それと祝UA6000突破!!これからも頑張ります!
それではどうぞ!
風先輩から相談を受けた翌日のこと。
美森の家に集められた僕、友奈、風先輩は勇者システムの本当の意味について知らされた。
ここ数日で美森は様々な方法で自殺を試みたらしい。しかしそのどれもが精霊に止められ失敗に終わったと美森は言った。
ここから推測されるのは精霊とは勇者を助ける為の存在ではなく、勇者というお役目に縛り付けるための装置だということがわかる。
つまり先代勇者である乃木園子が言っていたことが、真実だということが裏付けられる。そして今回は僕たちが供物として捧げられる存在になったということも。
美森が話を終えると、風先輩が力なさげに言葉を発した。
「知らなかった……知らなかったの…世界を救うために体を捧げながら戦う…それが勇者………」
「風先輩…」
「っ…………」
「…アタシが…みんなを…樹を…勇者部に入れたせいで……」
僕や友奈も今の風先輩に掛けられる言葉が見つからず、みんな無言のまま解散することとなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕はそのまま気を紛らわすため、散歩することにした。なにもしていないよりこうやって歩いていた方が今は落ち着く。
(最近…勇者部が全員で集まることが少なくなった気がする…)
生き残りとの戦いと園子から教えてもらった真実を聞いてから、勇者部には暗い雰囲気が流れている。
「一番心配なのは風先……………」
すると昨日も起きたノイズが僕の頭の中を走った。
(また…これか…)
昨日からよく頭の中で起きるノイズ…。それが起きた時一瞬だけだけど…勇者部に関した記憶があやふやになってしまう。
(多分……園子の言ってた僕が僕じゃなくなるってことに関係してるのかもな…)
そんなことを考えていると公園の近くまで来ていた。子供たちがワイワイしながら遊んでいる中、ベンチに座りながら本を読んでいる見知った少女が見えた。
「こんにちは、樹ちゃん」
僕が声を掛けると樹ちゃんは急に声を掛けられてびっくりしたのか、手をワナワナさせながらスケッチブックにペンを走らせる。
『洸輔さん!?どうしてこんなところに!?』
「んーちょっとね…。気晴らしに散歩してたんだ。」
『そうなんですね…えっと…隣どうぞ…』
「ありがとう、樹ちゃん」
樹ちゃんが横に寄ってくれたので、空けてくれたスペースに腰を掛ける。
「……………………」
『……………………』
(え……?この状況どうしよう…?)
自然な流れで座ってしまったが、話す話題がない。小学生くらいの子には「カップルだー」や「邪魔しちゃ悪いよ」などいろいろなことを言われている。(最近の子はおませさんなんですね(^ー^))
『洸輔さん…』
「ん?なに?」
一人で居心地の悪さに悪態をつけていると、樹ちゃんがスケッチブックを向けてくる。
『その…相談って訳じゃないんですけど…少しお話に付き合ってくれませんか?』
「いいけど…どんな話?」
『最近…お姉ちゃんの元気がないんです…それだけじゃなくて前よりも…わたしの声のことを気にするようになって…』
「っ………」
さっきの居心地の悪さはどこへやら、それよりも心にくる話を切り出されてしまった。気にせず樹ちゃんは続ける。
『それと…洸輔さんや友奈さん…東郷先輩も少し変ですよね?何か知っているんですか?』
「……それは……」
『お願いします!知っていることがあるなら教えてください!』
樹ちゃんに問い詰められ答えに詰まる。ここで言わないという選択肢をとってしまえば、樹ちゃんに嘘をついてしまうような気がした。
(ごめんなさい……風先輩…)
心の中で風先輩に謝りながら、僕は口を開く。
「これから話すことは…樹ちゃんにとってすごく辛いことかもしれない…それでも良いのかい?」
『はい!わたしもお姉ちゃんの助けになりたいんです!』
その目には強い意志が籠っていた。
「っ…!!わかった…僕と友奈と美森はね…この前のバーテックスとの戦いのあと…先代勇者に会ったんだ…」
『そんな人がいたんですか!?』
「うん…僕たちより少し前に勇者として戦っていた子なんだけどね…。その子は満開を繰り返して体の機能がほぼ失われて……今では全身包帯で巻かれて大赦に祀られているよ…」
『て…ことはつまり』
「うん…。満開の後遺症は治らず代償として残り続ける…。多分…風先輩がここ最近樹ちゃんの声のことについてすごく心配しているのはそれがあったからだと思うよ…。風先輩…どう声を掛けていいかわからないって言ってた」
樹ちゃんは黙って僕の話を聞いている。その目には絶望なんてものはなかった。ただ…お姉ちゃんの助けになりたいという強い意志が灯っていた。
「今日もその事で美森に呼び出されてね…。その先代勇者の子が言っていた言葉が真実と考えてもおかしくないってことになった…樹ちゃんがこの話を聞いて耐えられるかわからなかったから言わなかったんだ……ホントに…ごめん…」
『別にいいんですよ…なんとなくわかってましたから…』
そして樹ちゃんは新しい言葉をスケッチブックに書いていく。
『わたし…まだお姉ちゃんに話してないんですけど…夢ができたんです。』
「夢?」
『はい、みなさんのお陰で人前で歌えるようになったときから、歌手になるのが夢だったんです!』
「!!」
『だからお姉ちゃんに内緒でボーカルオーディションも受けました。一次予選通過の報告がきたときはホントに嬉しかったです』
「樹ちゃん………」
本人にとってはすごく辛いことのはずなのにも関わらず、樹ちゃんはずっと優しい顔をしていた。
『いろいろな喉の治し方も調べたりしてみたけど…全部効果なかったです。後遺症が治らないのならそれについても納得です。』
「樹ちゃんは…勇者部に入ったことを後悔してるかい…?」
『そんなわけないじゃないですか!勇者部に入らなかったら皆さんと出会えなかった、それに歌を歌いたいとも思わなかった…。わたしは勇者部に入ってよかった!そう思ってます!』
「はは…どうして僕の周りの女の子達はこんなにも強い子達ばかりなんだろうな…」
スケッチブックに書いてある言葉と樹ちゃんの笑顔を見たら涙が出そうになった。
「その言葉を今の風先輩に伝えてほしいな。その言葉を伝えれば風先輩はきっと元気になると思うからさ…。」
『はい!それにしても結構話し込んじゃいましたね…』
「ほんとだね…。一人だと危ないかもだから僕が家まで送るよ。」
『ありがとうございます!洸輔さん!』
二人で一緒に帰路を歩いていく。すると樹ちゃんが手を繋いできた。
「ちょ!?樹ちゃん!?」
『今だけ…こうさせてください…』
「………………」
それからはなにも言わずに帰り道を歩いた。握っていた樹ちゃんの手は弱々しいけどそれ以上に温かかった。いつの間にか二人が住んでいるマンションの近くに着いていた。
『今日はありがとうございました!お話に付き合っていただいて!』
「いいよ。それよりもほら早く風先輩に君の気持ちを伝えてきておいで…。」
『はい!』
その時、僕の持っていたスマホが震えだした。
「ん?なんだろう?」
僕がスマホを確認すると同時にどこかで何かがぶつかり合う音がした。
「っ………風先輩…」
『洸輔さん……』
「樹ちゃんにも…きたんだね…」
メールの内容は『犬吠埼風が暴走中、三好夏凜が応戦中ですが状況は芳しくない模様。勇者各員も現場に向かい、犬吠埼風を止めるよう力を尽くしてください。』
慌てて勇者アプリを開くと、先ほど何かがぶつかり合ったような音がした方向から風先輩と夏凜の反応があった。
「二人とも……」
『洸輔さん!わたしに少しの間時間をください!』
「え…」
『お姉ちゃんをわたしが止めます!だからそれまで…』
「…うん。わかった…任せてよ。」
そう言って僕は勇者服を身につける。目指すは暴走してしまった風先輩とそれを止めようとしている夏凜の所。
(絶対に止めてみせます!風先輩!!)
僕は眼鏡を掛け…二人の元へと跳躍した。
ここら辺の話は初めてゆゆゆで見たときに、もう濁流のような涙を流して見てましたよ!(だからどうした)
感想お待ちしております!