「よかった」
送られてきたメッセを確認し、安堵感に包まれる。来てくれるか、少し不安だったけど…心配することもなかったかな。
『遠足、ですか?』
『ええ、合宿も乗り越えて、バーテックスの侵攻も今は鳴りを潜めてる。故の、四人での遠足よ』
『四人…ってことは〜こうくんも一緒ですか〜先生』
『そうよ、今回は訓練じゃないから気楽に参加してくれればいいわ。後は、彼次第…ではあるけど』
『まだ、天草くんには伝えていないんですね?』
『……私からよりも、あなた達からの方が良いと思ったから』
『先生……よし、ならアタシが誘ってやる!』
ということがあり、今に至る。
「久々に四人で過ごせるな。へへ、なんか楽しみになってきたー!」
「ねーちゃん、うれしそー」
「当たり前だろ、なんたって明日は」
「彼氏にあえるからー?」
「ぶっ!?」
生意気な事を言った弟に制裁を下しつつ、ホッと何回目かも分からない安堵の息を吐く。
「そりゃ、嬉しいさ……四人で会うのなんて久々だし」
正直、来ないかなって思った。それくらい…今のアイツは、目に見えて苦しそうに見えたから。
「さぁて、さっさと寝て明日は、たっくさん楽しむぞー!」
「おー!」
私と一緒に手を挙げた弟ぎゅっと抱きしめ、その日は眠りについた。
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「すぅごい……」
荷物を詰め込んだリュックを背負い、感嘆の声をあげる。まさかこんなところがあったとは。
今日は銀からの連絡を受け、急遽遠足に参加することとなった。どうやら安芸先生からの提案らしく、僕もお誘いを受け、今ここにいる。
「とうちゃーく、うはー!すっげぇ!」
「アスレチックがいっぱいだね、楽しそー!」
「こら、二人とも、はしゃぎすぎ」
「「須美お母さんごめんなさーい」」
ハモった二人にチョップをお見舞いする鷲尾さん。三人のいつものやり取りに笑みが溢れる。
「あ、そうだ、栞見なきゃ」
「栞って、須美が作ってくれたあの…?」
そう、鷲尾さんがバスの中でくれた『旅のしおり』と書かれた栞……というより、辞書?
「半分くらいはバスの中で読めたから、その続き見ようかなって」
「真面目か!」
「天草くん…うっ…私の栞を…そこまで読み込んでくれて…」
「わぁ〜泣いてる〜」
「はいはい、仲が良いのは良いけど荷物をしっかりまとめてね」
安芸先生の一声で、僕達は荷物をまとめて動き出す。ここは国内最大級の庭園に裏山にあるアスレチックコースなどが目玉の最大の観光地らしい。
「勇者ならさ、遊び場のアトラクションぐらい全クリしなくちゃね!」
「えへへ〜今の私なら三人にも置いていかれないよ〜最強のビター園子だからね〜」
「お、よく言った園子。それでこそ男だ!」
ビター園子、チョコ?それに男?もはやボケが渋滞しているような気がするが…
「天草くんなら、楽勝かしらね?」
「体を動かすのは好きだし、鍛えてるからね。みんなにも負けないよ」
「洸輔も気合い入ってるな!それじゃ、行くぞー!」
三人がアスレチックに駆け出していく。後ろを追いかけようとして、足が止まった。どこかで…あのいつものやり取りに混ざれていることに安堵している自分がいた。
「天草くん」
「安芸先生……この遠足、提案してくれたのって先生なんですよね」
「…合宿に、侵攻、色々あったもの。だから、こういう時間はあなた達にとって必要なものだと思ったから」
優しい瞳が三人を見つめた後、僕に向けられる。
「大丈夫?」
その質問には、色々な意味が込められているような気がした。どんな風に答えれば良いか…少し迷う。
「はい、大丈夫です。それじゃ、僕も行ってきます」
「ええ、楽しんできて」
駆け出そうとして、すぐに足を止める。安芸先生の方へと向き直り、笑顔を浮かべながら。
「ありがとうございます、安芸先生」
それだけ伝えて、三人のいるアスレチックゾーンへと向かった。
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「先に行くわよ、銀!」
「っと、やるな須美!だが、この三ノ輪銀様の底力はこんなもんじゃないぞー!」
「良い汗かけるね、ここ。好きかも!」
実戦に訓練で日々鍛えている為、全員が小学生とは思えないほどの身軽な動きでどんどんコースをクリアしていく。
中学生向け、大人向けのコースもクリアしていく。そんな僕達の動きに周囲の人々は驚いていた。
「あわわ〜ゆ、揺れる揺れる〜!」
気合い満々だった園子も、時には苦戦しているが機敏な動きでアスレチックをこなしていた。
「三人とも早いよ〜ちょっと待ってー!」
「どうしたどうした、さっきの張り切り具合はどこいった〜?園子」
「うう〜、よく考えてみたら…こうくんはそもそもムキムキだし、ミノさんもわっしーも一緒に戦ってる訳だから伸び具合は同じで…結局ビリだぁ〜」
「ほら、ぼやかないぼやかない。もうちょいだぞ〜」
園子が「えーい!」と駆け込むようにゴールし、銀が飛び込んできた体を抱きとめた。
「ねぇ、僕ってムキムキなの?」
「そうね、たくましくはある……かも?」
ムキムキって程じゃないと思うけどな…そうだ、折角なら。
「触ってみる?腕」
「えっ!?じゃ…じゃあ、遠慮なく…」
優しく触ってくれる鷲尾さん。少し手が震えているのと、頬が赤く染まっているように見える。しかも、気のせいかな…全然触る手が止まる気配がない。
「あの、鷲尾さん?」
「はっ…ごめんなさい、その、たくましいなって…」
「あ、そう?ありがと」
所で、いつになったら鷲尾さんの手は止まるのであろうか。
「見ろ、園子。須美がしれっと洸輔とイチャイチャしてるぞ」
「わっしーも時々大胆だからね〜」
「はっ!?ちが、これは!」
「にしても、園子よく頑張ったな」
慌てふためく鷲尾さんを尻目に、銀が園子の頭をわしわしと撫でる。
「えへへ〜」
「洸輔も撫でてあげなよ、喜ぶぞ〜」
「えっ、犬?」
「わんわんっ」
ノリの良い園子の頭を僕も撫でてあげるとより一層嬉しそうに笑った。なんか、本当に犬みたい…すると、そこに鷲尾さんがぐいぐいと間に割って入ってくる。
「何してんだ須美」
「三人だけずるいから、私もと思って」
「須美も犬じゃん」
「きっと、わっしーも二人に頭を撫でられたいんだよ〜。二人とも、撫でるの上手だからね〜」
「なんだ、甘えん坊だな須美は」
僕と銀が優しく頭を撫でてあげると、鷲尾さんは何も言わず、目を細めながら撫でられていた。
三人との日常が、とても優しく温かい気持ちにさせてくれた。僕は、『それ』を感じられたことがたまらなく嬉しかった。
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「すごーい、こうくん。焼きそば作るの上手〜」
「あはは、これでも特技が料理…ではあるからね」
キラキラした目で覗き込んでくる園子に、お肉をつまみ食いさせてあげるとぴょんぴょんと飛び跳ねながら喜んでいた。
「そうそう、三ノ輪さんも上手ね」
「いえいえ〜!にしても、くぅ〜めちゃくちゃ良い匂い!これ絶対美味いやつだ!私達で作ったんだもん!」
「銀、口数減らすんじゃなかった?」
テンションMAXな銀に冷静な声かけがされる。先程、アスレチックの最後に怪我をしかけた銀を思っての発言だ。鷲尾さんらしい。
「ミノさん、わんぱくだからね〜」
「うん、君もね。園子」
「ありゃ〜、もしかしてこうくんも虫苦手?」
「あぁ、鷲尾さんも虫苦手なんだっけ」
怯えた目で園子の両肩にドッキングしているカブトムシ達を見ている。僕も得意ではないが……まぁ、二体ぐらいなら。
「大丈夫だよ〜二人とも、仲良くなれるから」
「まぁ」
「そのっちがそこまで言うなら」
視線を向けると……園子がカブトムシを身体中に纏っていたのだ。
「きゃぁぁぁ!ゴキブリにしか見えないぃぃぃ!」
「……」
「ま、まぁ絵面はやばいけどそんな叫ぶ程じゃないよな。な、洸輔?」
「あれ?こうくん?」
「立ったまま……気絶してるわね」
流石の絵面にノックアウトした僕なのであった。
「っ〜〜!美味い!最高!カブト味だな!」
「や、焼いてないから!」
「……」
「こうくんも、大丈夫だよ入ってないから」
「し、知ってるヨ?」
大量にカブトムシを纏った園子の姿が頭から離れず、反応してしまった。だって……ゴキブリにしか見えなかったし。
「んー、とっても美味し〜ねぇ」
「園子はもっと良い肉食ってるんじゃないのか?」
「こっちの方がおいしいよ〜?」
小首を傾げながら、美味しそうに焼きそばを頬張る園子。
「みんなで食べてるからじゃない?」
「だね、僕もそう思う」
言おうとしたことを鷲尾さんが代弁してくれる。不思議と、彼女と考えが通じ合った事を喜んでいる自分がいた。
「あ、園子。口にソースついてる」
「ありがとう、ミノさん♪」
「そう言う銀こそ、ほっぺたについてるよ」
「ちょ、大丈夫だから…自分でできるし!」
「いいから、はい」
駄々をこねている銀を押し切り、ハンカチで拭いてあげる。しかし、それが恥ずかしかったのか縮こまってしまう銀。
「流石の銀も、天草くんには口なしね」
「まぁまぁ、ミノさんも乙女だから〜」
「だ、誰が乙女か!誰が!……こ、洸輔なんか言ってやってくれよ!」
「え、あーと…うん、慌ててる銀も可愛いよね」
「パスするやつ間違えたー!」
頭を抱える銀を見て、首を傾げる僕に対して「「そういうところだよ」」と二人に肩を叩かれた。うーん、わからない。
「はぁ…」
「い、忙しいテンションだな」
「いやだって〜…三人ともお料理上手なのに。私は出来ないから、ふと恥ずかしく思っちゃって」
「焼きそばぐらい、園子にだって作れるさ」
「じゃあさ、次のお休みの時、三人で教えてくれる?」
「「「良いけど?」」」……お!ハモった!」
まさかの三人でハモって了承。嬉しそうにこちらに向かって視線を向ける銀を見て、自然と笑顔になってしまう。
「所で、その……安芸先生、もしかしてピーマン苦手なんですか?」
「ギクッ!?……た、食べるわよ?し、しっかり…ええ、しっかり食べるわ」
尋常じゃない震え方をしている安芸先生を見て、キョトンとした視線を向ける僕達。
「前世でピーマンに何かされたのかな…」
「あ、そういう時は〜食べたらピーマンの妖精さんが夜会いにきてくれると思えば良いんですよ〜」
「そ、それはゆ、ユニークなアイデアね…あ、ありがとう…参考にさせてもらうわね」
「お残しは許しませんからね、安芸先生?」
「ひっ…」
例え苦手なものであろうとも、残さず食べましょうの精神があるのでここは厳しくさせていただく。
「洸輔って普段は優しいんだけど、こういうのにはとことん厳しいよな」
「先生にも褒めてもらったし最後のベルはそのっちが鳴らすのはどうかしら?」
「賛成!ビシッと決めてよ、園子!」
「ベル〜?よくわからないけど、分かった〜」
お昼も食べ終えた僕達は、最後のアスレチックを攻略し……全コースクリアを成功させた。
「やった〜アスレチック全面クリア〜」
「ついに成し遂げたわね」
カンカンカン、と鐘の音が響き渡った。
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「なぁ、須美!私達の町ってあっちか?」
「ええ、そうよ」
「流石に、イネスと大橋は見れないかぁ〜。洸輔の家とかも…うん無理!見えない!」
「まぁ、そりゃあ見えないよ。三人の住む場所からも僕の家は離れてるんだし……にしても、銀は本当にイネスが好きだね」
「イネスはいいよ〜なんてたってさ〜」
「公民館があるから…よね?銀」
銀の言葉に続けるかのように、鷲尾さんが答える。園子も「私も分かったよ〜」と嬉しそうに言った。
「だんだんとパターン読まれてきちゃったなぁ…」
「流石だね、二人とも。銀のことよくわかってる」
「わぁ〜、あ!私は?私も読まれてるのかなぁ〜?」
三人で顔を見合わせる。同時に僕達は虚構を眺めた。
「そのっちは…読めない」
「はぇ?」
「きっと、いつまでも読めないだろうな…」
「はぅ…そ、そんなぁ、それはそれで寂しいよぉ〜…」
明らかにしょぼくれている園子。まぁ、そんな予測不可能なところも園子の良いところではあると思うけど。
「まぁまぁ、流石に今の反応ぐらいなら二人も分かったんじゃない?」
「そだな」「そうね」
「本当!?やったぜ!フォーーーーウ!!!」
「ま、こっからの跳ね具合が予測不可能なんだけどな」
「流石、そのっちと言った所かしら…にしても、天草くんはよくそのっちのこのテンションに気圧されないわね」
「……あはは、知り合いに似てる雰囲気の子がいるからかな?」
苦笑しながら、答えると二人が園子と似たような雰囲気かぁ…と言いたげな、虚な瞳で空を眺め始めた。
「ちなみに、須美は取扱説明書を書けるくらいには詳しくなってきたぞ?」
「あら、ほんと?最初のページにはどんなことが書いてあるのかしら?」
「結構大変な品物ですのでくれぐれもご注意ください…とかかな」
「ま、まるでめんどくさい人みたいな記述ね…でも、どこかで納得してしまう自分がいるわ」
「そう言えるほど、銀は鷲尾さんのことをよく見てるって事だよね。じゃあ鷲尾さんから見た銀ってどんな感じ?」
気になって質問を投げかけてみる。鷲尾さんから見た銀の印象を聞いてみたかった。
「そうね、分かりやすい子だけど書くことが色々あると思うわ」
「お、おお…そっか」
「これからも、銀の色んな一面を暴いていこうと思うの」
「お、お手柔らかにお願いしますっ…」
更に恥ずかしそうに顔を赤らめた銀を見ながら、三人の関係性を微笑ましく思う。
(僕の事をどう思うか…)
聞いてみたかったけど、怖くて聞けなかった。
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高台で四人で上り景色を眺めながら、ゆったり過ごす。気持ちの良い風が私達の頰を撫でた。
「今日は楽しかったなぁ…毎日遠足だったら良いのに!」
「そうだね〜こういう時間をもっと増やしたいよねぇ〜」
「私もそう思うわ。四人でもっと色んな所に行きたいわね」
二人が答える中で、どこか遠くを見つめている洸輔を見る。
(まただ)
また、この表情。一緒にいるはずなのに、遠くにいるみたいな…そんな雰囲気。
「洸輔は、どう思う?」
「えっ?」
「いやだから、毎日遠足だったらいいなー!とか思わない?」
「うん…僕も、こういう時間は大事だなって思うよ」
一瞬、考えてから…彼はさっきまでよりもぎこちない笑みを浮かべて困ったように答えた。
「何より楽しかった。最近、うまく…笑えてなかったような気がしていたから……僕も、まだこんな風に笑えたんだって」
寂しそうに、でもどこか…嬉しい感情もあるような、そう思わせる声色で答えてくれた。
「ん〜うまく笑うっていうのはよく分からないけど、一緒に遊んでる時のこうくんはすごく楽しそうで、良い笑顔だったよ」
「そう、なんだ…な、なんか照れるな」
「照れる事ないのに、私も天草くんの笑顔は素敵だと思うわ」
はっ!?と何かに気づいて、顔を真っ赤にする須美さん。相変わらず意外と大胆なことするんだよなぁ、須美は。
(ま、その意見にはすごく同意だけど)
「次も、これからも、たっくさん笑わせてやるからな〜!覚悟しろよ、洸輔!」
「……うん、ありがとう。銀、それに二人も」
そう言った洸輔の表情は、今日一日の中で一番明るく優しい笑顔を浮かべてくれていた。
(良かった……やっぱ、その表情が一番似合うよお前は)
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遠足は終わり、いつもの帰路へとつく。安芸先生が車で家まで送ってくれると言ってくれたが、銀からの提案もあり帰りは前にこちらへ来た時と同じように……三人と一緒に駅まで歩いて向かう事となった。
「んー!今日は楽しかったぁ〜!」
「あっという間だったねぇ」
「楽しい事って終わるの早く感じるよね…また行きたいな」
「ええ、そうね。あ、でも、三人とも…分かってると思うけど帰るまでが遠足ですからね?」
「はーい!」と三人の声が重なると、全員から笑い声が溢れる。とても、幸せな時間を感じる。
と、いつの間にかいつもの分かれ道に着いていた。
「あー、私こっちだ」
「僕は駅の方だから、あっちだね」
一人だけ家が遠い事が悔やまれる。こうなった時…別れるのがとても名残惜しい。ここで、園子と鷲尾さんは同じ道へ……銀、そして僕は彼女達とは別の帰路に進んでいく。
「またね」
「ッ…」
「あ、え、須美?」
「…わっしー?」
「…鷲尾、さん」
別れようとした彼女の手を、鷲尾さんは握った。彼女自身も無意識だったようで……自身の行動に驚いていた。
「あ、その…ごめんなさい!」
「いやいやー、気持ち分かるよ」
「みんなとの楽しい時間が終わっちゃう…そんな風に思っちゃうよね〜」
「…分かるよ。僕…正直、怖かった。でも、三人と一緒に遠足に行けて、楽しく過ごせて嬉しかった」
「だな」といつもの眩しい笑顔がこちらに向けられる。二人も、その笑顔に釣られて笑っていた。
「と、こんな風にしてたら…私達一生帰れないな、ほーら解散解散!」
「あ、そうだ!この後みんなでお泊まり会とかどうかな!?」
「いいわね!銀の家で!」
「こらこら、二人とも。いきなりじゃ銀も困るよ?」
園子がひらめき、珍しく暴走しかける鷲尾さん、それにツッコむ僕と、満更でもなさそうな銀。四人の笑顔が、そこには咲いていた。
銀が手を振りながら、もう一度言う。
「またね、二人とも!洸輔もな!」
鷲尾さんと、園子も「またね」…と笑顔で彼女を見送った。僕は……何故だか……手を挙げたまま、言葉だけが遅れる。
知っている。
この先に、何が待っているかを。
だから「またね」が、どうしても出てこない。
「……じゃあね」
銀の背中が角に消えていく。
鷲尾さんと園子、二人の姿ももう見えない。
僕の頬を撫でる風は、少し冷たく感じた。
感想等で待ってますと声を掛けてもらったり、投稿途切れても見ててくれた方々も本当にありがとうございます。
またぼちぼち投稿していくので読んでいただけたら幸いです。
天草洸輔は勇者である、次回、十八章『7月10日』お楽しみに!