―ここはとある鎮守府の一室。艦娘たちはこの部屋に呼び出されたようで、提督を待つ。
あちらでは戦艦を夢見る少女が仲間とどうすれば戦艦になれるのか相談を。またこちらでは2人の少女が魚雷について語り合っている。
「皆、待たせて済まない。今日ここに呼んだのは…一言でいえば大事な話があるんだ。」
それぞれが思い思いのことをしていたこの空間も、突如入ってきたこの男―艦娘たちの提督の一言によって静まる。
「あぁ、そんなにかしこまらなくていい。話は少し長くなるし、リラックスして聞いてくれ。確かに全員を集めるのは大規模作戦の時くらいだからな…まぁいい、今日集めた理由だが。
君たちには一年間、海上で戦闘することをやめ、お勉強をしてもらう。演習もなしだ。」
海上での戦闘がない。つまり生まれながらにして深海棲艦と戦うことを使命としてきた艦娘たちの生きる目的を奪う、そういうことだ。
その意味に気づいた艦娘たち。ある者は瑞雲と遊べない、と。またある者は夜戦ができない、と悲しみに暮れていた。
「君たちが悲しむのも無理ないだろう。できれば僕も君たち全員に好きなように戦わせてやりたいんだが…大本営からの特別な命令でな、断ることができなかったんだ。申し訳ない
だが一年間、君たちの命は保証されるし、一年後にはまた今まで通りの生活に戻ることができるから、安心してほしい。
では説明を続けるぞ」
これからの一年間は『文月学園』というところに通い、過ごすこと。『文月学園』ではテストの成績に応じたクラス分けがされること。テストの成績に応じた強さの『召喚獣』を呼び出し、使役して戦うことのできる『試験召喚システム』があること。とにかく、テストの成績が物を言う、ということ。
そんな説明がされた。
「…ということだ。つまり成績さえよければ、召喚獣は大きな主砲も、良い魚雷も、もちろん特別な瑞雲も持つことができる。逆に成績が悪ければ小さな主砲しか持たせることができない。夜戦に関しては夜戦フィールドを呼び出す教師の元でならできるぞ。…こんなところかな。
明日の正午からバスで移動するので各自荷物をまとめておくこと。明後日には振り分け試験だから少しは勉強しておくといいかもな。僕に一言言ってくれれば図書室の本を持って行ってもいい。試験は高校1年生レベルだ、と言ってもわからないかな…。
まぁ質問があればいつでも僕のところに来てくれ。…では解散っ!」
こうしてとある鎮守府の艦娘たちは突然、別世界に放り込まれるのでした。