「洸輔くん…昨日はごめんなさい!」
「もういいってば友奈…なんだかんだ30回くらい謝られてるよ?僕」
僕と友奈は日直の仕事中である。昨日駆けつけられなかったことについて友奈は相当気にしているらしく朝からこの調子だ。
「だって…家族との用事があったからって…」
「それなら仕方ないよ。それに風先輩ももう大丈夫だから」
「……ごめんなさい……」
「ほらまた謝ってる。はぁ…………てい!」
「痛!」
あまりにも友奈のテンションが低いためチョップを一発くらわせる。
「いつまでもしょぼくれてないの。そもそも僕や風先輩は友奈のことを責めたりしないから、だからはよ立ち直りなさい」
「うう…ごめんなさい…でもやっぱりまだ謝り足りないよ!あと50回だけ謝らせて!!」
「どんだけ謝る気なの!?」
「あんたら…いつまで夫婦漫才してんのよ…」
煮干しを食べながら僕たちを待っていた夏凜がしびれをきらしてツッコミをいれる。
「ごめん夏凜。てゆーか夫婦って…」
「洸輔くんと……夫婦……………えへへ~」
「はぁ…早くしなさいよ…東郷が早退しちゃったから今日は三人で行くわよー」
「「はーい」」
今日は美森が用事があると早退してしまったので、夏凜に促され三人で部室へと向かった。
「こんにちはー!二年生三人一緒に到着しましたー!」
『こんにちは!みなさん!』
友奈の挨拶に樹ちゃんが笑顔でこたえる。すると横から風先輩が頭下げてくる。
「みんな…迷惑かけてホントにごめん!」
「……」
「特に夏凜と洸輔には何て言ったらいいか…酷いこと言っただけじゃなくて…剣まで向けて…ホントにごめんなさい!」
「えっと風先輩、顔あげてください。僕…怒ってませんから…」
「え?…なんで…?」
風先輩はキョトンとした顔で僕に質問してくる。
「なんでって…そりゃ大赦が真実を言わなかったのが悪いし樹ちゃんが傷ついてショックだったことも僕やみんなは知ってますから」
(僕だって正直かなり怒ってるしね)
「それに風先輩の行動は樹ちゃんや僕達を思ってのことだし…まったく気にしてませんよ。ね、夏凜?」
「洸輔の言う通りよ。あたしも特に気にしてないから」
「二人とも…ありがとう」
「それよりも風先輩…そこにどうしても謝りたくて仕方のない子がいるので相手してあげてください…」
「?」
僕が指を指した方向には、プルプル震えている友奈がいた。
「風先輩!昨日は駆けつけられなくてすいませんでした!」
「友奈…。こちらこそ心配かけてごめん!」
「いえ…こちらこそごめんなさい!」
二人が謝りまくっていたので樹ちゃんは風先輩に、僕は友奈に対してチョップをあてる。
『お姉ちゃん落ち着いて…』
「友奈もだよ…。さっきも散々謝ってたんだから…」
「「ごめんなさい…」」
謝り隊の二人がまた僕達に対して謝罪してくる。そこで風先輩が僕に質問を投げ掛ける。
「あれ?そいえば東郷は?」
「今日は用事があるって早退しましたよ」
「そうなんだ…東郷にも謝ろうと思ってたのに…」
『どんだけ謝る気なの!?』
なんか先ほど見た…というよりも体験したような会話が聞こえるがここはあえて流しておく。
「それで…今日は何をするんですか?」
「えーとね…休んだりしてた部長が言うのもおこがましいんだけどね…部室の掃除しようかなぁって」
「ホントにおこがましいわね…。ま、部長の指示だからいちお聞いといてあげるけど」
「………………ツンにぼ………ふふ…」
「は?何かしらぁ?洸輔く~ん………?」
「え………………嫌なんでも…いでぇーーー!!!!」
やめて…掃除されちゃう……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
指示を出すとみんなは素早い動きで、掃除を始めてくれた。アタシは棚の上担当なので脚立にのぼり雑巾で棚の上部分を拭いていく。
(ホント…樹といいみんなといい…先輩よりしっかりしちゃってるじゃない…)
いつの間にか頼もしくなった後輩達を微笑ましく思う。そんなことを考え込みながら脚立を降りていると足を踏み外してしまった。
(やばっ!?)
「風先輩!」
「っ…………」
ぶつかると思い、衝撃に備えたが地面にはぶつからず何か温かい感触に包まれた。目を開くと洸輔の顔が至近距離にあった。
(!?!?!?!?!?!?!?)
「よかった、ギリギリだったけど受け止められて」
「…………」
「風先輩?」
「……ひぇ」
(お……お……おひめしゃま抱っこ!?)
顔を真っ赤にしたまま動けなかった。こうやって洸輔の温度を感じるとどうしても手を握ってもらったときの事や抱き締めてもらったときのことを思い出してしまう。
(アタシって……案外チョロい女だったのかな?)
そんなことを考えているアタシの胸は大音量で高鳴っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お~い風先輩?」
「えっひゃっひゃい!何かひら!?」
「そろそろいいですか?」
「え…あ、うん…」
何故か残念そうな風先輩を下ろすと…後方から寒気がする。そこには目をギラギラさせながらこちらを見ている友奈がいた。
(oh……次に言ってくる事が何か何となく分かった気がする)
「私にもやって!お姫様抱っこ!」
(デスヨネー!シッテマシタ!!)
「あ、あのー今のは危なかったからやっただけで狙ってた訳じやぉ…」
「ええー!いいじゃーんやってよぉ〜!」
「………あーわかったわかった、やってあげるってば」
「わーい!」
友奈に近づいていき、そのまま体をひょいっと持ち上げる。正直自分の筋力に驚いた、女の子とはいえ同級生を軽々と持ち上げるとかどうなんだろう。
(あれれ〜おっかしいぞ?僕さっきまでほうき掃いてたはずなのになぁ?)
疑問を持ちながら友奈を持ち上げるとお互いの目があった。
「……うぅ」
「……ぁ、あーっと?」
何故か、お互い顔を赤くしながら硬直してしまう。友奈との見つめ合いタイムが始まった。
(可愛いのは知ってたけど……あれ、友奈ってこんなに可愛かったっけ?)
久しぶりにまじまじと見た幼なじみの顔を見てそんな感想を抱いていると、横から裾を引っ張られそれにより意識が戻される。
「樹ちゃん?」
『次、私にもやってもらっていいですか?』
「ちょっ!樹!抜け駆けは許さないわよ!次はあたし!あたしよ!」
「えーっ!?もうちょっと!もうちょっとだけ!」
「だめよ、友奈。もうあんたは終わり」
『お姉ちゃんは一回やってもらってるからダメ』
「「そんなぁーー!?」」
「あのー、掃除は…?」
僕の小さな声は受け流されてそのまま全員をお姫様抱っこした。(すごく恥ずかしかった)
みんなで楽しく掃除(?)をしたあとはそのまま解散になった。今は友奈と一緒に帰路を歩いている。
「そういえば…」
「ん?どうしたの友奈?」
「洸輔くんにね…これ!渡そうと思ってたんだ!」
「これは?」
そこには僕の勇者服と一緒の色をした押し花があった。
「洸輔くんをイメージして作ったんだよ。ちょっとした御守りみたいなものかな?何があってもそれが洸輔くんを守ってくれますようにって願いをこめて作らせていただきました!」
謎に敬礼をしながら、とびっきりの笑顔で幼馴染はそう言った。あまりにも不意打ちすぎて反応が一瞬遅れたものの、嬉しいという感情を隠しきれなかったようで…。
「友奈……ありがとね。すごく、すごく嬉しいよ……」
「えへへ〜♪そんなに喜んでもらえると思わなかったから嬉しいなぁ〜」
「喜ばないわけないじゃないか。ありがと、大切にするよ」
友奈からもらった押し花を大事に握る。御守りは夕日に照らされてすごく幻想的な雰囲気を纏っていた。まるで不思議な力でも宿ってるみたいだ。
「明日こそ、みんなで揃って部活したいなぁ〜」
「うん、また皆で揃ってね」
「……美森、心配だね」
「せっかくならこのまま東郷さんの家にも寄ってこうよ?」
「まぁ、顔出す程度ならいいか。よーし、じゃあいこか」
次の瞬間、もう聞くことはないと思っていたはずのアラームがスマホから鳴り響いた。
「な、なんで?」
「えっ……なに、これ?アラームが鳴りやまないよ!?」
僕と友奈は白い光に包まれて、樹海へとまた降り立った。
「これは、なんだ?」
「何…?この数?」
壁は抉られてそこから何か白い物体がどんどん涌き出ていた。スマホに目をやると壁側の方に僕と友奈がよく知る人物が表示されていた。
「美森…?」
まじでシリアスしかなくなってくるしもう一回番外編混ぜましょうかね~。(皆さんどう思います?)