天草洸輔は勇者である   作:こうが

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三話でございます……タイトルの通り、ちょっとした日常回でございます!

はぁ、もっとペース上げて投稿したいです( ; ; )



三章  日常に踊る

いつもの海岸で、いつものように鍛錬に励む。例え過去の世界に飛ばされたとしても、日課であるからか自然と体が動いた。

 

この時代……というか、二年前の僕も鍛錬はよく行っていた記憶があり、実際体がついてきてはいる。まぁ、それでも体格とかは二年後の自分に比べたらまだまだだけど。

 

「なんというか……こうやって過ごしていると、過去に飛ばされたって感じがしない」

 

この時代に飛ばされてから、もう一週間が経過しようとしていた。前回とは違い、馴染みの場所や時代である為、落ち着いてはいる。ただ、それでも情報が足りないのは確かだった。

 

(この時代にある異変、そして、この端末のことやあの仮面の男のこと……分からないことは尽きない)

 

まぁ、それでも呻いていた所で何かが変わるわけじゃない。だったら、手探りでいくしかない。つまり、行動あるのみってことだ。

 

「さて、そろそろ家に戻るとしますか」

「洸輔くーん!おーはーよー!」

「……おはよ、友奈。なんで、ここに?」

「起こしに行ったらいなかったから、ここにいるんだろうなぁ〜って」

 

何故か、自慢げに友奈が僕の方を見てそう言った。そう、この時の友奈は(というか、元の時代でもそうだけど)朝に弱い僕を起こしに来てくれていた。

 

「毎日起こしにきてくれなくてもいいのんだよ?友奈も大変だろうし」

「気にしなくてもいいって〜。私が起こしに行きたいって思ってやってるんだからさ」

「でも、悪いし……」

「そういう事ばっかり言ってる幼なじみはこうだ!手繋ぎの刑〜!」

「……何それ?」

「家に着くまで、私とずっと手を繋ぐ罰だよぉ〜!」

 

ニカッと無邪気な笑みを向けながら、友奈が僕の手を握る。恥ずかしさよりも嬉しさが先にくるようになっているのは、かなり友奈に毒されている気がする。

 

「ば、罰っていうか、僕としては寧ろご褒美な気がするけど…」

「えっ?」

「友奈みたいな可愛い子に手を繋がれて嬉しくないわけ無いし」

「あわ、あわわ……」

「それに友奈が手を握ってくれると安心するというかさ。あれ、友奈?」

「……」

 

素直に思った事を口にしていると、友奈が無言になってしまった。心配になり、彼女に呼び掛ける。

 

「ぷ、プシュー……きゅ、急に積極、て、き……」

「えっ!?ちょっ!?」

「はふぅ……」

「ゆ、友奈さぁぁぁぁん!?!?」

 

何故か、急に気絶した友奈を家に運んだ。その結果綺麗に二人で遅刻することになったとさ。

 

とまぁ、そんな感じで過去に飛ばされるなんてとんでもないことは起きてても、西暦の時とは少し違って……僕を取り巻く日常というのは、この時代に異変が起きているとは感じさせないほどに、平和に流れていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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「ふぃー学校終わった〜」

「お疲れ様、友奈。てか、今日って昼で学校終わりだったんだね、忘れてたよ」

「私もー、先生に言われるまで忘れてたよぉ〜」

 

昼頃、今日は先生達が会議をするらしく学校が早めに終わった。(昨日言われたらしいけど、全然覚えてなかった)

 

皆、早く帰れて嬉しいのか、あっちこっちで帰った後何をするかの話題で盛り上がっていた。そんな浮かれムードの中、僕は腕を組んで考える。

 

(うーん、この後、どうしよう……せっかくだし、大橋の方に行ってみるとするかな)

 

僕がこの時代の事が記された勇者御記を園子に見せてもらった時、須美ちゃん、園子、三ノ輪さんの三人は大橋の方で戦闘を繰り広げていたと書いてあった。そちらに行けば、何か情報が……得られるかもしれない。もしかしたら、運良く三人と会える可能性もある。

 

幸い、学校も早めに終わってくれたし、電車の本数も心配はなさそうだ。こういう時、元の時代の方では春信さんが頼めば運んでくれたのになぁ。

 

「……」

「どうしたの、洸輔くん?考え事?」

「ああ、うん。まぁ、そんなとこかな」

「何〜?もしかして、私のこと考えててくれた?」

「?……まぁ、友奈の事はいつも考えてるけどさ」

「えっ、あっ…そ、そう…」

「おー、お二人さん、イチャイチャしてるとこ邪魔して悪いね」

 

そう言いながら、僕らの方に近づいてきたのは三枝裕子。彼女も友奈と同じく実は幼稚園時代からの付き合いで、小学校も、六年間同じクラスだった。

 

「あっ!裕子ちゃん!やっほー!」

「やっほー、友奈。それと、天草も」

「話すのは久しぶりだね。三枝」

「久しぶり?昨日あったし話もしたじゃん」

 

そう言われて、一瞬焦る。元の時代の方では、同じ中学ではあるもののクラスが同じにならず、あまり話せなくなっていたから、つい言ってしまった。

 

「あ、ああ、ごめん。そ、そうだったね」

「いや、別にいいけどさ……っと、それより二人に渡すもんがあったんだった」

「渡すもの?」

 

友奈が小首を傾げると、三枝がポケットから二枚、紙のようなものを取り出した。

 

「これ、イネスのフードコートに美味いジェラート食べれるとこがあるんだけどさ。そこで使える無料券、あんたらにあげるよ」

「えっ!?ただで!?」

「三枝、ほんとにいいの?」

「ああ、いいのいいの。実は、最近私が通ってる弓道教室が忙しすぎて行く暇なくてさ〜しかも、有効期限も短いもんで、だったら、誰かにあげた方が良いと思ってねぇ。ま、今週の休みとかに二人で行ってきなよ?ま、何なら今からでもいいと思うしぃ?」

 

そう言いながら、券をヒラヒラさせつつ僕らの方を見てニヤッと笑う三枝。うーん、明らかに善意からだけではなさそう……だって、めっちゃ楽しんでるもんな、顔が。

 

「……じゃあ、今から行ってくるよ。きょーは時間もあるし」

「ほーん、大好きな友奈と今すぐにでも一緒に出かけたいってことかな?天草クン?」

「ゆ、裕子ちゃん!?」

「ま、まぁ…それもあるけどさ。丁度今日、そっちに用があったもんで」

「……あ、あるんだ…ふ、ふふ…」

 

何故か、横でニヤニヤしだす友奈。なんというか、三枝と絡むと友奈が、変なテンションになることが多い気がする。

 

「やっぱり、面白いなぁ〜。あんた達をからかうの」

「こらこら、三枝。あんまり人をからかうもんじゃないぞ?」

「そ、そうだそうだ〜!裕子ちゃんの意地悪ー!」

「意地悪で結構だ〜い。寧ろ、あんたらみたいな面白い奴等、からかわない方がおかしいっての。ん、と……そろそろ私は家帰るわ、そんじゃね、お二人さん」

 

そう言って、手をヒラヒラさせながら三枝は教室を出て行った。久しぶりに話したけど(と言っても過去の三枝なんだが……)相変わらず、なんというか読めない奴だ。てか、中学二年生の僕からすると小六であの雰囲気って……なんか、すごいな。

 

三枝が帰った後、僕と友奈は顔を見合わせる。

 

「えっと、まぁ、さっき言った通り僕は大橋の方面に行くけど……友奈はどうする?」

「もちろん、行くよー!裕子ちゃんから無料券も貰ったしね」

「おっけ!じゃあ、帰ったらすぐ準備して向かおうか」

「やったあ!!洸輔くんとデートだぁ!」

「で、デート!?……な、なの、かな?」

 

そんなことがあり、友奈と僕は大橋の方へ行くことになった。にしても…デートではなくて普通のお出かけなんじゃなかろうか。

 

(まぁ、何であれ……動いてみないことには変わらないからな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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〜鷲尾須美視点〜

 

「全く…ゴリ押しにも程があるでしょう」

『す、すいません……』

 

私達三人は、大赦から派遣され、私達勇者のお役目の事を知っている。クラスの担任教師でもある安芸先生から、呼ばれて放課後の教室で昨日の戦闘の事についてお叱りを受けていた。

 

「こんな戦い方じゃ…あなた達の命がいくつあっても足りないわ、お役目は成功して現実への被害はそこまでではなかったのは…よかったけど」

「それは、銀とそのっちの対応の速さのお陰です」

「あと、鎧さんもな!」

「鎧……そうね、今回はその鎧の人物に助けられていた所はあったわね」

「あれぇ〜?安芸先生、こうくんのこと知ってるんですかぁ〜?」

「こうくん?」

 

安芸先生が、そのっちの言葉に首を傾げた。それを見たそのっちは昨日の戦闘後に起きた、彼……そう、天草洸輔との出会いについて話した。

 

「援軍として、あなた達を助けた人物の名前は……天草洸輔というのね?」

「はい!なんか、男で勇者って変な奴でしたけど、すごい良いやつでした!」

「男の勇者……やっぱり神託の通りの情報…」

 

俯きながら、安芸先生が何かを呟いている。私は、気になることを先生に尋ねる。

 

「その…安芸先生…大赦では彼について何か情報は…?」

「昨日、大赦に神樹様からの神託が来たの。それで、異例の男性勇者が援軍に来るという事だけは聞いたわ。でも、それ以外は何も」

「そうですか…」

 

少しでも、彼について進展があると思っていたが……やはり、そう簡単にはいかず少し歯痒い気持ちになる。

 

「天草洸輔くん…でいいのかしら?その子の事については、今後私達大赦の方でも独自に情報は集めていくつもりです。何にせよ、神樹様が勇者として認識している以上はあなた達の味方だと思うわ。奴らとは違ってね」

 

安芸先生が言っているのは、恐らくあの仮面の人物達の事だろう。にしても……天草くんや奴らの事など、わからない事が多すぎる。

 

「それとあなた達を呼び出したのには、他に理由があります」

「他の理由〜それってなんですか〜?」

「昨日の戦闘を見て、あなた達には連携力と練度が不足しているように見えます」

 

思い返してみると、確かに連携はあまりできていなかったと思う。最後は確かに、統率が取れていたがそれまでの動きがバラバラだった。

 

「まず、三人の中で指揮をとる隊長を決めましょう」

 

(隊長、きっと私だわ……)

 

「乃木さん、隊長を頼めるかしら」

「えっ、私ですか〜?」

 

乃木さんが驚いた表情で私と三ノ輪さんに視線を向ける。私自身も意外な人選に驚いていた。確かに、前回には失態をしてしまったかもしれない…それでも、この二人をまとめていたのは自分だという自信が私にはあった。

 

(どうして……はっ)

 

そうか、乃木家は大赦において絶対的な権力を持つ家柄だし、こういう時だって、リーダーとして選ばれるべき家柄の人間……つまり、家柄によって選ばれた人選なのだ。

 

「私もそのっちが隊長で賛成よ」

「私は、自分じゃなければどっちでも大丈夫かな」

「え、ええと〜じゃぁ、頑張る〜!」

「さて、リーダーも決まった事だし 神託によると次の襲来までの期間はあるそうよ、だから四人の連携を深める為に、今度の三連休合宿を行おうと思います」

「合宿?」

「ん?てか、四人って……」

「もちろん、天草洸輔くんも含めてよ。援軍である彼との連携もこれから必要になるでしょうしね。幸いあなた達から、彼の名前も聞けたし参加を頼むことも可能でしょう」

 

こうして私達と天草くん、四人による強化合宿の開催が決定されてのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事があった帰り、私達三人はイネスに寄り道しいつもの如くフードコートへと向かっていた。

 

「にしても、天草も……ってなんか、苗字で言うのむず痒いな、洸輔でいいや。洸輔も合宿参加なんてな」

「なんか、変な感じだねぇ〜こうくんも一緒か〜。なんか起きそうだね〜」

「なんというか、心配だわ…」

 

一緒に戦ったとはいえ、それも一度だけだ。しかも、コミュニケーションはほとんど取ったこともない。そんな男の子と合宿……正直、不安しかなかった。

 

「まぁまぁ!とりあえず、いつものジェラートでも食べてゆっくりしよ!考え事はその後その後!」

「ミノさんのいう通りだよ。ねぇ〜わっしー?」

「……そうね、こういう時は、宇治金時味のジェラートを食べて心を落ち着かせないと」

「どハマりしてるじゃないっすか…須美さん…」

「し、仕方ないじゃない!あの、ほろ苦抹茶とあんこの甘さが織りなす、調和が頭を離れないのだから」

 

私が宇治金時味の素晴らしさについて語っていると、そのっちが唐突にこんなことを言い出した。

 

「うーん、こうくんにもイネスのジェラート食べてもらいたいなぁ〜」

「わかる!私も、この前のお礼と称して、あいつにここを教えてやりたいなぁ。会えたりしないかなぁ〜うーん、いや、なんか会える気がするぞ」

「流石にそんな、都合の良いことは起きないと思うけど…」

「わかんないぞ、須美〜。銀様の直感はたまに当たるからなあ」

「よくじゃなくて、たまになんだねぇ〜」

 

 ニヤッと笑う銀と、にへらと笑うそのっち。二人と雑談をしていると、いつのまにかいつものお店に着いていた。すると、そのお店の目の前に私達と同年代くらいの男の子がいた。

 

「あれぇ〜?あの後ろ姿はぁ〜?」

「えっ、嘘……本当に洸輔いるじゃん…私の直感怖」

 

 後ろ姿を見て、昨日出会った鎧を身につけた勇者……天草くんである事を全員が理解した。にしてもなんという偶然なのだろう。こんなことあるんだろうか。

 

「ま、まぁ、こういうこともあるよな!天草がいるなら、丁度いいや!昨日のお礼としつつ四人でジェラート食べよ!」

「ミノさんに賛成ー!」

「よし!そうと決まれば、洸輔に話しかけよーぜ!」

「いこいこ〜」

「ちよっ!?ぎ、銀、そのっち!?」

 

私が考え事をしている間に、二人は彼の方へと走り出した。私も後を追う。

 

(……色々聞きたいこともあったし丁度よかったかもしれないわね。……二人は少し、彼のことを警戒しなさすぎている。私がしっかりしなくては)

 

二人を追いながら、私は胸の内でそう呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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〜天草洸輔視点〜

 

「け、結局一人で来ることになるなんて……」

 

一人で寂しく、イネスと呼ばれる大型ショッピングセンターの中を歩く。何故一人かと言うと、友奈が突然来れなくなったからだった。まさかの友奈様、本人がお母さんと出かける約束をしていたらしく……ごめんなさいごめんなさいと半泣きになりながら僕に謝ってきた。

 

全力で慰めつつ頭を撫でてあげる+今度三枝からもらった無料券を使うために一緒に来ようという約束をして友奈を落ち着かせた……結果的に今日は僕一人で大橋方面の調査をすることにする。

 

(まぁ……友奈とのお出かけは普通に楽しみたいし、丁度よかったのかもな、今日は普通に情報収集と行きますか)

 

そんなことを考えながら歩いていると、三枝に勧められたジェラートのお店が目に入ってくる。

 

「……美味しそう、友奈と出かける時に備えて先に食べておくのも、ありかな」

 

思い返してみると、この時代に来てからこういうスイーツ的なのを食べてないなと思う。甘いものには、勝てなかったよ……。

 

「さーてと、何を食べちゃおうかな?やはり…チョコこそ至高」

「何言ってんだ!ここの名物といえば、しょうゆ豆ジェラート味だろ!?」

「しょ、しょうゆジェラート……って、あれ?ん?三ノ輪さん!?」

「よっ、洸輔!偶然だな!」

 

背後からの声に振り向くと、そこにはなんという偶然だろうか……三ノ輪さんがいた。突然のことに、少し動揺してしまう。

 

「やっほー、こうくん。偶然だねぇ〜こんにちは〜」

「えっと……天草さん。こんにちは」

「ふ、二人も!?と、とりあえずこんにちは」

 

三ノ輪さんの後からは、園子と須美ちゃんが現れた。まさかである、大橋の方で何か情報を得ようとは思っていたが……この時代の勇者であり、異変の渦中にいる三人に会えるとは。

 

「おーい?洸輔、大丈夫か?」

「っ!?な、何?どうかした?」

「いやほら、折角会ったんだからさ。親睦を深めるっていうの??よければ一緒にジェラート食べない?」

「こうくんも一緒に食べようよ〜ほらぁ〜こういうのって皆で食べた方が美味しいと思うし〜」

 

三ノ輪さんと園子がまさかの提案をしてくると同時に一気に畳みかけてくる。その後ろでは、須美ちゃんが僕のことをじっと見ている。まぁ、断る理由もないし……何より、この時代での異変については本人たちから聞いた方が良さそうだしね。

 

「えーと……じゃ、じゃあ、是非」

 

こうして、僕はこの時代の勇者達と二度目のコンタクトを取ることに成功するのだった。




新キャラ出したり、六年生友奈ちゃんとイチャイチャさせたり、ふむふむ、ちょっと違うこと(?)やると楽しいなぁ(^-^)
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