天草洸輔は勇者である   作:こうが

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ついにあの子が出てきます!本編はシリアスムード…。
しかし!作者は挫けずがんばります!


では本編スタートです!



18話 勇者の真実

旅行が終わったあとは勇者部で集まって演劇の準備などをして楽しんだ。しかし風先輩が放った言葉でまた僕たちの日常は崩れた。

 

「バーテックスには残党が残ってて、延長戦に入ったわ…」

 

風先輩が険しい顔で、みんなに伝えた。アタッシュケースにあるスマホがそれらを決定付けていた。

 

「生き残り…まだ戦いは続く…」

「またみんなに迷惑かけるわね…ごめんなさい…」

「今さら生き残りの一匹や二匹!どうってことないわ!」

『わたしたちなら大丈夫だよ!お姉ちゃん!』

「僕たち六人が揃えば怖いものなんてありませんよ!」

「みんな……ありがとね…」

 

そして、みんながアプリを起動すると精霊の数が明らかに増えていた。

 

「わぁーパレードみたいー!!」

「大赦がアップデートしてくれたみたいなの…洸輔のは相変わらず精霊がいないわ…」

「しょうがないですよ…大赦の人からみても僕はイレギュラーですから…」

 

僕は当たり前だが、何故か夏凜の端末にも精霊がふえていなかった。するとみんなのスマホから警報音が鳴った。

 

「樹海化!」

「まったくタイミングがいいんだか悪いんだか…」

「準備はいい!?みんな!油断しちゃダメよ!」

 

視界が光に包まれていくなか、みんなそれぞれの装束へと身を包んでいった。僕は装束に変わった瞬間、眼鏡を掛ける。

 

「?、この時は眼鏡掛けるんだね?」

「勇者になっていない時にこれをつけると頭痛が起きるんだ…。逆に勇者になってる時につけるといつもより頭の中がクリアになるんだよ…。なんでかはわからないけどね…。」

「えー!そうだったの!?」

「まさかそんな仕掛けだったとは…」

「驚きだわ…」

「目標を捕捉しました!相手は一体だけです!」

 

僕達が、眼鏡の話で盛り上がっていると美森が敵の数を伝えてくれた。言われた方向を見るとそこには人型のバーテックスがいた。

 

「あれって…あたしが倒したやつ…」

「もしかしたら…もとから二体でワンセットの双子とかだったのかもしれないね…。」

「それじゃ!みんな!がんばろー!」

「今度こそ!殲滅してやる!」

「さて、行くとしましょう。」

「みんな!無茶だけはしちゃだめよ!」

「もちろん、わかってます!それじゃ行こう!友奈!」

「うん!」

「あたしも続くわ!」

 

僕と友奈と夏凜が先行する。バーテックスは他のより速くて小さかった。攻撃力は無さそうなもののすごく速いため捕まえるのが困難そうなイメージが強い。

 

「「はぁぁぁーー!!!」」

「瞬殺させてもらう!」

 

友奈と夏凜が放ったパンチによって動かなくなったところを、僕がバーテックスの真上へと高速で移動し短剣で牽制してから拳ごとバーテックスを地面に叩きつけた。

 

「風先輩!美森!任せた!」

 

追撃として風先輩が大剣で斬撃を、美森が狙撃銃で射撃を与えたためバーテックスは意気消沈としていた。

 

「よし!」

「このまま封印の儀に入るわよ!」

 

御霊が増殖するが、僕の短剣と樹ちゃんの糸で破壊した。あとは本体を破壊するだけだ。

 

「アタシが終わらせるわね!」

「いいえ!ここはあたしがやらせてもらうわ。助っ人できたんだもの!少しくらいは…」

「これで…終わり!」

「ちょ!」「え!?」

 

二人がなにか言っている間に、僕は本物の御霊へとグラムをぶつけた。すると夏凜から抗議の声があがる。

 

「何勝手にやってんのよ!」

「ご、ごめん…。早く終わらせようと思ったから…」

「はぁー。ま、いいわ!みんな無事だったしね…。さ、勇者部に戻りましょうか!」

 

バーテックスを倒したため樹海化が解ける。しかし目が覚めると僕はいつもの屋上とは違う場所に出ていた。

 

「え?……ここ……どこ?」

「洸輔くん…」

「一体……何が…」

「!?、友奈!美森!……あれ?……風先輩達がいない…」

 

その場にいたのは、友奈と美森だけだった。風先輩に樹ちゃん、夏凜もそこにはいなかった。

 

「いつもならこんなことないのにね…。」

「うん。いつもなら讃州中学の屋上に出るはずなのに…」

 

三人で頭を抱えていると、どこからか声を掛けられる。

 

「ずっと…呼んでたよ。わっしー…会いたかった。」

 

その子の声は優しくて…そして儚かった。

 

「あなたが戦っているの……ずっと感じてた…。やっと呼び出しに成功したよ。わっしー……」

「っ……」

 

声がした方を向くと僕は言葉を失った……。そこにいたのは左目と右手の指以外が包帯と衣服で隠されている人だった。声を聞く限りでは少女だともわかる。

 

その目は美森のことをじっと見つめていた。

 

「わっしー……?」

「え…と美森の知り合い…?」

「ううん……初対面のはずよ……」

「っ………」

 

そう言われた時の彼女の顔は悲しみで溢れていた。

 

「ああ、ごめんね。わっしーっていうのは私の大切な友達の名前なんだ…」

「………」

 

彼女の言葉は、一つ一つが悲しみに溢れていた。

 

「バーテックス退治お疲れさま…」

「!?…あなたは……バーテックスを知ってるんですか?」

「知ってるも何も…私は勇者として戦っていたからねぇー。名前は乃木園子って言うんだー」

「君も…勇者として……戦っていた…」

「うん…そうだよー…一応は先代ってことになるのかな…?」

 

少女から、自分は勇者だと聞かされたとき…僕の頭の中にはひとつの最悪のケースが頭に浮かんできた。

 

(じゃあ……あの体は……)

 

僕が考え込んでいる中、乃木園子は話を続ける。

 

「私はね、大切な友達と一緒に戦ってたんだ…。ま、今はこんな風になっちゃったけどね…」

「まさか……」

「…友奈ちゃんは満開したんだよね…?」

「はい、しました…」

「咲き誇った花は……どうなると思う…?」

 

美森も勘づいているのか険しい表情で、リボンを握りしめていた。

 

「満開したあとに…体のどこかが…不自由になったはずだよ…?」

「っ………」

「散華……。神の力をふるった…人間への代償」

 

乃木さんは散華について話してくれた。満開とは確かに一時的に神の力を借りるため強くなれる。しかしその代償…神の力を使った者は体の機能を神樹に捧げる。そして勇者は死ぬことができない。

 

「それでね…戦い続けて今みたくなっちゃうんだ…」

「そんな……ことが…」

「じゃ、じゃあその体は……」

「うん。代償の影響だよー」

 

あまりにも、衝撃的な真実の連続に僕は背筋が凍った…。みんなも身動きがとれなかった。

 

「どうして…私達が…?」

「神が選ぶのはいつだって、無垢な少女たちなんだ…。汚れがないからこそ…大きな力を扱うことができる。だからこそ…なぜ君が勇者になれているのかはわからないけど…。」

 

そう言う乃木さんの目はこちらに向けられた。前に風先輩が言っていた言葉を思い出す…。

 

(本来勇者は無垢な少女しかなれない存在で、例え男の子で適正があったとしてもなれるものじゃない)

 

やはり僕は本来ありえるはずがない存在らしい…。ましてやそれを言ったのが先代勇者だ。僕の存在はかなりイレギュラーなのだろう。

 

「まぁ…そのことはいまはいいかな…。……今までのをまとめると…力の代償として体の一部を供物として神に捧げる。それが…勇者システムだよ…。」

「僕達が……供物………」

「私達にしかできないこととはいえ……さすがにひどいよね…」

「でも!バーテックスは全部倒したんです!だからもう戦わなくてもいいんです!」

 

そう、それなのだ。風先輩の話では敵として僕たちの前に立ち塞がってくるのは十二体のバーテックスのみ。ならばもう僕達が戦う必要はなくなるはず。しかし、その言葉に対して乃木さんは意味ありげな言葉を放った。

 

「………そうだといいね………。」

「そうですよ。もう十二体のバーテックスは倒しました!だから…………!?」

 

辺りを見回すと、周りには大赦の人間が僕達を取り囲むかのようにいた。

 

「大赦の人達……?」

「友奈、美森…僕の後ろに…」

 

大赦の人間から、異様な気配を感じたため友奈と美森を庇う形で前にたつ。

 

「この人達は…?」

「私を連れ戻しに来たみたい~。抜け出してきちゃったからねぇー。」

「………」

「この子達を傷つけたら許さないよ…。私が呼んだ大切なお客様だからね…。」

 

乃木さんが言葉を放った瞬間、大赦の人達は頭を地面につけた。

 

「ごめんね…怖い思いさせちゃって…システムのことを隠したのも大赦の人達なりのやさしさだと思うんだよ…。でも……私は…そういうのはしっかり伝えてほしかったなぁ…」

「っ……!」

 

そう言う乃木さんの目には一筋の涙が伝っていた。

 

「伝えてくれていたら……私はもっともっと…友達と…」

「美森…」

「東郷さん…」

「…………うん………」

 

美森が乃木さんの方へ車椅子を寄せていく。今は二人だけで話させてあげたかった。

 

「あ………そのリボン、似合ってるね…。」

「これは…とても大切なもの…それだけは覚えていて…ごめんなさい…私記憶が…」

「仕方ないよぉ…」

 

二人の会話は聞いていて、すごく悲しい気持ちになるものだった。少したつと話に区切りがついたのか、美森がもどってきた。

 

「このシステムを変える方法はなにかないんですか!」

 

友奈が叫んだ。しかしその質問は愚問だろう。もしそんなものがあったならこんなことにはなっていない。

 

「力を使えるのは…ごく一部の勇者のみ。」

「そう……ですよね…」

「……園子様…そろそろ……」

「はぁ…もう時間みたいだね…また話そうね…みんな…」

 

タイミングを見計らったかのように大赦が用意した車があった。

 

「二人とも…行こう…」

「うん…」「ええ…」

 

二人を車に乗せると、後ろから声がかけられた。

 

「ごめんね…やっぱり君とはもう少し話がしたいから…私ともう少しここにいてくれるかな…?」

「え…?」

 

そう言う乃木さんの目は僕を見据えていた。それを僕は了承する。

 

「わかりました…。」

「洸輔くん……」

「ごめんね…友奈…美森…ほんとは一緒にいてあげたい…でも彼女のことも…ほっとけないんだ…」

 

友奈がなにか言いたそうにしていたが…僕は車のドアを閉めた。

 

「園子様…」

「お願い…彼ともう少しだけ話をさせて…」

「………」

 

乃木さんの言葉で、大赦の人達は渋りながらも姿を消した。

 

「乃木さん……なんで僕だけを残したの…?」

「君のことを知りたかったからね…」

 

そう言う乃木さんの目は真っ直ぐ僕を見据えていた……。




園子ちゃん登場!確か本編もこの子が出てきた辺りからまじで暗くなりましたね…。ここから果たしてどうなるのか…。楽しんで見てくださいね!


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