天草洸輔は勇者である   作:こうが

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乗り越えろ(色んな意味で)( ̄∇ ̄)

合宿回長引かせるものあれだと思ったので、一つにぎゅっとまとめました。

恐らく、今までのどの話よりも長いです。少してんこ盛り気味になってしまいましたが、そこはご愛嬌()


七章 乗り越えろ、強化合宿

〜合宿一日目〜

 

讃州サンビーチ。そこには、訓練のために設置されたのか沢山の機械が用意されていた。今回の訓練のテーマは連携、内容もそれに相応しいものになっているらしい。

 

「この訓練のルールは至ってシンプル。あのバスに三ノ輪さんを無事に到着させること。お互いの役割を忘れないようにね」

『はい!』

 

安芸先生の説明を聞いた僕達四人は、定位置につく。機械の位置を確認する為に辺りを見回しつつ、僕は剣の先を肩に担いだ。

 

「よし、準備OKかな」

「上手く守ってくれよ〜?洸輔、園子?」

「もちろんだよ〜しっかり守るからねぇ〜」

「背中は僕に任せて、大船に乗った気でいてよ!あっ、遠距離からの援護よろしくね、鷲尾さん」

 

硬い装甲で覆われた胸をドンと叩く僕。と、言っても力に慣れてないのかまだ鎧は重く感じる。

 

「うん、任せて。所で、先生!私はここから動いちゃダメなんですか?」

「ダメよー!それじゃ、スタート!」

 

安芸先生の声がサンビーチに響く。その瞬間に、周りにあった機械が動き始めた。

 

「よーし、いっくよー!」

 

園子が槍の先端を広げて、銀を守るようにしながら走り出す。それにおいて行かれないようについていく。前から来たボールは園子が、後ろから飛んできたのは僕が、それ以外の防ぎにくいものを鷲尾さんが対処というかなり完成度の高い陣形を組んでいる。

 

「よいしょっと!」

「こうくん、ナイス〜」

「ううー…やる事がなくて、むず痒い。ここから、ジャンプしたりしちゃダメか?」

「ずるはダメだよ〜」

「そそ、ズル、駄目、絶対」

「えぇ〜…」

 

話しつつも、僕と園子はしっかりとボールを弾く。鷲尾さんも遠距離から、ボールを落としてくれてる。これなら、一度の失敗もなく終われそう……な気がする。

 

「これなら楽勝じゃない?」

「そうだね。よーし、後は……ぐへっ!?」

「ん…?ぶはっ!?」

「こうくん、みのさん、大丈夫〜?」

「アウトー!」

「あ、ご、ごめんなさい!銀、天草くん!」

 

どうやら、鷲尾さんの放った矢が上手くボールに当たらず、そのボールが一個を防いで安堵し切っていた僕の頭に直撃したらしい(まぁ、鎧着けてるからダメージはないけども)。結果、銀と僕はドミノ倒しのように倒れた。

 

「わ、鷲尾さんは、気にしなくていいよ、僕が油断してたのが悪いから」

「あの、天草くん、それよりも……」

「へっ?」

「こうくん、みのさんが下に…」

「下?」

 

二人の言う方向へ、視線を向けると銀が僕の下敷きになっていた。

 

「……こ、洸輔……ど、どいて…苦しい…」

「あ、ああ!?ご、ごめん!銀、大丈夫!?」

「お、おう…だ、大丈夫大丈夫」

「ほんとぉぉぉに、ごめん!お、重かったよね!?このとおり!」

「いいっていいって!てか、そのゴツゴツの鎧姿で土下座されるとすごい複雑な気分……」

 

全力で頭を下げる。銀を下敷きにしてしまうなんて、美森や園子(中)に見られたら何を言われてしまうか。本当に、申し訳ない。

 

「はい、もう一回!ゴールできるまで、何度でもやるわよ!」

『は、はい〜!!!』

 

安芸先生の掛け声を聞いた僕らは震えながら、もう一度定位置へと戻った。

 

 

 

 

 

安芸先生から、この合宿の間は基本的には常に四人で行動し1+1+1+1を4ではなく10にしなさい、という指令をもらった。

 

つまり、あの三人と合宿期間中同じ部屋ということ。……友奈との電話…どうしよう。もし、三人の声を聞かれでもしてみろ。僕は死ぬ(理由は分からないがそう確信してしまった)

 

「わっしーは、やっぱり真面目さんだねぇ〜?」

「必要なものを必要なだけ持ってきたって感じだな。うん、須美らしい」

「そうかしら?これでも、多いくらいなのだけれど」

 

荷物を整理しながら、そう言う鷲尾さん。やはり、真面目だな…僕はあれもこれもと、結構色々詰め込んできちゃったんだが。

 

「こうくんは、結構荷物あるねぇ〜?」

「そういう、園子も……い、いっぱいあるね」

「せっかくの合宿だから〜色々と試したいんよぉ〜」

 

色々……確かに、色々なものがあるが……その、臼やらなんやら…何をするつもりなのか。まぁ、なんというか…園子らしいや(思考放棄)

 

「もうそんなに、お土産買ったの?銀」

「うん、家族にさ。それを言うなら、洸輔も結構買ってるじゃん?」

「家族には買って行きたくなるさ、このバッグとか用意してくれたのは母さんだし。父さんも色々用意してくれたし、そのお礼もってことで」

「へぇ〜かなり大きめのバッグだねぇ〜?」

「私達の中の誰か一人くらいは、うまくいけば入りそうね」

「ああ……入ると、思うよ」

「なんで、急に遠く見始めてんだよ…」

「まぁ…今朝、色々あって…」

 

実際人一人が、この中に収納されてるのを目撃しているからね。このように、一つの部屋で僕、鷲尾さん、銀、園子は合宿中一緒に過ごすことになった。

 

昼間は基本、いっぱいいっぱいなので友奈への定期連絡は夜にすることにした。皆が寝静まった頃を狙って、一日一回の定期連絡を済ませた。その際、やたらと嬉しそうな声で喋っている友奈にほっこりした僕であった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

〜合宿二日目〜

 

今日も今日とて、連携訓練に力を入れる僕、銀、園子、鷲尾さん。しかし_______。

 

「よし、今っ!おおおおおお!!」

「っ!?銀、後ろ!」

「えっ?ぐはぁっ!?」

 

最初の頃の余裕は何処へやら、陣形は完璧なはずなのにどこかでつまづいてしまっていた。

 

雷撃で対応しようとしたのはいいものの、予想出来ない所から飛んできたボールに即座に対応しきれなかったのが原因だった。ボールを空中で当てられた銀は体勢を崩したのを見て、すぐに落下地点を予測し、落ちてきた彼女を両手で支えた。

 

「大丈夫?」

「あ、ああ、ありがとな。って!?お、おい!?」

「どしたの?」

「これ…お前、お姫様抱っこってやつじゃ…」

「う〜ん、こうくん。訓練中も見せるねぇ〜」

「見せる?へっ?どういうこと?」

「さぁ…?(白い目)」

 

えっ、鷲尾さんからすごい目を向けられたんだけど。悪いことはしてないはずなのにどうして?

 

 

 

 

訓練直後、僕たち四人は安芸先生に部屋へと呼ばれた。理由は勉強の為らしい。ちなみに、僕も受けなきゃですか?って聞いたら……安芸先生に『当たり前でしょう?』とめちゃくちゃ威圧を掛けられながら言われた、すごく怖かったです。

 

「こうして神樹様はウイルスから人類を守るために壁を作り_______」

「…ぐぅぅ、合宿中なら勉強しなくて済むと思ったのにぃ…」

「…あはは…僕もこれは予想外…まぁ、そこまで苦手じゃないからいいけど」

 

横にいる銀が、『裏切り者〜』と小声で怨念のように呟いてくる。僕、勉強苦手ではないので(ニヤリ)。鷲尾さんは真面目に聞いてるな、園子は……うん、寝てる。

 

「スピー……スピー……」

「何が起こったのか乃木さん、答えられる?」

「ふぁっ…は、はいぃ〜バーテックスが生まれて、私達の住む四国に攻めてきましたぁ〜……」

「うん、正解ね」

『しっかり聞いてたんだ…』

 

三人の声が揃う。流石、高スペック園子……その高スペックさはその時代からもあるものだったんだね。その力……僕にもください。

 

 

 

 

昼を食べ終わったら、午後の連携訓練。まるで運動部かと思うくらいのハードスケジュールである。

 

「ここならぁぁぁ!!……いでっ!?」

「アウトー!」

「っ……また、反応できなかった」

 

まだ力の使い方がなってないのか。雷撃を即座に出す事ができない。最初のバーテックスとの戦闘の時はもっと早く出せたのに。

 

「ごめん、銀。対応遅れて…」

「あ、ああ。気にしなくていいって、それより次頑張ろうぜ!」

「そうそう〜こうくんが、一人で責任感じる必要ないんよぉ〜?」

「ありがとね、二人とも」

 

 

今度は座禅の時間。なんというか、さっきも言った気がするけどこの合宿めちゃくちゃハード。

 

「…っー!!き、きつい!」

「……」

「こ、洸輔と須美はなんでそんなに平気そうなんだよぉ!」

「「慣れてるからね(だね)」」

「そ、そんなぁ〜!ぐはぁ……」

「スピ〜スピ〜……」

 

銀は断末魔をあげながら、倒れた。その横では園子がスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている。友奈への定期連絡も問題なく終了した。

 

こうして、二日目も終わり、僕と三人との強化合宿は佳境を迎えていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

〜合宿、三日目『最終日』〜

 

 

「よーっし!今日こそ決めるぞ〜!」

「ああ、成功させよう!」

「遠距離からの援護は、任せて」

「皆、気合い充分〜。それじゃ、ふぁいと〜?」

『オー!』

 

皆で気合を入れる。訓練を始めた頃よりも、確実に三人との息が合い始めていた。

 

「はい、お喋りはそこまで!それじゃ、スタート!」

 

安芸先生の合図で、スタート地点から動き出す。こちらも訓練を始めた頃より、お互いの役割に無駄なくこなせていた。前からのボールを園子が確実にシャットアウトしてくれているから、僕は後ろに専念できる。

 

「本番はこっからだな!」

「うん!こうくん、みのさんをしっかり守ってあげてね!」

「任せておいて!」

「ひゃぁ〜頼もしい〜」

 

銀と一緒にジャンプする。今までは、大体ここで銀をカバーしきれずに終わってしまう事が多かったが、今回はそうはいかない。

 

「よいしょっと!!」

「ひゅう〜♪ナイス、雷!」

「上手くいった!後は……」

 

一斉に背後から襲いくるボールを斬り伏せるとともに、正面から、銀に迫るボールも雷撃で落としていく。他の逃してしまったボールは鷲尾さんが的確に処理してくれる。

 

(助かる!ありがとう、鷲尾さん!)

 

「銀!後、任せた!」

「おうよ!皆、ナイス!ラストは任せろ!」

 

空中で更に加速し、銀はゴールへと一直線に飛んでいく。

 

「これでぇぇぇぇ!!ゴォォォォォォォォル!!!!!」

 

銀がバスを一刀両断し、竜巻を巻き上げながら叫んだ。

 

「「やったぁ〜!!」」

 

着地すると、鷲尾さんと園子がぴょんぴょんと跳ねながらはしゃいでいるのが見えた。その様子を見て、僕はヘタリと砂浜に座り込む。

 

「お疲れ様、皆……ふぅ、鎧、おも…」

 

フルフェイス型の、兜が開くと綺麗な海が視界いっぱいに広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、一緒に食事を済ませた僕達は、疲れを癒すために、すぐさま銭湯に向かった。貸し切りの男湯、一人で入るのは本来心細いはずなのだが、もはや慣れ始めてすらいる自分がいた。

 

「ふぁ〜、生き返るゥ〜にしても、やっぱり露天風呂良き良きだなぁ〜」

 

肩まで浸かり寛ぐ。相当疲れていたんだろうか、体に染みる。

 

「…ん〜、力、まだ使いこなせてないかな…」

 

空を見上げながら、ボソッと呟く。訓練の成果もあってか最初の頃よりは動きもマシになり、重さにも慣れてきた。でも、何かは分からないがこれでは違うというか、足りない気がした。

 

「よくわかんなぃなぁ……色々と」

 

温泉の気持ちよさ+一人なのを良いことに独り言がバンバン出てくる。にしても、僕は良い思いをしすぎなのではないかと思う、毎度毎度合宿をする度に美少女達と一緒に過ごせているとか……一生をかけても体験できないのではないのだろうか?

 

「まぁ…良いおもいに比例して……色々大変な目にもあってるけど」

 

はぁ〜とおもい溜め息が出る。やがて、独り言もなくなりポチャンという雫が落ちる音だけが響くような静寂の空間が出来上がる。すると_____。

 

「ん?」

 

何やら、垣根の先にある男性にとっての楽……なんでもありません。女湯から和気あいあいとした声が聞こえてくる。

 

『はぁ〜……』

『うーん、なんか私前よりも筋肉ついたかもぉ〜?』

『これから成長する女の子にとっては、いろんな意味で厳しいメニューだなー。あ、人いないしちょっと泳いじゃお』

「……」

 

途切れ途切れではあるが楽しそうな会話が聞こえてくる。にしても、この状況良くない良くない、危険だぞ。貸し切り状態だから何かと三人の会話やら、水音やらが聞こえて非常に…こう_____。

 

(正直……良からぬ事を考えてしまう。ええい!!煩悩よ、しずまれしずまれ!!やめろ!垣根に耳を当てるなんて!そんなのは紳士のすることでは!)

 

『銀……はしたないわよ?お風呂くらい静かに入りなさい』

『え〜、いいのかなぁ〜?そんなこと言って?』

『な、何よ…?ひゃっ!?ちょ、銀!?何して!?』

『ふっふっふ。私に楯突いた罰よ。そのお山、たっぷり味合わせてもらおうか!』

『ちょっ!?ぎ、銀!?やめなさ…』

『うーん、わっしー?どうすれば、そんなに大きくなるの?』

『そ、そのっち!解説してないで、助け……ひゃぁぁぁぁ!』

「出よう、これは出るべきだ…色々と危険すぎる(小声)」

 

様々な身の危険を感じた僕は風呂を出ることにした。着替え途中、具体的な集合時間も決めていないし、女性陣は基本お風呂に入ってる時間も長いということから、三人よりも、先に部屋に戻り友奈に電話することにした。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜洸輔が風呂を出た少し後〜

 

「ふぃ〜良い湯だなぁ〜」

 

「ええ、ほんとねぇ〜」

 

「サンチョも一緒に入れてあげたかったなぁ〜…………あわよくばこうくんも?」

 

「何のあわよくばなんだよ、それ。……なぁ〜この後、どうする〜?」

 

「疲れを取るために、しっかり寝る!」

 

「真面目か」

 

「まぁ、わっしーだしぃ〜。私はもう少し夜更かししたいなぁ〜こうくんに聞きたいこともあるし〜」

 

「合宿の夜更かしって言ったら定番だもんなぁ〜。って、洸輔に聞きたいこと?」

 

「うん〜夜中の電話のお相手さんは誰なのかなぁーって」

 

「…なにそれ?須美、知ってる?」

 

「いいえ、私も初耳よ。電話って天草くんがしてたの?」

 

「うん〜、昨日、夜中にちょっと目が覚めちゃったんよ〜。その時にね、こうくんが誰かと楽しそうにお話ししているのを目撃したんよ〜」

 

「それ…かなり、気になるな」

 

「でしょ〜?わっしーも〜お相手さんが誰か気にならない〜?」

 

「気にならない…と言ったら嘘になるけど」

 

「「じゃあ、聞くべきだな(よ)!」」

 

「変な所で息ぴったりね…」

 

「そうと決まったら、早く聞きにいこうぜ!」

 

「おー!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

三日目は用意されていた浴衣に着替え、部屋へと向かった。窓際にある椅子へと腰掛け、友奈との電話を始める。

 

『三日目の〜定期連絡ぅ〜!とりあえず、三日間お疲れ様〜!』

「はは、ありがと。結構大変だったよ」

『声が明らかに疲れてるもんねぇ〜げっそりしてる〜』

「なに、声だけでわかるもんなの?」

『当たり前じゃん!どれだけの時間一緒にいたと思ってるの?』

「う、うす……」

 

少し気恥ずかしくなり、頭を掻く。てゆーかちょっと怒られ気味なのなんでだろ。そこから、雑談混じりに会話を進めていく。

 

『じゃあ、今日はここまでにしようか!』

「えっ、いいの?まだ、5分ちょいくらいしか経ってないけど…」

『ん?それは、まだ私と話していたいって言うことかな〜?』

「違わな…くはないけど、そ、そう言う意味でもなくて…ええと」

『そんなに焦らなくてもいいのに〜、ほら、洸輔くんも三日間の合宿で疲れてるだろうしさ。今日はもう、お開きでもいいかなって』

「ありがとう、友奈……」

『気にしないで!それじゃ、おやすみ!』

「うん、おやす…」

 

しかし、そこで事件は起きた。

 

「おーっす!洸輔ぇ〜ゆっくり休めてるかぁ〜!?」

「声がでかいわよ、銀」

「まぁまぁ〜わっしー」

『………女の子の声?』

「…………(顔青ざめ&汗ダラダラ)」

 

一瞬で頭の中が真っ白になった。同時に、銀達に向かって静かにしてくれと電話中を伝えるジェスチャーをする。それを見た三人が自分の手で口を塞いだ。その仕草に可愛い…と思っている自分がいたがそれどころではなかった。

 

『…今のって(ゴゴ』

「て、テレビ!テレビの音!そう、テレビの音!」

『本当に?(ゴゴゴ』

「ええ!はい!!もちろん!!!本当に!!!!」

『……女の子と、寝泊りしているわけでもなくて?(ゴゴゴゴ』

「あ、当たり前!そんなことないよ!?うん、絶対に!!」

 

そこから、約15分の激しい説得劇を展開させ友奈との通話は終了したそうな。寿命が縮まりましたよ、いや本当に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死を、覚悟した……」

「こうく〜ん、大丈夫〜?」

 

何とか声を絞り出す。いまだに体が震えてる、本当に怖かった。

 

「なんか、悪かったな……洸輔」

「電話中とは、知らなくて…」

「き、気にしなくて、いいよ…」

「所で、こうくん!電話の相手は誰だったの!?もしかして、彼女さんだったり?(メモを構える)」

「ちょっ、園子!?」

「この流れでそれを聞くの!?」

「幼馴染み……です…彼女では、ないです…」

「ふむふむ、でもその幼馴染さんとは…」

「そのっちぃ〜?」

 

僕が屍のようにうつ伏せになっている中、園子が鷲尾さんに捕まり布団の中へと連行されていた。皆自分の布団の中に入ると、銀は目をきらりと光らせこう呟いた。

 

「ふっ、合宿最終日の夜……お前ら簡単に寝られると思ってらっしゃる?」

「やっぱり夜更かしはダメよ!銀」

「ま、マイペースだなぁ、須美は」

「言うことを聞かない子は……夜中に迎えに来るわよ?」

「む、迎えに来る!?や、やめて怖い話苦手なんだ!」

「ぶるぶるぶる…」

 

その発言を聞いたと、同時に僕と園子は震えだす。お化け系統は真面目に苦手なので勘弁していただきたい。

 

「ストーップ!そういうのじゃなくて、ほら、好きな人の言い合いっこしようよ。恋バナってやつ!」

「そ、そういう銀はどうなの?」

 

そうして、唐突に始まった恋バナ。この場にいてはいけない気がすごいするんだけど…いていいのかな?

 

「私はいない!以上!」

「えぇ〜それはずるいよぉ〜」

「いいだろ、別に〜ホントのことなんだし」

「……じゃあ、ミノさん、気になる人とかは〜?」

「…い、いない!は、はい、次須美!」

 

銀はいないんだ、他校だから知っても意味はないんだけど。好きな人がいるかいないかは個人的にはかなり興味あるんだけどなぁ。

 

そんなことを考えていると鷲尾さんと目が合う……が、すぐに逸らされてしまう。心が……

 

「わ、私もいないわね…」

「ふっふっふっ……私はねぇ〜実はいるんだぁ〜」

「えっ!?」

「何ですと!?」

「おー!恋バナ!きたんじゃない?」

「だ、誰?クラスの人?」

 

突然の爆弾発言に、鷲尾さんも銀も興味津々だ。そういう僕も僕だが。

 

「わっしーとミノさんと、こうくん!」

「あぁ…」

「なんというか…だと思ったわ」

「あ、でもさ、洸輔は喜んでいいんじゃね?異性に好きって言ってもらってるわけだしさ」

「ん?今の好きって友達としての好きじゃないの?」

「そうだった……洸輔はこういう奴だった…」

 

何故か僕の方を見て愕然とすると、同時に銀は深いため息を漏らした。

 

「はぁ〜こんなんでいいのかねぇ〜?」

「いいのよ!わ、私達には神聖な御役目もあるし!きっと、これで!」

「あはは…」

 

と、言いつつも少し残念がっているような。まぁ、僕も人のこと言えないんだけど。

 

「明日も励もう!家に帰るまでが合宿よ!!」

「本当に、鷲尾さんはマイペースだね〜」

「だろ?須美のこういう所、ほんと可愛いんだよ」

「うん、僕もそう思う」

「なっ、なな!二人とも何言って…しょ、消灯!」

 

僕らの発言に、顔を真っ赤にしながらも鷲尾さんが電気を消す。すると____。

 

「なんだこれ…」

「プラネタリウム〜綺麗だから持ってきたんだぁ〜」

「そんなものまで持ってきてたんだ…」

 

唖然としながらも、僕はプラネタリウムの生み出す光に魅入られていた。目蓋が下がってくる、この三日間いろいろな事があって本当に疲れたのだろう……僕は睡魔に身を任せ、みんなより一足先に眠りについた。

 

(なんだかんだ、楽しかったな……三人との合宿)

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「洸輔は……寝たみたいだな」

 

「ほんとだ、私たちも寝なくちゃね」

 

「ねぇ、わっしー、みのさん」

 

「何?」「どした、園子?」

 

「本当に気になる人いないの〜?」

 

『い、いない!』

 

「えぇ〜本当かなぁ〜?」

 

(うーん、これから面白くなりそうな予感がするんよぉ〜)

 

この合宿期間中に、楽しみが増えた園子さんであった。




へっへっへ、しれっとイチャついてるからしっぺ返しを食らうんだぜ?(ゲス顔)

へっ?なんか、イチャイチャしかしてないって?中盤後半は暗めにするから、許してください(更なるゲス顔)
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