天草洸輔は勇者である   作:こうが

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今回は番外編です!本編が真面目な感じな今だからこそ書きました!!


では本編どうぞ!


番外編 お出掛け?いいえ、それはデートです。

「ちょっと早く来すぎたかな?」

 

 とある休日、僕は夏凜に誘われて町で一番大きなショッピングモールへと来ていた。今はその為の待ち合わせの真っ最中である。

 

(……なんで、僕少し緊張してるんだ?)

 

 やけにソワソワしている自分を落ち着かせる為、数回深呼吸をした。まぁ、あれだ、少し落ち着けたまえ、自分よ。

 

 自問自答を繰り返していると

 

「お、おはよう、洸輔。待たせたかしら?」

「おはよー夏凜。そんなに待ってないから大丈夫だ…よ?」

 

 一瞬で目を奪われた。僕の目に写るのは私服姿の夏凜。彼女の私服姿はどこか新鮮でなんていうか…すごく良かった。

 

「夏凜」

「…何よ」

「すごい似合ってるよ?えっ、めちゃくちゃ可愛いんだけど」

「ん〜!!!そ、そういうの良いから!ほら、行きましょうよ…」

「あっはい、じゃあ行きます?」

「……」

 

 行くと言った割に中々動き出さない煮干し大明神。なーぜか知らないけど、顔を真っ赤にしながら僕に対し非難するような視線を向けている。

 

「えと…僕、なんか悪いことしたかな?」

「べ、別にそういうわけじゃ…ただ」

「ただ?どうしたの?」

「……私、ここ来るの初めてだし…その、手を繋いでもらえたら嬉しいなって…」

「っ!うん、繋ごう!いますぐ繋ごう!」

 

 上目遣いで夏凜にお願いされるなんて思わなかった。彼女の手を握るまでの速度が爆速すぎて自分でも驚いたものだ。

 

「あっ…その、ありがとう。それじゃ…行きましょうか?」

「う、うん!い、行こうか…」

 

 互いに、顔を赤くしながらショッピングモールへと入っていく。その最中、ある考えが脳内によぎった。

 

(……男女が手を繋ぎながら、ショッピングモールで過ごす。……これってデートみたいだな)

 

 間違いなくデートであることに気づいていない洸輔であった。

 

 

 

 

 

 

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(っ~~!!なーにが「手を繋いでもらえたら…」っよ!!私のバカ~!!)

 

 先ほど自分がとった行動に一人悶絶している完成型勇者が一人。もっと自然な感じでやろうと本人は思っていたが、気持ちが高ぶってかなり乙女な感じになってしまったようだ。

 

(……この際、もうそれはいいわ。それよりも、これからどうしようかしら?)

 

 問題としては、こいつを誘ったはいいものの何もやりたいことが決まってないことだ。そんなことを考えていると…

 

「それで、今日夏凜は何がしたいの?」

「ふぇ!?そ、そうね~……そ、そう!あれよ!水着を一緒に選んでほしいのよ!!」

「え?」

「え?」

 

(テンパりすぎだってのぉーー!!!なにいってんのよ!あたしはーーー!)

 

自分が思っている以上にテンパっているのか。思ってもいないことを口走ってしまった。そこでふと思う。

 

(あ!でも洸輔なら「それはハードル高いかも」とか言って流してくれるかも!)

 

洸輔に淡い希望を託して、彼の言葉を待っていると希望はあっさりと打ち砕かれた。

 

「ま、まぁそれが夏凜が今日したいことなら付き合うよ。」

 

(素直かぁーーー!!!!)

 

心の中で全力で突っ込んだ。さすがの洸輔でも断ると思っていたが、私のことを優先して了承してくれたのだろう。(非常に複雑な気持ち)

 

「ええい!もうこうなったらヤケよ!洸輔!!ついてきなさい!!」

「えっちょ!急にどうしたの!?夏凜!?」

 

驚く洸輔の手を引いて、あたしは水着売りコーナーへと向かった。なぜかあたしは自然と笑顔になった。

 

 

 

 

 

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「ここが、水着売り場ね」

「……」

「どうしたのよ?洸輔ったら黙っちゃって」

「やっぱり……いざ来てみると落ち着かないなぁって」

 

そこには、女性の水着がずらりと並んでいて男性が入るには少し抵抗がある所だった。

 

「何、今さらいってんのよ!ここまで来たら一緒に決めてもらうわよ!」

「わ、わかったよ。自分で言ったことだからね!夏凜がやりたいことを一緒にやるよ。」

「よろしい。それでいきなりで悪いんだけど…これとかどうかしら?」

「どれどれ?」

 

そう言って、夏凜が見せてきたのは赤色の水着だった。布が少し少なめな気がするけど、そこまで際どくはないため夏凜が着てもすごく似合いそうだと思った。

 

「すごく似合うとおもうよ!色が赤っていうのも、夏凜らしさが出てて良いと思うよ!」

「そ、そう?ありがと……じゃあ、ちょっと試着するわね!」

「う、うん。いってらっしゃい」

 

少しの間待っているとすぐに、夏凜が水着に着替えて出てきた。

 

「ど……どう?洸輔?似合ってる?」

「すごく似合ってるよ!ホントに夏凜は赤がすごく似合うんだなぁ」

「そ、そう?えへへ。じゃ、じゃあこれにしようかしら?」

 

(よかったぁ、これなら結構早くにここから離脱できそうだ)

 

と、僕がそんなことを思っていると近くにいた店員が僕たちの方に寄ってきた。

 

「お客様のような体が引き締まった方なら、もっといい商品がございますが?」

「え、いやあたしもうこれにしようと……」

「まぁまぁそう言わずに、ほら彼氏さんからも何か言ってあげてください。」

「か……!?」

「ま、まぁそう見られちゃうかもね」

 

多分、他の人からみれば僕たちはそういう関係に見えなくはないだろうけど。すると店員はお構いなしに、もっといい商品というのを僕らに見せてきた。

 

「お客様のような引き締まった体には!こちらが最適です!!」

「「!?」」

 

そういって店員が見せてきたのは、布がほとんどない際どいとかそういう次元を突破した水着(?)だった。それを見て僕たちは叫んだ。

 

「「そんなの着る(着させられる)かぁーーー!!!!」」

 

僕たちはその店員を、振り切って最初に夏凜が持った水着のお会計を済ませてその店から離脱した。

 

 

 

 

 

 

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(ハァー疲れたぁ~)

 

 店員から逃げてきたあたしたちは、フードコートで休んでいた。二人でカフェラテを頼み椅子に座る。

 

「「はぁー」」

 

「ため息、被ったわね」

「だね。うーん……やっぱり、僕と夏凜って相性いいのかな?」

「それ、どういうこと?」

 

気になった、あたしは洸輔に質問する。

 

「いやさ、最初に話した時から思ってたんだけどね。なんか夏凜って話しやすいんだよねぇ~話してると落ち着くっていうかさ。なんか、友奈や美森、それに風先輩や樹ちゃんとは違った感じがあるんだよねぇ~」

 

(そ、それってあたしが特別ってこと!?)

 

あたしが、そんなことを考えていると目の前の異常事態に思考が止まる。

 

「ね、ねぇ、洸輔?」

「ん?どうしたの?」

「このカフェラテ、どっちがどっちのだったっけ?」

「……ありゃ?どっちだっけ?」

 

あたしが言うと、洸輔も首を傾げた。そのカフェラテの容器は一緒、量もほぼ一緒、ストローも一緒のためどちらが自分のか二人とも見分けがつかなかった。

 

(あたし、どっちだったけ?)

 

「う~んと確か僕のは右だったと思うなぁ」

「そうだったっけ?」

「いや、確証はないけどそんな気がするだけ?」

 

もしこれに間違えば私達は二人でダブル間接キスをすることになる。なんとしても見極めなくてはならない。

 

「わかった!あたしは右だったわ!」

「じゃあ、僕が左?」

「ええ!そういうことになるわね!!」

「じゃ、じゃあ良いね?」

「いいわよ!」

 

そしてあたしは、容器を手に取りストローでカフェラテを飲み干す。どっちがどっちかはわからないが、あたしはもうこの話を盛り下げないように話をそらそうとする……が、

 

「ちょっと待って夏凜。僕、思い出したんだけどさ」

「え?何よ?」

「その、容器の底の部分見てみてよ」

「?」

 

洸輔に言われた通りに容器の底の部分を見ると、シールのようなものがついていた。

 

「こ、これ、なに?」

「よくわからないけど、最初からついてたんだそれ。そうだったよーそのシールがついてるのが僕のだったなぁ。」

「てっことは……つまり?」

「うん。今夏凜が飲んだのが、僕のだね」

「そ」

「そ?」

「それをぉ!先に言えー!!!!」

「ぐぇっ!?」

 

あたしは顔を真っ赤にしながら、洸輔の顔面に容器を投げつけた。

 

 

 

 

 

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あれから、いろいろ回って見ているうちに夕方になっていた。あたしたちは帰り道にある公園のベンチに二人で座る。

 

「今日はありがと、洸輔」

「どうしたの?改まって?」

「ううん、別に意味はないけど。あたしさ、今まで兄貴を越すことだけ考えてた」

「……」

「あたしにはね…兄貴がいるのよ。成績優秀でスポーツ万能、なんでもできちゃう完璧超人な兄貴がね。今は大赦の中枢で働いているわ」

「……」

「いろいろなことで、兄貴に劣っていたあたしは唯一兄貴にはないもの勇者適正があったの。だからあたしは鍛え続けた。兄貴を越すために」

 

いつの間にか、あたしは洸輔に愚痴を漏らしていた。洸輔はそれを黙ってしっかり聞いてくれた。するとさっきまで黙っていた洸輔が口を開いた。

 

「もしも、バーテックスをすべて倒してお兄さんに並べなかったとしても……僕や、勇者部のみんながいるよ」

「!!」

「夏凜がどう思ってくれているかはわからないけどさ。少なくとも僕や勇者部のみんなは夏凜のことを仲間だと思ってるよ?」

「っ!!」

 

その言葉を聞いた瞬間に、胸が熱くなった。

 

「じゃあ、あたし帰るわね」

「送っていこうか?」

「ううん。いい、でもひとつだけ約束して」

「……何?」

「また今度一緒に出掛けてくれる?」

「もちろん!」

「じゃ、じゃあ指切りして?」

「わかったよ~」

『指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!指切った!』

「ありがとう。それじゃあ、また明日ね」

「うん!また明日、夏凜!」

 

洸輔に手を振って、その日は別れた。

 

帰路では、指切りした小指をあたしはずっと見ていた。

 

 

 

 

 

 

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「ただいまー」

 

家に着き、今日の疲れを癒すため自室へと僕は向かう。

なぜか僕の部屋は電気がついていた。

 

(あれ?僕部屋出る前に消したはずなんだけどなぁ?)

 

疑問を抱きながらも、自室の部屋のドアを開けると中には友奈と美森がいた。心なしか二人とも不気味な雰囲気を纏っていた。

 

「二人とも、どうして僕の部屋に?」

「洸輔くん」

「はい!?」

「今日はどこにいってたの?」

「え、えと今日はショッピングモールにお出掛けしてきたよ」

 

一応、夏凜の名前は伏せておいた。なんかここで言ったら殺されると思ったからだ。

 

「一人でいったのよね?」

「う、うん!ひ、一人で」

「じゃあ、これはなにかしらね?」

 

そう言って、美森がスマホを見せてくると手を繋ぎながらモールへと入っていく僕と夏凜の姿があった………。

 

「!?」

「洸輔くん?一人じゃなかったの?」

「なんてこと、友奈ちゃん。ここには二人写っているわ?」

「これは、夏凜ちゃんだね?ふふ、二人でどんなことしてきたんだろう?。聞きたいなぁ洸輔くん?」

「え、ちょ、い、いやぁーーーーーーー!!!!!」

 

その日、町中に少年の叫び声が木霊した。




はい!番外編でした。いやー洸輔くんの回りにはかわいい子が多いですね?

さて次は多分……本編14話ですかね?そちらでお会いしましょう!
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