【被害者はスズ】
「これで、被害者は2人になったな」
真夜中の洋館内。どこかシリアスな面持ちのまま、天草シノは口にした。
今、彼女がいるのは自室ではない。萩村スズの部屋の前。現在はとうに眠る時刻になっているのだが、新たに起きた2度目の事件のせいで、すっかり目が冴えてしまったのだ。
同じ理由で一緒にいるのは、七条アリアと津田コトミ。少しばかり遅れて、津田タカトシと五十嵐カエデがこの場に駆けつけた。
被害者である――萩村スズは言わずもがな。今度は、スズがターゲットにされてしまったのだ。
ツアーガイドの出島サヤカと館の主人は、この場にはいない。元々主催者側の人間なので、どこか別の部屋に寝泊りしているという。
そういえば旅行会社の添乗員なども、仕事中はホテルの物置や車庫などで寝泊りすると聞いた事があるので、それと似たようなものなのだろう。
ミステリーツアーの初日に起きた、連続下着盗難事件。スズは夜中、汗をかいたので個室の風呂でシャワーを浴びた。
そこで、ふと廊下を誰かが歩いていく音に気づいたのだという。みんなはもう寝るという話で纏まっている筈なのに、なぜこんな時間に出歩く必要があるというのか。
そして、スズは短く悲鳴を上げる。なんと、ドアがノックされたのだ。遠慮するかのように、コンコンと。
震える声で、誰ですかと言っても返事はない。ただ、ずっとノックの音がするだけで。
正直言って、かなり怖い。得体の知れない誰かが自分を呼んでいると思うと、このまま寝たフリをしてやり過ごしたくなる。
しかし、それもできない。ノックは今もなお続いているのだ。こんな状況では眠れるわけもない。
夜中に廊下に出るというのは怖がりな彼女の性格上、やりたくはない事だった。しかし、誰がいるのかを確認しないのも気が引ける。
ツアーの職員とか、その類だろうという思いを込めて、スズは廊下に出た。最低限の照明しかない中で浮かび上がっている廊下は、やはり気分の良いものではない。
しかし、廊下の奥にうっすらと見える何かが、スズの視線を釘付けにする。奥の部屋の前に、誰かが立っていたのだ。
こんな時間に誰だ。あの部屋は、誰の部屋だったか。いつもなら聡明な記憶力が光るものの、背筋が凍っている今ではその頭も鈍ってしまう。
そんな思考だったからこそ――
「ぬわあああああああああっ!!」
――開かれたドアの裏側にいた気配に気づけなかったとしても、無理はないのかもしれない。
【第2の犯行】
「ビックリした! 本当になにをされたのかと思ったわよ!!」
さっきの恐怖がぶり返したのか、胸元を両手で押さえるスズ。顔が青いのは、指摘しないでおいてあげよう。
「いきなり何かが……服の中に少し入ったと思ったら、いきなり! いきなり!!」
「ああ、分かったから落ち着け萩村」
下着ドロなのだから、盗むのはパンツだけじゃないわけか。妙な関心をしながら、シノは部屋の外に立っているタカトシをチラリと見る。
昨日の今日なので、彼には女子の部屋に入るのは止めてもらっていた。彼としても疑われている立場なのは分かっているので、特に逆らわずに言われた通りにしているらしい。
「津田」
「はい?」
「悲鳴が聞こえた時、どこにいた?」
「一直線に来ますか……」
タカトシは呆れた顔をしたが、シノの目はいたって真剣だ。頭を掻きながらも、しぶしぶ答える。
「ずっと自分の部屋にいました」
「本当か?」
「はい。俺も疑われている身なので、自分から外に出ようとは思いません」
嘘ではなさそうだ。そう結論付けると、シノはタカトシの隣に立っている五十嵐カエデに訊いた。
というか、なぜ自然に津田の傍に立っているのだ。シノは内心でそう言いたかったが、今は先に訊きたいことがある。
「五十嵐はどうだ。何か、気づいた事はあったか?」
「いえ……私は何も気づきませんでした。悲鳴が聞こえたから、こちらに急いで駆けつけただけで」
「ふむ。そうか」
納得し、背を向けたシノには後ろの2人が一瞬だけ目を合わせた事には気づかなかった。
その後もしばらく話は続いたが、どれも犯人や廊下をうろついていた者の手がかりは無かった。結局、今日はもう廊下には出ないようにと決めて、その場は解散となったのだ。
被害者のスズ、眠そうな目のコトミと、自分の部屋へ戻る。当然、他の面々も各自の自室へ戻っていくべきなのだが……
「……あの、天草会長。何か?」
そう。シノが壁に背を預け、腕を組んでカエデを睨んでいるのだ。正確には、タカトシも含めて。
まあ、睨んでいるといっても、むーっと擬音が付くかのような膨れっ面をしているだけであったが。
「どうした。もう夜は遅い。自分の部屋に戻るといい」
「ええ、そうなんですが……なぜ、私を睨んでいるんですか?」
「見れば分かるだろう。全員が自分の部屋に入るかの見張りだ」
部屋に入ったと見せかけて、第三の事件を起こす輩がいては適わん。シノは当然のように言った。
「……とりあえず、俺は戻るので。おやすみなさい」
「あ、それじゃあ私も。おやすみなさい」
タカトシは少しだけギクシャクしながらも、廊下の奥へと歩いていった。僅かにテンポが遅れたものの、カエデはその後をついていく。2人は部屋が比較的近いのだ。
その場を去る間。
シノの疑惑に満ちた視線が、少しだけ痛かった。
【洋館の食卓にて】
そして、翌朝。
参加者は、事前に伝えられていた時刻に食堂へ集まった。コトミだけは未だに眠そうな目ではあったが、それを気にする者はいない。
食事は出島サヤカが作ったものらしく、上質な味だ。デザートが終わる前には、どこか堅い空気を漂わせていた面々の間にも会話が弾むようになってくる。
「ふうん。七条家で先月、飼っている猫が15匹に増えたのか」
「そうだよシノちゃん。さすがに、もう新しい猫は飼えないかな」
「確かに、七条家の猫ってすごい高級料理を食べるんでしょ。さすがに人でも半端なさそうですよね」
「・・・・・・猫って、BL用語の方のネコってオチかな?」
「まあ、そう思いたい気持ちはわかります」
こっそりと小声で話しかけるシノに、カエデは複雑な顔で頷いた。
チラリと、カエデは食卓の隅に座っているタカトシに視線を向ける。みんなと同じデザートを食べている姿は、どう見ても楽しそうには思えない。
距離を取られている、というわけではないのだろう。しかし、明らかに今のタカトシはそうとしか見えなかった。
実際、いつもなら気軽に会話に参加するところを、今日はあくまでも聞き役に徹している。シノ達も、そんな彼に話題を振ることもしなかった。
人によっては気にしすぎだろうと思うかもしれないが、彼自身はそう思っていないらしい。本格的に下着泥棒の犯人と疑われているわけではないと思っていたのだが、それはカエデの思い込みだったのだろうか。
「ねえ、タカくん」
「あ、はい」
と、そこへ魚見チヒロがタカトシに話を振る。呼ばれるとは思っていなかった彼は、慌ててデザートから視線を外す。
「今日は、私が一晩中タカ君の見張り役でいいよね?」
「ブッ!?」
思わず、飲みかけのコーヒーを吹き出すカエデ。案の定、止めに入るシノ。
「昨日も言ったが、そういうのは駄目だろうが! 男女が一つの部屋で一夜を明かすなど、こういうツアーでなくとも認められんからな!!」
「こんな事件が立て続けに起きて、本当に怖いだけなんです。シノっちはもう狙われる心配ないけど」
そっとタカトシの頭を撫で、いいこいいこするチヒロ。幼い頃以来の久しぶりにされる感触に、高校生のタカトシもつい無抵抗でされるがままになる。
「だから、魚見さん。いくら何でもくっつきすぎですってば」
頬を膨らませたカエデが席を立ち、負けじと間に割り込んでくる。あら、本妻の登場ですねと堪えた様子のないチヒロ。
「私だって、まだタカ兄の監視役やってないよ。このチャンスに、あらぬ秘密を次々と見破って・・・・・・」
相変わらずの中二病な妹は、平常運転のまま。人差し指と親指で考える仕草をしながら、訳あり顔で何事か頭で計画をしているらしい。
「なんだよ、あらぬ秘密って」
呆れた様子のタカトシ。こめかみを押さえるのは、いつもの頭痛を感じているらしい。
先ほどまで距離を取られていたはずの彼の周囲が、いつの間にか騒がしくなってくる。そこで、シノが椅子から立ち上がった。
「ええい、だから止めろと何度言わせる。今日から監視役は、私か萩村のどちらかだ!」
「シノっち、それはいくら何でも横暴です」
「私たちはもう狙われる心配はないと言ったのはウオミーだし、何の問題もないだろう」
「お2人は、タカ君を疑っているのでは?」
「私の右腕がそんな事をするものか。ただ・・・・・・ウオミーといい、五十嵐といい・・・・・・その」
そこで、なぜか頬を膨らませるシノ。その反応が分からないタカトシは、目を点にするだけ。
無理もない。なんだか子供じみた嫉妬のようで、どうにも言いづらかったのだ。最近、やけにおまえ達はくっつきすぎる、などと。
「とにかく、いいでしょうか。会長?」
そこで、スズが挙手する。妙な沈黙になってしまった空気を霧散させるように、彼女は言った。
「津田の監視は、私たちだけで引き受けさせていただきます。すみませんが、探偵役は先輩方やコトミでお願いしますね」
「スズポンまで仲間はずれにするなんて・・・・・・お姉ちゃん、とっても悲しい」
いきなり、スズにギュッとハグするチヒロ。ぬいぐるみを抱きしめるように。
「・・・・・・あの、魚見さん。私は別に、津田兄妹と違って妹になった覚えはありませんが。それと、苦しいので離れてください」
狼狽えながら、それでも否定するスズ。未だに、チヒロのこういう行為には慣れていない。
「まあ。それなら、お互いに心を開くことが大切ですね」
ぐいーっと、スカート越しにスズのお尻を左右に引っ張った。
「まずはこっちから開きましょう」
「心閉ざしてやる!」
【次に狙われるのはH】
「それじゃあ、失礼します・・・・・・」
「はい」
シノがタカトシと部屋に入っていく姿を、カエデはなんとも複雑な気持ちで見送った。近くを歩く時に見せた、彼の申し訳なさそうな視線は忘れられそうにない。
「・・・・・・大丈夫でしょうか、タカトシ」
「まあ、疑っているわけではないかと。むしろ、2人きりになる口実が欲しかったのでは?」
チヒロの的を射た答えに、やっぱりそうですよねという顔になるスズ。もっとも、彼女もシノの次はタカトシを監視する番になるのだから、ハッキリと声には出すことはしなかった。
「こうなったら、一刻も早く犯人を捕まえましょう。そこで、タカくんの無実を証明しないと」
「うわあ。なんだか切羽詰まっている感が来る台詞ですねえ」
中二病のコトミが楽しそうに言う。実際、このツアーを最も楽しんでいるのが彼女なのだろう。
「さて。それじゃあ、状況を整理しようじゃないですか」
パン、と手を叩くコトミ。ドラマで警察や探偵の登場人物が一度は言いそうな台詞である。
まあ、実際に事件を整理するというのは当たり前のことであり、基本だ。カエデやチヒロ、スズも特に何もコメントはなかった。
「まず、私たちは昨日の夜、この館に到着したんですよね」
「ええ。バスが故障してね。ここで一晩泊まることになった」
コトミの話をスズが受け継ぐ。
「その後で、皆でお風呂に入ったんです。その後で、天草会長の下着が無くなっていることに気づいたと」
カエデは当時を思い出しながら語る。そこに、アリアも加わった。
「皆で一度集まって、アリバイを確認したんだよ。私は出島さんと一緒だったけど」
そこで、タカトシのアリバイが無いことが分かった。続いて、彼の部屋にあった置き手紙。
「問題は、あの手紙です。タカトシが犯人役に指名されたという内容でしたね」
そう。カエデの言うように、これが事件の鍵だと誰もが睨んでいる。なぜ、タカトシだけにそんな指示があったのか。
「単純に、ツアーサイドの意向じゃないですか? それに健全な男子が女子の下着を盗むなんて発想は自然だと思いますけれど」
「その発想そのものが自然じゃない気もするけれど」
コトミの健全な女子とは思えない考えに、スズがツッコミを入れる。というか、盗むのが自然という考えについていけない。
「とにかく・・・・・・」
と、話を戻すカエデ。
「その後の夜に、また事件が起きた。被害者は萩村さん」
「はい。ドアの外で、誰かが歩いているような音が聞こえましたので。廊下に出てみたんですが・・・・・・」
そっとカエデが目を逸らす。おそらくは、自分がタカトシの部屋へ向かった時の足音だろう。
「周囲を警戒しながら廊下を歩いているうちに、背後から誰かに襲われたと」
肩をブルリと震わせつつ、スズは頷いた。できることなら、もう2度と思い出したくない。
「・・・・・・」
「カエデちゃん?」
ふと気づくと、三つ編みの風紀委員長が何か俯いている。アリアは少しだけ首をひねった。
「いえ。何でもありません」
「?」
「あの、皆さん」
そこで彼女たちに声をかける者が現れた。先ほどまで朝食の後片付けをしていた出島サヤカであった。
「先ほど気づいたのですが・・・・・・少々こちらまでご足労願えますか?」
「?」
サヤカは普段の目を閉じている無表情に、少しだけ困ったような色を浮かべている。また、何かツアーの一環だろうか。
案内された先は、別のフロア。室内スポーツでもできそうな広さの部屋の壁に、一枚の張り紙があった。昨日までは、間違いなく無かったものだ。
その張り紙には、以下の文面が書かれている。
――3つの針が1つになる時、Hな布をいただく。
「・・・・・・これって、犯行予告ですよね」
どこか、嫌そうな顔をするカエデ。こんな堂々とした下着ドロなど、知りたくも無かったが。
「まあ、内容がどうあれ、犯行の手がかりになるのは確かよ」
主催者側のサヤカを呆れたように見るスズであるが、彼女は相変わらず目を閉じたまま立っている。
「うん。さすがはミステリーの世界ですね。犯人は探偵に堂々と勝負を挑む者ですから」
「おや。コトミ様は分かっていらっしゃる」
腕を組んで頷いているコトミに、サヤカは素直に賞賛した。こういうノリの者は、ツアー側としても喜ばしい。
「とはいえ、今は暗号の解読ですね。はてさて、3つの針というのは、どのような意味なのか」
思わせぶりに考えるチヒロに、スズは大して考えるまでもなく答えた。
「針というのは、時計ですね。ほら、そこの」
大広間の入り口近くを指さす。そこには、年代物の大時計が鎮座してあった。近くに寄れば、カチコチと時計特有の音が聞こえるであろうその時計は、この洋館の雰囲気によく合っている。
「時計という意味なら、犯行予告時間はちょうど0時になりますね」
スズの推理を、カエデが引き継ぐ。
「それじゃあHな布って、Hカップのブラの事? それじゃあ、私ね。ちょっと怖い」
身を震わせつつ、アリアが言った。コトミが少しだけ悔しそうに頬を膨らませる。年下とはいえ、コトミも女として負けられない意地があるのだ。
「私だってギリギリだけどFなんですから。来年は追い越して見せますよーだ」
「コトミちゃん、凄いね。私よりも大きいなんて」
こちらは特にムキになることもなく、素直に感心するチヒロ。カエデの方は何も言わなかったが、なんとも複雑な顔をしている。
2人とも口にこそしないが、スタイルにはそれなりに悪くないと思っているし、むしろ人が見れば誰もが羨むバランスの持ち主だ。
だから胸のサイズを口にしなかったのだ。高校生離れしたアリアと比べられるのが嫌だったわけではない。絶対に。
「・・・・・・」
ただ1人。比べる必要性すらない女子が1人、この場にいたことは本人の名誉のためにも伏せておくとしよう。
【挑戦状を握りつぶして】
「そうなんですか。そんな予告があったんですね」
「・・・・・・」
一通りの自分達の考えをまとめた後、チヒロ達は部屋にいるシノとタカトシにも話を伝えておく事にした。タカトシは驚くというよりも、どこか納得をしたというような反応だったが。
「・・・・・・しかし、犯行予告とは放ってはおけんな。犯人は、よほど自分の腕に自信があると見える」
口をとがらせつつ、シノは言う。なんだか、防げるものなら防いでみろと犯人に言われているようで面白くない。もっとも、実際に盗まれた自分が言えることではないが。
「そうなんです。でも、これは逆に言えば・・・・・・その時間になるまで事件らしいことは起きないって事じゃあないですか。指定の時刻になる前に、皆で荷物を持って大広間へ集まりましょう」
「ミステリーとしてはお約束ですが、やはりこれが効果的だと思ったんです。皆で一緒にいた方が、逆に安全だと思いますので」
チヒロに続いて、カエデも言う。実際、事件モノのドラマなどでよく見る手段だが、これは本当に理にかなった方法なのだ。
これ以上の被害を防ぐのに、異存はない。タカトシとシノの意見も一致する。
それと、と続けたのはタカトシ。
「犯行予告を信じるなら、犯人は間違いなく仕掛けてくると思いますよ。事件内容も下着泥棒と、限定的な犯罪行為ですからね」
「タカ君?」
「おそらくは、犯人は次の犯行に必ず萩村の時と同じ手を使ってくると思います」
「その根拠は何でしょうか?」
カエデの質問に、タカトシはさも当然のように答えた。
「下着が盗まれると分かっているのなら、バッグなりなんなりに皆の下着を一つに纏めて、全員で監視していればいいんです。しかし、わざわざ予告までしているのですから、ミステリーツアーでターゲットのガードが堅くて犯行ができませんでしたというのも、犯人としても格好が付きません」
実際、皆もそうするつもりでしたよねと訊くと、彼女達は特に悩むこともなく頷いた。狙われるのが何かを分かっているのなら、一つに固めてガードすればいいのだから。
「ならば犯人が狙うのは、いま身に着けている下着ということになります」
「まあ、自分の身につけている下着だけは流石に隠す訳にもいかないしな」
確かに、とシノは言った。そこで、アリアが小首をかしげる。
「え。何で隠さないの?」
「うん。七条さんは黙ってて」
脱線しそうになる話を戻すと、カエデはタカトシを見た。
「そうなると、次に狙われるのは魚見さんとコトミさん、私と出島さんの4人ですね」
まだ被害を受けていない女性陣の名前を挙げるが、タカトシはあっさりと否定する。
「いいえ。もう犯人に見当は付いています」
「なっ」
嘘を言っている顔ではない。タカトシは至極あっさりと、犯人に目星をつけていたのだ。周囲の者が、例外なく驚きの表情をする。
「なんだ、それならそうと言ってくれ。それで、犯人は誰なんだ?」
シノが詰め寄ると、副会長は頭を振る。
「ただ、証拠がないんです。ですので、まだこの場では名前を教えられません」
「む」
証拠がない。そう言われてしまうと、言葉に詰まる。盛り上がりかけた空気が一瞬にして沈静化してしまった。
「それで、あんたはどうすんの。証拠が出るまで、次の犯行を待つとか?」
下着を盗まれた当人のスズが、若干固い声で言う。それに対し、タカトシは意外にも少しだけ困った顔をした。
「まあ、そうなるかな」
「え?」
【待ち構える僕ら】
どんな事があろうとも、時は過ぎる。
朝は昼へ。昼は夜へ。食事時が近づいてくれば、炊事を始めるサヤカをスズやカエデ達が手伝う事も忘れない。参加者とはいえ、人手不足だという今回のツアーなら手伝うこともやぶさかではなかったからだ。
そして、時刻は11時を半分以上過ぎた頃。
場所は、アンティークな大時計のある大広間。今も正確に時刻を計っている大時計は、犯行予告のある時刻に刻一刻と針を近づけている。
全ての参加者。そして主催者はこの場に集まっていた。さすがに裏方のスタッフや職員までは居ないが、ある意味では当たり前の事である。
まあ、それはさておき。
「もうすぐ0時ですね」
「何が起きるんでしょう」
コトミとチヒロが、時計を凝視しながら言う。他の者達はやや緊張しているのか、いつもより口数が少ないようにも思える。
「津田君・・・・・・」
と、アリアがタカトシに近寄ってくる。その表情はどこか不安を隠し切れていないような様子であった。
「怖いから、こうさせて・・・・・・」
ピトリと、タカトシの大きな背中に身を寄せる。まるで、恋人のぬくもりを感じようとするかのように。
「ええっと、七条先輩?」
「私のブラ、フロントホックだから」
「ああ、確かに。これならホック外せませんね」
「・・・・・・場慣れしているんですね」
「あ」
硬直するタカトシ。視線をずらすと、数歩ほど離れた距離にカエデが立って、自分達を見ている。声も、不自然なほどに平坦だ。
「・・・・・・」
「あ、あの・・・・・・深い意味はありませんよ?」
カエデは返事をせず、プイッとそっぽを向いてしまった。お好きにどうぞとでも言いたげな様子に、タカトシの背にじっとりと汗が浮かぶ。
「・・・・・・さて。皆様」
ここで、サヤカが暗くなり始めている空気を破るように言った。自然、皆の視線がツアーガイドに集まる。
「紅茶のおかわりをお持ちしましょう。いざという時に眠くなってはいけませんので」
「ああ、気を遣わせてすみません。それじゃあお願いします」
サヤカが全員分のカラになったカップを片付けていく。すべてをトレイに乗せると、部屋を慣れた足取りで立ち去っていった。
それを見送ると、周囲は沈黙に包まれる。今度こそ、待ちの時間に入ったのだ。
今更、部屋へ出て行く者はいない。出て行って単独行動などをしてしまえば、それはそのままターゲットとして犯人の餌食になってしまうからだ。
そう。時間は、すでに大時計の長針が12時へ近づいていた。
カチ、コチ。一同の空気に、緊張が走った。
空気の音が感じられる。静寂の中、大時計の秒針が動く音だけがやたらと大きく聞こえた。
そして午前0時まで、あと30秒を切った瞬間――
フッ――と・・・・・・館に暗闇が訪れた。
【罠VS罠】
「停電!?」
突然のことであった。先ほどまで点いていた照明が、嘘のように消え去ったのだ。
一瞬にして暗闇の世界になった大広間。誰かが悲鳴のように叫ぶ。まだ闇の世界に目が慣れていないものの、誰かが2人ほど自分の前を横切ったような気がする。
周囲が、わあわあと騒がしくなった。明かりを求めて、誰かがあらぬ方向へと動く。
「タカトシ、いるんですか!?」
「はい。ここに居ます」
カエデの声。自分を心配して声をかけてくれたのだ。こちらもしっかりとした声で返事をする。
七条先輩も一緒に居る、とは言わない。彼女は未だに自分の背中に縋っている態勢のまま、暗闇の中で身を小さくしているのだ。
「明かりは!?」
タカトシは慣れようとしている視界と聴力を、ジッと研ぎ澄まそうとする。
さっき聞こえた声はスズだ。しかも、こういうシチュエーションを一番怖がるのは彼女なので、考えるまでもないが。
「玄関から右に曲がった壁に設置されていたよ。ただ、今は落ち着いて待って」
誰がどこに居るのかも分からない中、タカトシはあえて冷静に声をかける。こういう時、心を静めるのは得意だ。伊達に数年間も拳法を習っていない。
五感を意識し、精神を集中する。周囲の雑音を消し、聞くべき音のみを絞るように。
――――。
――。
タカトシの身体が動く。誰がどこに居るのかが、ハッキリと分かった。相手は側面から半歩先にいる、この人物。
「はい、そこです」
「あっ・・・・・・!」
手応えあり。タカトシは、正確に相手の手首を掴んでいた。そのまま、腕を相手の背中に回す。
関節を決めたが、痛くはないように配慮する。続けて、周囲に声をかけた。
「もういいですよ。犯人は確保しました」
その言葉に、誰かが手探り状態のまま大広間の外へ出て行く。しばらくして電力が回復したのか、周囲の光景に光が戻ってきた。
停電といっても、そうたいした事はないらしい。おそらくは、誰かがブレーカーを落としただけなのだろう。
眩しい光が目に入り、この場の全員が目をつむる。ゆっくりと目を開けると、先ほどまでと同じ、見慣れた大広間の風景が目に飛び込んだ。
だが、暗闇がおちる直前とは違う光景があった。ひとつは、自分達の立ち位置が若干変わっていること。
そして、もうひとつは――
「出島さん?」
カエデが、タカトシに捕まっているその人の名前を言った。
出島サヤカ。彼女はいつも通りに涼しい顔をしたまま、タカトシに犯人として確保されていたのであった。
【解決編:1】
「出島さんが、犯人なの?」
いつの間にかタカトシの背中から離れ、目を瞬かせているアリアが言った。実際、今はツアーの参加者に過ぎない彼女もまた、誰が犯人なのかを知らないのである。
他の女性陣も、表情に驚きの色を浮かべていた。実際、女性でありながら下着泥棒をしてもおかしくない相手だとは思っているが、それが今回の犯人かどうかを示す証拠にはならない。
実際、サヤカも――
「おやおや、津田様。なにゆえに私が犯人だとお疑いに? 私はただ、停電したと知って、慌ててこちらへ駆けつけただけなのですが」
――と、この様子である。犯人であろうと無かろうと、なぜその人を疑ったのかという説明は、ミステリーとしても鉄則である。ガイドとしても、参加者としても当然の言葉だ。
「津田。説明できるのよね?」
どこか、試すような口調でスズが言う。コトミとチヒロは、事の成り行きを見守っていた。
周囲の視線が、タカトシに向けられている。その全てを受け止めながら、彼は頷いた。
「もちろん。これから解決編を始める」
その確信を持った言葉に、カエデ達の中で緊張が走る。
「まず、はじめに容疑者を絞り込んだのは、俺の部屋にあった手紙の存在でした」
「あの、津田が犯人役に指名されたというやつか」
シノの言葉に肯定する。
「本当は、俺が部屋に入った時点で見つけておかなければならなかった代物です。それを俺がうかつにも荷物を置いた時のどさくさで、見逃されてしまった。これはツアーの案内人にとっても、想定していない事態だったはず」
本来は部屋に入って手紙を見つけ、それを読んだ時点で警戒する。こんな置き手紙を誰かに読まれれば、自分が疑われてしまうと。
そうなれば、誰かに読まれることを恐れて手紙を破いて捨てる。もしくはどこかに隠す。少なくとも、これから何が起こるのか分からないツアーの中で、堂々と自分が犯人ですなどと言うわけもない。
「手紙を用意した犯人にとっては、俺に読まれさえすれば、手紙なんていつ処分してもかまわなかったんです。あの手紙は、心理的に俺がツアー中に警戒心を与えることが目的。つまり、罪を着せるための単なるブラフです」
「しかし、手紙は見つかってしまったんですよね」
「そうですよ、カエデ先輩。そこで、誰かが1人ずつ俺を監視するという話となり、ツアー側にとってはあまり有り難くない状況ができてしまったわけです」
実際は、別に手紙が見つかったところでツアーとしては構わなかったのだろう。だからこそ、早々に第2の事件が起きたのだ。このままでは、タカトシのアリバイが確固たるものになり続けてしまうので。
「誰もが寝静まる深夜に起きた犯行。第2の事件も同じです」
第1の事件は皆が風呂場にいた時に起きた犯行で、女風呂に出入りできる人間なら誰もが実行可能だった。
そして第2の事件もしかり。皆が部屋で眠る時間帯なら、アリバイなど関係はない。
チヒロを初めとして一緒に寝ていいかと提案していたが、それはもともとツアーガイドの権限で遅かれ早かれ止めるつもりだった。実際に止めたのは牽制し合った女性陣だったが。
なお、流石にカエデがタカトシの部屋に来た事は想定外だっただろう。しかも、廊下に姿を見せたサヤカと入れ違いになるような形で。
ともあれ、誰もがアリバイのない時間を狙い、サヤカはスズを廊下へ呼び出し、サヤカならではのフィンガーテクニックを駆使して下着をかすめ取ったのだ。
だが、この犯行によってタカトシが確信を持つ。そんな芸当ができるのはサヤカしかいない、と。
「とどめが、あの犯行予告でした。犯人は、七条先輩のバストのサイズを知っている人物ということ」
「出島さんなら、毎日のように私のスリーサイズをチェックしているものね」
アリアは納得がいったように口にした。とりあえず、ツッコまないでおく。
「なるほど。確かにお見事な推理です」
サヤカは、素直に賞賛した。片腕を捕まれていなければ、拍手の一つもしていたのかもしれない。
「ですが、津田さん」
静かな口調。推理を披露したというのに、サヤカはまるで堪えた様子もない。
「肝心なことを忘れていませんか。これはミステリーツアーなんですよ」
「当然です」
「探偵として私を捕まえるというのなら、推理だけでは不十分です。先ほどもご説明させていただきましたが、私はあくまでも停電のためにこちらへと舞い戻っただけでございます。ならば、私が犯人であるという証拠の提示をお願いしたいのですが」
その言葉に、カエデ達や頭脳明晰なスズの表情がこわばる。
そうだ。ミステリーと言うからには、証拠がなければ。このまま現行犯として捕まえようにも、相手が暗闇の中でこの場に駆けつけただけと主張してしまえば、それまでだ。
思わず、参加者の何人かが不安そうな目でタカトシを見る。証拠があるかどうかなんて、彼女は聞いていないのだから。
――あ。
そんな中で、カエデだけが気づいた。
タカトシの口元が、僅かに笑っていることを。
【解決編:2】
「証拠が、あると?」
その言葉だけは流石に予想外だったようで、サヤカは肩越しにタカトシの顔を見る。
「ええ。あなたが犯人という証拠はあります」
「ならば、それをご提示願えますか?」
はい。そう短く言うと、タカトシはサヤカの腕を押さえていない方の手で、ズボンのポケットをまさぐった。
取り出したのは、黒い小さな筒状の小物。少なくとも、これはツアー側が用意していたものではない。
「津田様。それは・・・・・・判子ですか?」
「正解です。ただし、これは一般の速乾朱肉を使ってはいません」
「では、なぜそんなものをこの場で?」
「これから説明します」
タカトシは一度だけ周囲を見回す。誰もが、次の彼の言葉を待っていた。
「もともと今回のツアーは、ミステリーがメインということもあって、俺自身も何か役に立ちそうな小道具をいくつか持ってきていたんです。そのうちの一つがこれなんですが」
小さな判子。しかし、紙などに押しつける底辺の部分は、速乾朱肉特有の赤色に染まっていない。新品なのかというとそうでもなく、いくらか使い古されたような様子であった。
「その判子がどうした」
「不可視インク」
「え?」
シノの言葉に、タカトシはあっさりと答える。
「テーマパークの入場スタンプや、パスポートなどにも応用されている特殊インクのことですよ。それが今、この判子に塗られているんです」
「ああ、そっか。そういえば、うちのお母さんが一昨日に知り合いからもらってたっけ」
思い出したように、コトミが手を叩く。添乗員をしているというその知り合いは、テーマパークのガイドをしている時に、そこの従業員から記念品代わりにもらったのだという。
「それが、何だと?」
「出島さん。わざわざブレーカーを落としてこの場に来たということは、暗闇の中で七条先輩の下着を狙おうとしていたということですよね。萩村にしたように」
「私が本当に犯人だとしたら、ですが」
「そう。ならば、どれだけとてつもないテクニックを持っていようとも、最低でもフロントホックだけは外さなければいけませんよね。つまり、そこだけはどうあっても自分の指で触れなければいけないはず」
「・・・・・・もしや」
ここで、サヤカも思い至った。タカトシが言っていることは、つまり。
七条家のメイドは、仕える主人の娘を見た。アリアは、にっこりと微笑むだけ。
「七条先輩に頼んで、事前にブラのホックにこの判子を押しておくように頼んでおきました。出島さん、もう少しだけお手を拝借」
もう一つタカトシがポケットから取り出したのは、ペンサイズのブラックライト。この光に当てると、インクの模様が浮き上がるのだ。
抵抗の気持ちも見せず、サヤカは黙ってその手元に当てられた光を受け入れる。
・・・・・・浮かび上がったのは、インクによって津田と書かれた文字。いささか擦れているが、それでも充分に文字が判別できる。
「お見事」
今度こそ、サヤカは心からの賞賛を口にした。全ての推理を終わらせたタカトシは、ここでようやくサヤカの手をそっと離す。
「素晴らしい推理でした。そして、証拠も完璧です」
と、そこでドアが開く。姿を見せたのは、運転手兼館の主人役を受け持っていた初老の男性であった。後ろには、数名のスーツ姿の男女が続いてくる。おそらく、彼らが裏方のスタッフ達なのだろう。
「いやいや、お見事です。まさか、このような幕切れを迎えるとは」
「そんなに意外でしたか。確かに、若干運に助けられたような部分もありましたが」
と、タカトシは正直に言った。実際、
「滅相もありません。本当は、これから少しずつ証拠が残るような犯行を行うはずだったのですが」
「あはは・・・・・・まあ、他の女性達に被害がなくて良かったです」
チラリと、タカトシはカエデ達を見る。本来なら、これから彼女達の誰かも狙われるのかもしれなかったのだ。
「それにしても、確かにミステリーツアーという性質上、参加者が私物を使って証拠を掴むという事態は想定してしかるべきでした。これは少し企画の段階から見直す必要が出てきましたな」
「今回のことは、七条家主催のツアーとして、非常に良い教訓になりました。このお礼は、後日また」
「あ、いえいえ。そんなお構いなく」
慌てて手を振るタカトシ。そして、仕事人として責務を果たそうとする、元館の主人。
そんな彼らを遠巻きに見つつ、カエデ達は肩の力を抜いた。
「・・・・・・終わったんだよな」
「ええ。まったく、人騒がせなミステリーでした」
「いえ、まだ終わっていません」
一件落着、という空気になりかけたところで水を差される。顔を向けると、サヤカが頭の後ろに手を回すポーズのまま立っていた。
「犯人として、お縄になりましょう。早速縛ってください」
「反省してないな」
「じゃあ、私が」
と、どこからともなく取り出した縄を手に、サヤカへと近づくアリア。
「うーん。いつもやっている縛り方じゃあ味気ないから、今度は別のやつを・・・・・・」
「お、お嬢様・・・・・・でしたら、どんな縛り方でも」
「うふふー。それじゃあ、いっくよー」
サヤカは悲鳴をあげた。
「ひっでえ現実」
周囲の参加者やスタッフは、何も見ようとはしなかった。
【帰路について】
館から、タカトシ達を乗せたバスが発車した。礼儀正しく頭を下げられながら見送られ、ようやく帰路につくことになったのだ。
「なかなかの名推理だったな」
自然が並ぶ外の風景を尻目に、シノは素直に言った。そこへ、チヒロも加わる。
「そうですね。スタッフ達の予想以上に早く真相にたどり着いてくれたので、私たちは下着を盗まれなくてすみましたし。本当にありがとう、タカ君」
「魚見さん、近い近い」
前の席から身を乗り出すようにしていたチヒロとの間に、カエデが割って入る。プクリとふくれっ面をしているのが、なんとも微笑ましい。
「うふふ。分かっていますよ。私も分別はついています」
そっと、小声で呟く。2人の関係を邪魔するつもりはない、と。
「ただ、私・・・・・・ネトラレに興味があるので」
「全然分別ついてない」
はあっと、ため息をつきそうになる風紀委員長。
「そういえば、気になっていたんですけれど」
と、ここで口を挟んだのはコトミ。
「誰かからの視線を感じるっていうの、あれって何だったんでしょう?」
「え?」
スズがそれに反応する。カエデとそろって、顔を見合わせた。
そうだった。確かにツアー中にそんな気配を感じていたのだ。皆でタカトシを監視している最中に、そんな話をカエデが言っていた。
背筋を震わせるスズ。話を聞く限りでは、スタッフの誰かというわけではないらしい。だとすると、いったい誰が・・・・・・?
「ああ、それはきっとこの子だよ」
そこで、アリアがあっさりと言った。拍子抜けする格好になったスズは、首をかしげる。
「七条先輩。この子、って?」
「いま呼んであげる。おいで」
パンパン、と手を叩くアリア。はて。自分達しかいないバスの中で、何を呼ぶというのだろうか。
その答えは、すぐに来た。なんと、今まで気づかなかったが運転席の近くから小さな生き物が近寄ってくるではないか。
それは、猫。その白と茶色の体毛をした猫は、嬉しそうにアリアの足下へ縋り寄ってくる。
「もう、ダメよエティエンヌ。どうせ、家から荷物に紛れて来たんでしょう?」
「ニャア」
額を指でツンツンと叩くアリアに、猫はごめんなさいとでも言うように鳴いた。
あっけにとられる一同の中で、ようやく合点がいったようにスズが言う。
「ね、猫だったんですか? 確か、最近になって飼っている猫が15匹まで増えたとかいう」
「そうだよ。出島さんも世話をするのに大変で、たまに家を飛び出したり、隠れたりしちゃうの」
前も、木の上で降りられなくなっていたし、と締めくくる。人手不足であるツアーのため、猫が1匹どこかに紛れても、誰も気づけなかったというわけだ。
「なーんだ」
謎なんて、分かってしまえばこんなもの。
走り続けるバスの中。しばらく、皆の笑い声は耐えなかった。
つづく
下着は、ちゃんと返されました。