では本編です!
「今日も来たよ!洸輔くん!」
私は、病院のベッドに横たわっている幼なじみに挨拶をする。しかし返事は返ってこない…。
七体のバーテックスが襲撃してきたあの日からもう一週間が経った。他のみんなは目を覚ましたが、唯一洸輔くんだけが目を覚まさなかった。
「あとは、君だけだよ?」
みんな怪我を負っていたが、その中でも酷かったのが洸輔くんの両腕の怪我だった。かなりの出血をしていて最初に病院に運ばれたときにはお医者さんから治るかわからないとまで言われていた。
「体はもう治ってるから、あとは目を覚ますだけ……」
もうその腕の怪我もほぼ治っているようで、唯一念のためと両腕に包帯が巻かれているくらいで、あとは目を覚ますだけなのだが、洸輔くんは目を覚まさない。
「……」
私は静かに洸輔くんの左頬に触れる。私は誰も周りにいないことを確認してから、ゆっくりと自分の顔を近づけてそのまま洸輔くんの頬に、キスをした。
「早く……目を覚まして?」
(もしこのまま洸輔くんが、目を覚まさなかったら……私は……)
「ん、友奈……おはよう」
「!?」
そこには、笑顔でこちらを見ている洸輔くんの姿があった。
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目を覚ますと、そこには目に涙を浮かべている友奈の姿があった。
「洸輔くん!!目を……覚ましたんだね!」
「ごめんね、友奈。けっこう、待たせたみたいだね」
「ほ、本当だよ……でも、よかった。私、もしかしたら……洸輔くんが目を覚まさないんじゃないかって……うぅ」
「友奈」
僕は、包帯で巻かれている左腕を友奈に伸ばして自分の胸に抱き寄せた。
「ほらほら、もう泣かないで。確かに、友奈は泣いてるときも可愛いけど、笑ってるときが一番可愛いんだからさ?」
「うぅ……お、起きて早々にそれは卑怯だよ」
「ごめんごめん。からかうつもりはなかったんだ。そろそろ離す?」
「ううん、あともう少しだけこうさせて?」
「わかった」
そこから僕は友奈が泣き止むまで、彼女を自分の胸の中で優しく抱き締め続けた。
その日、洸輔が目を覚ましたことで勇者部全員が揃ったのだった。
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病室で友奈と話をしていると、医者がきて僕は精密検査を受けることになった。友奈はみんなに僕が起きたことを伝えるといって病室を出ていった。僕は病院内を周り様々な検査を受けた。
「調べたところによると、天草さんの体には特に異常は見られませんね。唯一左耳の聴力が低下していますがこれは一時的なものだと思われます。傷が酷かった両腕ももう塞がっているため、結果次第では明日にはもう退院できるでしょう。」
「わかりました、ありがとうございます。」
医者に礼を言って検査室を出ていく。しかし初めてきた病院なので、自分の病室がどこにあるのかまったくわからない。
「まずい……完璧に迷っちったなぁ」
一人で路頭に迷っていると、談話室という所に見慣れた車椅子に乗った黒髪の少女の姿が目に入った。
「ああ、やっぱり美森だった、おはよう」
「!?」
「みんなもいたんだね。おはよう」
そこには、美森だけでなく先ほど別れた友奈、風先輩と樹ちゃんそして夏凜がいた。僕が声をかけると友奈以外のみんなが、こちらを見て固まっていた。
「えっと、どうしました?」
「目が覚めた……のね?洸輔くん」
『洸輔さん、よかったよぉ~!』
「ほんとだ……よかったぁ……」
「あれ!?皆!?私言ったよね!?洸輔くんはもう目を覚ましたよって!?」
「ごめんね、友奈ちゃん……やっぱり本人を見ないと安心できなくて」
僕の姿を見ると、みんなそれぞれの反応を示していた。そこで一部の人達の違和感に気づく。
「風先輩?なんで眼帯してるんですか?」
「ん?ああ、これね。これは満開の疲労の影響らしいわ。私は目を樹は声、東郷は右耳、友奈は味覚を失なったらしいわ。洸輔は?何かなかった?」
「僕は、左耳が使えなくなりましたね。でも、医者の方からは一時的なものだから特に気にしなくていいって言われました」
『私たちと一緒ですね』
聞くと、みんなも同じことを言われたらしい。その時自分でも、よくわからないのだが悪寒がした。すると美森から声をかけられた。
「退院は?洸輔くんはいつになりそうなの?」
「僕は結果次第では、明日には退院できるかもって。」
『私とお姉ちゃん、東郷先輩に友奈さんは今日で退院です!』
「そうなんだ。夏凜は?」
「あたしはもう退院したわよ。この中で一番怪我が軽かったからね」
そう言ったときの、夏凜の顔は悔しそうだった。
「よっしゃ!じゃあ洸輔が退院したらみんなでパーティーやって、パーっと遊びましょう!」
『そうだね!お姉ちゃん!』
「私も賛成です~!!」
「僕も!」
そんなこんなで、皆と他愛もない会話をしてから皆と別れる。僕は病室へ戻るために職員の人に聞いて部屋に戻ろうとすると、そこでまた声をかけられた。
「あ、そいえば洸輔くん……これ」
「どうしたの?美森……ってこれは……」
美森の方を見ると、眼鏡を手渡された。
「洸輔くんが、病院に運ばれたときもずっと持ってたものよ」
(もしかして……これがあの人の言ってた叡智の結晶ってやつなのかな?でも、なぜ眼鏡!?)
僕が一人でツッコミをいれていると、美森がもじもじしながら僕に言ってきた。
「あ、あとね洸輔くん……もう少しだけ一緒にいてもいいかな?」
「え、う、うん。いいよ」
そう言った時の、美森はとてもキレイで僕は動揺してしまった。
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美森と共に、僕は病室へと戻った。
「ごめんね、洸輔くん。休みたいかもしれないのに」
「いいんだよ、別に。寧ろ美森がいてくれて落ち着くよ」
「そ、そうかな?///」
僕がそう言葉をかけると、美森は顔を赤くしていた。少し間をおくと、美森は神妙な顔で僕に話しかけてきた。
「ねぇ、洸輔くん?」
「なに?」
「私達を守ってくれるのは、もちろん……すごく嬉しいわ」
「うん」
「でも、ね。それで、洸輔くんが傷付いてしまったら意味がないの。だから……約束して?」
「何……を?」
すると、美森は突然僕の首筋に両腕を回してそのまま僕を胸へと抱き寄せた。
「他人を守るのはいい。でも、それ以上に自分も大切にして?」
「!!わかったよ、美森」
「あなたが傷付けば、悲しむ人達がいることを忘れないでね?」
「うん」
(早く退院して、みんなでパーティーがしたいなぁ)
そんなことを考えながら、美森の胸の中で僕は眠りについた。
まぁ、そのあと来た夏凜によって僕は粛清されたのだが……
今回はちょい短めでしたね。次はどうだろ?旅行編かな?
見てくれている皆様のためにも頑張って書きます!(洸輔くんが粛清されるのが多くね?って自分で思いました)
それでは!また!!