怪盗14125号 作:ゴハエスデス
「……怪盗14125号って……キッドの代からこんなに増えたのか、怪盗……」
よく雨の降る昼下がり。
とあるチョーのとあるタン小学校の教室のイッカク。
浮きに浮きまくってる事で有名な(雨季だけに)チビことエドガーが、私の前の席で休日のパピーみたいな風に、つまりおっさんみたいな顔をして、新聞を開いて呟いた言葉がこれである。
ショージキ小学校の教室で新聞紙広げてるのがまずオカシイ。なんでもなく漢字読めてるのもオカシイ。
なによりオカシイのは、キッドという名前をものすごく親しげに呼んでいる事である。
怪盗キッドと言えば、今尚世に名を轟かせる系オオドロボー。
女の子たちはワーキャー悲鳴を上げ、男の子たちはワーオー悲鳴を上げ、ケーサツの人達はギャーギャー行って追いかける存在。
本来なら隠れなければいけないドロボーなのに、めちゃくちゃ目立つ格好をして、めちゃくちゃ目立つ方法で宝石とかを盗んでいく、現代のルパンである。ルパンサンセーなら今も生きてるけど。
とにかくかっこいい。
かっこいいのだ。
「KIDの次はKIDSね……。なんつーか、ICPOも暇なんだな……」
ICPOとか言う言葉がすらっと出てくるのもオカシイ。
あと、ICPOはゼニガタのおじさんがいる所なので、暇じゃないと思う。
「で、暗号ね……」
開いている新聞。
そこには、こんなことが書かれている。
「……」
エドガーが長考モードに入った。
こうなるとエドガーは長い。先生か灰原さんに指摘されるまであっちの世界から帰ってこない。
ちなみに新聞の見出しには、こんなことが書かれていた。
怪盗14125号。
いつしかそう呼ばれるようになったこの怪盗は、その見た目も相俟ってか――怪盗キッズと呼ばれている。
キッドと同じく大粒の宝石と――古代の像を中心に狙う、そこそこマイナーになってきたかなー? 程度の怪盗。
それが怪盗キッズ。ちなみにファンもそこそこいたりしなかったりしたり。
「あのー、
「はい?」
「はい? じゃなくて……その、立ってもらえないかなーって……」
言われて周りを見る。
みんながみんな――目の前のエドガーさえも、立ち上がって。
こちらをじぃっと見ているではないか。
「……よっこいしょういち」
大仰に立ち上がる。
「……おっさんかよ」
何か言ったかエドガー!
お前にだけは言われたくない!
「シツレーしました。はじめてください。どうぞ」
「あ、う、うん。ありがとう……?」
ふぅ……まったく。
ミイラとりがミイラになった感じだ。
いや文字数すっっっっっっっっっくな