ハリー·ポッターと不遜な悪童   作:麻婆牛乳
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なんというか、12時間勤務は連続するととても辛い事を実感。三連休位は欲しいな。



唯我独尊で傍若無人

「2人共、文句なしの合格です!」

 

マクゴナガルは大いに頷き、ウッドとフリントもこちらを向いて言った。

 

「嬉しいぞハリー!まさか今年から入る事になるなんてな!大歓迎だ!」

「あんな動きを見せつけられては認めざるをえないな……頼んだぞ、レネ」

 

ウッドとフリントは手を出し、俺とハリーは握手に答えた。俺はクィディッチをやってみたかったので問題なく入ったが、ハリーの方は未だに少し迷っている様だった。

 

「どうしたよハリー、やりたくないのか?」

「何っ!?本当かハリー!」

「……う、うーん……」

 

ウッドに詰め寄られて居心地が悪そうなハリーの頭に手を置き、問い掛けてみる。

 

「おおかた、1年生の僕なんかが……なーんて思ってんだろ?」

「!」

 

図星だ、表情を見れば……いや、反応を見なくても分かる。気の弱い奴だからその位は余裕で想定できるのだ。

ハリーの顔を覗き込む。

 

「ソンするぜハリー、さっきお前も聞いただろ?1年生のクィディッチ選手は百年振りだってよぉ。こーんな楽しそうな事、首を突っ込まなきゃあ一生後悔する事になるぜぇ?」

「レネ……僕は……」

「ま、決めるのは俺じゃねぇ。好きにやったらいいぜ、ハリーちゃんよ?」

 

ゲヒヒと下衆染みた笑いを向けられたハリーは俺に苦笑いし、ウッドに真剣な表情を向ける。

 

「やります、やらせて下さい!」

「よく言った!それでこそ男だ!」

 

ウッドはハリーの両肩に手を置き、嬉しそうに揺さぶった。あ、メガネ落ちた。

マクゴナガルは嬉しそうに近付いてきて俺達に言った。

 

「2人共、自分の箒は持っていない筈ですね?ご祝儀として、2人に私からお好きな箒をプレゼントしましょう。どの箒でもいいですよ」

「……え?俺もくれんの?」

 

そう、マクゴナガルはグリフィンドールの寮監だからハリーのを買うのは分かる。だが、スリザリンの俺に買う義理は全く無い筈だ。

マクゴナガルは首を横に振った。

 

「何を隠そう、私はグリフィンドールの寮監である前にクィディッチが大好きなのです」

「いや隠れてねえ、全く隠れてねえ!」

 

これには大いに納得してしまった。さっきまでのマクゴナガルを見れば納得せざるをえない。

 

「スリザリンのラフプレーにはほとほと愛想が尽きていましたが貴方は別です。最高の箒で今の動きを見る事が出来るのかと思うと……」

「わ、分かったから、落ち着いてくれ」

 

ハリーは思った、レネがここまでたじたじになった事があっただろうか、と。マクゴナガルは何かの冊子を数冊俺に渡した。

 

「現在販売されている箒のカタログです、2人共よく考えてから私に伝えて下さい。あ、後ショーペンハウアーには足に専用のプロテクターが必要かもしれませんね……」

 

マクゴナガルはまたアッチの世界へ行ってしまった。とはいえ、これは嬉しい話だ。ウッドとフリントに別れを告げて一刻も早くカタログを見る為に、俺達は大広間へと向かった。

 

 

 

 

「………………」

「どうしたよドラコ?」

「貴方がクィディッチの代表選手に選ばれたから拗ねてるのよ……あ、レネ、おめでとう」

「おう……しっかし相変わらずデザートばっかよく食うなぁダフネ」

「そう?普通でしょう?」

 

大広間に来た俺とハリーは晩飯の時間だと気付き、とりあえず先に飯を食うことにした。

その間ドラコはずっと俺の横でむくれていたらしい……肉食い漁ってて気付かなかったが。

 

「俺じゃ不満かよ、ドラコ?」

「……いいや、レネはいいよ。さっき覗き見してたけどあんな曲芸じみた箒の乗り方は僕には出来ないからね……問題はポッターだ!あんな動き位なら僕だって出来るさ!」

「あの備品のボロい箒でもか?」

「………………」

 

またむくれた、まあ普通はあんな箒じゃハリーの動きは真似できねえよな……とフォローを入れてドラコのゴブレットにジュースを注ぎ入れてやったりしてご機嫌を取ってやった。

 

 

 

夕食後、俺とハリーはマクゴナガルの付き添いという条件の元、許可を得て大広間に残ってカタログとにらめっこを始めた。

ハリーがその1つを指して言った。

 

「このニンバス2000がいいな!今一番最高速度を叩き出す箒だって!」

 

ハリーの目が輝いている。ウッドに選手になる事を宣言した事で吹っ切れたのか、出場する事に負い目を感じなくなったのだろう。

 

「良い選択です。貴方は素晴らしいシーカーになれますよ」

 

マクゴナガルはニコニコしながら言った。ハリーは俺にもニンバス2000を勧めてくるが、首を振って別のカタログを指す。

 

「俺はクリーンスイープの7号がいい、速度じゃあ負ける様だが急旋回はこっちの方が向いてるみたいだからな……先生が俺に望んでるのはそういうプレイなんだろ?」

「これまた良い選択です、期待していますよ」

 

柔らかな笑みを浮かべるマクゴナガルは、幾分か若々しく見えた。

 

 

 

「レネ……ちょっといいかい?」

「んぁ?まーだ寝てなかったのか?」

 

箒を選び終え、談話室に帰ってきた俺を出迎えたのはドラコだった。この陰湿な談話室にピッタリな暗い顔をしてやがる。

 

「君、ポッターと随分仲が良い様だけど……まさか、グリフィンドールと馴れ合っているんじゃないだろうね?」

「あん?駄目なのか?」

「当たり前だ!グリフィンドールなんかマグルにすり寄るロクデナシの掃き溜めだよ!即刻縁を切るべきだ!」

 

なんかよく分からない理由で怒っているドラコを見てケタケタと笑う。ドラコはそれを見て更に不機嫌になっていく。

 

「何がおかしいんだよ!」

「ゲッヒッヒッヒ……いちいちそんな事に目くじら立てて、ちっせぇなあと思ってよ」

 

ドラコは血管ブチギレ寸前といった所だ、俺はそんなドラコに続けて言った。

 

「俺は俺のやりたいようにやる!気に入った奴にはとことん絡むし気に入らなきゃあほっとく!今日気に入らなくても明日面白けりゃあそれも良いさ!この俺の行動をを止められるもんなら力ずくで止めてみやがれってんだ!」

 

中指を立て、ヒャーッハッハッハッ!と大笑いしながら寝室へと歩いていった。ドラコは怒りを忘れて燃える暖炉の前で立ち尽くした。

 

「……じ、自分勝手過ぎる……」

 

人の事は言えないと頭で理解しつつも、そう呟くしか無かったのだった。

 

 

 

「いや、早すぎんだろ」

 

次の日の朝、大広間にワシミミズクのアーディが長細い荷物を器用に持って飛んできた。疲労困憊のアーディを尻目に包みを開けると、足掛けの付いていないクリーンスイープの7号とレッグガードの様な物が入っており、チラリとマクゴナガルを見てみると此方を向いて微笑んでいた。正直引いた。

 

「新しい箒!クリーンスイープの7号じゃない!一体誰の贈り物なの!?」

「……マクゴナガル」

 

ポツリと呟くと、ダフネもマクゴナガルを見て表情を固めていた。あんなゴキゲンなマクゴナガルは、誰も見たことは無いだろう。

取り敢えず、俺は箒を持ってハリーの居る机の方へと向かった。

 

「よぉ、ハリー」

「見てよレネ!ニンバス2000だ!」

 

ハリーの居る場所は人だかりが出来ていたのですぐに分かった。新しい箒、その上世界最速の箒ともなれば人が集まるのも当然だ。

俺は笑ってハリーに言った。

 

「行くか?」

「もちろん!」

 

朝の授業が始まる迄にはまだ時間がある、俺達はクィディッチ競技場で思い切り飛び回った。備品の箒とはエラい違いで速度、キレ、安定性のどれを取っても文句なしと言える代物だった。

 

 

 

「ふむ……良いだろう」

「よっしゃ」

 

昼過ぎにはスネイプによる最後のテストが待っていた。サラマンダーの血が黒ずんだ中身の鍋を見て、表情を動かさずにスネイプは頷いた。

 

「しかし強化薬は教科書にまともな作り方が書いていない筈だ、図書室で確認したのか?」

「いいや、自前で買った本に書いてあった。中々役に立つもんだなコレは」

 

ヒラヒラと分厚い本を出すと、スネイプも納得した様に口を開いた。

 

「許可を出す前に忠告しておこう。この世に間違いの無い魔法薬の参考書は、我輩の知りうる限り1つとして無かった。疑問を感じたなら鍋を爆発させる前に我輩に聞く事だな」

「……ん?それってつまり先生は全ての正解を知ってるっつー事か?」

「そうだ、そして貴様はそんな魔法薬の世界に足を踏み込んだのだ。精々用心する事だな」

 

スネイプはそれだけを言い残して教室から去っていった。中々に無愛想だが、アレはアレで俺の事を心配しているのだろう。

 

「ま、それはそれとして……」

 

ホグワーツへ来て一番の(極めて邪悪な)笑顔を浮かべる。魔法薬作りの許可が出た、これ以上嬉しいこともそうそう無い。持っている材料で作れる魔法薬をリストアップしたメモを取り出し、早速作成に取り掛かった。

 

 

 

「おい、アレ……どうするよ?」

「………………」

 

昼からの授業も終わった頃、魔法薬の教室の外に2人の男が居た。片方の名はグラハム·モンタギュー、スリザリンのクィディッチ選手だった。もう1人はエイドリアン·ピュシー、何も言わない彼もまたクィディッチの選手である。その2人は教室を覗き込んでは相談を繰り返すというループ作業を繰り返していた。

 

「ヒーッヒッヒッ!イイーッヒッヒッヒッ!」

 

その問題の教室からは、甲高い笑い声が廊下にまで響き渡っていた。声の主は目深にフードを被り、狂った様に鍋をかき回しており、その内容物が発する緑の蛍光色が隠れた顔を照らして、それこそ闇の儀式とも呼べる様相を呈していた。

因みにスネイプに気付かれて煩いと怒られた。

 

 

 

「ワザワザすまねぇな、しかし別に気にせず声を掛けてくれても良かったんだぜ?」

「さっきのは中断させたら俺達の命に関わりそうな儀式だったからな」

 

そんなことないぜー、ただ普通に魔法薬作ってただけだぜー。っとか言いながらピュシーの後ろをついて歩いていく。なんでもフリントが俺を呼んでいるらしい。

 

「チームに自己紹介でもすんのか?」

「いや違う、まあ見れば分かるさ」

 

程なくして競技場に到着した俺は、スリザリン生の7人の男達に囲まれていた。正面に居たフリントが口を開く。

 

「俺はこのレネ·ショーペンハウアーをチームのビーターに迎えるつもりだ、異議のある奴は手を上げろ」

 

すると、フリントを除いた6人が一斉にビシッと手を上げる。その中でも左前に立っていた男が俺を肉親の仇かとでも言いたげな程に強烈な形相で睨んでいる。

 

「やっとの思いでチームメンバーに入れたんだ。こんな1年坊主に取られてたまるかよ!」

「落ち着けデリック、こういう時はどうすれば良いのか分かっているよな?」

 

デリックと呼ばれた男は箒に跨がり、空中へ舞い上がった。フリントは備品よりも余程上等な箒を取り出し、棍棒と共に俺に差し出した。

 

「これから試験を行う。デリックとお前でボールを打ち合い打ち返せなかった方の負け。明らかに打ち返すのが不可能だという程にズレた軌道で打ち返しても負けだ。俺のお下がりだがこの箒を貸してやるから──」

「要らねえ」

 

棍棒だけを受け取り、ローブの懐に手を突っ込んでずるりと箒を取り出し流れるように舞い上がる。男達は仰天して俺を見ていた。

 

「今の、一体どこから……」

「それよりも見ろ!箒の上で立っているぞ!」

「なんなんだ、なんなんだアイツは!」

 

冷静なのはフリントだけであり、これから試験を行うデリックですら呆けている。クククッ、と笑みを浮かべて箒の柄を少し上げた。

 

「さ、始めてくれよ」

「初めはデリックからだ、開始!」

 

フリントは掛け声と共にボールを投げる。デリックはハッとしてボールを打った。少し右だ。

 

「おらよっ!」

 

カキンッと小気味の良い音を立ててデリックの顔めがけてボールが飛ぶ。デリックは怯みつつも打ち返す。が──

 

「しまっ──」

 

焦るデリック、ボールの軌道は俺よりも明らかに下方へと飛んでいた。

 

「そーらっ!」

 

俺は箒を軸に体を倒して丁度体が下になった所でボールを打ち、回転の勢いでまた体は元の位置へと戻っていった。打ち返されると思わなかったのか、デリックが遅れて打ったボールは勢いが無くふわりと舞い上がっている。

 

「トドメェッ!」

 

まるでテニスのスマッシュの様に打ち落とす。襲い来る豪速球のボールに怯んで顔を反らしてしまい、デリックの棍棒はボールを弾くだけであらぬ方向へと飛んでいってしまった。

 

「勝負有り!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!驚いている隙を突くのは卑怯だぞ!再戦を要求する!」

「正気か?年下に負けて言い訳をするなんて恥知らずも良いところだぞ」

 

デリックは喚いて異議を申し立てるが、フリントは冷たくあしらった。しかし俺は笑って棍棒を手離して叫んだ。

 

「良いじゃないですか、再戦してあげましょうよ先輩!ハンデ付けてあげますから!」

 

ポカンと間の抜けた顔で俺を見る男達、しかしデリックはすぐに顔を真っ赤にして俺を睨み付ける。そんな中、フリントだけはニヤニヤして俺に頷いた。

 

「よし、もう一度デリックからだ」

 

そうして放り投げられたボールを、デリックは俺の顔目掛けて力の限り叩き付けた。それこそ、体勢を崩す程に。

 

「あまぁーい!」

 

箒から足を離して前方宙返り、カカトでボールを打ち返す。速度の乗ったボールはデリックの顔面を直撃、意識を失うには十分の威力だった。

 

 

 

 




因みにクィディッチの反則の種類は700を越えるらしい、流石に細部は決まっていないだろうけども。

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