天草洸輔は勇者である   作:こうが

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まだまだ、ゆゆゆというか勇者であるシリーズは盛り上がっていきそうですね!いやぁ〜六箇条目は何かなぁ〜!(のわゆアニメ化希望)

ん?この話題遅すぎ?()


九章 邂逅・そして信頼は

「全くさぁ〜タイミング考えて欲しいよなぁ……」

 

銀が両手を頭の後ろに組みながら、ぼやく。樹海化が始まって、すぐに僕、園子、鷲尾さんの三人は銀を発見し合流することに成功。どうやら、銀も休みの日に襲来したバーテックスにご立腹のようだ。

 

「気持ちは分かるけど、相手方が僕らの都合に合わせてくれるなんてことはないんだろうね……はぁ〜」

「もぉ〜バーテックスももう少し休めばいいのにぃ〜」

「だよなぁ、ていうか三人とも随分近い位置にいたよな。私はイネスに用があったんだけど、もしかして、三人も近場に?」

 

その台詞に、当事者の僕らは三人で顔を見合わせ苦笑いを浮かべた。本人に向かって、後を付けてましたなんて言えない。

 

すると、遠巻きではあるが異形の姿が視界に映った。

 

「……おっ?来たなぁって、随分ビジュアル系なルックスしてるな」

「なんか、尖っていて強そうだよ〜こうくーん」

「わ、わかったから左右に揺らすのやめて、園子」

「まずは、私が矢で牽制するわ」

 

園子に揺さぶりの強さと鎧の重みで半分グロッキー状態の僕の横で、鷲尾さんが気合を込めて弓を引く。それと同時に、バーテックスが地面に降りると________。

 

「なっ、なんだこれ!?」

「地震……いや、そうか、アイツが体を振動させて起こしてるのか!」

 

あのバーテックスとも一度か二度は戦闘経験があるものの、今回は先手を取られた。こういう使い方も、あるとは…。

 

「今度こそ……私が……」

「落ち着きなって、須美」

「はっ……ぎ、銀」

「皆で、一緒に。ね?わっしー、頑張ろ!」

「そうだね、ここであの連携訓練の成果。アイツに見せてやろうよ!」

「……ええ、ありがとう、皆」

 

鷲尾さんの表情に明るさが戻ってきていた。樹海化の前にも、少し顔が暗かったから心配だったけど、大丈夫そうだ。考え事をしていると、いつの間にか振動が止まっていた。瞬間、前方から二本の足が飛んできた。

 

「ッ!させない!!」

「はぁっ!」

 

攻撃に気づき、前に出る。園子が槍の形状を変化させ、盾で片方を塞ぎ、もう片方は僕が剣で跳ね返した。

 

「せいやっ!っと……それじゃ、園子隊長、指示ください!」

「うん!それじゃ、敵との距離を詰めるよ〜!」

 

園子からの指示が飛ぶと、皆その場からすぐに動き出す。そんな僕らの動きを見てか、バーテックスは地面から牙を引き抜いて、空に急上昇する。

 

「鷲尾さん!」

「ええ!ッ!!」

 

二人で息を合わせ、矢と雷撃を同時に飛ばす。しかし_____。

 

「くそっ!届かないか!」

「っ……完全に制空権を、取られたわね」

「もしかして、アイツ!そのまま逃げるつもりか!コノヤロォー降りてこいコラァー!」

 

先行しバーテックスの真下にいた銀がそう叫ぶ。すると同時に、上空から不気味な回転音が聞こえてきた。

 

「何か、仕掛けてくる?」

「まさか!ぎ…」

 

僕が警告を発するより、早く一つに束ねられた足が銀に向かって一直線に飛んでいく。

 

「っ……うぁぁぁぁ!根性ォォォォォォ!!」

「ミノさん!!」

「ぎ、銀!」

「ぐっ、い、1分はもつ!!今の内に、上の敵をやれぇぇぇ!!」

 

二つの戦斧を使い、ドリルのように回転している足を防いでいる銀がそう叫ぶ。その言葉を聞き、すぐに園子が動き出した。

 

「よーし!じゃあ、わっしー、こうくん!私達で敵を叩くよー!!」

「……りょ、了解!」

「わかった!」

 

園子が作り出した足場を使い、鷲尾さんと共に矢と雷の射程距離圏内ギリギリまで近寄っていく。

 

「ここから……ならぁ!!」

「?……鷲尾さん、危ない!」

「えっ?」

 

バーテックスとは違う、別方向からの殺意を感じとり即座に反応した僕は鷲尾さんに向かって一直線に飛んできた剣を弾き飛ばす。すると、弾き飛ばされた剣は……持ち主、黒仮面の元へと瞬時に戻っていく。

 

どこからともなく現れたそいつは、口元をニヤつかせながらバーテックスへと攻撃を仕掛けようとする僕らに向かって、追撃を仕掛けてくる。

 

「仲間外れにするなヨォ、こんな楽しそうな事してんのに。俺も混ぜてくれって、なぁ!!!」

「ちっ!鷲尾さん、これに乗って!」

「は、はい!」

「どっこいせぇぇぇぇぇい!!!!」

 

追撃をさせない為、剣を横向きにし足場にする。力を込めて鷲尾さんを更に矢が当てやすいよう、バーテックスの近くまで飛ばした。

 

十分な高さまで上がったのを確認し、思考を切り替え、仮面の男に向かって剣を振るう。

 

「天草くん!」「こうくん!!」

「僕がこいつを抑える!!三人は、バーテックスに集中して!!」

「……わかった!」

 

園子の了承と須美が遅れて頷いたのを確認してから、僕は視線を黒仮面の方へと向ける。

 

「抑える?偽物……いや、作り物風情がよく言うぜ」

「なんとでもいいなよ」

 

三人の邪魔をさせないように、少し離れた位置に着地する。両手に力を込めて、剣を構えた。

 

「覚悟しろ、仮面野郎!」

「試してやるよ、ニセモン!」

 

 

 

〜洸輔視点out〜

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

洸輔が黒仮面を抑えつけるため離脱した戦線では、須美と園子が銀の救出の為、奮闘していた。先ほど、洸輔の援護によって更にバーテックスの近くに移動できた須美は矢を連続で、叩き込む。

 

「食らいなさい!!」

 

着弾、そして爆発する五本の矢。その連撃にバーテックスの体は耐えきれず、体勢を崩す。結果_____。

 

「っ!しゃぁ!耐えたぁ!」

「よぉ〜し、それじゃあ次は私の番〜いっくよぉ!」

 

体勢を崩し、銀への負担もなくなった事を確認した園子が勢いをつけ弱ったバーテックスに突撃する。須美の矢によって、傷つけられた体を槍撃の嵐で更に切り裂く。

 

「ここから、出ていけぇぇぇ〜!!」

 

園子の叫び声と一緒に、一際大きな攻撃を撃ち込む轟音が、樹海中に響き渡る。そんな捨て身の攻撃に、バーテックスはどんどん空中から落ちていく。

 

「ミノさん!!」

「砕けぇぇぇ!!」

「任せろ!!……さっきはよくもやってくれたな!三倍にして、返してやるッ!釣りは……取っとけぇぇぇぇぇぇ!!」

 

銀の叫び声に呼応するかのように、炎が宿ると赤く燃え上がる。それを使い、銀は落ちてくるバーテックスに向かって無我夢中に戦斧を振るった。

 

「うおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

再生の暇も与えない怒濤の連撃、それに押されるかのようにバーテックスは壁の方へと追い込んでいた。やがて、満身創痍となったバーテックスは逃げるように、壁の外の空間へと逃げていった。

 

「行った……かしら?」

「あぁ、流石に戻ってこないと思うけど……」

「それじゃ、後はこうくんの援護に行くだけだね〜」

「えっ、洸輔どうかしたの?」

「私達が、バーテックスの撃破に集中できるように黒仮面を相手してくれているの。急ぎましょう、また逃げられないように!」

「須美の言う通りだな、よし、今度こそ捕まえてやるぞ。あの仮面野郎!」

「ミノさん、口悪いよぉ〜」

 

少し軽口を叩き合っている横で、須美は一人、あの仮面の男と洸輔の関係性について考え込んでいた。

 

(久しぶり……俺達の関係はこうじゃないと。あの言葉の意味……そして、あの二人に何かしらの関係性があるのは確かであると言える……何か、掴めれば…)

 

スマホを確認して洸輔のいる場所に向かおうと、三人が動き出すと_____。

 

「あれ〜?あの仮面の人の反応、消えた……?」

「それに、これは……鎮花の儀」

「てことは、終わり?うわっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜洸輔視点〜

 

 

 

 

〜三人がバーテックスを撃破する数分前〜

 

ガギィッと鈍い金属音が響き渡った。鍔迫り合いが続く中で、黒仮面が気の抜けた声でこちらに問いかける。

 

「所で、いいのかぁ?アイツらを助けず、俺なんか相手にしてて」

「君を野放しにしたら、彼女達を襲う。だったら、僕は君を抑えて、彼女達の負担を減らす。それだけだ、それと僕は作り物なんかじゃない」

 

兜を展開させると、視線は目の前にいる黒い仮面の男に集中した。挑発の言葉に、強気で返す。

 

「どうだかなぁ」

「…?」

「お前は、自分の事を全然理解できてないぜ?最初から、な」

「どういう意味だ、何か知ってるならとっとと言いなよ」

「はぁ……ちったぁ、自分で考えろよっと!」

 

黒仮面が強引に、鍔迫り合いを解く。奴の剣が怪しげな光を放ちながら、輝く。それを、黒仮面が勢いをつけ振るうと黒い波動のようなものが放たれた。

 

「君に偉そうに言われる筋合いは……ないってーの!!」

 

それを打ち消すように、雷撃が僕の周りを駆け巡る。雷撃が、波動を全て飲み込む。一歩を踏み出し、黒仮面との距離を詰める。両刃の剣を赤い閃光を迸らせながら、振り上げる。

 

「何っ!?」

「へぇ、大したもんだ。もうそこまで使えるようになったとはな……だが」

「ぐっ…ぁ…!?」

「あーあー、兜を閉じてりゃ、こうならなかっただろうに。馴れてないんだなぁ?本当にさ」

 

しかし、それは空振りに終わった。まるで読んでいたかのような動きで奴は一撃を回避した。馬鹿みたいに強い力で、首を掴まれる。

 

「ほらほら、どうする?早く逃げねえと、死んじまうぞ?」

「ぐぅ…ぅぅ…ぁ、ぁぁっ…!」

 

殺される、そう思った時、突然奴の手の力が緩んだ。苦しみを抑え、なんとか距離を取る。

 

「ちっ……まだ、残ってやがるのか?目障りな……」

 

自身の手を見つめながら、ぶつぶつと何かを言っている。その隙を、見逃さない。剣に、雷を移し広範囲に放つ。

 

「っ…!!」

「っと……危ない危ない」

 

しかし、それも一振りで掻き消された。息を整え、身を起こす。周りに雷を走らせ、警戒する。

 

「……そうだなぁ、じゃあヒントをやるよ」

「ヒント…?突然、なにさ」

「まぁ、何。少し揺さぶりでもかけてやろうかと思って、な」

 

カチャッとという音共に、顔を覆っていたバイザーを外した。奴の顔が、顕になる。

 

「ふぅ〜、どうだ?驚いたか?」

「……」

「その顔、予想はしてたって感じだな」

「最初ん時から、そんな気はしてた。信じたくはなかったけどね……」

「へぇ〜。で、感想は?」

「……なんで、またそっち()側になってるんだよ。『相棒』」

 

その言葉に、彼はいつぞやに見た時と同じ……下卑た笑みを浮かべた。

 

「また、ねぇ。何言ってやがる……俺は最初からこっち()側だぜ?『相棒』?」

「っ……てことは、君が今回の異変の原因なのか?」

「原因、ねぇ。そうとも言えるしそうではないとも言えるな」

 

曖昧な応答に、少し苛立つ。僕の苛立ちに反応してか、鎧からバチバチという音を響かせながら、雷が身を纏い始める。

 

「もう、いい。こうなったら、一旦動けなくさせてから。話をたっぷり聞いてやる」

「おお、怖い怖い。ま、俺もてめぇをぶっ殺したいから丁度いい……っと、思ったが。アイツらも来るとなると、四体一は流石に分が悪い。ここは引かせてもらおうかねぇ」

 

そんな事を言った矢先、奴の体は透け始める。最初に逃げられた時と……同じ_________。

 

「待ってくれ!!まだ、話は!」

「あばよ、『相棒』」

 

瞬間、花びらが舞い散り始める。同時に、視界は白で染まった。虚構に何度も手を伸ばす。折角、あの世界で分かり合えたと思っていたのに……例え悪感情から生まれたとしても……彼はもう一人の『僕』で、大事な______。

 

『■け■くれ。■を■放■てく■』

「へっ……」

 

最後に何か、大事な事が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜……いてて」

「ミノさん、大丈夫〜?ていうか、皆無事?わっしぃ〜?」

「私は、なんともないわ。まぁ、多少傷はあるけど…」

「良かったぁ〜……あれ〜こうくんは〜?」

「無事、だよ……なんとか」

 

少し離れた距離から、聞こえてきた園子の言葉に何とか反応する。すぐに芝生から、起き上がり三人の元へとゆっくり向かう。

 

「おー、洸輔〜お疲れ。アイツは?」

「……ごめん、逃げられた。捕まえられなくて、本当にごめん」

「いいんよぉ〜、宣言通りあの人をしっかり抑えててくれたんだから。お陰で、私達はバーテックスに集中できたし」

「っ〜なんか、こう。めっちゃ腰にくる戦いだった〜……あ〜あ、私がやってた事と言えば、上空から降ってきた足を防ぎ続けるだけとか、地味すぎる〜はぁ〜あ」

「でも、そのお陰で私が攻め込めたんだから。気にしないで〜」

 

銀のぼやきを、園子が優しく宥める。それを微笑ましく見守っていると、鷲尾さんが園子に問い掛ける。

 

「そのっちは、あの短い時間でよく決断できたわね。攻め込む時とか……」

「だって〜みのさんが、一分持つって言ったから一分は持つかなって。それぐらいあれば、何とか出来る〜と思ったから〜それに、敵は火力もあったし、長引かせたら危険〜ってね」

「じゃあ、天草くんの事にすぐに反応したのも…」

「うん、こうくんが抑えてくれるって言ってくれたから。それなら、絶対そうしてくれるんだろうなって」

「……!」

 

園子の言葉を聞いていく内に、鷲尾さんの表情が変わっていった。どうやら、何かに気づいたみたい(そんな気がした)そして、僕も園子の言葉を聞き、何で彼女が隊長に選ばれたのか。何となく分かった気がした。

 

「そのっち……すごいわね。貴方こそ、隊長よ、本当に」

「ここぞって時にやってくれるもんね」

「ひゅーひゅー、かっこいいぞぉ〜園子隊長〜」

「えへへ〜ありがとう〜」

 

僕らからの言葉に、園子は頬を染めていた。そんな仕草が可愛らしいなと思っていると、横から鷲尾さんに服の裾を掴まれた。

 

「ん?鷲尾さん、どうかした?」

「……ごめんなさい!」

「へっ?」

 

首を傾げていると、鷲尾さんが俯きながら呟き始める。

 

「私……信じられてなかった。ずっと心のどこかで貴方を疑って……」

「はい、ストップ。そこまでだよ、鷲尾さん」

「えっ?」

「言いたい事は、大体わかった。でも、気にする事なんてないよ」

 

今にも泣きそうな彼女の頭を優しく撫でる。どうにも、僕は女の子のそういう所に、弱い。

 

「鷲尾さんが僕を疑っていたのは、きっと二人の為だと思うからね。まぁ、実際に怪しいのは否定できないし、鷲尾さんの警戒心は間違いじゃないと思うよ」

「天草くん……」

「これからは、信じて頼ってよ。僕も、鷲尾さんのことガンガン信じて頼っちゃうからさ」

 

スッと前へ手を差し出すと、鷲尾さんが優しく手を握ってくれた。

 

「本当に、ありがとう。天草くん」

「こちらこそ!てか、これ何回目の握手だっけ…?」

「そういえば、この前も握手したような…」

「良かったなぁ〜須美ぃ〜?」

「良かったねぇ〜わっしぃ〜?」

「な、何よ、二人ともその顔は…」

「えぇ〜何って〜隙あらば、鷲尾さん家の須美さんが〜洸輔とイチャイチャするから〜羨ましいなぁ〜って。ねぇ〜、園子さん?」

「ねぇ〜ミノさん?」

「っ〜〜〜〜!!!二人ともぉぉぉ!!」

 

ひゃぁ〜っと園子と銀が逃げるのを、鷲尾さんが顔を真っ赤にしながら追いかけている。

 

そんな微笑ましい光景を樹海内での出来事を思い返しつつ、見ていた。




カッコつけてるつもりで得意になってぇ〜♪なんとなく、浮かんできました(^^)
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