オフェリアさん、君が口を割らないから悪いんだよ   作:レモンの人

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オフェリア…お前、ひょっこり地面から生えて来ないかの?






コマーシャル

「コマーシャル?」

「うん」

 

いつものように書類整理をしていると、広告申請書という物を見かけた。しかも何枚もあるのでアストルフォに聞いてみた所、CMを作りたいという意味と分かった。

 

「このカルデアでは、既に農業プラント・養殖池・工場・薬局・放送局・家電量販店とかいっぱいあるよね?」

「それは知ってる」

「みんなもっと人手と利益が欲しいんだよ。売り上げはカルデアの利益、そして施設の拡張にも繋がるからね!」

「それで広告をねぇ…」

 

確かに、誰の入れ知恵か知らないがこのカルデアは現代社会に似た構図が出来上がっている。今では非番のサーヴァントが鍬を握り、魚を育て、薬を作り、放送を流し、家電を販売している。それほどまでに過剰になったサーヴァントが暇を持て余した挙句に現代人のような社会を生み出したのだ。

 

「やるとしたらカルデアわくわく放送局で放送する事になるか。出来るか?アストルフォ」

「任せて!CMの放送時間も制限を付ける予定だけど…応募数が多過ぎてねぇ…」

 

読んでみるほど、奇っ怪な物ばかりだ。『(株)エルギル通販』・『アストライア製薬』・『(株)エジソン重工』・『クーフー林業』・『ファラオ建設』・『(株)エドモン運送』……あーもうメチャクチャだよ!いつのまにか株式のシステムまで出来上がってるのか!?

 

「会社まで乱立してるとなるとやむを得ないか…許可しよう。放送時間の制限は任せた」

「オッケー!CMにも色々制限を設けるからそこのところは任せてね!」

 

アストルフォ……放送局長になってから随分と頼もしくなったな。

 

********************

 

突然

 

カルデアわくわく放送局には2種類の放送がある。具体的に言うとバラエティ豊かなテレビと、トリスタンの音楽放送やシェヘラザードの読み聞かせコーナーなど耳で味わうものが多いラジオの2つだ。因みにシェヘラザードは読み聞かせの他、落語などにも引っ張りだこで本人曰く、「過労で死んでしまう」らしい。喋れる内はまだ元気なので今後も扱き使え。

また、テレビ番組もすごい種類がある。覚えている限りでも……

 

 

●「かいぞくといっしょ!」(ドレイク船長と黒髭が面白おかしく子供達と体操したり歌ったりする番組。ドレイクは毎度再放送の度に黒歴史と叫んで悶絶しているが、老若男女に人気の番組だったりする。この番組で黒髭の評価が爆上がりした)

 

●「いきもののふしぎ」(ダ・ヴィンチちゃんのナレーションで生き物の生態を教える特に捻りのない教育テレビ)

 

●「連続テレビ小説 キャメロット」(現代日本に転生した円卓組の日常をマーリンの脚色でドラマ化したもの。ハッキリ言って面白くないものの、毎度キッカリ7:15に放送され7:30に終わるので朝食を摂る人にとって時間を図る目安になるという事で取り敢えず視聴する人が多いらしい。マーリンの目の付け所は流石といったところ)

 

●「剣客日誌」(柳生但馬守宗矩が江戸時代を舞台に朝は冴えない旗本・夜は剣客として法で裁けぬ悪を討つ時代劇。高度な技術も紹介されており、剣豪サーヴァント達からの人気が高い)

 

●「नृत्य!」(アルジュナとカルナが織り成す学園友情系ドラマ。お約束のダンスは唐突にねじ込まれる。最近、転校生役でアシュヴァッターマンとカーマが登場し、視聴率が爆上がりしたらしい)

 

●「エミヤごはん」(エミヤ・パールヴァティー・イシュタルが明るく料理を作る番組。ティーン受けしやすい内容で人気も高いが、無自覚で織り成されるラブコメ度が強いので人を選ぶ)

 

●「閻魔亭直伝料理指南」(紅閻魔が自ら撮影している硬派な料理番組。ぎこちない動きが可愛いと好評。料理共々手作り感があっていいらしい。どちらかと言うとやり方はYouTuberに近い)

 

●『メルトリリス・スタァシアター』(サリエリの書いた楽譜を基にメルトリリスが即興で踊る番組。上から目線気味の内容なのでウケは悪いものの、口の悪さに反し芸術的なダンスは人気が高いので視聴率はボチボチ。たまにアマデウスが乱入するが、サリエリが暴走したりアマデウスの無茶振りにメルトリリスが顔芸を披露する等、カオス回として有名)

 

●『エルキドゥくんちゃんとギルガメッシュのウルク通販チャンネル』(そのまんま。ギルガメッシュが考案した発明品や各企業が売りたい商品を通販という形で販売する番組。誇張しているように見えるが、謳い文句通りの性能を発揮してくれる商品ばかりなので人気が高い。放送時間は10分だが、ギルガメッシュ曰く『3分で宣伝出来るからCMにしたい』らしい。毎度エルキドゥのファッションが可愛い)

 

●『ぐだオフェの無茶ぶリズム』(俺とオフェリアが色んな企画にチャレンジする番組。最近の思い出は四川料理満開全席を2人で完食した回だ。オフェリアが許容オーバーで口と鼻からリバースして病院送りになる中、俺が黙々と食べて完食した回なんだけど、それは別としてめっちゃ美味かった)

 

etc……

 

 

等、ものすごく多い。合間の時間をどれだけ割けるかは局長の腕の見せ所だろう。

 

 

「頼んだぞ放送局長〜!俺の代わりにバリバリ働いてくれ〜」

「適材適所だね!うんうん!」

 

 

というわけで、CMを間に挟むという試みが始まった。しかしここで問題がある……CMが入れる番組と入ったらまずい番組がある事だ。例えば、時代劇だとCMが入るとせっかくの空気感が台無しになる事がある……そういったところに留意しながら放送しなければならないのでCMの内容もよく吟味している。

 

「うーん……このCMはこの番組と相性がいいね。教育テレビや子供向け番組にCMは付けたくないからここには入れない……」

「(……頑張れ)」

 

夜通しでCMを吟味する姿を遠くから見ながら俺は夜食を置いて部屋を出た……。

 

 

***************************

 

次の日……

 

『CM放送の御案内』

 

「本日より、カルデアわくわく放送ではCMが合間に放送される事となりました。雰囲気を崩さぬよう吟味しましたのでどうぞよろしくお願いします」

 

 

と書かれた放送がラジオとテレビで流れた。アストルフォ本人からの放送で、いよいよ新しい放送の形に変わっていくんだと俺は実感した。

 

「藤丸、CMって何?」

「お前そこからかよ!?」

「仕方ないじゃない!カルデアに拉致されるまでテレビのテの字も知らなかったんだもん!」

 

というわけで、俺はオフェリアと早速テレビ番組の視聴を始めた。ちょうど朝食なので番組は『連続テレビ小説:キャメロット』だ。さて、どうなる?

 

 

 

「……特に変化無いな」

「ねぇ!アルトリア社長の会社が潰れそうだったんだけど大丈夫!?」

「今回ばっかりは自業自得だからなぁ」

 

因みに今回は、『獅子王が社長を務めるブラック企業を「社長は社員の心が分からない」と言ってトリスタンが辞表を提出し、社員の空気が一変した……』という内容だ。アルトリアがガチ凹みしていたのが痛々しかったが、早々に退職したモードレッドが小さい喫茶店を開いて社員の愚痴を聞いているという視聴者にとって予想外の展開になった事で早速SNSが動いていた。

 

 

「あ、CMが始まったわ!」

「トップバッターは……やっぱあいつらか」

 

 

『エルキドゥくんちゃんと!』

(オレ)の!』

『ウルク通販チャンネル〜!』

 

早速、画面には売り出したい商品を挟むようにギルガメッシュとエルキドゥが立っていた。

 

『今日の連ドラは衝撃的な内容だったね』

『ここからどう巻き返すかは実物ではあるな…そうだ。巻き返すと言えば今日はこの商品を紹介するぞ!』

『DVDデッキだね!分かるとも!』

『このDVDデッキはエジソン重工とBBソリューションズが開発した製品でな、視聴したテレビ番組が終了すると『録画するか否か』と選択画面が出て承認すればAIが先回りして最終話まで自動録画してくれる画期的なシステムだ』

『たった1回のボタン入力で録画できるなんて便利だね!』

『しかも最終話の放送が終わるとAIが“DVDに焼く”かどうか聞いてくる。承認すればなんと!1話から最終話までをまとめて1本のDVDとして焼いてくれるのだ!』

 

『金ピカ〜?私が録画してって言ったビデオ入れた?』

 

『それくらい自分でやれ阿呆!』

『流石は駄女神、ボタンを押すだけでいいのに人頼みとはね』

『おぉっとそろそろ時間だな!それではテレビの皆。今から30分までの受け付けだ。それ以降は受け付けぬからな!フハハハハハ!』

『それではみんな』

『『また見てね〜!!!』』

 

『あぁっ!あんの金ピカ!前の前からずっと頼んでたのに1つも録画してないじゃないの!ムキー!』

『お前が操作するとすぐ壊すからな』

 

 

 

 

「…ポチる」

「オフェリア買うの早ッ!?」

「うるさいわねぇ!私だって一日中流れてくるネジを検品するバイトで疲れてるの!これくらい買わせてよ…」

「そもそもテレビ無いじゃん……いや、今気づいたみたいな顔すんなよ」

 

まぁ、その後もCMは番組の合間に流れたが見事なテンポで挟んでくるので番組の中で起こる緊張感も無い…今回のCMプロジェクトは成功らしい。

 

 




カルデアも一歩間違えれば独自の社会生活が誕生しそうで楽しみだったりする。

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