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昼休み、僕は風先輩に部室に来るよう言われていたので部室に向かった。
「あ、風先輩。こんにちは」
「こんちは、来たわね洸輔」
部室に着くと、風先輩がいた。右手には僕が預けた端末を持っていた。
「とりあえず大赦に頼んでおいた、勇者システムの点検が終わったわ」
「ありがとうございます!!それで、何か分かったんですか?」
「いいえ……詳しいことはわかってないみたいなの。ただ」
「ただ?」
「洸輔には、私達とは違う形で精霊が宿っているって聞いたわ」
「違う形?」
(どういうことだろ?確か、あの人は僕を選んだと言っていた。もしかしたら)
「まぁ、そこ以外は特におかしな所はなかったそうだから、気にせず使えるはずよ!」
「はい」
「あ、あと今日の部活では、樹のことについてやるから!よろしくねぇー」
「わかりました!」
そして僕と風先輩はそれぞれの教室に戻った。僕の悩みはまだ晴れていない。
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「今日は樹の歌のテストをどう合格させるかを考えるわよー!!」
「ひっ!死神!?」
風先輩の掛け声で、勇者部の活動がスタートするが今回の主役とも言える樹ちゃんは、自分のタロット占いの結果に意気消沈としていた。
「樹ちゃんって歌苦手なんですか?風先輩?」
「苦手ってわけじゃなくてねー。緊張しちゃうのよ」
「なるほど。人前に出るのが苦手だと」
「まぁ歌のテストって、クラス全員が見てるなかでやるから緊張するよね!」
「ふふふ。まったく!しょうがない連中ね!あんたたちは!」
「急にどうしたの?夏凜?」
そこには、大量のサプリ(なんか明らかに危なそうな)を用意しながら、煮干しを貪っている夏凜がいた。
(こんなに種類あるんだ。サプリって)
僕がどうでもいいことで感心していると、東郷さんが夏凜に質問していた。
「にぼっしーちゃん?これをどうするの?」
「ふ、よくぞ聞いてくれたわね!東郷!!ここにあるのは全部緊張を解すためのサプリよ!てかにぼっしーて言うのやめなさい!!」
『さすがにぼっしー』
「ちょ!?全員で声を揃えて呼ぶなぁーー!!」
「大丈夫だよ!可愛いよにぼっしーちゃん!!」
「それはフォローなの!?おちょくってるの!?どっちなのよ!!友奈ぁーーー!!!」
ちなみに、にぼっしーというのは夏凜のことである。風先輩がいつも煮干しを食べてる夏凜に対して作ったあだ名だ。(言われてる本人は割といやがっているがみんな普通に呼んでいる)
(てゆーか、どこから出したんだろ?こんな量のサプリ)
「いいわ見てなさい!!ここであたしがサプリの偉大さを教えてあげるわ!!」
夏凜はそういうと目の前にあるサプリをすべて口の中に放り込んだ。
「ほら見なさい!!みるみる緊張が解けて……うっ!?」
最初はどや顔で、僕達の方を見ていた夏凜だったが途中からみるみる顔を真っ青にしていった。
「ここから一番近いトイレは、二階の理科室前の所が一番近いわよ~」
「ぬぅぁぁぁぁ!!!」
風先輩が言うが早いか、夏凜は顔を真っ青にした状態でトイレへと走っていった。
「えっと、夏凜が戻ってきたらみんなでカラオケに行って樹を鍛えるわよー!」
「は、はい」
「わかりましたー!」
「承りました」
「う、うん」
僕達は夏凜が来るまで部室で待っていた。(そこから夏凜が来るまでに一時間掛かっていた)
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「いぇーい!」
「こんな所かな?」
洸輔さんと友奈さんの、デュエットが終わりみんなから拍手が起こる。点数は94点とかなりの高得点だ。
「じゃあ!次は夏凜ね!」
「え!?なんであたしなのよ!」
「夏凜がどれくらいか、聞いてみたいのよ」
「私も興味あります!夏凜ちゃんの歌声!!」
「僕も気になるなぁ~」
「わ、わかったわよ!歌ってあげるわよ!その代わりあたしが上手すぎても失神すんじゃないわよ!」
そういって夏凜さんは一人で熱唱していた。結果は92点とさすがの高得点だった。
「どう?これがあたしの実力よ!」
「すごいよ!夏凜ちゃーん!!」
「すごかったね夏凜!」
「まさかあそこまで、やるとは思わなかったわ!」
「あ、次は私が選んだ曲ね」
「「「「!!」」」」
そして、次に流れた曲で夏凜さん以外のみんなが立って敬礼をする。
「え!?なに?なんなのこれ!?」
東郷先輩が歌い終わったと、同時に私たち四人も敬礼をやめ、椅子に座った。
「え?なんだったの?今の……?」
「東郷さんが歌うときは基本的にはみんなこんな感じだよ?」
「あ、そうなのね」
夏凜さんはよくわからないといった表情のままだった。そして、次は……
「お!次は樹の番ね!!がんばれ!!樹~~!!」
「う、うん!お姉ちゃん!!」
(うぅ……みんなが見てるよぉ)
歌ってみたけど、やっぱりダメでした。人が目の前にいるのを意識した瞬間に、思考が固まってしまう。
「やっぱり緊張しちゃう?」
「う、うん……」
「大丈夫大丈夫。樹ちゃんはまだ歌いなれてないだけだよ。これから練習して慣れていこうね」
「そうだよ!まだまだここからだよ、樹ちゃん!!」
洸輔さんと友奈さんに激励され、わたしはもっと頑張ろうと思った。
(歌のテスト絶対に合格する!!)
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「大赦から連絡?」
「最悪の事態を想定してくれ……だってさ」
女子トイレで、あたしと風は次の襲撃についての話をしていた。
「風、あんたはリーダーには向いてない。あたしが指揮をとるわ」
風は勇者部を巻き込んだことをまだ根にもっている。その優しさは長所だと思うが……戦っている最中にはいらないものに過ぎない。
「これはアタシがやらなきゃならないことなの。後輩は先輩の背中を見ていなさい」
「……」
風の言葉を聞いたあたしは何も言えなくなった。
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あのあとのカラオケは特に何もなく終わった。
「樹はもっと練習しよう」
ということで解散になった。
「うーん!楽しかったねぇ!カラオケ!!」
「ええ。みんなで行くと尚更そう思うわ」
「それに関しては同感かな」
僕と友奈と東郷さんは、帰路が一緒のため帰りながらお互いに今日のことを話していた。
(でもやっぱりあの夢のことはなにもわからなかったな……)
僕が自分の勇者システムのことについて悩んでいると、友奈と東郷さんが心配そうな顔で僕のことを見ていた。
「洸輔くん、大丈夫?」
「具合でも悪いのかしら?」
「え、ああ、うん。なんでもないよ?」
「洸輔くん!勇者部五ヶ条!悩んだら相談だよ!」
「そうよ。洸輔くん!一人で溜め込んでもいいことなんてないわよ」
「友奈、東郷さん……」
そんな二人のまっすぐな言葉を言われて、僕は自分の勇者システムのことを打ち明けた。
「そうだったんだね……」
「うん。僕の勇者システムは本来はみんなの劣化版でそれに僕は勇者になることができないはずだったんだ…例え素質があっても、男は勇者になることができないからね……」
「そうだとしても、私や友奈ちゃん…勇者部のみんなが洸輔くんを守るわ」
「え?」
東郷さんに真っ直ぐな目でそんなことを言われた。
「洸輔くんは最初の戦闘の前に私に言ってくれたよね?何があっても私を守るって……」
「う、うん」
「なら洸輔くんが危なくなったときは私が全力で守るわ。私だけじゃない、勇者部のみんなもそう思っているはずよ」
「!!」
「そうだよ!洸輔くん!最初の戦いの時も洸輔くんは私たちを守るために全力で戦ってくれたもん!だったら洸輔くんが危なくなった時は私たちが全力で守るよ!!」
僕はなにも言えずに二人の話を聞いていた。
(まったく、この二人には敵わないな)
そう思いつつ、僕は自分の頬を叩いた。
「友奈!東郷さん!ありがとうね!これからも僕はみんなを全力で守るよ。でももっとみんなのことも頼らせてもらうね」
「うん!それでいいと思うよ!洸輔くん!!」
「ええ、あと洸輔くん。そ、そのこの流れでおこがましいかも知れないけど頼みがあるの」
「?、どうしたの?東郷さん?」
「それ……」
「え?」
「そろそろ、その東郷さんって言うのはやめて。美森って呼んでほしいの」
「と、東郷さん!?」
「急に!?」
かなりの話の方向転換に、僕も友奈も動揺を隠せない。
「だ、だって!友奈ちゃんは幼なじみだからまだわかるけど!新しく入ってきた夏凜ちゃんが名前で呼ばれているのに、なぜ私だけ名字なの!?洸輔くん!?」
「え?いや、え?」
「東郷さん!落ち着いて!洸輔くん困ってるから!?」
「いいえ!友奈ちゃんでもさすがにここは譲れないわ!自分だけ名前で呼ばれてるからって!!決めたわ!今日は洸輔くんに名前で呼ばれるまで家に帰らない!!」
「「なんの決意をしてるの!?」」
そしてそのあと僕が名前で呼ぶと、美森は(これからは美森でいきます)顔を真っ赤にして動かなくなったため、友奈と共に美森を家まで届け、その日は終了した。(カラオケよりも疲れた)
そろそろバーテックスとの戦闘が近くなって来ました!また、番外編で洸輔くんと勇者部の女子のデート回とか書こうと思っているので、それについても楽しみにしててください!!