる!」
口の周りを真っ赤にし、半泣きで怒鳴るオフェリアを笑顔でスルーして俺は笑顔で頬張った。舌が痺れる程の山椒とこれでもかと注ぎ込んだ辣油が『告密羅職経』の如く拷問にかける…だが、その奥底にある確かな旨味がたまらない!
「はふっ!はふっ!うめぇ…この一口のために生きてきた……!」
「先輩、私も一口いいですか?」
「いいぜ、はいあーん……」
オフェリアは焦った。このままではマシュの口内が辛さと痺れという名の『王の軍勢』に犯されてしまう事は明白だ。だが、庇えばあの地獄のような時間がやってくる……それ故に
「待って!私にちょうだい!あーん!」
「おぅおぅ、そんなにがっつかなくても何杯でも食わせてやるよ。はい、あーん」
だが、それこそが狙いだった。オフェリアの口内を襲うは地獄すら生温い辛さと痺れの『竜鳴雷声』!
「ごほっごほっ!?んぉぉぉ〜……ぬぐぅぇ……」
明らかに女の子が出してはいけない苦悶の声でもがくオフェリアの口にどんどん麻婆豆腐を流し込む。
「はいどーんどん♪はいじゃーんじゃん♪」
「qtうぃrんsgxbうぃdmwpjdhしlq!?!?」
それでも気になるマシュのためにと健気に麻婆豆腐を噛んで呑む姿には感動すら覚える。だが……
「ははは、そんなに気に入ってくれたか!じゃあ毎日麻婆豆腐を食べよう!今日から君は麻婆豆腐ソムリエだ!」
辛さと痺れが限界に達し脳が完全に逝ってしまったオフェリアは、虚ろな目で最後の一口を飲み込んだ。
③レクリエーションで仲良くなろう!
「さて、ここにグツグツ煮えたアツアツのおでんがある。マシュ、鍋を触ってみ」
「は、はい……ってゔぁあああああああああ!アッツイ手がぁああああああ!!!」
ゴロゴロ転がりながらフェードアウトするマシュをスルーして、俺はおでんを少し混ぜる。うん、いい出汁が出ているな!
「あ、あの……まさかとは思うけど…」
オフェリアが何かを察し始めたタイミングでメンバーが一斉に集まり始めた。
「さてと…これからレクリエーションゲームをやろうと思うんだけどさ。見てみて〜このアツアツのおでん!こりゃあ試食しなきゃダメでしょ?」
「ヒッ!い、イヤよ!なんでこんなアツアツのおでんを食べなきゃなんないのよ!」
ちょっとおたまを勢いよく鍋に突っ込むと汁しぶきが飛んでオフェリアの顔にかかり、熱さでビクッと体を震わせた。流石にビビったらしい…彼女は激しく身を捩って逃げようとしていた。
さて、ここからが本番だ!
「あーぁ、せっかくの晴れの舞台を用意したってのに主役がやらないなんてサイテーだな。じゃあ俺が主役やるよ」
俺が手を挙げると……
「何ぃ!?主役はここの所長である私だろう!」
「いやいや、ここは諸君に代わり私が」
「い〜や、ここは天才たるダ・ヴィンチちゃんの出番だね」
「いや、俺でしょ!」
「僕だろう!?」
ゴルドルフ新所長が続く。それにつられるように他の人が次々と挙げていく。え!?え!?と焦るオフェリアだったが、マシュが戻ってきたタイミングで冷や汗が流れた。このままではマシュがアツアツのおでんを食べる羽目になる!
「あ…あの……私が…」
「「どうぞどうぞ」」
手を挙げた瞬間、オフェリアは嵌められた事を悟った。即座にマシュが彼女を羽交い締めにし、俺は満面の笑みでおでんの具をチョイスした。
「ほら見とけよ見とけよ。まずは美味しい汁を吸った大根だァ……」
「やめっ!ちょっ…!捕虜への拷問は禁止されて──」
「残念ながらテロリストに法律は当てはまらんなぁ!ハハハハハ」
「ほら、アツアツだよ。はい、あーん」
「やめっやめて!」
湯気を立てる大根とオフェリアの唇が当たる数ミリ…そのタイミングで軌道を頬に移した。当然
「アツゥイ!!!」
……熱い
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「ってな事をやりたかったんだけどなぁ……」
モニターに映る2人の様子を見て俺は溜め息を吐いた。なーんか嵐のように過ぎ去った北欧異聞帯だが……疲れたもんだ。
「あーあ…ゲルダちゃんにも食べさせたかったなぁ…………麻婆豆腐」
聞く者が居たら総スカンされ兼ねない呟きは、誰にも聞こえる事無く宙に消えたのだった……。
シグルドのCV.は郷田ほずみさんの方が合うと思います(断言)
シグルド出た日には有りっ丈のお金を注ぎ込んで宝具2まで上げました。ワルキューレも当たりましたし、ガレスちゃんが来るまで貯金します